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(令和三年・2021/04/01〜04/10)📚📚📚「宮崎正弘の国際情勢解題」 💕🐧

宮崎正弘さんのメルマガを note に転載を初めてから、途中抜けたりした事もありましたが、なんだかんだとまだ続いており、1年近く経ちました。最初はメールの着信履歴に埋もれてワケがわからなくなったり、うっかり削除してしまい消えてしまう事がないようにと、保存用にこちらに転載していました。でも、途中でなんだか面倒臭くなって、もうやめちゃおうかな…と思った事もありましたが、こちらを見て、スキ❤️を付けてくれる方がいると不思議と続くもんで、面白いですよね。でもこれって、人間だけではなくて、鳥(🐧)でも犬でも猫でも…どんな動物でも、褒められるとヤル気が出るのかもしれませんね〜。。。_φ(・_・

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月10日(土曜日)   通巻第6856号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「インド太平洋地域における米国の戦略に必須。台湾との協力関係を強化する」
  米上院外交委員会、「2021年の戦略的競争法」を審議へ
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 米上院外交委員会は中国の影響力拡大に対抗するため、人権の促進や同盟国の国家安全保障への支援を基軸とする法案を準備し、4月14日に審議に附される。

 この法案は「2021年の戦略的競争法」。一連の外交的、戦略的対策の権限を付与する内容である。とくに中国との経済的競争ばかりか、ウイグル族などイスラム系少数民族に対して、或いは香港の民主活動家への弾圧、南シナ海における軍事的な行動の脅威などを含む広範な内容となっている。

「インド太平洋地域における米国の政治的目的を達成するために必要な軍事的投資を優先する」ことを併せて主張しており、米議会の法案は連邦予算に直結する。
2022─26年の会計年度に、同地域に軍事援助として計6億5500万ドル、インド太平洋海上安全保障構想と関連プログラムに計4億5000万ドルを拠出するとしている。

 とくに台湾問題である。
 「インド太平洋地域における米国の戦略に必須」なために台湾との協力関係を強化する必要があるとし、規制を撤廃して米国が台湾と交流できるようにすべきとしていることも注目すべきだろう。

 中国の軍事設備を置く国(ジブチ、パキスタン、スリランカ等)に対する支援を制限すし、中国の「一帯一路」は「中国の安全保障を推進し軍事アクセスを拡大するもの」と決めつけているポイントも画期的である。
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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@    【知道中国 2221回】         
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港103)

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『柳文指要』に前後して中国系書店で買い込んだ繁体字、縦組みで巻頭に「毛主席語録」が掲げられていない歴史書を上げてみる。もちろん全て上海人民出版社の出版ではない。

『漢書』(1970年版、全12冊、香港中華書局、1971年)
『後漢書』(1971年版、全12冊、中華書局香港分局、1971年)
『資治通鑑』(全4冊、総9800頁余、中華書局香港分局、1971年)
『周書』(全3冊、北京・中華書局、1971年11月)
『南齊書』(全3冊、北京・中華書局、1972年1月) 
『陳書』(全2冊、北京・中華書局、1972年3月)  
『史記』(全10冊、北京・中華書局、1972年5月)
『北齊書』(全2冊、北京・中華書局、1972年11月)
『三國志』(全5冊、北京・中華書局、1973年1月) 
『梁書』(全3冊、北京・中華書局、1973年5月) 
『明史』(全28冊、北京・中華書局、1974年4月)
『魏書』(全8冊、北京・中華書局、1974年6月)
『新五代史』(全3冊、北京・中華書局、1974年12月) 

 留学中に、『史記』から『明史』までの中国の正史とされる二十四史の全てが出版されていたかどうか。当時、中国系書店を覗いて新刊書を目にしたら、養豚方法であろうが乾布摩擦健康法の類であろうが、およそ中国で出版された本は手当たり次第に買い込むことにしていた。
だから、二十四史のうち上記以外も売り出されていたが、買いそびれたのかもしれない。あるいは買うことに飽きてしまったのか。はたまた軍資金が底を尽いてしまったのか。半世紀が過ぎた今となっては、記憶は定かではない。

 この手の難しそうな文字がビッシリと並んだうえに目方が重い本は、その重さを感じるだけで難しい内容の全てが頭の中に納まったような「満足感」に包まれるから不思議だ。
『全上古三代秦漢六朝文』『佩文韻府』『魯迅全集』『斉如山全集』などは、その一例。もちろん、極く僅かな例外はあるが、大部分は長期積読状態のままに長い時間が過ぎてしまった。

 さて肝心の二十四史のうちの手許に「死蔵」していたものを半世紀ぶりに開いてみて、不思議なことに気づかされた。
すべて巻頭に「出版説明」が置かれている。『漢書』『後漢書』『史記』『三國志』の巻頭には、それぞれが依拠した版本に関する必要最小限の書誌的説明はあるものの、「毛沢東史観」とでも呼ぶに相応しい仰々しい政治的・思想的な教訓・評価の類は一切見られない。

 だが他はそうではない。「毛主席語録」は掲げられてはいないものの、毛沢東の言葉をゴチックで目立たせ、「毛主席の偉大な教導」と讃え巧みに引用しながら、古代の反動封建支配階級のために記された歴史書を批判的に学ぶことによって、「今日のプロレタリア階級の政治的任務となり得る」と説いているのだ。

 たとえば531年から楊堅が隋を起こす581年までの48年間の歴史を綴った『周書』の「出版説明」を見ると、「封建歴史家は反動的な英雄史観を大いに讃え、人民の歴史上の働きを抹殺し、人民の闘志を摩滅させ、地主階級の統治を守ろうと画策する」。
だから「毛主席の『人民こそが世界の歴史を創造する原動力である』との偉大なる教えを断固として順守し、ひっくり返された歴史を再びひっくり返し、歴史本来の姿を取り戻す」。そうすることが「現在のプロレタリア階級の政治に尽くすことだ」と記されている。

『周書』の出版が準備されていた時期は「天才論」をめぐる暗闘が激化していただろうから、二十四史の出版にも政治的メッセージが込められていたということか。
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   ■加瀬英明のコラム  ■加瀬英明のコラム  ■加瀬英明のコラム
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コロナ禍がもたらした「国家の復権」
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 アメリカでバイデン新政権が発足してから、3ヶ月になろうとしている。
 私はアメリカを専門としていることから、バイデン新政権の対日、対中 政策がどうなるか、意見を求められる。バイデン政権が中国に躙(にじ)り寄って、日本を袖(そで)にするのでは ないか、不安でいっぱいだ。
 日本国憲法は前文で謳っているように、自国の運命を諸 外国の善意に 委 ねると定めている、世界に類例がない「無抵抗憲法」だ。
 といって、まさか日本国民は中国や北朝鮮に、運命を託しようとしてい まい。かたわら、アメリカに日本の安全を丸投げしている。
 それなのに、多くの善良な日本の男女が、この憲法を“平和憲法”と呼ん で、世界の手本となるべき理想的な憲法だとみなしている。
 だが、もしアメリカが同盟諸国を守る気力を衰えさせて、日本を見捨て たら、護憲派の諸兄姉はどうするのだろうか。
 アメリカが日本と同じ“理想平和主義”を採ったら、護憲派の国民は欣喜 雀躍するのだろうか。
 なぜか、日本ではあまり知られていないが、「キャンセル・カル チャー」という言葉が、バイデン政権を支えるアメリカのリベラル・進歩 派の人々を動かすス ローガンとなっている。「キャンセル」は日本語に 訳せば「抹消、帳消し」だが、こ れまでアメリカが誇ってきた歴史を罪 深いものと断定して、消去しようとするものだ。
 初代大統領のジョージ・ワシントン、独立宣言起草者の3代目大統領の トマス・ジェファソンが荘園を経営して多くの奴隷主だった、コロンブス は新大陸の侵略者だったリンカーン大統領が人種差別主義者だといって各地で銅像が撤去されている。
 日本もアメリカの占領下で、誇りある歴史を奪われて、自虐を嘖(さい な)むようになった。アメリカが日本に似るようになっている。
 コロナの大感染を境にして、世界がどのように変わったのだろうか。
 アメリカで4年前にトランプ政権が出現したのは、私が無国籍企業と呼 ぶ多国籍企業が、無国籍な世界がつくったのに対して、アメリカのナショ ナリズムが反撃したものだった。
 グローバリズムが無国籍な金(かね)をもたらし、人々が甘い蜜に群がった。ナショナリズムによる束縛を嫌い、奔放な生活を求めるリベラルな 人々がバイデン 政権をもたらした。
 ところが、コロナ・パンデミックは世界を支配していた、グローバリズ ムという幻想を粉砕してナショナリズムが蘇えった。
 自国しか信じられない情況がもたらされた。
私は「コロナ・ナショナリズ ム」と呼んでいる。コロナによって、国家しか頼れないという現実が生まれている。
国家の復権だ。
 日本もコロナとの戦いに国民が団結して、全力を傾けることを強いられ ている。
 コロナとの戦いは時間との競争を強いられている。そのわきでコロナよりも恐ろしい、中国と北朝鮮の脅威が刻々と増しているのに、目を背けて よいのだろ うか。
 中国が尖閣諸島を奪おうとしている。北朝鮮が核ミサイルの性能を高め て、爪を磨いている。中国、北朝鮮が日本を攻撃すれば、コロナ・ウィル スより、はるかに悲惨な大災害に見舞われる。
 憲法改正して、国防力を強化することが、集団免疫力を高める。生残るために憲法改正を急ごう。
              (かせ・ひであき氏は外交評論家)  

読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 日立が米グローバルロジックを1兆円で買収という話には驚きましたが、鉄道事業にも力を入れる日立はワシントンの地下鉄車両の受注に成功。256両+オプションで最大800両という大型案件です。
 ワシントンの地下鉄はすでに川崎重工が700両以上納入しており、日立がオプション分も受注すれば川重・日立の2社で分け合うことになる。
もともと日立が買収したイタリアのブレダ社が1970~80年代に製造した300両以上の車両の置き換えなので順当といえるのかもしれませんが、鉄道記事に詳しい東洋経済オンラインによると国防権限法による中国製車両排除も後押しだったという。
https://toyokeizai.net/articles/-/420715

 日立の鉄道事業は2017年度に海外比率が80%を超えるなど順調な伸び。英国工場は組立工場ですがイタリア工場は1からの製造工場。不良品と納期遅延で買い手もつかなかったアンサルドブレダを買収して立て直した事例も紹介している。
製造ラインには新型溶接装置を導入し、社員食堂もリニューアル、ピザ窯まである充実ぶり。
https://toyokeizai.net/articles/-/299554

