【英語のレシピ 2】英文法の下ごしらえ
『英文法』と聞いて、皆さんの頭に浮かぶのはどのようなものでしょうか。従わなければならない厳しいルール、あるいは、細かな規則だらけの難しい約束事、といった印象を持っている人は少なくないかもしれません。
ところが、『英文法』はそのような難しいものではありません。むしろ、外国語として英語を学習する私たちが、より正しく、より簡単に英語を学ぶことを可能としてくれるクイックガイドのようなものなのです。
そこで今回の「英語のレシピ」では、『英文法』を下ごしらえして、その便利さを存分に活用するための準備をしたいと思います。
それでは、Let's cook!(調理しちゃいましょう!)
英文法と他のルールとの違い
『英文法』の『法』が意味するのは、「ルール=規則」です。身近な「ルール」として、すぐに思い当たるのは、サッカーや野球などのスポーツのルールや、物が下に落下する、といった自然界のルールなどでしょう。
これらのルールに共通していることは一体なんでしょうか?それは、まずルールがあり、そのルールに関する物事は、それに従わなければならない、という前提があることです。
例えばサッカーであれば、フィールドやゴールの大きさ、さらには選手の人数などが細かく規定されています。また、そうした規則に従わなかった場合には、何らかの罰則が与えられてしまいます。
あるいは、一定の条件下で水は0℃で氷になる、といった自然界のルールを例に見た場合、そうした法則に反した事象が自然界で起こることはありません。
ところが、『英文法』はそうしたルールとは性質が全く異なります。では、どの部分が異なっているのか。それは、まず実際に使用されている英語があり、それを研究した結果、ルールのように見えるものとしてまとめられた、という点です。
この様子を料理に例えることで、『英文法』の在り方がわかりやすいものになります。例えば、おいしい肉じゃがを作るためには、煮物に適した野菜の切り方や、調味料を入れる順番といったルールに従う必要があります。
その一方で、世の中のおいしい肉じゃがの作り方の研究を重ねることで、肉じゃがをおいしく作るためには、このように野菜を切った方がいいらしい、とか、調味料はこの順番で加えた方がおいしく仕上がるらしい、というように、後づけで作られたレシピのようなもの、それが『英文法』なのです。
実際に『英文法』は、1500年以上もの長い期間に渡って、異なる時代や人々によって使用されてきた英語を、英語学者たちが整理してくれたことで生まれたガイドブックのような存在なのです。
例えば、どこかへ旅行する際には、ガイドブックなしでもそれなりに旅を楽しむことができます。しかし、旅先の見どころやグルメ情報が紹介されているガイドブックが手元にあった方が、旅はより充実したものになります。
それと同じように、『英文法』に頼らずに、体当たりの英語体験を通じて英語を身につけることは可能ではあるものの、『英文法』を頼りにした方が、より効率的に英語学習を進めることができる、というわけです。
英語を学ぶにあたり、『英文法』を"学ばなければならないもの"ではなく、"活用すると便利なもの"、と認識するだけで、英語が身につくスピードはぐんぐんと上がっていきます。
文法は生き物
英語は、その長い歴史の中で、使用される地域や人々によって姿を変えてきました。また、その変化は現在においても進行しています。例えば、ある単語の使用法が、ある時代と別の時代とでは異なる、ということは英語にはよくあることです。
つまり『英文法』とは、その時代の英語のガイドブックである、というわけです。したがって、現在、皆さんが学んでいる内容が、30年後には別のものに変わっている、ということは十分にありえることなのです。
自分流の英文法の楽しさ
料理においては、レシピどおりではなく、自分の好みでアレンジした方がおいしく調理できることがよくあります。
それと同じように、『英文法』についても、教科書や参考書どおりではなく、そこに書いてある内容を基に、"自分の理解"を作ることが一番おいしい英語の調理法です。
今後も「英語のレシピ」では、英語をおいしく食べるためのレシピを紹介していきますが、是非、皆さん流にアレンジして英語を吸収していってください。
※その他のレシピについては、編集作業が完了次第、公開予定です
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