"コントラスト"と"コネクト"がバディを成立させる

物語のキャラクターにおける、男女のコンビ・バディというものについて考えている。なぜなら私は男女が対等に並び立って活躍するのが好きだからだ。三歩後ろをついてくるヒロインはこりごりである。横に立ってほしい。私は今後もそういうものを書いていきたいと思っている。

で、今回思い立って、友人たちに「好きな男女バディのパターンはありますか?」とアンケートを取ってみた。情報は思った以上に多数集まり、「オタクってバディものに関して一家言あるものなのかな……」とびっくりしたのだが、それにより見えてきたものをここに残しておきたい。

簡単にまとめると、コンビ・バディとは「コントラスト」「コネクト」だということだ。って何か意識高い横文字企業みたいになっちゃったけど、「陰影」「関係性」と言い換えてもよい。それぞれが「違う」ものが「繋がる」からこそバディという結果が発生する。具体例とともに分類してみたので、見ていこう。あ、長いので注意してください。

1.ルックス/フィジカルにおける分担

肉体の見た目や強度に大きな差があり、それを補い合う二人という形。

・常識的な人外存在と非常識な人間のカップル
・男の側がヒト型よりの人外(めちゃ雑なくくり)

非常にわかりやすく、ルックスで陰影をつけてくるパターン。「明らかに見た目に差のある二人が」「何かしらの関係で繋がれている」だけで人はエモを感じるのかもしれない。ちなみに今回、人外絡みのアイデアはとても多く寄せられた。思った以上に人間は人外が好き。

・ダメージが基本的にパートナー女子にいくシステムがいいな!

これも分かりやすいな、と思った一例。なかなかにフェチいけど、見栄えしそうだしサービスシーンの貯蔵も十分といった感じだ。男の子は大破絵が好きなのだ。でも、関係性としては一方的な気もする。男の側もまた女子に何か与えている必要がありそうだ。

・人外男が人間アバターを必要とする場合はバディ人間女の体を乗っとるやつが好き

フィジカルによる差異に「融合」要素を取り込んだ一例。TS的な要素を含むという考え方もできる。

・アンデッドアンラックの二人とか。戦闘の大部分を担当する主人公と本体は弱いけど大火力技を撃てるヒロインみたいになってますし、互いに自分ができないことを相手が補ってくれて、組むと完成みたいになるのが組む必然性あっていいと思います。お互いの目的に一人の力では届かないとかにして。
・仮面ライダー電王の良太郎・モモタロスにグッとくるタイプです。
肉体を持たない暴れ者の人外と、フィジカル弱いけどメンタルげきつよの人間のコンビ。

肉体の強さに差があることで、戦闘に分担が生まれるケース。ド鉄板ですね。また、コンビがフィジカル担当メンタル担当に分かれるのも、とーっても有効なパターンです。

・これ! https://www.pixiv.net/user/13246007/series/35184

見た目や強さに大きく差がありつつ、主従という形でヒロイン側の立場を担保することもできる。しかもこのお嬢、見た目以上に強いのでギャップもあり、こりゃあ人気出るわという感じだ。そういえば自分はこういう「一見育ちが良さそう」な強さを描いた事がないので、やってみると新鮮かもしれない。

・見た目の歳の差はそうでもなく、広くて中年と少女程度。実年齢が少女側が極端に下振れしてるか、上振れしてて恋愛に達するためのハードルが異様に高いコンビが好みです。

肉体は同程度だが、実年齢という形で差を出してきた。相手がロリすぎて男が手を出せない理由になるというのは健全で良い気もする。あと、個人的に私はガッツのあるロリが好き。

・強大な力と同時に大きなリスクを背負ってる師匠と真面目な弟子!

これはどっちが女子なのかで読み味がまったく変わってきそうだ。ボロボロの女師匠を支えるか、真面目な女の子についてきてもらうか……!