 製造業の福利厚生の一環ですが、ドイツのフォルクスワーゲンの工場ではソーセージの製造設備まであるという。従業員の心をつかむにはまずは胃袋からなのでしょう。
 食にうるさい中国人は大学や工場の食堂、高速鉄道の車内販売にいつも文句を言っている。2012年と少し古いですが、社員食堂に超大型の調理場を設置し自炊OKにしたら離職率がダウンという記事。
http://gahalog.2chblog.jp/archives/52114755.html
https://www.narinari.com/Nd/20120718478.html
 制服姿の従業員はサンダル履き、中華鍋を振るう姿に笑えますが、昔の支那兵は鍋を背負って行軍していたという話を思い出しました。
中国人のたくましさを感じさせますね。
   (PB生、千葉)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月9日(金曜日)    通巻第6855号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~中国海軍空母「山東」、年内に公海で試験航海か
  過去の試験航海は渤海湾内と近海だった
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 中国海軍の国産空母「山東」が年内に公海上での訓練を行うとCCTVがヴィデオを公開した。「八一電視」(軍のテレビ)が録画したものの再録だが、仔細にみると艦載機は五機である。

 これまで山東は八回、試験公開をしているが、いずれも渤海湾内だった。五日間ほどの試験航海を終えると、そそくさと大連の海軍基地に戻っており、長期の航海は無理と西側軍事筋は見積もってきた。

 ところが、2029年 11月15日に9回目の試験航海に出し、翌々日に台湾海峡を通過して南シナ海へ向かったのだ。しかも6隻の艦が護衛し、艦載機はJ15(殲15,ジェット戦闘機)が7機だった。

そのまま海南島の三亜に到着した。三亜はリゾート地、中国のハワイという表の顔と、裏の顔は中国海軍最大の潜水艦基地である。
2019年12月17日、海南島の三亜海軍基地で習近平(このときの肩書きは中軍委主席)が出席し、記念行事が執り行われた。

 中国発の国産空母「山東」は全長315メートル、7万トン、速力31ノット、艦載機可能上限は36機、蒸気タービン型(いずれも推定)。ちなみに米海軍最新鋭の空母「ジェラルド・フォード」は全長337メートル、10万トン、30ノット。常時艦載機は70機で原子力駆動である。

     ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    

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(読者の声1) 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数で日本は男女差別がひどいという論調にPRESIDENT Online の反論記事。
「国連開発計画「人間開発報告書」の2020年版における「ジェンダー不平等指数」では24位(162カ国中)となっており、女性差別社会とは言えない結果になっている」
https://president.jp/articles/-/44903
  「もえるあじあ」というまとめサイトを読むと日本では考えられない指摘が。『アメリカ人女性と仕事したけどあいつらハンパないからな 決算時期の書き入れ時になると薬飲んで生理止めて遅くまで仕事するし子ども生まれても一週間で仕事復帰するからな  ちょっと甘え過ぎだわ日本』
https://www.moeruasia.net/archives/49678986.html
 英国では日帰り出産が主流で出産から退院まで平均1日以下なので考え方がちがうのかも。
 上記サイトのコメント欄を読むと、この指数なるものがいかにいかがわしいものかがわかる。
・ジェンダーギャップの統計ではアフリカの国々が上位にいるんだけど、理由は誰でも分かるよね(笑)。
・ギャー!120位と騒ぐ前に、ナムビアやルワンダがランキング上位の点で、その有効性に疑問もてよ。
・女性が財布のひもを握る国ランキング。
1位 日本 58.1%、2位 フィリピン 56.7%、3位 ロシア 34.3%、最下位はノルウェーで1%。
 (※財布のひもランキングは2012年のテレビ番組らしいが出所不明)
 ちなみに2020年のジェンダーギャップ指数では、5位 ニカラグア、9位 ルワンダ、12位 ナミビア、13位 コスタリカ、16位 フィリピン、と貧しく平等でも上位にくる意味のないデータ。
タイやマレーシアに観光・出産ツアーまでするアラブ諸国はのきなみ日本以下。アラブではないけれどトルコは130位、イランが148位など明らかイスラム蔑視ではないのか。
 アジアでは日本よりも上位に、43位 ラオス、50位 バングラデシュ、54位 シンガポール、75位 タイ、85位 インドネシア、87位 ベトナム、89位 カンボジア、101位 ネパール、102位 スリランカ、104位 マレーシア、106位 中国、108位 韓国、112位 インド、114位 ミャンマー
https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/future2/20200327/shiryou1_2.pdf
 
 形式的な男女平等の不毛さですが、子育ては低賃金の外国人ベビーシッターに任せれば良いという先進国の思惑が透けて見える。
アメリカ映画ダイ・ハード(1988年)ではロサンゼルスの別居中の妻が自宅のベビーシッターに電話するシーンではスペイン語でした。こんな指数でも日本の移民特区推進派は英語が通じて人件費の安いフィリピン人メイドを使いたいだろうし、政府・自治体の男女共同参画を推進する部署も予算獲得に都合がいいことでしょう。
 アジア・アフリカ・中南米のランキング上位国で女性が政治・経済分野で活躍できる大きな理由の一つは中・上流階級の女性は使用人を安く使えるから。
 世界の多くの国では先日亡くなった橋田壽賀子のドラマ「おしん」の世界そのものですが、ダボス会議で綺麗事を言う政治家・財界人の本音はそんな世界こそが望ましいのでしょう。
   (PB生、千葉)

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(読者の声2)『週刊エコノミスト』4月13日号「深層真相」は、大阪では圧倒的な強さを発揮する維新も、一選挙区の定数が多い市議会(中選挙区制)で過半数を獲得することは至難であること、そこで、従来から、維新は衆院選挙(小選挙区制)の際に対抗馬を立てると示唆して、公明の協力を得てきたこと、しかし、府議会では維新は過半数を獲得済みであることから「府に権限が移れば、公明を気にする必要がなくなる」ことを指摘しています。
 先に、再度の住民投票(直接民主制)で否決された大阪府・市の(一部の事務)統合案を、議会(間接民主制)が、ごく短期間で、実質的に復活させてしまったことについて、議員の保身的意図、党利党略が、健全、妥当な結果を表した民意を疎外するという結果になっているということを述べました。
維新が、市の権限を府に吸収することに執拗であるのは、要は、上述した背景に基づく利己的意図があるのでしょう。
 これなど選挙区制度の問題性が顕現化された例ではないでしょうか?
 小選挙区制では、支持者がそれほど多数ではなくても議員数では圧倒的多数、という結果を比較的容易に実現できる。衆院議員の現行選挙制度では、死票が多くなるという弊害を軽減するために、比例代表制を併用しているのですが、必ずしも妥当な結果が出ているとは言えないのが現状ではないでしょうか?
 かつて、「政治改革」というスローガンが称揚され、中選挙区を廃止しようとした際には、中選挙区制の弊害が強調されたと思います。
しかしその「改革」によって、企図された目的が実現され、「改革」の成果が出ているかについては、大きな疑問が残るところではないでしょうか。
 「制度」には、当然ながら、長所もあれば短所もあるのであって、必要な「改革」を躊躇するべきではないことは当然としても、その実施に当たっては、それに要するコストと実際的に予測される結果を、慎重に予測、精査、熟考することが不可欠であるという当たり前のことを、改めて考えさせられるところです。
(椿本祐弘)

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(読者の声3)次の「公開講座」は西村幸祐氏の講演です。
三島由紀夫研究会の4月公開講座は憂国忌発起人でもある評論家の西村幸祐氏が講演されますのでご期待下さい。

日時   4月26日(月) 18時より
会場   アルカディア市ヶ谷(私学会館)JR/地下鉄「市ヶ谷」下車2分
講師   西村幸祐(評論家、作家、憂国忌発起人)
演題   「死後半世紀、益々存在感を強める三島由紀夫」
参加費  一般2千円 (会員・学生は1千円)
講師略歴 昭和27年生れ。東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科中退。戦略情報     研究所客員研究員。アジア自由民主連帯協議会副会長。関東学院大学国際文化学部非常勤講師、岐阜女子大学南アジア研究センター客員教授。
   (三島由紀夫研究会事務局)

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(読者の声4)下記の要領講演会を開催します。国際歴史論戦研究所(iRICH)所長として御活躍の山下英次大阪市立大学名誉教授、西洋政治思想史が専門で政策研究フォーラム理事も務める清滝仁志駒澤大学法学部教授の講演は、ここでしか聞けない話ですので、研究者以外の方もぜひ御気軽に御参加下さい。
「日本国史学会 第77回連続講演会」
https://www.facebook.com/events/3864307090292842

【日時】 令和3年4月10日(土)14:00~16:45(開場13時30分)
【講師】 山下 英次(大阪市立大学名誉教授)
「戦前日本の海外統治はヨーロッパの植民地とは全くの別物」
    清滝 仁志(駒澤大学法学部教授)「日本政治史の中の民社党」
        基調講演後、質疑応答
【会場】 日本経済大学 東京渋谷キャンパス 10号館(大学院棟)246ホール
    (JR渋谷駅南改札西口から徒歩3分)https://shibuya.jue.ac.jp/access_tokyo/
【資料代】 学会員2,000円 / 非学会員3,000円(大学生・大学院生は一律500 円、当日入会可能)
【主催】 日本国史学会 http://kokushigaku.com/
※ コロナ対策のため、参加者におかれましてはマスク着用のうえ、体調確認と個人情報提供に御協力お願いします。
(日本国史学会事務局)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月8日(木曜日)    通巻第6854号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~台湾の風向きが変わった。予備役も動員し実弾演習
  軍の近代化を加速化し、兵器体系もコンピュータ戦争に適応
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 度重なる領海侵犯、領空侵犯。中国は「台湾は中国の一部」と傲慢な主張を変えず、習近平は武力による台湾併合を否定していない。軍に対しては「いつでも戦争の出来る準備を」と発破をかけている。

 中国軍は人民解放軍から30万人を縮小したなどと発張しているが、人民武装警察は80万人以上。また退役軍人を海警に投入している。このように巧妙な改編を偽装しているが、事実上、軍人の数は増えているとみてよい。後者の海警の「漁船」は「避難」を名目にフィリピン領海にすでに一ヶ月も居座り続けている。

 中国は国際仲裁裁判所の「中国の領海の主張には根拠がない」と結審したが、「あれは紙くず」と言い放ち侵略の刃を研いでいる。尖閣諸島近海への度重なる領海侵犯、日本の防衛識別圏への領空侵犯を続行しながら、同時に「日中友好」を説いて薄笑いを浮かべる。  
日本のメディアの中国批判には裏側から手を回して、政治宣伝戦争でも優勢である。

 こうした情勢の緊迫化に対応し、台湾の風向きが変わっている。
 台湾ではトランプ前政権の強い支援姿勢と、香港の民主主義が殺されたことを目撃し、世論は中国に対して甘い見解を捨てた。劇的に風向きが変わり、国民党ですら「一国二制度」を発言しなくなった。
 そして国防予算強化、「軍システムの近代化」「その加速化」を鮮明に主唱し始めた。

 台湾軍の実弾演習には予備役から8000名を導入した。またコンピュータ戦争という未来図を予測したウォーゲームも、軍の中で、本格的なドリルが始まった。ハッカー部隊が台湾軍の指揮系統を破壊しかねない情勢にあるため、今後も対応を急ぐことになる。

 台湾が緊張度を深めたのは、習近平が終身皇帝を狙い、しかも「第二の毛沢東」を自認し始めるという誇大妄想に取り憑かれたからである。北京から見れば、習の権力基盤は軍を掌握できたことで固まったと見ており、共青団と旧江沢民派を追い込んだ。香港の植民地化に成功した。これらは習近平にとっては「手柄」なのである。

