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生きられる
何が変わったのだろうか。
炬燵に潜り込みながら考えている。
もう生きられない耐えられない。
生きてるけれど死んでいる。
どちらにしても同じことだ。
死ぬとは一体何だろう。
完璧な笑みを忘れるな。
常に自分に言い聞かせていた。
死んだ魚の目をしている。
あなたはいつか煙のように
忽然と消えてしまいそうだ。
そう言われたことがある。
何が変わったのだろうか。
こんなことを呟くなんて。
箱にしまったはずの言葉を
また取り出しては眺めている。
まったく
正気の沙汰とは思えない。
わたしがわたしに呆れている。
生きられる。
あなたと出会った瞬間に
そう思った。
思ってしまったのだから仕方がない。
どうか許してほしい。
このひとは
わたしの言葉を
踏みにじったりはしない。
馬鹿にしたりなかったことにしたり
冷ややかな目で見つめたりもしない。
そう思った。
思ってしまったのだから仕方がない。
どうか許してほしい。
知らないまま出会わないまま
生きていくこともできただろう。
何かまた別の形で花占いのように
生きることと生きられないことを
交互に繰り返しながら
しぶといわたしは生き長らえていただろう。
きっと世界はそういうものだ。
どちらでもよかった。
たまたま出会った。ただそれだけ。
生きられないと思う日が
いつかまた訪れるのかもしれない。
それでもあの時
あなたはたしかに
わたしの背中についている
小さなスイッチを押した。
生きられる。