燦々
雨が降っている
フロントガラスの向こうにひとつ
桜が咲いているのが見えた
規則的に揺れるワイパー
誰もいない道
軽やかに踊るあなたの背中が
何故か滲んで見えなくなった
燦々と降り注ぐもの
あたたかいもの
声を上げて泣いたのは
いつ頃だったろう
もう忘れてしまった
ずっと思い出せなかった
ただ素直に
何をも遮らずに
涙を流せたのは
いつ頃だったろう
わからない
わからないまま
視界は揺れる
どうしてこんなに
心が揺れる
広がってゆく
燦々と降り注ぐ
花の匂いとピアノの音
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