 こうなると習の妄想はさらに拡大し、功績を残すための最後の仕上げを台湾併合において、歴史に名を留めたいという野心に変貌する。
 台湾軍は、上層部が外省人であるがゆえに中華思想の性格を知っている。したがって台湾軍首脳は習近兵の野心を正確に分析することが出来るからだ。

 日本の防衛力増強は国際情勢からみても必然だろうが、永田町の議論は依然として幼稚園レベルに留まっている。

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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2220回】               
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港102)

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 『柳文指要』(「第1版」)は、毛沢東との権力闘争に敗れた林彪がソ連逃亡を図り、モンゴルで墜落死したとされる1971年9月に出版されている。偶然だとは思うが、なんとも不思議な巡り合わせだ。

 全面戦争一歩手前まで進んだとされる中ソ国境武力衝突(「ダマンスキー島事件」=「珍宝島事件」)の発生が1969年3月で、翌4月に開かれた第9回共産党全国大会を毛沢東は「勝利の大会」と「自画自賛」した。
この大会で林彪は毛沢東の後継者として正式に認知されている。その後に伝えられたところを総合すれば、この大会前後から、毛沢東と林彪の間で、共産党最高権力をめぐる暗闘が始まったと見て間違いないだろう。

 ここで付言するなら、ニクソンが1969年1月に米大統領に就任したことから、キッシンジャーを軸にニクソン政権による米中接近工作が動き出した。

 一般に林彪は米中接近に否定的だったとされるだけに、『柳文指要』は共産党政権最上層で権力と外交方針をめぐる暗闘が激化している過程で準備され、出版されたと考えて強ち間違いはないだろう。

 以下、当時の状況を敢えて深読みしてみた。
 1969年4月に毛沢東後継に公式に選ばれてから1年4か月が過ぎた1970年8月(あたかもそれは、林彪のモンゴルで“謎の死”の1年ほど前だ)、毛沢東と林彪の間で「天才論」を巡って対立が表面化している。

 1970年8月の共産党第9期2中全会と呼ばれる重要会議の席上、林彪は文革を発動した1966年半ばに発表した「20世紀の天才はレーニンと毛沢東」「毛主席のような天才は全世界で数百年に1人、中国では数千年に1人しか現れない」と「天才論」を蒸し返し、毛沢東を徹底してヨイショした。加えて林彪の取り巻き連中は、毛沢東が主唱した国家主席廃止論に反対を表明した。「早く国家主席ポストを林彪に譲れ!」と言うのだろう。

 このような動きに激怒した毛沢東は、「重要なのは天才ではなく社会的実践であり、人間の知識や才能は後天的なものだ」と強調したと伝えられる。これ以降、毛沢東(派)と林彪(派)の間の暗闘が激化し、やがて1971年9月のモンゴルにおける林彪の「謎の墜落死」へと繋がっていくわけだ。

  『柳文指要』は「出版説明」で、「章士?による柳宗元研究は、弁証唯物主義と歴史唯物主義の視点に立てば必ずしも十分とは言えず、欠陥も見られる。
だが、我が国古代の優れた文化遺産を批判的に吸収する観点からは一定の価値がある」としたうえで、章士?が柳宗元の「民を以て主と為す」という思想の正しさを力説する一方で、韓愈の「民を以て仇と為す」という誤りを論駁する点を高く評価する。

 じつは「出版説明」は文末を「中華書局一九七一年四月」の日付で結んでいる。
「民を以て主と為す」と「民を以て仇と為す」の間に天才論を巡る毛沢東対林彪の対立を置いた場合、「民を以て主と為す」は毛沢東の考えに近いような気もする。かくして『柳文指要』は天才論批判を狙って出版されたと考えたいのだが、これは妄想だろうか。

 「槍杆子(てっぽう)から政権が生まれる」は毛沢東の暴力革命理論としてあまりにも有名だが、じつは彼は「槍杆子」と同じように、いや、時にそれ以上に「筆杆子(ペン)」、つまりメディアによるイメージ戦略を巧妙に使った。

 文革当時の中国におけるメディア戦略の大きな柱は、やはり筆杆子だったのだ。
であればこそ出版には最高度の政治的判断が反映されていたに違いない。だから毛沢東の意向を無視して、出版メディアの牙城である中華書局で『柳文指要』の出版が許可されるはずがない。
『柳文指要』は、当時の政治状況を雄弁に物語っていたように思えるのだが。

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(読者の声1) 文科省の教科書検定基準の反日化は、日本の子供がチベット、ウィグル、内モンゴルの扱いになってきたということでしょうか。
 SSA樣のご心配に同感です。教科書の万国共通の基準は愛国主義です。ここにおいて自由社を除き失格です。日本はすでに独立したので基準を愛国主義に正さなければなりません。
 またプロパガンダが発達しているので、生徒達に正しい知識とだまされないように対応を教えなければなりません。
歴史については、大東亜戦争については「黒幕はスターリンだった」と支那事変と中共については「中共の正体」をハート出版から刊行しましたが、さらに多くの方が日本人の立場から見た民族の正しい歴史観を広報していただくことを期待しています。
  (落合道夫)

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(読者の声2)人民の支持・選挙に依らない独裁政権ほど、人民の支持を必要とする、という不思議な政治力学の矛盾した構造がある。
それは反社会的組織が、大きな災害に対し政府がオタオタしている間に、おむすびを飢えた被害者に配り人気を得る仕組みに似ている。現在の支那、正確にはCCP(支那共産党が支配している地域、反社暴力団)は、おむすびを過去数十年にわたり配りすぎて限界にきたので、他の手段で人民の支持を得なければ、という新しい時代に入った。
 全世界が「みんなで渡れば」いくらでも借金しても大丈夫、と世界同時破産・貨幣の崩壊の寸前に来ており、しかも武漢菌の蔓延による衰退、トランプから痴呆症バイデンへ、売国奴に占領された親中・日本政府、という、支那にとっては、国外の最高の全ての条件が整った。
 喩えでは、配るべきおむすびが切れて、尚且つ飢えた人民の怒りを回避すべく、無能・無益な政府、交番などを攻撃し、「男を揚げる」。人民も、しばらくは飢えを忘れる。しかも、戦争で勝てば、タダで膨大な資産、食料などを、かつて外国、今国内の自治区からいくらでも得ることができる。
 こんな選択の余地のない「お膳立て」では、神風でも吹かない限り、未来は既に確定してしまった、と言える。
70余年も続いた世界平和こそが異例であり、小さな山火事を人工的に防いでいると、かえって巨大な山火事を製造してしまう。
 人工的な「神風」は勿論存在し、極秘の計画もあるが、それを使用する勇敢な指導者がいない、といういつも不都合な歴史が繰り返す、らしい。
(KM生)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月7日(水曜日)弐    通巻第6853号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~中国中銀「ことしは貸し出しを増やすな。与信枠は2020年レベルに」
  不動産バブル、株式バブルの自爆を懸念
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 中国の中央銀行である「中国人民銀行」が3月22日にメジャーな銀行24行に対して、通達を出していた。
 「与信枠を増やさず、2020年のレベルに保ち、貸し出しをおさえろ」とする通達である。

 2020年のローン合計は19兆6000億元(3兆米ドル)だった。2021年はすでに最初の二ヶ月で4・7兆元を貸し出しており、前年同期比の11%増となっている。3兆ドルと一口に言うが、この額は中国の保有する「外貨準備高」に匹敵する。

 2021年の与信枠が前年同様のレベルにおさえられると、過去15年間で最低の与信枠増となり、この通達が遵守されると、熱狂に沸いてきた不動産投資、株式投資への与信枠が限定される。つまり中国経済を牽引してきた両輪が破壊されることになる。

 すでに中国では不動産ローンが支払えず、開発業者の倒産、社債デフォルト、利払い不能という悲鳴があちこちにあがっており、個人でも夥しいローン破産が報告されている。
 物件は売れても、住んでいる人がいない。投機目的で借金して購入したからである。
 或る統計では幽霊マンションは12億戸に登っており、数年前から指摘されたゴーストタウンは、その後も無数に生産されてきたことが分かる。

 大手開発業者が手元資金を手当てするために組んできたドル建て社債も、高金利(8・5%から14%)に苦しみながら、デフォルトが連続していることは小誌でも伝えてきたが、開発業者が事実上の倒産となっており、投資家やローンを組んだ人たちの抗議活動が中国全土に拡がっている。

 しかし中国経済の破綻危機が目の前にあっても、多くが事態の深刻さを軽視しているのは、欧米の株式市場に雪崩の前兆があるからだろう。
 バイアコムの株価暴落が端緒となって、同社へのポートフォリオが高かったファンドの「アルケゴス」がふらつき、クレディスイスが5200円の損出となりそう。日本の野村證券も2200億円の損出がでそうと騒いでいる。

 また米国の野放図とも言える財政出動(1・9兆ドル)によって、辛うじてウォール街の株価は高値圏を維持しているが、財政支出増大の即効的な効果が収まれば、株価の暴落も当然予測されるシナリオだろう。
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  ▲▲▲▲▲ 訃報  ▲▲▲▲▲
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  四宮正貴(しのみやまさたか)氏
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 (『万葉集』研究家。『伝統と革新』編集長。「政治文化情報」主宰者)
つい二週間ほど前でした。氏は公開日記にこう書いています。
 「某月某日 なつかしい想い出に浸った一日であった」。病院で各種検査を受け、医者から「病状が進行している」として食事の注意を受けた、と。
そのうえで「介護サービスのケアマネージャーとよく相談ください」と言われ、文京区高齢者安心相談センターへ行った由。「介護認定から始めなければならない。ついこの間両親の介護の相談に行っていたのに、もうわたし自身のことを相談しなければならない」
そのあと、ふらりと千駄木の街を散策し、「小生の母校などを廻った」となんだか、人生の終結を予兆するような記述が目立ったので、小生のような「文章心理学」に関心を持つ人間としては、大いに気にしていたばかりでした。合掌。
   ▲
 氏とは半世紀を超える知己だが、いつもメモを取る癖があり、また小生の講演会にも時折顔を出されこと十数回、かならず質問を浴びせる趣味もお持ちだった。大伴家持、柿本人麻呂を尊敬し、歌人の歌の意味を歴史、文化、伝統の文脈で浪漫に満ちた解釈をされるので、つねに啓発された。
 歴史にも通暁され、古事記、日本書紀を読みこなして天皇論はきわめて正統な立場に立脚され、新右翼を批判する一方で、三島由紀夫を高く評価していた。
「遺作」と言えるか、どうかは分からないが、小生が最後に目にした文章は吉田松陰論。過激な攘夷論とその魂魄を論じ、「松陰の辞世の精神を継承した人々によって、明治維新の大業が成就した」と結んでいる。
戦後のマスコミは保守本格派の声をまったく無視したが、彼はそんなことはお構いなく常に何事にもたじろがず、臆せず、正論を堂々と述べていた。四宮氏の所論は、ときおり、小生の著作にも引用させて貰った。
世間は井戸端会議の長老発言ていどの頑固爺ぃという印象しか持たなかったかも知れないが、分かる人には分かっていた。なぜなら四宮氏の主宰した「政治文化情報」は田久保忠衛氏など、意外なインテリが隅々まで読んでいたからである。
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(読者の声1) 貴誌前号(6852号)の書評、「日本の外務省の語学能力が劇的に劣化している現状を憂慮」について。
 外務省のみならず、日本政府、企業、組織、全ての「能力」の劣化、特に指導者の劣化が問題で、しかも劣化した組織を「改善」する仕組みも意思もない、という根本的致命的な問題を抱えている。
日本の歴史を見ると、「外圧」あるいは巨大な危機が、かろうじて解決した、という極めて「他動的」な「あなた任せ・無責任」文化が定着、恐らく江戸幕府の最大の負の遺産。
 最近 IT起業家、深田萌氏の優れた言論活動を見て感じたが、短大・美術科、派遣社員、などの不幸な経歴を見ると、日本の人材開発の欠陥、つまり文科省、教員独占の「日本の未来・国益」を無視した仕組みを変えない限り、貴重な人材が、「横に並んで、みんな1等賞」主義の悪しき「平等主義」により無駄にされている。
親類の中学生は、大学の講義を受けられるなど、米国の公立教育制度は全体的には劣っているが、人材開発に関しては極めて真剣であり、移民制度にしても、大量の低賃金労働者受け入れる反面、ロシア、支那、イスラエルなどから超優秀な移民をも輸入している。一人の天才が万人の凡人を凌駕。しかも一人の天才の教育費はかなり安い。凡人10人分ぐらいだろう。
 日本でも戦前までは、国の指導者育成を公然とし、「飛び級」などの制度があり、生徒全員を同じ低い程度の教育を強要しなかった。語学能力のみならず、すべての能力を最大限にすべきであるが、同時に指導者用の「正しい」日本文化、歴史、を教える事も重要。外交官が、無邪気にも反日的な知識・思想を持っている現状では、いくら英語が流暢でも国益に反する発言をしてしまう。
 結論は、国力を増す、日本人の知識・教育を改善。それには、まず、とりあえず、NHK, 文科省、をぶっ壊す。
(KM 生)

