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家族葬について 

 最近よく耳にする「家族葬」。その言葉を聞いても特に違和感もなく、日常的に使われるようになりました。見聞きはしたことがあり、ことばの響きは優しい感じがするのですごく柔らかい印象がする、家族葬。それでは果たして「家族葬」とはどんなご葬儀なのでしょうか?

家族葬ってどんなご葬儀?

​ ご葬儀関連のwebサイトではどのように定義づけされているのでしょうか、少し調べてみます。

 大手葬儀ポータルサイト「いい葬儀」では、下記のように説明されています。
「家族葬とは、参列者の人数を減らし近親者のみで行う葬儀です。会葬者の接待をする手間がかからず、ゆっくり故人を偲べるなどの理由から、家族葬を選ぶ人が増えています」。

 もう一例、web集客型葬儀サービス大手の「ちいさなお葬式」では、次のように説明されています。
「ご家族や身近な友人、知人とのお別れを最優先に考え、儀礼的な弔問等をなくした小規模な葬儀・葬式です。」

 この二例を見てみると「…参列者の人数を減らし近親者のみで行う…会葬者の接待をする手間がかからず…」「…儀礼的な弔問等をなくした…」と、参列者の人数を限定した様子が読み取れます。

 私たちの地元、徳島でもご多分にもれず「家族葬」をご希望される方が多くいらっしゃる印象です。生前のご相談や、ご葬儀の打ち合わせの際に、「家族葬で考えています」というお申し出を数多くいただいています。
 そうした際に私たちは、まずお客様が「家族葬」をどのように捉えているかを確認し、「こぢんまりと」「少人数で」など、参列者数が少ないご葬儀のことをイメージしているのかを再確認します。

 「家族葬」には、参列する人数のほかにも、さまざまな思いや意思が込められていて、その内容は人によって異なります。打ち合わせの際には、丁寧なヒアリングを行うことが大切だと考えています。ご当家の方の想いを汲み取るように努める、それがご葬儀の満足度を大きく左右する第一歩となると考えているからです。

 家族葬でご葬儀を施行したのち、後日(将来)起こること/起きうることなどについての対応については、経験した方でないと想像しえないことがあります。その対処の必要性などをご説明さしあげ、どのように対策や対応をしていくかを丁寧に決めていきます。では、後日の対応を考えておかなければならない、家族葬で行うことでは満たすことができない葬儀の要素とは何なのでしょうか?

ご葬儀が持つ役割とは

 その問題を考える際に、少し堅いお話ですが本来ご葬儀が持っている役割を振り返ってみます。ご葬儀が持つ役割を3つに分類すると以下のように分けられます。

①死者の身体的変換

※火葬することで、物理的に「身体」を「ご遺骨」にします。

②死者の人格的変換

※「仏様」になる、「霊魂」、のように死者と向き合う際の今後の位置づけを変換する、などの意味があります。

③死者が担っていた社会的役割の遺族への再配分

※喪主は、祭祀の承継者が担う。これは後継者の披露であり、相続など承継の正当性の根拠となる、などの意味があります。

※上記の分類は「葬儀業界の戦後史」玉川貴子(著)を参照しています。


家族葬で「葬儀の役割」が果たせていない部分を理解する

 「家族葬」は、誰に来ていただくかをご自身で決める「参列者をご遺族が選択するご葬儀」なので、上記の「③死者が担っていた社会的役割の再配分」に対して及ぼす影響や対応を考えることをお勧めします。

 一例を挙げると、故人様の私的な人づきあいや社会的な関係性を家族がすべて把握しているか、を考えてみると良いと思います。人には誰しも様々な側面(顏・役割によって変わる)があります。家族としての顔、職業人としての顔、趣味人としての顔、地域コミュニティの一員としての顔、など、ひとりの人間であっても、属する環境やその環境での立ち位置などによって、人は振る舞いや印象が変わって見えるものだと思います。
家族の知らない故人様の側面を知ることは、いわば欠けているその人像のパーツを埋めて、その人像を再構築/完成させることに寄与することにつながるのではないでしょうか。

 例えば、お通夜やご葬儀の場であなたの知らない人から、挨拶をされる機会が葬儀にはあります。例えば、下記のような言葉をかけられたとします。

「職場の同僚の者です。あなたのお父様には本当にお世話になりました。営業マンの基礎を教えてくださいました」

「大学時代からの友人のものです。あなたのお父さんとは野球部で一緒でした。卒業してからも、数年に一度OB会でお酒を酌み交わしていました。豪快で、気持ちのいい人でした。」

ご供養やグリーフケアは、自分の中の故人像を創り続ける作業

 お通夜やご葬儀の場は、家族という関係(父・母・兄弟・など)からは見えない、社会的存在としての人格や一面を垣間見ること・知ることができる貴重な機会なのです。こうした経験は、②死者の人格的変換、にも作用します。自分の知らない故人のエピソードを知ることで、想う存在としての故人像が違った形で完成するのではないでしょうか。

