会社の第10期がいよいよスタートしました
6月から会社の第10期がスタートして、早くも2か月ほど経ちました。前回のnoteにも書きましたが、9期は上半期で営業利益・経常利益の目標をほぼ達成できたこともあり、目標数値を上方修正。そのままの勢いで後半を駆け抜け、過去最高益で終えることができました。
そして迎えた第10期。今回のnoteでは僕たち今村不動産の10期の売上目標をもとに、毎期売上計画をどうやって決めているのか、そしてそれをどう会社経営に落とし込んでいるのかについて書いていこうと思います。あと、数字面以外の会社としての10期の取り組みについても整理していきます!
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売上計画は売上目標から決めない
みなさんの会社ではどうやって売上計画や売上目標を決めているでしょうか?今村不動産では目標とする「当期純利益」から逆算思考で設定するようにしています。
事業の儲けである「当期純利益」は、損益計算書ではいちばん下に記載されています。売上高から仕入れや人件費、家賃、経費、銀行借入の利息などすべてを差し引いて計算されます。だから、何も考えずに損益計算書や試算表を見る場合、どしても無意識のうちに上から下へと計算しがちです。
ただ、僕らのような中小規模の会社にとって最も重要なのは「当期純利益」。当たり前のことですが、いくら売上が伸びたからといって、利益が残らなければ資金繰りは悪化し、事業継続は困難になります。安定経営のためには常に「当期純利益」を意識して経営の舵取りをする必要があります。
ここで大切になってくるのが逆算思考。
当期純利益からスタートして損益計算書を下から上に見ていく。つまり、当期純利益を起点に予算や事業計画を組み立てることが、経営を維持していくために重要なポイントだと考えています。もちろん、スタートアップなど事業フェーズによっては、とにかく売上を伸ばすことや、利益を度外視して投資をする場面も出てきます。ただ、お金がなくなってしまうと一発退場となるのが会社経営。投資や費用投下をどれくらい許容できるのか、といった健全な経営の意思決定のためにも、当期純利益から逆算して計算することは有効だと思います。
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会社の損益構造を分解して理解する
「当期純利益」から逆算して、どうやって売上計画を立てるのか。そのためには、過去数年の決算をもとに損益構造を把握する必要があります。
目標とする「当期純利益」を稼ぐためには、どのような「費用(販売管理費など)がどれくらい発生しているのか。その費用をまかなうためには、どれくらいの「売上総利益=粗利益」が必要だったのか。そして、その粗利の源泉となった売上高はいくらなのか。年度によって誤差は発生しますが、おおよその割合は見えてきます。そのうえで、達成したい利益水準を決めて、想定コストを設定することで、目標となる粗利益が計算される。この粗利益の金額を、粗利率(売上総利益率)で割り戻すことによって、目標となる売上高を逆算で計算することができるといった感じです。
売上高は直感的にイメージできますし、日々の営業に直接関係するので意識しやすいものですが、中小企業の経営においてはキャッシュの増減に直接関係してくる当期純利益の方が重要な数値です。特に、僕らのような金融機関からの借入など他人資本をもとに事業発展を目指す不動産開発の事業会社では、純利益の積み重ねである純資産が与信に直結するので、毎期の売上計画を立てる=「純利益」をどれだけ出すかが重要な経営指標になっています。
第10期に設定した今村不動産の売上計画は以下です。
売上高:60億
粗利益:14億
営業利益:8億
経常利益:7.7億
当期純利益:4億
これまでの決算をもとに構造分解すると売上高100%に対して粗利率は22~23%程度。コストはその時点で仕入れている物件在庫(=借入金利の金額)にも左右されますが、おおよそ粗利益の56~60%程度になっています。
なぜ第10期の当期純利益の目標は4億なのか。それは、第9期決算を終えた時点での貸借対照表(BS)の純資産が6億で、今期4億の当期純利益を達成することで2桁の10億に乗るからです。先にも述べましたが、僕らのような不動産開発を行う事業会社は、金融機関からの融資が事業拡大の原動力です。企業としての純資産の厚み、事業継続性が企業与信に直結してきます。
純資産が10億を超えることで企業与信に明確な違いが生まれる保証はありませんが、会社としての成長フェーズであるここ数年間は節税などを考慮せず純利益を積み重ね、純資産10億を目標に事業を続けてきた結果、取引先金融機関の数も融資額も順調に増えることで事業を拡大してきました。そして、掲げていた目標に手が届くところまで来たのが第10期というわけです。この目標を達成するのが、今期の今村不動産の最大の数値面でのミッションになっています。
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当期純利益→売上を経営現場に落とし込む
今村不動産では「不動産の存在価値を上げ、地域社会や経済に貢献する」をミッションに掲げ、たんなる不動産の売買ではなく、付加価値の高い不動産開発を目指しています。その成果が数値に現れているのが、前回のnoteにも書いた粗利益率の高さです。この数年の粗利益率はおおよそ22~23%程度で推移しています。第8期は非常に良くて25%、第9期は22%と、業界平均である10~15%を大きく上回ることができています。