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(読者の声2)過日の投書「KM生様」がご紹介の番組「ニュース・女子」は何時 曜日 放送局 は どこでしょうか?
青山透子氏、深田萌絵氏は知りませんが、具体的には以降は KM生様の改善案でしょうか?
LINEに関連して、韓国の親会社経由 中共国のものであると言い募り 武装船、軍艦が始終、領海を侵し上陸する構えの事態に於いて まさに、その中共に操作依頼が行われている。
これは「刑法 八十二条 外国より武力の行使ありたるとき之に与して(中略)其他之に軍事上の利益を与えたる者」に相当すると考えますが 宮崎先生と皆様は如何に、お考えになりますか?
すでにテレビ等が無関心、気楽に受け流すよう誘導してはいますが、中共に都合のいいものにするべく使っているはず 香港は 20数年で現状てすが、日本も案外 たやすい予行演習やらせてくれて友好唱えている。ハハでしょう。
  ( SH生 北海道 )

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(読者の声3)貴誌6852号の椿本様の威信に対する意見、大賛成です。今後も意見よろしくお願いします。
 伝えよう大阪の街に! 水と空気の心と技術を…
   (前田隆司)

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(読者の声4)貴誌通巻6850号の読者の声欄に「新しい歴史教科書をつくる会は、3月31日に文科省記者会において会見を行い、今後は、1年遅れとなる採択戦に取り組むのと同時に、文科省による『不正検定』問題や中学・高校教科書の『従軍慰安婦』記述問題についてさらに各取り組みを強化してまいります。」と投稿されました。
私は通巻6851号に「コロナ禍で学校教育のオンライン授業が、急激に増えているようですが、これをいかにも奨励しているような報道をする本朝のNHK TV 番組
を見れば、これからますます我が国をどうにかしようと画策するはずの国は、日本の子供達に直接アクセスできる体制ができあがると、大喜びで手ぐすね引いて待っているに違いありません。何しろ自国の子供向けの「洗脳」教育体制と同様に、直接日本の子供たちに「彼らの主張」を教育する事が簡単にできるようになるからです。一体、菅総理もデジタル庁も文部省もこの重大な危険性に気付いているのでしょうか?」と投稿いたしました。

 どうやら本件は教科書や文科省レベルの問題では既に済まない時代にきているようです。
どなたも経験済みだと思いますが、もしAさんがXという商品に関する情報をご自分のパソコンで検索してみると、それを発端にAさんのパソコン画面にはX関係する会社の宣伝がどんどん増えてきます。つまりAさんがいかなる物事に関心があり、いかなるものを手に入れたいと考えているかを個別に判読し、それに見合った「都合の良い情報」をAさんのパソコンの画面に大量に送信する仕組みが既に一般化しているのです。
以上からわかるように、この仕組みは学校の教育場面にうってつけで、これがオンライン事業なのです。例えばある子供B君が「従軍慰安婦ってなんだ?」と検索
すれば、C国はその子供B君を瞬時に特定し、一冊の教科書レベルの話どころか、あふれんばかりの「従軍慰安婦の実在論とN国の責任論」を(教科書を通さずとも)
B君の(個別の思考状態に合わせて)パソコンに流し込めるのです。要するにC国にこの「理想的な」仕組みを提供しようというのが「オンライン教育」なのであり、日本の学校教育の現場をスルーして、直接外国の政治勢力は、日本の子供に「教育=洗脳」することが可能になるのです。C国はこの仕組みを日本が一生懸命整備していることを待ち望んでいるに違いありません。なぜなら彼らは外国に居ながら、日本の教育現場の全体をそっくり乗っ取ることができるからです。
これらの観点から、日本の子供の教育を護るための「新しい歴史教科書をつくる会」の「新しいミッション」はこれまでの文科省相手よりはるかに広範かつ重要になる事になります。どうかネット社会の実状を理解され、我が国の学校教育全体を外国勢力から護る為に最大級のご尽力を同会にはお願いしたいと思います。  
(SSA生)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月7日(水曜日)通巻第6852号  <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~バイデンは「米国のブレジネフ」(英文プラウダ)
  「冷戦時代の古い思考体系を引きづって硬直している」
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 ロシアの英字紙『プラウダ』(2021年4月5日)は「バイデン大統領は『米国のブレジネフ』とも呼ぶべきだ。冷戦時代の古い思考体系を引きづっていて頭が硬直している」と批判した。
 またこうも言った。
「メルケル独首相やマクロン仏大統領が、プーチン露大統領を『人殺し』呼ばわりしたことがあるか」

とはいえ、プーチンは法律改正を急ぎ、2036年まで大統領に居座る腹づもりであることは確実だろう。中国の習近平も、終身皇帝を既成事実化し、毛沢東と並ぶ英雄に自らをなぞらえ始めた。こうした背景からミャンマー情勢を読み解くと、露西亜がなぜ、ミャンマー国軍に梃子入れを継続拡充しているかが分かる。

プーチンが怖れるのはミャンマー民衆の抗議活動が「カラー革命」化しようとしている状況への懸念である。スーチーを監禁した国軍のクーデターは、体制の変革ではなかった。ミャンマー国軍は抗議活動を容認した。すると英文プラカードだらけの抗議デモ、集会は或る意味で不思議な体制変革を目指していることが浮き彫りとなった。(いったいあの英文プラカードと抗議活動の資金を提供しているのは誰なのか)という露西亜の邪推が深まる。

というのも「アラブの春」を嚆矢とするカラー革命は、グルジア(現ジョージア)に最初に「薔薇革命」をもたらし、つぎにウクライナに「オレンジ革命」を運んできた
アラブの春はチュニジアからエジプト、シリアに飛び火し、カダフィのリビアは内戦となって、カダフィ大佐は仆れた。カラー革命の暴走に露西亜は有力な手段を講じられず、国連の安保常任理事会でも反対票を投じなかった。

「体制変革」はクレムリンにとっては悪夢である。
 プーチンはシリアのアサド体制の維持を決め、軍事的にも介入した。そして電光石火の如く、クリミア半島を併合し、ウクライナの東側を露西亜圏に留め置くことに成功した。

この文脈から露西亜はミャンマーの国軍政権とは協力関係を深める。
3月26日、アレクサンドラ・フォミン露西亜国防副大臣は、ミャンマー国軍記念日に首都ネピドーを訪問し、軍事パレードを観戦した。
「露西亜とミャンマーは長い友好関係を誇り、建設的で戦略的パートナーであり、信頼しあえる関係にある」としてミャンマー国軍のフレイン最高司令官と堅い握手を交わした。
国軍のクーデター以後、ミャンマーは泥沼から這い上がれないままである。

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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~世界現代史の舞台裏で何が蠢いているのか、事情通ふたりの丁々発止
奇々怪々の舞台裏、国際問題に関心の向きは裏情報の宝庫かも

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佐藤優 vs 岡部伸『賢慮の世界史』(PHP新書)
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 インテリジェンス戦争に通暁するふたりの論客が世界の裏面でいま何が起きているかを、日本の外務省が議論しない情報機関の視点から物語る。
 世界現代史の舞台裏に何が動いているのか、ふたりの丁々発止に途中で止めることが出来ないで一気呵成に読んだ。
 英国の情報機関の動き、露西亜のそれ、そしてイスラエル、アメリカが絡む。日本は置いてきぼりのうえ、日本の外務省の語学能力が劇的に劣化している現状を憂慮している。外務省高官が英語を満足に喋れないとなると、某国から「コミュニケーションが成り立たない」として以後の情報交換さえ出来ない地域があるというから、日本のインテリジェンスのレベルは惨状と言って良いのではないか。
 ところが、そういう日本をイギリスはファイブアイズに加盟させようとしているのは、日英同盟の再建を狙っているからなのだろうか?
 それはともかく、以下のくだりをひとつだけ紹介しておこう。
 嘗てはエリツィン政権の輝ける星だったネムツォフは、銃撃を受けて死亡した。
 2006年にはリトビネンコ毒殺事件があった。この人物はKGBで防諜担当、FSBのテロ対策担当だった。
 岡部 「政商ベレゾフスキーの暗殺を命じられながら1998年11月、FSBの命令を内部告発して逮捕されます。(当時の上司はプーチンで、最釈放後)、家族を連れてイギリスに亡命しました。リトビネンコは亡命後、反プーチンの言論を次々と展開します」
 モスクワなどで起きた爆破テロ、とくに300人近くが犠牲となって爆破事件はチェチェンではなくプーチンの自作自演だったとか。
 その結果、「リトビネンコは2006年、ロンドンで放射性物質のボロニウム210を呑まされて殺されました。早くから露西亜のFSBの関与を疑っていたイギリス政府は、内務省管轄のMI5やMI6に調査を命じます」
 そしてイギリス諜報機関はモスクワなどの爆破はFSBとしたリトビネンコの主張をみとめ、彼の殺害はおそらくプーチンの指示によるものだと指摘しています。イギリス政府は明確にロシア政府と正面衝突するかたちでプーチンのかつての悪事を世界に向けて暴露した」(50p)

