第1話:EUの非特恵原産地規則
(2021年3月、JASTPRO 令和2年度 調査研究報告書『非特恵原産地規則
~ 米国、EU及び我が国における主要製品分野に適用される非特恵原産地規則の概要と比較 ~』第2編第2章として公開。2021年12月24日、note に再掲。)
〈本稿で取り上げる非特恵原産地規則は、①MFN税率適用のための規則、②原産地表示要件の原産国を決定するための規則、③その他の通商分野において準用される規則を含みますが、貿易救済措置等に対して個別に制定されている原産地関連規則を含みません。〉
EUの非特恵原産地規則
EUにおける非特恵原産地規則に関連する規定は、EU関税法典 (注1) の第59条から第63条までに定められています。原産地決定の最終的な法的根拠は同法典第60条(原産地の取得)に求められます。
(注1) Regulation (EU) No 952/2013 of the European Parliament and of the Council of 9 October 2013 laying down the Union Customs Code
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2013年10月9日付、欧州連合関税法典を定める欧州議会及び欧州理事会規則第952/2013号
第II編: 輸出又は輸入関税及び物品の貿易に関する他の措置が適用される基となる諸要因
《関税法典第59条(範囲)》
第60条及び第61条は、以下を適用するための物品の非特恵原産国を決定するための規定である。
(a) 第56条(2)の(d)及び(e)に規定される措置を除く共通関税率
(b) 関税措置を除く、物品貿易に関連する特定分野を規律する欧州連合の規定によって創設された措置、及び
(c) 物品の原産地に関する欧州連合の他の措置
《関税法典第60条(原産地の取得)》
1. 1ヵ国又は1領域で完全に得られた物品は、当該国又は領域に原産地を有するものとみなす。
2. 2ヵ国又は2領域以上が生産に関与する物品は、最後の、実質的な、経済的に正当化される加工又は作業を、その目的のために装備した事業において行い、新たな産品の製造に至るか又は製造の重要な段階を示した国又は領域を原産地とする。
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