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Don't laugh at my romance

『人のセックスを笑うな』を観て胸の奥がぞわぞわする人は30人に一人くらいの割合で存在すると思う。きっと彼らは年上の女性と無鉄砲な恋に落ちた数年後に「なんだかんだあの恋は良かった」と振り返っていることに違いない。

一応見たことがない人向けにストーリーを紹介する。特筆すべきことは何もないが、19歳の美大生が年上の講師を好きになってしまい関係を結んだ後に彼女が既婚者だとわかって途方に暮れる、本当にただそれだけの話だ。

あの、どうにもならないけれど本気でいればどうにかなるんじゃないかという青年特有の無鉄砲さをのらりくらりと交わす永作博美の「いい女らしさ」が良い。そして僕も十九、二十歳あたりはあんな青年だったなぁという感慨に浸ったのだけれど、ああいう向こう見ずな恋愛で傷ついたことがない人はこの映画をどう楽しむのだろうね(きっとそんな人はいないのかもしれないが)。

ただこの映画は別に特別面白いわけでもないし感情を揺さぶるわけでもないけれどなんだか懐かしい気持ちにさせてくれる邦画らしい邦画だから一年に一回日曜日の昼下がりなんかに見たくなるんだよな。

ともかくそのたびに僕は田舎の美大講師になりたいと思わずにいられない。それも邦画のいいところだ。

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井出崎・イン・ザ・スープ
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