 その説は「まるで説得力がない」と断言するのが佐藤優氏だ。
 佐藤 「リトビネンコは、ロンドンで武器ビジネスに関与していました。彼は死ぬ前にイスラム教徒に改宗しましたが、おそらくチェチェン・マフィアと関係があるでしょう。(中略)陰惨なかたちで殺したのは、ほかの者への見せしめだと思います」

 ほかにも夥しい奇々怪々の舞台裏情報、国際問題に関心のある読者にとっては、裏情報の宝庫でもある。
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(読者の声1) 4月5日の朝日新聞社説では、「『否決』の重み忘れるな」として、府と市の議会で3月末に成立、4月1日から施行されている、大阪府・市の間で、一部の事務を一元化する条例の問題点を指摘しています。
 昨年11月の住民投票において、当初の予想を覆して維新案が否決された要因は、維新と公明党が政党段階で野合したことに対して、その不当性、非理念性を納得できない公明党支持者の相当数が、個々の健全な判断に基づき、党の方針、党利党略に反する独自の投票行動をとったことによることは明らかであったと思います。
 一般的には、直接民主制では、その短所として、選挙民の直情的判断により、独裁を支えてしまう結果にもなりがちだという点が挙げられるでしょうが、今回の大阪府・市の問題においては、逆に、住民投票における住民の理性的判断が、その代表たるべき議員たちによる、住民利益よりも党派利益を優先する行動を制止したという結果になっていると思われます。
その点で、直接民主制が、間接民主制による独善、独走、暴走を阻止するという、制度の長所が現れたケースと考えられます。
しかるに住民投票を二度も行い、再度の結果が出てから半年も経たない内に、大阪地方政界で主導権を握り続けたいという思惑によると思われる、維新なる政治団体の執拗な行動には、大阪市出身者として憤怒を感じます。
 このコロナ禍、財政悪化の中で、制度いじりなどにかまけている時ではないはずです。維新なる奇態な政治団体と、それに野合する公明党に支配される大阪府・市の前途には暗澹たる思いです。
   (椿本祐弘)

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(読者の声2)日曜日に散歩していてフト立ち寄ったブックオフで、宮崎さんの『日本が全主義に陥る日』(ビジネス社)が目に停まり、題名に引かれて購入しました。全体主義批判だと、思想的な政治書だとばかり思っていたら、そうではなく、これは現場報告。それもカラー写真がふんだんにあって、ロシアばかりか、嘗てのソ連衛星国、合計30ケ国をぜんぶ廻られての報告なのですね。吃驚です。
 特派員は別としても、旧ソ連のカフカス、中央アジア、バルト三国、そしてベラルーシモルドバ、ウクライナに加えて旧東欧のすべて、確かにコソボもふくめて三十ヶ国ですから、エネルギーと時間と費用をかけて、これだけ観察された成果が、この一冊に詰まっているわけで、初めて知るような情報に溢れていて大いに参考となりました。その脚力、フットワークの良さにも祝意と敬意を表したいと思います。
   (YT生、さいたま市)

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和三年(2021)4月6日(火曜日)
    通巻第6851号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ウイグル自治区の奴隷労働、強制収容所関連企業は150社
  国連が調査、しかし制裁を課したらどうなるのかも同時に考慮
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 名前が挙がったのはH&M、アディダス、NIKE、ユニクロなど。世界的なブランド製品のボイコット運動が、西側ならまだしも、中国で起きている。ようするに「我が社の製品はウイグル自治区の非人道的な強制収容所で造られてはいない」「ウイグルの事態を憂慮している」などと声明を出すと、逆に生意気だからと通販のリストから削除される。

とくにスウェーデンが本社のH&Mは、「ウイグル産の綿花を使わない」と表明したところ、ネットで批判が炎上した。加えて同社ホームページに記載された地図が「間違っている」と指摘され、対策に追われた。

ウイグル自治区の綿花は直接、間接を問わず、アパレルメーカーの多くが使用していることは事実であり、アメリカは、この濃厚な実態が判明したので、トランプ政権の時にも制裁適用を半年延期した経過がある。
またレーヨンは、ウイグル自治区のメーカーが世界で群を抜くシェアを誇る。

他方、アリババに対抗する通販ネットではH&Mの三割引をおこなって、凄まじい売り上げを記録したところもでた。
西側のアパレルメーカーのボイコットを行っているのは中国政府ではなく、あくまでのアリババなど民間の通販企業、ネット社会でのことだが、背後に中国政府の影があることは間違いはないだろう。

2020年3月に豪シンクタンク「オーストラリア戦略政策研究所」は、「少なくとも83社のサプライチェーンに組み込まれ、8万人以上のウイグル人が強制労働させられている」とする詳細な報告書を発表した。
https://www.aspi.org.au/report/uyghurs-sale

日本企業は11社(日立製作所、ジャパンディスプレイ、三菱電機、ミツミ電機、任天堂、パナソニック、ソニー、TDK、東芝、ユニクロ、シャープ)が名指しされた。

国連報告では、「ウイグル自治区の奴隷労働、強制収容所関連企業は150社以上」としている。
ブランドの名前を挙げてはいないが、該当する外国企業ならびに中国の国内企業は150社以上にのぼると報告しているのである。

とりわけ西側の北京五輪ボイコット運動に対応するため、中国はどぎつい反論を続けているが、通常の頻度より激しく「フェイスブックとツィッターを政治プロパガンダの手段に利用している」(ウォールストリートジャーナル、4月5日)。

つまりフェイスブックとツィッターの利用者のアドレスが、中国に読まれていることにならないか?
  ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    

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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2219回】                       
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港101)

      ▽
 とはいえ、それら「紙の爆弾」は香港住民に受け入れられるわけもなく、もちろん香港住民が表立って関心を示すこともなかった。
それまでの共産党に対する素朴な恐怖・嫌悪に、文革に煽られ「香港暴動」(1967年)を引き起こしてしまった親中勢力に対するマイナスイメージが重なり、大多数の香港住民の共産党に対する拒絶感情は高まっていたはずだ。

そのことはメディア、労組を含む香港に置かれた一切の親中勢力、中国政府系機関も承知していただろうから、香港における文革は限られた親中勢力の内部に止まり、一般社会に漏れ出しはしなかった。一般住民が目にできるのは、せいぜいが中国系の書店店頭や新聞紙面からだけであり、それらとの接触を断ちさえすれば、文革によって一般住民の生活が左右されるようなことなどありえなかった。

これを言い換えるなら、中国系の書店と新聞こそが香港の一般住民が文革に接触できる唯一の貴重な接点ということになる。だが、だからといって彼ら一般住民が「文革テーマパーク」「文革ワンダーランド」と化した書店に強い関心を示すはずもない。

だが『大公報』『文匯報』は別格らしく、飲茶などでも両紙に見入る客を見掛けることは珍しくはなかった。
無関心を装うが、誰もが大陸の動向を注視していたことは確かだ。やはり共産党政権の一挙手一投足が香港の運命、それは同時に1人1人の香港住民の「明日以降」を大きく左右することを、誰もが本能的に身に染みて知っていたからに違いない。だからこそ、1972年のニクソン訪中の成否に最大限の関心を払ったのである。

とはいうものの、こちらは留学生というレッキとした、正真正銘の、天下晴れての野次馬である。暇さえあれば──じつは四六時中がヒマではあるが──商務印書館、中華書局、三聯書店、南方書店など「文革テーマパーク」「文革ワンダーランド」を覗き、店頭に並べられた文革派の「紙の爆弾」を手あたり次第買い込んだ。

 『資本論』からはじまって共産主義、社会主義、唯物史観など関する西洋文献の翻訳書からはじまって、中国人の手になる歴史書、文学書、哲学書、実用書(料理、養豚、裁縫など)、はては児童書から絵本まで、およそ毛沢東に率いられた共産党の正統性、毛沢東思想の無謬性、文革の必然性(「造反有理」「革命無罪」)を訴えない印刷物はなかった。

その大部分は上海人民出版社の出版で、表紙を開けると最初のページに「毛主席語録」が掲げられ、当然のように簡体字で横組みで印刷されていた。
ところが奇妙なことが起きたのである。1972年の初頭だったと記憶するが、巻頭に「毛主席語録」はなく、簡体字ではなく繁体字、さらに縦組の書籍が店頭に置かれていたのだ。『柳文指要』(全十四冊 北京・中華書局 1971年)を初めて手にした時の新鮮な驚きは、やはり忘れ難い。

 著者の章士?(1881~1973年)は共産党政権成立に協力した無党派人士。故郷が毛沢東と同じ湖南省長沙で、毛沢東の古典文学上の師匠とも伝えられていた古典文学研究者が、唐代の文学者で思想家でもあった柳宗元(773~819年)の残した文章(『柳河東集』)を精緻に考証し、一生を賭して書き上げたという。

巻頭の「出版説明」には、章士?は「柳宗元の『民を以て主と為す』の思想を極力評価し、韓愈の『民を以て仇と為す』という誤りを論駁している」と記されている。
ここで中国人得意の「借古諷今(古を借りて今を批判する)」の政敵批判・追及の手法に則るなら、文革を巡る当時の客観状況からして、『柳文指要』が単に章士?の畢生の仕事を世に問おうとしたものでないことぐらいは想像できる。やはり政治的なウラがありそうだ。

「民」が「主」か。はたまた「仇」か──意味深な命題は、いったい何を問い掛けているのか。『柳文指要』の香港登場は、一般に毛沢東派が勝利する形で進んでいると伝えられていた文革だったが、はたして新たな事態でも発生したのか。疑問が疑問を呼ぶ。
   

読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1) 貴誌の「フェイスブックの利用者の、じつに5億3300万人の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどが漏洩していたが、インターネットで閲覧できる状態だったことが判明した。」を読み、「危ない、危ない」とFBなどには近寄らないでいた私は正解だったと思いますし、世界はますます、「不信」というヴィ─ルスが蔓延する世界に覆われそうです。
 またコロナ禍で学校教育のオンライン授業が、急激に増えているようですが、これをいかにも奨励しているような報道をする本朝のNHK TV 番組を見れば、これからますます我が国をどうにかしようと画策するはずの国は、日本の子供達に直接アクセスできる体制が「無料且つリスクなし」でできあがると、大喜びで手ぐすね引いて待っているに違いありません。
何しろ自国の子供向けの「洗脳」教育体制と同様に、直接日本の子供たちに「彼らの主張」を教育する事が簡単にできるようになるからです。これではまさにカモが葱を抱えてくるのです。一体、菅総理もデジタル庁も文部省もこの重大な危険性に気付いているのでしょうか?
 それにしてもインテリジェンスの実態を最も熟知していると自分たちは勝手に思い込んでいる外務省が、ビザの発給作業を中国人にやらせていたなどを知ると、空いた口がふさがりません。
何しろ外務省は「合いかぎを誰に作らせているのか」という考えが及ばないような人達なのですから、彼等に外交を任せてはいけないことを示しています。
まさか大使館内の重要な部署の「合鍵」も「外注」させてはいないと願っておりますものの、外務省を退官した人達も何かと論壇で「モノ知り型意見」を述べておられますが、その前に本件に対する彼等の御意見(言い訳?・実態?)をぜひ聞かせてほしいものです。
(SSA生)

