【も】▷もう恐いものなんてない「いろはにほへと」とヘンテコ凛な私
人生後半の日々を心地よく過ごすためのちょっとしたコツを「いろは」の47文字の中に拾ってみました。
【もう恐いものなんてない】
私が一番こわかったのは、義理の母である。
コワイというと語弊があるが、家の中では、夫よりも気を使う相手であったことには間違いない。
気を使うっていうのも、ちょっと違う気もする。
夫のヨッシーさんは若い頃からバリバリの営業マンで、帰りは毎日遅かった。
子供達との食事の時間には居たためしがない。
だから私との共通の時間帯は少なく、アッチが怒ってご機嫌が悪くても、さほど私には影響がなかった。
母も夫も、一回怒ると機嫌が直るまでに時間が結構かかる方だった。
私はバーッと怒ってケロッとする方だったから、怒り続けているのって疲れないんかなぁって思ってしまう。
でも、さっき喧嘩した相手である私に、ケロッとした顔で「ねぇねぇ」なんて話しかけられると、あちらのお二方は余計腹が立つらしい。
夫が五年間単身赴任していた時期がある。
ちょうど長男が小学校に上がった頃だから私が30歳チョイ前で、三人息子は2歳6歳7歳くらい。
義理の父が他界した後だったので、母から
「女子供だけやと分かったら物騒やし、誰にも単身赴任のことは言うたらだめやぞ」
と口止めされていた。
なので、友人達にも日頃の愚痴など言えず悶々とした日々を送っていたのである。
その環境の中で、母とのイザコザは最悪なので、出来るだけ波風立てないように心がけ日々を過ごすこととなった。
それでも、ちょっとした事から喧嘩になってしまった場合には、自然に収まるまで待つしかなかった。
母は、いくら私に対して怒っていても、息子達には普通に接してくれていたので、私さえ気にしなければ何も問題はなかった。
で、そういう時は、私は自分の気持ちをさっさと切り替えることにしている。
鼻歌を歌うのだ。
掃除、洗濯、お料理と、メチャ楽しそうにやる。
お風呂の中では大声で歌う。
自分の気持ちさえ切り替えれば、後は時間が解決してくれるのを待つのみ。
この鼻歌期間に、夫が単身赴任から帰ってきたことがある。
「なんか、アイツ機嫌いいなぁ」
と母にたずねる夫。
「反対やわ、歌っている時は機嫌悪いんやよ!」
と答える母。
二人がこっちの様子を伺っているのに吹き出しそうになりながらも、ルンルン♪と歌い続ける私。
子煩悩で裏表がなく元気な母の七回忌を今年すませた。
小さい頃は目に見えないものがすごく怖くて、旅行などで他所で泊まったりするとピリピリして一人だけ眠れない変な子供だった。
でも、あの元気な母や、実家の父や祖父母、先に逝ってしまった大切な友人たちなど、天国で暮らす人たちが増えるにつれ、死に対する恐れが薄れてきた気がする。
あっちで暮らす知り合いが増えて来ているのだから。
もし自分に何かあったら迎えに来てくれる人たちがたくさんいると言うことだ。
もう恐いものなんてない!
とは、そう言うこと。
先に逝ってしまった友人達に言われないように、毎日を丁寧に生きなければと思う。
きっと友人たちは言うだろう。
「せっかく生きているのに、もったいないよ」
また皆に胸をはって再開できる生き方をしようと思う、今日この頃である。