少女地獄*カットアップノベル

こちらの曲中に出てくるカットアップノベルをまとめたものです。
著:ユリイ・カノン

正しい生き方の一つも説けないまま、
無様にこの街を呪っているだけだ。
くだらない同情を求めているだけだ。

もうどうしようもないんだ。

どうしたって変わらない過去を恨んで、
どうしたって成れない誰かの人生を羨んでいる

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人の命の重さは常に変わる。
月曜日。先週末に体調不良で欠席したまま土日を迎えて、四日振りの登校だった。久しぶり......というほどではないのだが、そう思うほどに毎日の学校生活が身体中に染み込んでいるのだと感じた。何もかもいつもと変わらない、それが一生続くと錯覚してしまうくらいに繰り返す日常にまた戻ったと思っていた。。でも今日という日は違った。
この学校の生徒の一人が亡くなった。みんなが悲しそうな顔をしていた。いつもはふざけたことしか言わないクラスメイトもさすがに茶化すこともしない。それはそうだろう。それが毎日ニュース番組やネットの記事で見るようなどこかの誰かのありふれた死だったなら、ほとんどの人は感情に浸ることもない。むしろ自分や身近な人じゃなくて良かった、なんて安堵している。いや、今もそうだろうけれど。それでも人の死というものに直面した体験がない人の方が多い高校生にとって、ましてや同じ年代の同じ学校に通う、ついこの前まで同じように授業を受けていた近しい存在の死は重いのだろう。
全校集会が開かれ、校長先生によるどこかで聞いたことのあるような"命の大切さ"を長々と聞かされていた。そんなことよりみんなが知りたかったのは、死んだその子の死因だとか理由だとかそういうことだったと思う。
次第にその件への哀惜や動揺が薄れていき、案の定学校では様々な憶測や噂が飛び交った。他殺、自殺、事故......私はその子のことを何も知らなかったからそういう推測も正直興味がなかった。
冷たい言い方だが、その時の僕にとってはさほど"重たい死"ではなかった。

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ああでもないこうでもない
何が足りないのかもわからないんだ。

どうしてここにいるんだろう。
られない傷口を撫でてはその痛みに悶えている。
然とした焦燥感がじりじりと心の縁から染み込んでくる。

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朝の日差しの眩しさと眠気に目を細め、また閉じようとするが時計の針が示す時間が一気に眠気を吹き飛ばした。目覚ましが鳴っていたのも気付かなかったらしい。憂鬱さがまとわりついた体を動かし洗面台に向かう。
鏡に映った自分の腫れたまぶたを見て、昨日、眠るまで泣き続けていたことを思い出し、それからまた自然に涙が溢れてきた。
二週間前、友達が亡くなった。私にとっては唯一無二の親友だった。
この世の終わりだと思った。いっそ自分も死のうかとも考えた。でもその前に確かめたいことがあった。
死体が発見された現場の状況から自殺の可能性が高いと警察は言っていた。彼女の母も私も、彼女が自殺するような子じゃないと考えていた。
もしも、彼女が誰かに殺されたのだとしたら、私は犯人を殺してしまいたいと思っている。そして私も死ぬ。
やり場のない悲しみに紛れて、冷静さを欠いた考えだとはわかってる。でもそれが残された私の役目だと思ったのだ。
もしも、その醜い感情がなければ私はとっくに命を絶っていただろう。彼女のいない世界で、彼女を忘れて生き続けることなんて私には到底できない。
あれから一週間。生きじごくなだけの日々は今日で終わりにする。
冷たい水で顔を何度も覆う。涙を拭って、赤らんだまぶたがひりひりと痛む。
静かに呼吸をする。
今日ははやめに学校に行こう。
リビングにいくと母親がわたしを気遣うように声をかけてきた。適当な返事をしながら朝食の置かれたテーブルのいつも自分が座る席に向かう。
テーブルの上に置かれた封筒が目に入って、すぐに手に取った。私宛で、差出人の名前はなかった。
酷く動揺した。手が震え心臓が早鐘のように打つ。
封筒には住所と宛名だけが書かれていたが、その字は見慣れた彼女の書いた字だと一瞬でわかった。
すぐに封を切って便箋を取り出す。

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命の重さは常に変わる。
月曜日。先週末に体調不良で欠席したまま土日を迎えて、四日振りの登校だった。久しぶり......というほどではないのだが、そう思うほどに毎日の学校生活が身体中に染み込んでいるのだと感じた。何もかもいつもと変わらない、それが一生続くと錯覚してしまうくらいに繰り返す日常にまた戻ったと思っていた。。でも今日という日は違った。
この学校の生徒の一人が亡くなった。みんなが悲しそうな顔をしていた。いつもはふざけたことしか言わないクラスメイトもさすがに茶化すこともしない。それはそうだろう。それが毎日ニュース番組やネットの記事で見るようなどこかの誰かのありふれた死だったなら、ほとんどの人は感情に浸ることもない。むしろ自分や身近な人じゃなくて良かった、なんて安堵している。いや、今もそうだろうけれど。それでも人の死というものに直面した体験がない人の方が多い高校生にとって、ましてや同じ年代の同じ学校に通う、ついこの前まで同じように授業を受けていた近しい存在の死は重いのだろう。
全校集会が開かれ、校長先生によるどこかで聞いたことのあるような"命の大切さ"を長々と聞かされていた。そんなことよりみんなが知りたかったのは、死んだその子の死因だとか理由だとかそういうことだったと思う。
次第にその件への哀惜や動揺が薄れていき、案の定学校では様々な憶測や噂が飛び交った。他殺、自殺、事故......私はその子のことを何も知らなかったからそういう推測も正直興味がなかった。
冷たい言い方だが、その時の僕にとってはさほど"重たい死"ではなかった。

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