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もしかして君は
屋台で居合わせた泥酔した客が
突然目を見開いて指差しながら
わたしに言い放った。
もしかして君は、、
な、何、何なの?
ぐぉー。
ちょっと。ねぇオジサン。
寝てる場合じゃありませんよ。
もしかして君は、何?
気になって眠れないじゃないの。
あ、わたし焼酎頼んでません。はい。
ぐぉー。
泥酔した客を見つめながらわたしは考えた。
もしかして君は、あの時の。
いや、ないない。そんな出会い一度もない。
知らない人だし。
この人のネクタイの柄独特だな。
もしかして君は、焼きラーメンを頼んだのか!
違います。わたしが頼んだのはもつ煮込みです。
この人焼きラーメン嫌いなのかな。
メジャーじゃないしね。美味しいけどね。
いやそんなこと言われても、ねぇ。
ちょっと待て。なんで焼きラーメン出てきた?
あぁ、隣のお姉さんが食べてるからか。
もしかして君は、長澤、、。
自分で自分の首を絞めるのはやめよう。
初対面の人にまじまじと見つめられて
長澤まさみを100回殴った顔みたいだ、とは
言われたことはありますけども。
(失礼だぞ)
もしかして君は、、もしかして君は、、
結局何を言いたかったのだろう。
この記憶ってほんとう?
夢だったかな。やけにリアルな夢。いやいや。
台所の隅で何故か笑いが込み上げてくる。
何なん。何やったん。あれは。
そういえば桜が咲いてたっけ。
こんなん書いてたら見ず知らずのオジサンに
あの時の酔っ払いです!なんて言われても困るしな。SNSって良くも悪くもそういう世界だから。
十数年前のことなんてもう憶えてないか。
そもそもオジサン泥酔してたし。
こういうのって脈略もなく突然思い出すんだよな。でも記憶なんていいかげんだからなぁ。
ネクタイの柄は憶えてるけど。
もしかして君は、、
答えが分かりようもない問いは
自分に都合の良いように解釈するに限る。
もしかして君は。