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【蟋蟀在戸】きりぎりすとにあり『海の十字架に願う』寒露/末候🍀

能登半島の和倉温泉まで約2時間弱のドライブに行ってきた。
ハウスメーカーさんからの招待頂いた加賀屋あえの風のランチバイキング。
案内され座ったテーブルからは海?七尾湾が見えた。

晴れていれば最高の眺め


「いいねぇ〜こんな所で結婚式あげたいねぇ」
「誰のや?」
すかさず突っ込むヨッシーさん。
ウチには未婚の息子がもうひとりいる。
もう構わないと決めたはずなのに、やはり妄想してしまう私。
まぁ、ドライブ好きな私にとってはちょうど良い気分転換になったので、招待頂いたメーカーさんには感謝している。
本社が能登にあるメーカーさん、久しぶりにお会いした担当さんとも懐かしくお話できた。


金沢から能登まで続く里山里海街道には実家の父を乗せて何度かドライブに出かけた。
いつも休憩する道の駅は駐車場からも海が見えるので、ドライブの目的地はいつもそこだった。
釣り好きな父は、その道の駅に到着してしばらく波の音を聞き、潮風を感じて嬉しそうな目を閉じる。そしてしばらくいると「帰ろうか」と言い出す。
釣りに出られない事が余計に寂しく感じてしまうのかも知れない。
海沿いをドライブしながら天国の父のことを思い出していた。


私の愛車はポルテ君。
もう生産中止になった車だが、我が家では大活躍してくれている。
後部座席の片側にしかドアが無い変な車だが、代わりに大きく開く助手席スライドドアのおかげで、車椅子からの乗り降り介助もしやすい。
介護認定を受けた義母とも、ポルテ君のおかげで何処へでも行けた。
能登の温泉にも行けたし、山梨まで富士山を見に行くこともできた。
折りたたんだ車椅子も楽々乗せられる高さもある。


現在は夫ヨッシーさんが助手席、車椅子を乗せていた荷台スペースは愛犬スズの指定席となっている。
荷台にピッタリ収まるスズ専用クッションも手作りしたから準備万端整ってはいるが、スズはドライブが嫌いだ。
嫌いな原因は、いつも行き先が獣医さんだからだろう。


どんな時も私の味方だったポルテ君、前回は白で今回は水色、2代続けて私を応援してくれている頼もしい相棒。
生産中止ってことは、もう次はないってことだよね?
ソレ、困るなぁ。
だって、今後ヨッシーさんか私かのどちらかが介護となる日は必ずやってくる。
そんな時になってポルテ君がいないのは、本当に困る。


休憩した道の駅から目的地までヨッシーさんが運転を代わると言い出した。
いつもならお願いするところだが、今回はやめて〜と思った。
何故かと言うと、ヨッシーさんここ数日全く耳が聞こえていないからだ。
会話も筆談でしていた程、聞こえていない。
運転は目だけじゃなく耳も必要だ。
特にナビは音声案内に頼るところが多い。
でも、出来ると言い張るヨッシーさん。
もう、諦めた私は助手席に座って覚悟を決めた。
ナビの代わりに右とか左とか指で示しながら進むことにした。
ヨッシーさんには聞こえてないが、白線を踏む度にピーピー言って、危ないよ〜と知らせてくれるポルテ君。

ランチにビールを頂いたヨッシーさん、帰り道は私の運転で帰ってきた。
「疲れたろう?」と優しい言葉をかけてもらったが、ドキドキハラハラの助手席よりもマシ!
なんて言い返しても、今は聞こえないから喧嘩にはならない(^^)


今日、再度耳鼻科に行ってすっかり治ったヨッシーさん。
聞こえないことが、こんなに大変だと思わなかったとしみじみと話す。
「おれ、百歳まで生きれる気がしてきた」
と言うので、5歳違いの私は
「じゃあ、私も95まで頑張るね」
と返す。
「あえの風」のあの十字架を思い出しつつ願った。
与えられた一生を、仲良く全うできますように💞


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