重ねた手と赤いワンピース
あたたかい
あなたの手
上からそっとかぶせてくれた
あなたの鎖骨に触れたわたしの手に。
やさしくやさしく包み込んでくれた
あなたがわたしをうけとってくれているようなかんかくだった
そっとうえから重なったあたたかい手
やさしく
そのぬくもりが、
そのままわたしのカラダの記憶に
ふかく刻み込まれてる
わたしはそのまま
もっと近づきたくなった
この一年分、毎日
365日、近づきたいと思っていたんだもの
いつもこわかった
あなたにずっと近づきたかったの
触れ合いたかった
この時は不思議とゆるされている気がしたの
おとといはできなかったこと、
見下ろして見えるあなたの顔の横に、
わたしの顔を横に付けて、
覆いかぶさった
そして
あなたが横になっていたイスに二人で座って、流れるように自然と、
わたしはあなたの胸に引き寄せられていた。
「ひとりの男性としてこのまま流されていってしまうと思うの。
それでもいいの?」って、あなたはわたしにきいてきた。
「耳もう大丈夫なの? 」
あなたがそうやって心配してくれるだけで、
わたしはとてもうれしくなってしまう。
ずっと荒れていたわたしの耳を
いつも以上に近づいた距離になったわたしたち
はじめて重なった唇
わたしを見るあなたの目がいつもと違っていたこと
わたしはそれがとてもうれしかった
ずっと女性としてみて欲しかった
気付いたら勢いを増して、
お互いを求めあっていた。
うなじにかんじるあなたの唇、
至福のとき。
あなたは、赤いワンピースを少しずつ
脱がせ、わたしの肌に唇をあて、
わたしはあなたの唇と
肌に触れるあなたの手のぬくもりをかんじていた
「ねぇ、音楽かけない?」って、
あなたがかけてくれた音楽が部屋に流れ響きはじめる
柔らかく心地よく甘い歌声
カラダを重ね合わせ、
ゆっくりお互いをかんじあっていた
あなたはどんな気持ちだったんだろう
愛してるわ、と伝えた私の言葉とともに
2粒の涙がでてきた
あなたは急に
わたしを求めることを止めて
寒くない?
ってやさしくきいて
くしゃくしゃになった服に手を伸ばして、着せてくれた
わたしはこの日の出来事を何度も思い出しては、またあなたの手のぬくもりと
くちびるを感じてるの
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