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(読者の声2)貴誌前号コメントの「なにしろ暴れん坊の関羽も、中華圏のあちこちに関羽廟ができて、金儲けの神さまとして祀るのが中国人です。外国のチャイナタウンにもあります。横浜中華街にも」(引用止め)。
 反中のベトナムでもホーチミン証券取引所に関羽の絵画がありました。どの国の証券取引所にもおいてあるブルベア(牛・熊)の彫刻もありました。
 ついでに、ホーチミン証券取引所の話題ですが、現在の同証取の取引システム(韓国製らしい。HOSEの設立は2001年です。カンボジア証券取引所は韓国のシステムを設置していますが、 2016年設立です。こっちは問題なし。)が口座数急増(ベトナム人が外国人多い)と取引増で対応できなくなっています。そのため、売買が途中でストップする銘柄もでてきています。
 ホーチミン証取の対応は売買単元を100株単位から1000株単位へ変更する(売買回数を減らす)、銘柄をハノイ証取(売買システムはFPTコープ作成)へ鞍替えする等の案がでていましたが、結局、同国の大手企業のFPTコーポ(日本支店あり)が一時的なメンテ追加システムをやるということになったようです。
 ホーチミン証取が取引システムへの大量設備投資をなぜためらうのかわかりません。正直なところかなりいい加減ですから、こういうのが修正されない限り、国際的な証取とは認められないでしょう。
人材不足かもしれません。ベトナム人投資家の間では、株価が操作されている等の噂がでています。つまり、証取の信認にかかわる重要な問題なのですが、付け焼刃の対処という印象です。
  (R生、逗子)

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(読者の声3)コロナ禍で、地域センターが使用不可となり、細川庭園での吟行に参加しているのですが、過日の宮崎さんの「飛花落花」の書評は、まず句集を、と思わされました。版元さんに連絡しましたら、高田馬場から細川庭園に行く途中に「文学の森」さんにあり入手出来ほっと。
吟行もそこそこに帰宅し、拝読して身近な人を亡くす寂しさ、辛さを共有できる安堵感。私は95歳で亡くなった母ですが、

身に沁むや見えざる人に声をかけ。
 数へ日や空より落ちて来る孤独

 私も亡き母を詠みたいと思いました。

 亡き母と茶摘み懐かしたすき掛け

 俳句の門の入り口に立たずんでいた私に光が射し込む思いがしました。
    (深井貴子)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月5日(月曜日)  通巻第6850号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~情報がこれほど大規模に漏れて、SNS社会はどうなるのか?
  フェイスブックの5億3300万人の個人情報が公開されていた
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 フェイスブックの利用者の、じつに5億3300万人の氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどが漏洩していたが、インターネットで閲覧できる状態だったことが判明した。最近は同窓会名簿さえ、学校によっては作成されていないのに、この不手際はどうしたことだろう?

 フェイスブックは、「これらは2019年に漏れた古いデータだ」と被害の矮小化に努めているが、二年前のデータと変更がない利用者のほうが多いだろう。
 情報がこれほど大規模に漏れて、SNS社会はどうなるのか?

 SNS社会では情報の管理、保護、防衛の限界がはっきりと示されたことにもなり敵性国家群のハッカー部隊が、今後も暗躍を続け、身代金などを要求する恐喝犯罪は止むことはないだろう。

 企業機密にしても、とりわけ新製品開発やデータは、会社の財産ともいえる知財であり、アクセスできる範囲を絞り込むなり、あるいは一昔前にようにコンピュータには打ち込まない処置が必要だろう。
 とくに敵性国家が狙うのはハイテク開発の特許情報である。

 さきにもLINEの利用者8600万人のデータが「中国の委託先の従業員が閲覧できる状態にあった」と発表された。データは韓国の業者に保管を委託していたとか。
 あまりのも杜撰、無防備。国家安全保障の観点に立脚するなら、フェイスブックやLINEは危なくて、おちおち使えないではないか。
  ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    

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(読者の声1) 『新しい歴史教科書』(自由社)が検定合格。声明で全国の自治体・私学に採択の呼びかけ。令和元年度の「不正検定」問題、「従軍慰安婦」記述問題にも言及
 3月30日、文部科学省は、『新しい歴史教科書』(自由社)の検定合格を発表しました。これを受けて新しい歴史教科書をつくる会は、3月31日に文科省記者会において会見を行い、下記の声明を発表しました。会見には、高池勝彦会長、岡野俊昭・皿木喜久・藤岡信勝の3副会長、荒木田修理事が出席しました。
 今後は、1年遅れとなる採択戦に取り組むのと同時に、文科省による「不正検定」問題や中学・高校教科書の「従軍慰安婦」記述問題についてさらに各取り組みを強化してまいります。
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『新しい歴史教科書』検定再申請の合格報告と今後の課題
令和3年3月31日
新しい歴史教科書をつくる会

 (1)当会が推進し自由社が制作した、中学校用『新しい歴史教科書』は、令和元年度の検定で「一発不合格」となりましたが、令和2年度に再申請した結果、3月30日の検定審議会で合格が決定しました。一度死んだ『新しい歴史教科書』は不死鳥のように蘇ったのです。この度の再申請を支持していただき、多大なるご支援を賜りました皆様に心より御礼申し上げます。
再申請検定に合格した教科書は、まさに「つくる会」24年の集大成となる教科書です。今後は、文科省の新しい規則に則り、夏の採択に向けて全国採択区や自治体、私学など関係各所に見本本を送付いたします。5月末には検定合格本として市販本も販売を予定しており、さらに6月には全国の教科書展示会が開催されますので、手に取ってご覧いただければ幸いです。
『新しい歴史教科書』の理念と内容に共鳴し、採択替えをする自治体や学校が数多く現れることを願っております。
 
(2)令和元年度検定に於ける自由社の『新しい歴史教科書』の「一発不合格」について当会は昨年2月より、処分は極めて不当であると訴えてまいりました。昨年
6月以降、各社白表紙本(検定申請本)及び採択用見本本などをもとにさらに綿密な調査を行った結果、驚愕すべき事実が次々と明らかになりました。自由社で検定意見を付けられ欠陥箇所とされたのに、他社の同様の記述には検定意見を付けられずそのまま合格しているという事例が、本日までに実に31件も見つかったのです。当会ではこれを検定に於ける「ダブルスタンダード事例(ダブスタ事例)」と呼んでいますが、これほどのダブスタ事例を文科省はどう説明するのでしょうか。回答を求めていきます。
 昨年12月24日、株式会社自由社は、これらを理由に検定不合格は不当とし、文科省に対し行政不服審査請求を行いましたが、不合格処分後3か月という請求期間が過ぎているとして門前払いをされました。そこで同社は、不合格処分によって会社経営に甚大な損害を被ったとして、何らかの法的手段を取ることを検討しています。
 さらに、「文科省『不正検定』を正す会(加瀬英明会長)」では、今年5月に昨年同様に多くの国民の皆様にも参加いただき「不正検定」を正す新聞意見広告を企画しています。新しい歴史教科書をつくる会は、「不正検定」の全容解明を目指して、自由社と「正す会」の取り組みを全面的にバックアップしてまいります。
 
(3)中学校教科書「従軍慰安婦」記述復活問題は日本の将来にとって由々しきことです。ご承知のとおり、令和元年度検定において山川出版社の教科書の「従軍
慰安婦」の記述は何の検定意見もつかずに合格しました。この件については当会と慰安婦の真実国民運動(加瀬英明代表)の連名で、3度にわたり大臣に記述削除
の申し入れを行いましたが、過去2回は「ゼロ回答」となっています(3度目は3月31日を回答期限としています)。また、国政の場においても、本日までに各委員会で3人の議員が4回にわたって質問を行いましたが、萩生田文科大臣は自らの答弁をひたすら避け、また官僚も矛盾に満ちた答弁を繰り返すのみです。もはや「従軍慰安婦」の記述の正当性はどこにも見当たりません。文科省が検定の誤りを素直に認めて、文科大臣が早期に山川出版社に対し訂正申請の勧告を行うよう、今後も各方面と連携して取り組みを強化してまいります。
 一方で、山川に限らず、高校では「従軍慰安婦」記述がまだ多くの教科書に残る状況で、これは驚くべきことです。今後は高校も含めて、「従軍慰安婦」「慰安婦」の記述を徹底的に問題にして参ります。

(4)この「不正検定」問題と「従軍慰安婦」記述復活問題は、ともに令和元年度検定において発生しました。文科省の教科書検定の実態及び制度に、根本的な問題があると言わざるを得ません。例えば次のような事項を検討することが欠かせません。
1)検定審議会の議事録の作成と公開
2)教科書調査官の任用を国会承認事項とする
3)教科書調査官に任期制を設ける
4)「誤解するおそれ」などのあいまいな検定基準を廃止する
当会は文科省の教科書検定の体制・運用が抜本的に改革され、健全化することを目指して今後とも取り組んでまいります。
 国民の皆様のますますのお力添えをお願い申し上げます。
  (新しい歴史教科書をつくる会)

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(読者の声2)貴誌で書評があった「メルケル仮面の裏側」(川口マーン恵美著 PHP新書)をとても興味深く読みました。
同書の最後に川口氏は「・・・メルケル賞賛(称賛?)の声が高い日本だが、彼女の掲げる世界観に、私たちは一体どこまで同道すべきか、今こそ塾考する必要があるだろう」と書いておられます。
私もこの本をよんでドイツ国やドイツ人に対する見方がかわりました。なんだかドイツ人は「シッカリ者」というよりも、案外流れというか、空気に流されやすい国民だと感じましたし、メルケルも平気で突然「豹変」したり、なんとなく薄気味の悪い信頼のおけぬ人物だと(言外に)川口氏は訴えているように私には読めました。
そして何冊かのエマヌエル・トッド氏の本ではドイツをいつもかなり批判的に述べておられることに私は若干なぜだろうと疑問を感じていましたが、この本を読んで何となくエマヌエル氏の「反ドイツ的感情」の原因が分かったような気がしました。
そう言えば、これも貴誌に紹介された渡辺惣樹氏の「チャーチル英国の闇」をよんでのことですが、ほとんどの日本人がチャーチルを偉大な政治家と思っているものの、本当は其れとは違った見方をすべき人物であると渡辺氏は訴えていることを思い出しました。
(SSA生)


(宮崎正弘のコメント)スターリンの幻影を追って、彼が死んだときに日本の株式市場に「スターリン暴落」が起こりました。マッカーサーが離日したときは、星条旗を振る歓送風景があったように、チャーチルもメルケルも、日本人は幻影を追っていたことになりますか。

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(読者の声3)福建省厦門で、石材商がトランプの石像、しかも座禅を組んで作務衣を着た元米国大統領の仏像的な石像が発売と同時に200体も売れたとか。
 小型のもので、6万円、大型仏像が30万円とか。
https://timesofindia.indiatimes.com/world/china/be-at-peace-meditate-trump-buddha-statue-designer-tells-former-president/articleshow/81774834.cms
 しかし、どういう了見なのですかね?
   (FG生、横浜)