家族葬では、その機会が生まれない可能性があります。

 訃報を後日知らせた方と、お香典/お香典返しや、年賀状/寒中見舞い、などの「ギフト・モノ」のやりとりはできます。しかし後日訃報を知った方が抱く、「故人にお礼を直接伝えたい/故人との思い出や追悼の想いを遺された方に伝えたい」という気持ちを弔問という行動に移すことについては諦める可能性をはらんでいます。

 弊社への相談事例としてこうした内容がここ数年増えてきています。「後日不幸を知ったので、お線香やお花を送りたい」、という方にお話を伺うと、「コロナが気になるということもあるが、そもそも葬儀の際に声をかけられていない」、「訃報に「ご香典ご供物ご辞退」などと記載されていたら、参列をためらってしまいます」、などのご意見を伺います。

 自分の面識のない人が故人と告別をする機会を喪失してしまうことについてどのように捉えるか、香典・供物・弔問などを辞退することをどのように捉えるかについては、ご当家がおかれている状況や、喪主の価値観によって決定することなので、何が正解か、は状況により異なります。


【個人的に考えさせられた事例1】
徳島県のとある地域の方が急逝、弊社にご依頼をいただいたことがありました。住み慣れたご自宅に連れて帰って差し上げたいとのことで、寝台車でご搬送させていただきました。
その後、亡くなられた方の奥様、お子様お二人とご葬儀の打ち合わせ。打ち合わせの段階から県外に住むお子様が、様々なことを決定されました。ご不幸があったことをご近所の方含め、誰にも伝えない。親戚からご香典もご供物もいただかず、家族葬で行いたい、とのご意向でした。
故人様は、過疎化が進む地域の行事にも積極的に参加したり、高齢化が進む地域の住民の方に様々なお世話をなさっておられた方でした。
家族葬で行うということは、亡き人とお別れをしたい、生前いただいたご恩を返したい、という想いを請ける場所を提供しないということです。
しかし、いつかはご不幸を知った方からの応対しなければならないときがきます。そうした応対を後回しにするということのリスクをお伝えしましたが、当初の予定どおりに家族葬でご葬儀を営みました。
行事の終了後、ご住職様からもどうして家族葬でしたのか、というご質問をいただき、経緯をご説明しました。今までの地域への功績から、本来は弔問を受けて送って差し上げたかったが、お家の方の判断なのでなんともいえない、しかしこうした別れの場の簡素化は地域のコミュニティの絆も断ち切ってしまうことにもつながる、といった話をしました。 

今回はいろいろなことを考えるきっかけになりました。
過疎化が進む小さなコミュニティなどでは、そのコミュニティを形成している地域住民の方の方が、離れて生活をしている家族よりも、過ごす時間が長いことはもちろん、本人との贈与の関係もふかいのではないでしょうか。
もちろん贈与には、物質的なものだけではなく、何かを手伝って差し上げたり、協力をしたり、気にかけて差し上げたり、といった行動も含まれています。
特に高齢になれば、親に判断を委ねるよりも、子どもがさまざまなことを決めることが多くなります。判断力が低下している方の代わりに判断をするには非常な困難を伴うと思います。
だからこそ、生前にしっかりと考える、調べておくこと、家族や関係者と話をすることが大切であると考えます。
※インターネットで得られる情報は、価格や段取りの手順、言葉の意味など断片的な情報です。将来具体的に起こりえることや、人との別れが「社会や人の営みの一部である」という観点が抜け落ちているように思います。
安易な直葬には個人的には反対です。
経済的な理由などがある場合、直葬のあとにご供養する、など様々な方法を模索することができますので、そういった相談・多様な提案ができる人を探すことも大切だと思います。


「楽」「簡単」な葬儀はない

 一般葬、家族葬、〇〇葬…形式はどのようなものであれ、ご葬儀を営むことは「楽」ではなく「簡単」ではないことはご承知おき頂きたいと考えています。葬儀の形式により異なるメリット、デメリットもよく理解したうえで、後悔のない決断をしていただくこと、そのお手伝いをさせていただきたいと考えています。

 お電話でのお問い合わせでは、「イマデヤでも家族葬はできるのですか?」とのご質問を多く頂きます。

もちろん承っております。

 共に悩みながら考える、その末に決めたご葬儀をよい思い出として、もしくは、葬儀のシーン自体の思い出はなくとも滞りなく進行する、そうしたサポートを全力でさせていただくことをお約束いたします。


※⚠※本記事は、SNS運営担当個人の意見です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 メリットもデメリットもある「家族葬」。こういった答えのない課題についての最善解は、あなたの心の中にあります。一緒に議論しながら考えてみる、そのためには、時間的・気持ち的にも余裕のある状態での生前のご相談をオススメしています。

ぜひ一緒に、家族葬について考えてみませんか?

生前相談のご予約は下記の電話から。

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