会社としては売上高はもちろん、この粗利益率の高さも、他社とは違う今村不動産ならではの付加価値だと捉えています。そこで、売上高・粗利益の両方を重視しながら、毎期期首に行う営業担当との1on1で、各人の具体的な数値目標を設定して年間の営業プランに落とし込んでいます。
「目標数値を営業現場に落とし込む」。言葉にすると簡単ですが、実際に、戦略的に行うのはとても難しい経営要素のひとつだと思います。僕自身も創業から少しずつ営業の人数が増えてくるたびに、どのように各人の目標設定を行うべきか試行錯誤を続けてきました。
「とにかく数字(売上)を上げろ!」「Aさんは社歴が長いので売上全体の30%を目標に…」「去年の1.2倍の売上を目標に」そんな風に決められてしまいがちな数値目標ですが、会社に一方的に(あるいは無計画に)設定された数字ほど、絵に描いた餅になるものはないと思います。なぜなら「自分の売上目標数値がなぜその金額なのか」が、営業職の視点では理解・納得しづらいからです。
さらに、不動産業界の営業職のほとんどがインセンティブ制度が主体なので、いくら売上目標があったとしても、その達成可否は等級などの人事評価査定にしか影響せず、結局のところ「いくら売上げたか」でしか評価が給与に大きく反映されにくい環境にあります。結果、営業数値目標がただの数字として形骸化しがちだという課題もあります。会社の目標と個人目標が結びついていない状態。これは僕自身が営業をしていた頃にも感じていました。
そこで、今村不動産では期首の全社売上目標発表と個人面談を通して、会社としての目標(=今期どれくらい純利益を残すか)から会社の売上計画を詳細に説明しながら、それを営業個々人の数値目標に紐づけて筋道立てて話し合うようにしています。きちんと数値を開示して従業員とフェアに話し合うことは、企業としての責務だと考えているからです。
この方法をずっと模索しながらも継続して続けてきたからこそ、いまでは各営業も納得感を持って目標達成に向けた話し合いを経営サイドとしてくれていると感じます。単純に内部留保を増やしたいのではなく、純資産が増え企業与信が高まることは、営業として不動産の情報入手や買い付けがしやくなり、最終的には現場にも跳ね返ってくる。その意味を営業側も理解してくれています。「なぜ自分はその数値の達成を目指すのか」。会社と個人の目標がきちんと連動すること。そして、その方針や達成に共感してもらうことではじめて【目標数値を営業現場に落とし込めた】と言えるのではないでしょうか。
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次の10年につながる成長の1年を目指して
売上などの数字目標以外にも、10期で実施したい項目がいくつかあります。
ひとつが、第9期から本格的に始動し始めた木造アパートの開発事業。現時点で3件の開発が進んでいて、もうすぐ4件目の物件取得を行います。これまでの売上の中心だった開発事業部で行ってきた店舗などの事業用物件とは違い、大阪・東京以外の地方への広がりが出てきています。その結果、物件開発をきっかけに新しい金融機関との取引拡大にも繋がっていて、今後開発物件の数が増えていくことで会社の売上としても新しい柱になる可能性が出てきました。
10期以降は採用を強化してひとつの事業部として独立させて戸数を増やしながら、将来的に開発した物件の管理をグループ会社で行うなど、これまでと違うインカムゲインを生む事業として発展させていきたいと考えています。これは、会社のミッションである地域社会や経済の貢献にもつながっていくはずです。
もうひとつが、これは変わらず継続して改善を続けることですが、組織体系の強化です。実は現在のオフィスは3年ほど前に増床・改築をしたばかりなのですが、この数年で人数も増えて12人になり、少し手狭になってきたので事務所移転も検討しています。会社として人数を増やしたい、人員規模を拡大したいという考えはありませんが、売上とともに事業規模も広がり、業務内容も増えてきたことで適材適所で採用を進めていくことで自然と企業規模も大きくなっていくだろうと思います。ただし、売上のために営業職をガンガン増やすといった考えはなく、むしろ企業としての体制や制度を整えるためにバックエンド業務や、その分野を補ってくれる人材を強化するのが重要だと感じています。
いずれにせよ、これまでの採用方針をブラすことなく「どんなキャリアを目指したいのか」を都度対話を重ねながら、個々のキャリア設計を大切に採用を強化していきたいと思います。それに合わせて、会社として働き方や評価制度も見直しが必要になるかもしれません。
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10年後の会社を想像していたか?本気で想像していたか?そう聞かれると、創業当時の僕は何も考えていませんでした。毎年、その期をどう過ごすのか、キャッシュフローをどうまわしていくか。その積み重ねで気がつけば10年が経っていたというのが正直な感想です。
新型コロナによって市況がガラっと変わるのを目の当たりにしたことで、どれだけ未来を考えたとしても想定通りには行かないことを身をもって感じました。直近でも資材や人件費の高騰や、マイナス金利の解除、地震などの天災など、世の中は常に予測不能だと実感しています。
だからこそ、設立10年を節目と考えるのではなく、これからも目の前の仕事や変化に貪欲に、柔軟に、対応しながら会社経営を楽しんでいきたいと思います!