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ペイザナ×とおのどぶろく プロジェクト 最終回

岩手県遠野市でどぶろくを造る佐々木要太郎さんと、山梨県勝沼でワインを造る、ペイザナ農事組合法人代表であり、ドメーヌ・オヤマダの小山田幸紀さんの対談の最終回。
お二人がこれからやってみたいことや、目指すものをお聞きしました。
※敬称略

- 先ほど型の精度を高めるというお話がありましたが、新しいブドウ品種を栽培してみたい、という気持ちはありますか?

小山田:
それはありますね。実際に植えています。

- 佐々木さんは、色々な米の品種を栽培してみたいという気持ちはありますか?

佐々木:
栽培を始めた当初は「遠野1号」(戦後一度途絶えてしまった、地元遠野原産品種のうるち米)という品種を探し当てて、それにこだわっていましたが、栽培を続けているうちに、米の場合は品種の問題でなく、圧倒的に土の問題の方が大きいと気付きました。
更に言うと、米の種を自分で採取できるか、ずっとその土地でそれを蒔き続けていくことができるか、ということがとても大切ですね。
山田錦や雄町がどうこうというのは、僕たちのチームにはあまり重要なことではありません。

小山田:
米とブドウでは品種に対する考え方が大きく違いますよね。ブドウの場合は品種を超えられない。カベルネ・ソーヴィニョンやピノ・ノワールの世界観と、デラウェアの世界観は全く異なります。
元々ヨーロッパのものなので、それを日本で造るという難しさもあります。

- 遠野はどぶろくの特区ですが、醸造所は増えていますか?

佐々木:
岩手県内では増えていないですね…。研修に来られる方はいるのですが、なかなか増えません。

小山田:
どぶろくは造るのが難しそうですよね。

佐々木:
難しいと思われるので、ハードルを下げるために、例えば麹は自分で造らなければいけないのではなく、買ったものを使ってもいいということなどをお話しています。農業もそうなのですが、どぶろく造りは本当はハードルが低いものだったはずなのに、色々な免許などでハードルが高くなってしまっています。だから本来はそうではなく、先ほど話したように麹を買うなど、頼れるところは頼って無理しすぎずにどぶろくを造ることを伝えていきたいと思っています。

- 麹屋さんもどんどん少なくなっていますよね。

佐々木:
そうなんです。麴屋さんから麹を買うことで、麹屋さんが続けられるようにもなる。そういった文化がなくならないようにするためにもどぶろくを造る人を増やしたいですね。

- 今更ですが(笑)、小山田さんがワインを、佐々木さんがどぶろくを造るようになったきっかけは何ですか?

小山田:
私は大学の時は文系だったのですが、お酒が好きだったのと、その頃田崎信也さんが有名になりワインが流行っていたので、もてそうだと思ってワイン造りを始めました。笑

- シンプルですね。笑

佐々木:
僕は生まれも育ちも遠野なのですが、20歳頃に色々あって東京に出ようと思い、その前にワンクッションとして一度実家の民宿(民宿とおの)にお世話になりました。
その時に、父がどぶろく特区になるための発起人をしていて、免許を取るまで手伝ってほしいと言われ、日本酒造りの講習を受けたりしていました。
その講習で、並行複発酵は世界で唯一日本酒だけ、という話を聞き、「世界で唯一なのか…これはいける!」と思ったんです。笑
その講習から帰った後、父に「どぶろく造りをやらせてほしい」とすぐお願いしました。

- その時は特に不安はなかったのですか?

佐々木:
全くなかったですね。ただ、今この年になってお金があって初めて好きなことができるということを認識しだして、大変さを感じています。
造り始めてからずっとがむしゃらに走り続けてきたのですが、父がその陰で算盤を弾いてくれていたんですよね。
冷静になると、「この商売は結構大変なんだな」と実感します。だから、どぶろくを造ろうとする人も増えないのかなとも思います。
研修に来られる方には包み隠さず全て見せているのですが、誰も醸造所を立ち上げていないんですよね。がむしゃらにやっている時は自分では気付かなったのですが、客観的に見るとかなり大変なことをやっていたんだと思います。

小山田:
どぶろく造りは面白そうですけどね。

- ペイザナのスタッフを佐々木さんのところに派遣して、研修してもらうのはどうですか?それでゆくゆくは山梨にどぶろくの醸造所を作る。

小山田:
それも考えてはいます。でも、先にやらないといけないことがあって。

佐々木:
実は、僕には各地に醸造する拠点を作るという野望があるんです。と言うのも、今委託醸造のお話を沢山いただくことが多くて。全国で米を無農薬で栽培しているやる気のある農家さんが増えていて、そういうところから委託醸造のご依頼をいただくのですが、遠野までの運賃を加算すると金額的に高くなってしまうので、拠点を各地に作れたらいいなと思っています。
農家さんがいる場所ありきでその拠点を作りたいですね。

小山田:
そうして作り続けていれば、急に増える時が来ると思います。ワインも、私たちがワイン造りを始めた当初はワイナリーを作ることはとても大変でしたが、免許的にも緩和されてワイナリーが一気に増えました。

- どぶろくのビジネスモデルが今は佐々木さん以外に思い浮かばないのですが、少しずつでも増えて、農家さんたちの励みになるといいですよね。

佐々木:
そうですね。コロナの影響で、宿の方は大きなダメージがありましたが、米の栽培の方はいつもと何も変わらず続いています。ほかの農家さんも同じように、日々変わらず目の前のことをやり続けていると思います。
それを繋いでいくということをやっていきたいですね。
今新しい醸造所を造っているので、どぶろくの量も、これからもっと増える予定です。

- そうなんですね!それは楽しみです。各地にできる拠点も楽しみにしています。

小山田:
甲信越地方に拠点ができたら、ペイザナのどぶろく事業も本格化しないといけないですね。笑

- それも楽しみにしています。笑
お二人とも、今日はありがとうございました。ペイザナ米がどんなどぶろくになるのか、とっても楽しみです。
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佐々木さんと小山田さんの対談、いかがでしたでしょうか。
お二人のお話が楽しく、書いている途中に何度も聞き返してしまいました。
もうすぐペイザナ米のどぶろくも完成予定ですので、お楽しみに!

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