【映画レビュー】マグダレンの祈り THE MAGDALENE SISTERS
【概要】
実話に基づく作品。
監督 : ピーター・ミュラン
出演 : ノーラ=ジェーン・ヌーン, アンヌ=マリー・ダフ, ジェラルディン・マクイワン
【あらすじ】
1996年まで実在したマグダレン修道院をモデルにしたストーリー
レイプされた女性、誘惑したとされる女性、未婚で子供を産んだ女性、肉親や教区の司教によってマグダレンに連れて来られた女性たちは、彼女たちを支配するシスターの圧倒的な権力と監視の下で、人権のない生活を強いられる。
【感想レビュー】おすすめ度★★★★
まず初めに被害者の女性が罪を償うのは本当におかしいと思った。修道院というより、刑務所の扱い、いやむしろそれ以下の扱いとおもった。その暮らしは凄まじい虐待が横行し あまりにも非人道的な場所が1996年まであったなんて信じられない。女性達には選択する権利が与えられなかった。身寄りがいたローズは弟の力で4年間で退所できたが、身寄りがいなかったお婆さんは、若い時に入所し死ぬときまでいた。女性達はいつ開放されるかわからない恐怖と絶望感もあっただろう。このシーンで同じ女性ですら格差さえ感じた
今考えるとおかしく感じることがこの人たちは自分達が正しいと思っていることが恐ろしい。今もなお、様々な宗教で他の人からしたら信じられないような事が行われている昨今である。宗教だけではなく、いま当たり前にあるこの日常も遠い未来ではありえないことをしている可能性もある。他人事ではないのである。
物語の内容に入るが、修道女が少女達を裸にしてそれを見てバカにするシーンや豪華なご飯を食べている横で少女たちは質素なご飯だったり脱走未遂した子を丸刈りにして見せしめにしたり、同じ女性なのに痛みがわからないのか、本当に神に仕えているのかという怒りさえ覚えた。本当に胸糞だった。
マーガレットが裏口のドアが開いてて外に出られたのに戻ったシーンでは逃げて自由になりたいという心情と反対に恐怖に支配されている絶妙な心情を描いていると思った。最後は勇気を出して逃げれたからよかった。現実では逃げ出すことはかなり難しかったと思う。恐怖や洗脳が勝つと思う。それ以上に非人道的な事が日常茶飯事に起きていたんだなと思うと心が痛い。しかし、史実を知るという面ではこの映画は興味深かった作品である。
【現代との共通点】
現代でも、レイプの被害者が悪いというような風潮が残っていたりする。そして痛みがわかるはずである同性が非難をする。こういった行動が女性軽視につながっていると私は思った。もちろん、レイプやセクハラなどをした男性が一番悪い。しかし、被害者に対して被害者の同性が攻撃したりする傾向もあり軽視するのは異性だけではなく、同性にもあるということを理解するのも大事だと思う。これは現代社会でも共通することだと思う。
【最後に】
英語版Wikipediaによると、アイルランド政府は正式に謝罪したのは2013年のことで、
アイルランド政府は生存者への補償制度を設立し、2022年までに制度の延長後、814人の生存者に3,280万ユーロを支払った。
※2024年のレートで円換算すると、約5億3720万円になる。一人当たり約66万円
謝罪したのは2013年!というのにびっくりした!しかも一人あたりの額も想像以上に低くてびっくりだった。この悲劇を歴史として終わらせるのではなく、関心を持つことでこのような悲劇を繰り返さない事が大切だと思う。
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