2.メンタルにおける分担、支え合い

・擬似家族寄り(保護者男子と、守られるだけじゃ嫌になってきた少女)
・ドタバタ寄りにするなら少女も一般的にはだいぶ強いのにやたら心配されて過保護に……とかもできますし、シリアスに守られながらも乗り越えて前に進む少女もいける! 恋愛はしてもしなくてもおいしい!

保護者と守られる者、という鉄板ケース。もちろん、ただ守られるだけでは対等な関係とは言えず、コンビの要件を満たさなくなってしまう。そこから脱出しようともがく少女というのもオイシイものだ。ちなみに自分は、初めから強いヒロインばっか書いてきたので、強くなる過程を描くというのも新鮮でいいかもしれない。

・いつもお互い茶化しあったり、突っかかるのを邪険にしてたりするけど、敵と相対した瞬間に同時に構えに入ったり、後ろから皮肉言いながらスッと並び立つような関係。 心の底では互いに互いを世界で一番尊敬してる。
・バディは こいつは自分より凄いやつだ。って思いあってて、だからこそ対等性が生まれたりすると、それだーー。みたいになっちゃいますね。

互いに対するリスペクトというのは、コンビ・バディの着地点としては必須要素にも思えます。上記のように並び立って戦う関係でもいいですし、アタッカーと後方支援みたいに役割が分かれてて、互いを尊敬するのもオイシイかと。

・ある分野において一流だが、傲岸不遜のド変人でそれ以外は壊滅的(目が死んでたり、歯がギザギザしてたりするといい)な男子と、その分野に足を踏み入れたばかりの、熱意は本物だけどまだまだ荒削りな女子(こっちはそれこそたびびとさんが好きなまっすぐギラギラタイプがいい)とか
・男子に師事した女子が憎まれ口を叩かれながらも色々教わったり、人としてダメダメな男子が時に女子にしばかれたり、女子のひた向きな様子にかつての情熱を思い起こした男子がさりげない優しさを向けたりするといいです

すごく想像力を刺激される組み合わせ。師弟関係というのも鉄板のひとつですが、弟子からも師匠に与えられるものがあるといいですね。とにかく何かにつけて役割分担がされている。それがバディ。

・破天荒な変人とクール系眼鏡っ子助手のコンビ。周囲は振り回されてるけど、助手だけいつものことですみたいな感じで特に動じない。

これも似たような師弟ケースに数えられるか。うんざりしてるように見える助手が、動じないことがかえって信頼の証明になるやつですね。

・ラノベだとアリソンがバディものですね。活発で行動力のあるアリソンと物静かで記憶力抜群のヴィルのお互い信頼しあってるカワイイコンビです。

原作未読で申し訳ないですが、メンタルに役割分担があるという概念も実は鉄板。活発担当と冷静担当とか。

3.その他

・まどマギのホムまどとか電脳コイルのイサコヤサコみたいに最初は敵対関係だけど最終的に和解して心友になるタイプ!

出典未読で申し訳ないですが、敵対からの協力というのは大好きなパターン。敵対するということは、相手の行動を逐一気にするということであり、その行動や心理を予測する必要もあり、時として味方以上に、敵に詳しくなる必要があるものです。

・男が女に多額の債務があって、いろいろあって、男の方は何かと女にカネを無心する羽目になる。女は隙あらば男を破滅させようとしてる。男は口では隙あらば女にいなくなって欲しいと思ってる。

なんだかんだ、カネのつながりって太いものである。それが心の関係に変化するだけでエモくなるし。これ、実際は女が男に惚れてたりするんだろうなあ。

おわりに

というわけでまとめなのだが、気を付けたいのは「過積載すればいいってモンじゃない」というところだ。取捨選択が重要になってくる。上で見た具体例も、なんだかんだ構図としてはシンプルなものが多い。これは自戒である。私は、隙あらば過積載しかねないからである。気をつけろ。わかっているのか。お前のことだぞ。

とりあえずコンビを設計する際には、「コントラスト」と「コネクト」を何か一つずつ選定してみると良いんじゃないだろうか。ストーリーはそこから派生させていけばよい。私もこれから考えるので、皆さんも考えてみてください。

あー美人秘書とタッグが組みたい。以上です。

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