見出し画像

開花

あの日からずっと待ち望んでいた
あなたの心の真ん中が
いつかひらいていくように
微かな音さえ見落とさぬように
祈るように耳を澄ませていた

とじてはひらきまたとじて
ある時は瑞々しく
またある時は強い香を放ち
蝶が羽を動かすように
ゆっくりととじてゆく夜などは
息を潜めたものであった

あなたの心の真ん中に
あたたかな光が届きますように
光と水に満たされて
いつかあなたが落としていった
硝子のように透明な
花びらを揺らすあの花が
再び咲き乱れますように

ひらいていてもとじていても
どちらもうつくしいけれど
あなたの心に透き通った
あの花がひとつ咲くたびに
ひどくしあわせな気持ちになる


ぱりぱりと
たしかにひらく音が聞こえる



いいなと思ったら応援しよう!