(宮崎正弘のコメント)甘粛省の蘭州のシッピング街で見たのは毛沢東の布袋様像でした。等身大で、価格が10万円ほどでしたが、遠距離の運搬は無理ですから地元でしか流通していない様子でした。トランプの仏像は小型なので、価格が下がれば日本でも売れるかも(笑)。
 なにしろ暴れん坊の関羽も、中華圏のあちこちに関羽廟ができて、金儲けの神さまとして祀るのが中国人です。外国のチャイナタウンにもあります。横浜中華街にも。
 
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(読者の声4)百回目の千田会は当会で最もリクエスト・リピーターが多い高山正之先生独演会 『高山正之の変見自在』です。
      記
【日時】令和3年5月22日(土)14時30分~16時30分(開場:14時)
【会場】としま区民センター7階会議室701~703 豊島区東池袋1-20-10
(JR・メトロ・西武池袋線・東武東上線「池袋駅」東口32番出口より徒歩4分)
【参加費】事前申込:2000円、当日申込:2000円
(事前申込の大学生:1000円、高校生以下無料)
【懇親会】17時~19時頃 参加費:事前申込4000円、当日申込4500円
【申込先】5月21日21時迄にメール又はFAXで受付(当日受付も可)(懇親会は5月20日21時迄)
E-mail:morale_meeting@yahoo.co.jp
FAX:0866-92-3551
●当日は混雑が予想される為 事前申込の無い方の入場は講演10分前とさせて頂きます【主催】千田会 https://sendakai.wixsite.com/home
千田会 事務局 https://sendakai.wixsite.com/home
【後援】新しい歴史教科書をつくる会 岡山県支部
【講師】高山 正之(たかやま まさゆき)先生 ジャーナリスト、コラムニスト、元 産経新聞ロサンゼルス支局長、元 帝京大学教授(昭和17年、東京生まれ。1965年 産経新聞社入社。社会部デスクを経て、テヘラン、ロサンゼルス各支局長。帰国後、産経新聞夕刊1面にて時事コラム「高山正之の異見自在」を執筆。2001年から2007年まで帝京大学教授。「週刊新潮」に連載中コラム「変見自在」は熱狂的ファンも多く、名物辛口コラムとして高い人気を集めている。
著書は『変幻自在』シリーズ(新潮社) 等 70冊。『中国と韓国は息を吐くように嘘をつく』(徳間書店)。最新刊『変見自在 コロナが教えてくれた大悪党』(新潮社)。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月4日(日曜日)   通巻第6849号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~スエズ運河のタンカー座礁事故はいかなる教訓を残したのか
  中国は北極海ルート、北欧へも一帯一路。タイには「クラ運河」構想本格化へ
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 世界のチョークポイントはスエズ運河ばかりではない。ジブラルタル海峡、ポスボラス海峡、ホルムズ海峡、マラッカ海峡、そしてパナマ運河。
大航海時代には喜望峰、マゼラン海峡も重視されていた。英国の「七つの海の覇者」とは、これらのチョークポイントを抑えることで成立していた。

 戦争や事故で、一箇所が封鎖されると経済の大動脈がパニックに襲われる。つねに代替ルートの確保がセキュリティの第一歩。中国の進めるBRI(一帯一路)は、この代替ルート戦略に繋がっている。

 第一に中国が目を付けたのは北極海だった。
砕氷船「雪狼」を二隻、最新型を新造して試験航海を繰り返し、ロシアの神経を逆なでしながらも「2030年には商業化出来る」としている。中国が北極海ルートの開発に正式に踏み切ったことが表面化したのは2018年で、それで判明したことは、北海道の土地買い占めは、このルートに沿っていることだった。
アイスランドで宏大な土地を開発しようとしていたこと、フィンランドをけしかけて、北極海に面した不凍港からヘルシンキまで鉄道を敷く計画なども、この大戦略絡みで発想されたことだった。
 現時点でも中国はフィンランドの企業家を巻き込んでバルト海のエストニアへ、トンネル工事を計画している。バルト三国では反中国感情が強まっており、実現する見通しは薄いが。。。

 第二にパナマ運河が輸送量の限界に達しており、代替の運河をニカラグアに持ちかけ、実際に工事を始めていた。途中で資金が続かず現在は挫折した格好となっている。

 第三がマラッカ海峡の代替ルート、すなわちタイにけしかけているクラ運河建設である。前国王は関心を示さなかったが、現国王は前向きである。


 ▲陸と海のシルクロード、そして資源輸送のバイパス建設はセットだった

 かくして中国がカネと労働力にあかせて驀進させてきたBRI(一帯一路)は陸のシルクロート、海のシルクロード、そして資源輸送のバイパス建設(パキスタンのグアダールからカシュガルへの「CPEC=中国・パキスタン経済回廊」建設がそれの目玉。

ミャンマーのチャウピューから昆明へのパイプライン、中央アジアのトルクメニスタンから上海までのパイプラインの大工事(後者二つは完成)
中国はいまや世界最大の資源輸入国であり、世界中の鉱山開発にも積極的に絡んでいることは周知の事実だろう。

 海のシルクロードは「上海からピレウスまで」が合い言葉だ。現にギリシアのピレウス港の運営権を中国は30億ドルで買った。
 ピレウスからはEU加盟国なら何処へでも、シェンゲン協定によって自由に移動できたから、欧州各地に中国人があふれ出したのだ。

インド洋スリランカのハンバントタ港は中国海軍の御用基地に化けたし、紅海の入り口に位置するジブチには一万の中国人民解放軍が駐屯している。

 いずれもが中国の資源輸入ルートでもあり、とりわけ北極海重視に中国が傾斜している理由は無尽蔵の石油、ガス、鉱物資源が未開発のまま埋蔵されているからでもある。専門家の見積もりでは、900億バーレルの石油。1670兆立法フィートのガス、そして計測不能のレアメタル、レアアース等々。

 一方、米国はリトアニアに駐屯している米軍の増派に踏み切る動きがある。
 2020年8月に500名の戦闘部隊と25台の戦車を投入し、隣国ベラルーシの動きにそなえてきた。
 ルカシェンコ独裁のベラルーシがリトアニア、ポーランド国境で軍事演習を繰り出したからだった。計画では2021年六月までの暫定駐留とされたが、延期されるばかりか増派。何かの予兆だろう。
    ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    

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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2218回】                 
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港100)

   ▽
 あれは香港生活も半年ほどが過ぎた頃の1971年初夏の頃だったと記憶する。下宿に戻ると、2人の若者が客間で大家のSさんと額を突き合わせて小声で話し合っていた。それまで見たことのない顔であり、そのうえ香港の若者とは異なって質素極まりない身形で、目が血走り殺気だっていた。
当時、香港の若者の間で流行していた「ラッパズボン」と呼ばれた裾の広がったズボンを穿くような雰囲気は、彼らからは微塵も感じられなかったのだ。

 私の顔を怪訝そうに眺める彼らに向かって、Sさんは「日本人留学生だ」と紹介した後、「この若者は元紅衛兵で、大陸を脱出し、やっと私を探し当て、今後のことを相談しているところ」と。

 じつはSさんは大学では数学を専攻していた。1950年代末期の反右派闘争の際、共産党に反対の声を上げたことから追われる身となり香港に逃げてきた。Sさんからは、異見の持ち主に対する共産党の徹底して冷酷・非情な対応ぶりを耳にタコができるほど聞かされた。

 若者の1人が便所に立ったが、すぐに戻ってきた。どうやら洋式便器は見たことがなく、どう使っていいのか分からないらしい。そこでSさんが先に立って使い方を教えた。彼らは中国の山間僻地ではなく広東の都市部で育ったとのこと。にもかかわらず洋式便器は初めてというのだ。初めてであったとしても使い方ぐらいは「本能的」に分かりそうなものだが。さすがに驚くばかり。

 こんなところから、「偉大な領袖」である毛沢東に率いられた「新中国」「人民中国」が秘めた、日本ではついぞ聞かれなかった「不都合な真実」の一面を知った思いだった。 
 そういえば新亜研究所で隣の研究室の先輩──彼も物心ついた頃、家族と共に深せん河を越えて香港に逃れ着いた──に、「中国では国民皆兵で、若者以上のすべての国民に銃を渡し、国防訓練をしていると日本では伝えられているが」と質問したことがあった。
すると即座に、「日本人はバカか。大陸の工業力は、青壮年の全てに銃を与えられるほどに発達しているわけはない」と、彼は苦笑するばかり。

 たしかに先輩の説く通りだ。常識で考えれば、青壮年の全てが即座に戦えるほどに銃を持たせるためには、不具合・故障などを考慮すれば、おそらく青壮年人口の数割増しの銃と弾丸を常備しておかなければならないはず。かくして新島淳良をはじめとする毛沢東主義者の夢物語は当然のこと、日本で仕入れた中国に関する「日本的常識」の一切を捨て、虚心坦懐に知ることを心した次第だ。
それが奏功したか否かは別問題ではあるが・・・。

 新亜研究所の同期の1人も、ある時、紅衛兵として暴れ回っていたが身の危険を感じて香港に逃げてきたと自らの過去を話してくれた。ともかくもガムシャラな勉強ぶり。その理由を尋ねると、「ともかくもアメリカに行きたい。アメリカに逃れて自由に研究したい」と。ある時、「オレ、ハーバード大学行きが決まったから」。どんな伝手でアメリカに渡ることが可能になったかは話してはくれなかったが、おそらくアメリカは香港をハブに様々な人脈、ルート、ネットワークを張り巡らし、中国研究の人材をリクルートしていたのだろう。
 まさに「アメリカ、恐るべし」、である。

「真の意味での文化大革命は、一九六九年四月の党大会で終わったと考えるのが合理的では」(前掲『中国との格闘  あるイギリス外交官の回想』)とは言うものの、当時は文革が終わったわけではなった。そこで武闘の犠牲者と思われる雁字搦めに縛られた死体や、逃亡途中でサメの餌食になった無惨な死体などが砂浜や埠頭に流れ着くこともあった。

 当時、香港で文革に接することができたのは中国系書店の内側だけだった。そこには批林批孔運動、儒法闘争、『水滸伝』批判運動などの推進役を果たした大量の書籍──まさに、それは「紙の爆弾」と呼ぶにふさわしいような量と内容──が並んでいたのだ。
   
  ♪
(読者の声1) 貴誌前号の書評『ウイグル・ジェノサイド』を拝読し、その前に産経新聞にでた広告で、当該書籍を購入してはいたのですが、ツンドク状態でした。さっそくページを開いて、その予想をこえる残虐なやり方に、中国共産党の非人道的行為にあきれ果てました。
 まさに宮崎さんが指摘しているように、ウイグルが中国に侵略されたのは、
「ウイグル人にとって『新彊ウイグル自治区』は、ウイグル人が平和のために戦争を放棄した結果、中国共産党に騙された結果、母なる祖国のために犠牲をはらうことを怠って結果なのである」。 
 これこそ、日本への最大の教訓です。
   (TY生、川崎)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月3日(土曜日)   通巻第6848号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~<読書特集>
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ムカイダイス著『ウイグル・ジェノサイド』(ハート出版)
森敏子『飛花落花』(文学の森) 
    ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 西側は中国ウイグル自治区に於ける虐殺蛮行を『ジェノサイド』と非難
   ユニクロの不買運動如きを怖れ、中国非難の列に入らない臆病者がいる

