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NPB公式戦開催球場 豊川いなり外苑球場 跡

1928年に豊川稲荷が豊川稲荷外苑に建設した球場が、豊川いなり外苑球場です。
豊川稲荷の正式名称は、「円福山 豊川閣 妙厳寺」ですが、以下豊川稲荷で統一します。

1926年に明治神宮が明治神宮野球場を完成させると、1928年には豊川稲荷が豊川いなり外苑球場を、1934年には札幌神社(現・北海道神宮)が札幌神社外苑球場(現・札幌市円山球場)を、1935年には祐徳稲荷神社が祐徳国際グラウンドを建設するなど、当時神社界は球場建設を積極的に行っていました。

中堅112.1m、両翼は106.5mと当時としてはかなり広めの球場でした。
これは、昔の甲子園のように外野に陸上トラックを有していたためで、おにぎり型の形状をしていました。

一リーグ時代の1948年に、中日が主催した公式戦が2試合開催されています。
5月30日の対読売戦、同年7月18日の対金星戦です。

5月30日の中日‐読売戦では、中日清水秀雄氏が完封勝利。この年最多勝・最優秀防御率・ベストナイン・沢村賞を獲得する読売の中尾碩志氏が完投負けでした。

7月18日の中日‐金星戦は、中日・星田次郎氏と、金星・池田善蔵氏がともに延長10回を投げ合い、2‐1で金星が勝利しています。
本塁打は1本も出ず、この2試合の総得点は5点。

お隣の豊橋市では、豊橋市営球場で公式戦が1957年まで開催されていましたが、豊川いなり外苑球場での公式戦は1948年のこの2試合のみ。

1964年に、この球場の南西に豊川高校が移転し、この球場は豊川高校のグラウンドになりました。(豊川高校も、豊川稲荷の経営です。)

さらに1982年にはこの球場は建替えられることになります。

1983年より、陸上トラックを有していた球場は、球場と陸上トラック別々のものとなり、おにぎり型の球場は姿を消しました。
スタンドも有していますが、これも1983年に建て替えられたものです。

豊川高校は愛知県内でも高校野球の強豪として奮闘しており、駅伝部も全国大会に何度も出場しています。

陸上トラックのきれいなラインが目を引きます。

現在も豊川高校の専用グラウンドとなっており、NPB公式戦が開催された当時のおにぎり型の姿は現存していませんが、今もこの地で球音が響いています。



それでは行ってみましょう。

辺り一帯は、豊川地域文化公園として整備されています。
中心にある桜ケ丘ミュージアムは、美術作品の展示や、展覧会等も開催されているようです。
桜ケ丘町にあることから桜ケ丘公園とも呼ばれており、子供が遊べる遊具のほか、グラウンドやテニスコートがあります。

この広場の南側に併設されるように、陸上競技場と野球場が存在します。

豊川高校の生徒が使用している陸上トラックと野球場にはなっていますが、正式には豊川高校ではなく豊川稲荷所有となっているようです。
学校施設ですので当然立ち入ることはできませんが、訪問時には外から眺める限り生徒さんはいらっしゃいませんでした。


豊川稲荷は、すぐそばにあります。
日本三大稲荷とされています。


豊川いなり外苑球場 NPB公式戦 全2試合


参考・引用
NPB公式戦開催全球場 球場情報 豊川いなり外苑 | 球場詳細 | 球場情報 | NPB.jp 日本野球機構
地図・空中写真サービス 地図検索表示画面 (gsi.go.jp)
豊川稲荷 豊川稲荷 | 愛知県豊川市にある曹洞宗の寺院 豊川稲荷略縁起 (toyokawainari.jp)
日本プロ野球記録 ウスコイ企画 
・1948.5.30中日‐巨人 1948GD (2689web.com)
・1948.7.18中日‐金星 1948XD (2689web.com)
野球場大辞典 沢柳政義著 大空社
豊川市 豊川市 (toyokawa.lg.jp)
豊川高等学校 豊川高等学校|愛知県豊川市 (toyokawa.ed.jp)

2022年晩秋訪問
2022.12.6 筆

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