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Netflix 韓国ドラマ「誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる」感想と考察(ネタバレ)

Netflixで「誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる」完走した。だが、何かモヤっと心に残るものがあり「果たしてこの作品は狂気に満ちたサイコパスに不運にも遭遇し、振り回される人を描いただけなのか?」と考えたらそんな短絡的なテーマではない気がしてならなくなった。 この作品のタイトルは「誰もいない森で木が倒れたとき、音はするか?」という「人間の認知」に関する思考実験に由来するものだが、そうした観点から作品を振り返ったとき「何か見落としているものが絶対にある」と思った。 劇中の

    • 「時が全てを解決する」なんて嘘だ

      「時間が全てを解決してくれるから」その言葉は本当に正しいのだろうか? 世の中に溢れるさまざまな「悩み相談的コンテンツ」を聞いても最終的にこのアドバイスに行き着くことが多いと感じる。 それだけ多くの人が生きながら実感した人生の答えと言っても過言ではないのかもしれない。 私は5年ほど前からうつ病を患っている。 浮き沈みを繰り返しながらも今年は発症後1番調子が良く(それでも希死念慮が消えたわけではないが)所謂寛解状態に近いのではないかと思っていた。 思っていたのに。 ここ数

      • 夏の西日はなぜ心の琴線に触れるのか

        夏の西日はなぜ心の琴線に触れるのだろうか。 「夕陽なんてどの季節も同じでしょ」 そう思う人もいるかもしれない。 それも正解であるかもしれない。 夏の西日にはまるで、真っ青に澄んだ日中の空への名残惜しさを後に引いたままその身を赤く燃やすような魅力がある。 日中の夏空が青ければ青いほど、夕陽はその濃度を増していくように思う。 太陽など知らぬという顔で家に閉じ籠りクーラーの効いた部屋でひたすら読書に没頭するような1日でも、部屋の中を照らし出す夏の西日の美しさにハッと顔をあ

        • 結婚した日に聴き続けていた推しの曲

          先日1つ歳を重ね、そのタイミングで結婚した。 果たしてこれは「人生の転機」というほど大それた表現をするのが妥当なことなのだろうかと疑問に思う気持ちと、苗字が変わるということは割りと大事なのではないか、という気持ちの狭間にいる。 恐らくまだ実感がないのだと思う。 そんな日に無性に聴きたくなった曲があった。 推しのひとりであるスンヨン(WOODZ)が歌う「BEHIND」という楽曲だ。 最初に聴いた時は「Cigarettes After Sexっぽい雰囲気で好きだな」という印

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          映画「オオカミの家」の感想と考察:内側を侵食される恐怖

          大学生の時にアニメーションの授業で見たアニメ作品がずっと心に残っていて、大人になった今でもふと思い出した時に見返していた。 ある日いつも聴いていたラジオで年間のベスト映画を発表する回があり、その中に出てきたのが「オオカミの家」という作品だった。 興味を惹かれつつも「心身ともに健康な状態で観るべき」と言う前評判にうつ病の自分は怯んでいたが、なんとこの映画の監督が前述した大学時代に見た忘れられない作品の制作者であったことを知る。 そんな折にちょうど目黒シネマで大好きな「アメ

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          IUとテテの終末愛は現代を生きる私たちの物語でもあった

          IUとテテというKPOPの表現者の頂点である二人の共演ということで公開前から楽しみにしていた「Love wins all」のMV、初見で気づいたら泣いていた。 久しぶりに心が震える映像に出会って、この気持ちを新鮮なまま記録しておきたいと急いでnoteを開いてる。 (あくまで個人的な感想や解釈であり、曲の歌詞に対する感想ではなくあくまでMVのみに絞った感想です。) このMVが「終末SFもの」というのは間違いないけれど、そういう映像的なジャンルではなくこのMVが描いているテー

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          それが望ましい「視線」であろうとなかろうとなかろうと

          1度MVを見てからというもの心臓を掴まれたように、ほぼ毎日聴き続けているIVEの「Either way」 楽曲としての良さだけでなく頭を離れないのはこの曲が歌うテーマも大きいと思う。 端的に説明すると「他人から見るわたし」を通して「私とは何か」を鮮やかに描き出した作品である。 つまり、生きている限り人間が絶対にぶち当たるであろう普遍的なテーマ、「自分とはなんぞや」についての歌なのである。 そんなことを歌われたら、永遠にこの曲について思考し続けてしまうのがオタクの性分で

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