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ムカイダイス著『ウイグル・ジェノサイド』(ハート出版)
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 いま、西側世界が中国に突きつけた破邪顕正の刃はウイグルにおける「ジェノサイド」非難決議である。
 トランプ政権終盤にポンペオ国務長官が言明し、中国とズブズブのバイデン政権でも、ブリンケン国務長官は、『ジェノサイド』非難を踏襲すると言明した。カナダ国会も議決した。トルードー首相は棄権するという際どい演技を見せたが、あの弱腰リベラルのくに、カナダさえ、中国にジェノサイドと言ったのだ。
 ところが日本政府はまた認めていない。
日本政府は北京と財界の顔色を伺い、政権与党、その連立相手は腰砕けである。中国を激しく非難しているのが日本共産党という矛盾した政治構造になっている。
西側が立ち上がって中国のウイグル自治区に於ける蛮行を『ジェノサイド』と非難しているときに、ユニクロの不買運動如きを怖れ、中国非難の列に入らない臆病者がいる。
しかし問題は、日本人の感覚を超えて深刻なのである。
つまり西側世界に於けるジェノサイドという意味は「ナチス」の蛮行と同義語であること。この非難の合唱に加わらない日本は、ジェノサイド同調組に識別され、中国と並列で非難されることになるのである。こんな国際感覚が、永田町の政治家にないというのは、悲惨である。

本書でもっとも重要な訴えは下記の数行である。

「ウイグル人にとって『新彊ウイグル自治区』は、ウイグル人が平和のために戦争を放棄した結果、中国共産党に騙された結果、母なる祖国のために犠牲をはらうことを怠って結果なのである」。

まさに明日の日本の危機を、これほど直截に比喩した言葉はないだろう。戦いを放棄した結果、中国の植民地に陥落してしまったのだと訴えているのだ。
 言葉を奪われ、宗教を奪われ、資源と食糧を奪われ、核実験場に利用され、虐待され、搾取されつづけるウイグルは、中国が侵略したのである。それまでには歴とした「東トルキスタン」という国だった。中国の植民地に成り下がってしまったが、ウイグルの民は自尊心を失わず、正義の訴えを国際世論へ投げかけている。

 なお著者のムカイダイス女史は、『万葉集』のウイグル語の翻訳者であるばかりか、関岡英之氏の『防共回廊』をウイグル語に翻訳した知識人であり、本書には関岡氏への哀悼がこんこんと述べられていて涙を誘う。
 関岡英之の名書『帝国陸軍、知られざる地政学戦略───見果てぬ「防共回廊」』(祥伝社新書)を併せてお読みいただきたい。拙評は下記に。
 http://miyazaki.xii.jp/column/index.html
 (このページの30番のコラムです)
      ☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆ 
 
  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~高倉健の七回忌、「剛健忌」に寄せて実妹が詠んだ
  「君よ憤怒の河を渡れ」は優しさを秘めた日本男児の姿を描いた

   ♪
森敏子『飛花落花』(文学の森)
@@@@@@@@@@@@@@

 「花曇り 身をくぐりゆく 水の音」などの秀逸な句がならぶ。一度、ざっと通読したが、かなり時間を掛けて読み直したいと思った。
詠み人の兄への思い、果てしなき哀惜、悲嘆と希望、その心理の奥底まで透けて見えるような、情緒に溢れる作品ばかりで、科学文明の現代だからこそ、こうした情緒の薫り高い俳句が、しずかに、多くの日本人に詠まれるのだろう。
 知人の山本悦夫氏が評する。
 「怪しげで妖艶な美しさがあり、研ぎ澄まされた感性に、時には鬼気迫るものがある。この世とあの世、そしてそのどこかに兄、高倉健の姿が影となって見え隠れする」。
 推薦の辞を元内閣官房副長官の古川貞二郎氏が寄せている。

 評者(宮崎)が印象深いと思ったのは、
 「女にも 武士道ありし 白菖蒲」
 「兄に逢ひたし 夕顔の ひらききり」
 「死に顔に まみえぬ訣れ 冬銀河」 

 作者森敏子氏の自薦の三句は、
 「魂魄の ひそむ桜に 待たれいし」
 「桜月 身の門の 揺らぎけり」
 「水音の 暮れても 桜の薄明かり」

(註 この句集は市販ルートでは入手出来ないため御興味の向きは版元へ問い合わせを)
     

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(読者の声1) 未来ネットから番組のユーチューブのお知らせです。「いわんかな#46 生放送!(4/1生配信)。
 ゲスト:阿比留瑠比、レギュラー:高山正之・馬渕睦夫・宮崎正弘・福島香織・松田喬和・塩見和子 
https://youtu.be/VtLJpbT-cCE
   (未来ネット、旧「林原チャンネル」

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(読者の声2)台湾の列車事故のニュースを見て驚き。ガードレールもない線路脇の道路に工事用トラックをハンドブレーキをかけず放置したため線路に落下という。
https://imgcdn.cna.com.tw/www/WebPhotos/1024/20210402/2000x1299_0626131229160.jpg
https://i.imgur.com/zdALBy7.gif
 最近、日本でも台湾でも半導体工場での火災・不審火が相次ぐなかどうしてもテロの可能性を考えてしまいます。
 今回の事故に対し菅首相以下、外務・防衛の主要閣僚などがお見舞いメッセージをツイッターで発信するなか、現地報道では安倍前総理による「台湾の皆さんの友人として協力を惜しまない」発言を取り上げている。
https://i.imgur.com/37AWDWF.jpg
 米中摩擦が強まるほど世界でも安倍再登板待望論が出てくるのかもしれません。
  (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)台湾の鉄道事故、痛ましい限りです。犠牲者の冥福を祈ります。ところで、あの路線を走る特急「自強号」(事故車の「太魯閣号」は正式に「自強太魯閣」号)に小生も数回は乗っていますが、台湾の東海岸は切り立った崖をトンネルで繋いでいて、トンネルから海、トンネルから海、といささか殺伐とした風景が続きます。
 花蓮まで行って、それからクルマでタロコ、文山温泉という観光コースが日本人にも人気でしたが、近年は台北─花蓮の飛行機を利用する人が多くなっていました。この風光明媚な場所へは、竹村健一夫妻と一緒に旅行したり、特急には村松剛氏と乗ったり、六年前の台湾総選挙では、この地盤からでていた粛美琴(現台湾駐米大使)の選挙取材で、花蓮の町をあちこち選挙戦をみてまわりました。台湾の仏教団体で最有力の慈聖功徳会本部と病院も、この花蓮にあります。

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(読者の声3)最近の日本のポリティカルコレクトネスやジェンダーと称する「異様な」報道を見るに、私は彼等はそもそも文化の本質を理解せぬばかりか、むしろ否定し、人類が生きていることの本源的実感を体現できる「人生」を奪っている「非人道的且つ罪深い行為」であることに気づいていないような気がしてなりませんでした。
そして、ふと「近代の虚妄」(東洋経済・佐伯啓思著)を思い出し、そのことに言及された部分を再読したところ、私が下手な文章でクドクド述べるよりもはるかに的を射ている文章をみつけましたので、その部分を抜粋させていただきます。

(引用開始)世物への関心、スローガンの愛好、歩調を一にした行列行進などの中にある幼児化をわれわれは見ることができるだろう。それを彼(ホイジンガ─)は「小児病」と呼んだ。この小児病はまた、ユーモア感覚の欠如、何事に対してもなされる誇張的反応、物事にすぐに同意してしまう傾向、他人の思想に対する不寛容、他者を褒めたり非難する時の途方もない誇大表現などである。今日ほど、それらが、公共的生活の中に膨れ上がり、大衆化し、残虐化したりしたことはなかった。そしてこれもまた、今日われわれが生きている21世紀の現代文明の相貌そのものではなかろうか。

では何がこの小児病をもたらしたのか。彼(ホイジンガー)は次の三つをあげている。第一に「中途半端な教養を身につけた大衆が精神的交わりの世界に加わったこと」、第二に「道徳的な価値基準が緩んでしまったこと」、第三に「技術と組織が社会に与えた伝導率があまりに大きいものであったこと」による、という。要するに、本当の意味での教養ではなく、中途半端に様々な知識を持ち、それなりの教育を受け、生半可な教養を持った「半教養人」が社会の核を占めるようになってしまった。

これらの半教養人は、既成の道徳的な価値を疑い、伝統的な価値や道徳的規範がよってきたるゆえんなどに対してもはや一顧だにしなくなるだろう。オルテガのいう「大衆人」である。そして、高度な技術の展開や、また、高度に組織された人々の集団や生活が、人々の間にあまりの高速度で情報を伝達し、人々を同質化し、いってみれば、熱密度の高い社会を作ってしまった。こうして教育、良風美俗、それに伝統の薫陶を欠いた、いまだ大人になりきれない若者風の精神態度が、今日、あらゆる分野で主導権を握ろうとし、それに誘導されるかのように世論が作り出されるのだ。これは遊びの小児病化ではあっても真の遊びではない。真の遊びとは、一定の様式を持ち、精神のゆとりを持ち、神聖さへの奉仕の感覚をどこかに保持していなければならない。それはある種の成熟を要するものなのである。そして「自ら成熟を放棄してしまうような精神のあらわれのなかには、ただ迫りつつある崩壊の兆ししか見ることはできない」と彼(ホイジンガ─)はいう。この時に、文化は坂を転げるように衰弱の道をたどる。なぜなら「文化は高貴な遊びというもののなかにその基礎をおく」からである。(引用終了)
(SSA生)

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(読者の声4)マスコミの左翼偏向は昔からとはいえ、たった6人の集会までニュースにしてしまう異常性。もう話題にもならないグレタにちなんだ「学校ストライキ」を経産省前で実施。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210402/k10012952241000.html
https://www.tokyo-np.co.jp/article/95455
 NHKも東京新聞も腐りきっていますが、集会に参加した高校生・大学生の将来が気の毒になる。 記事に名前まで記載されては将来の就職活動は応募段階でハネられそう。
 大多数の若者はマスコミに騙されずまともだという証拠かもしれませんね。
  (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)二年前にニュージーランドのオークランドで目撃したのですが、1500名ほどの高校生が地球温暖化抗議のデモをやっていました。世界的な連帯、背後に左翼組織のオーガナイズがあったようで、先生が歩道で、出席生徒の名簿を確認していていました。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月2日(金曜日)弐   通巻第6847号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~まだ連立政権がまとまらないイスラエル政界の混迷
  リクード連合はあと二議席で過半数。アラブ政党と組むのか?
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 過去二年間で四回も総選挙を実施し、その都度、ネタニヤフ首相率いるリクードが辛勝し、長引く話し合いの末に連立政権を形成してきた。
しかし予算案を廻って連立相手だった「青と白」(ガンツ元統幕議長が党首)が、途中から連立を抜け出したため、またまた総選挙となった。最大の理由はネタニヤフ首相への毀誉褒貶が真っ二つに割れていることだ。

 ネタニヤフが選挙中に訴えたのは「世界で一番先にコロナ対策のワクチン接種をやった実績」。だが、票には結びつかなかった。
 4月1日現在の各政党獲得議席は、与党側がリクード30,シャス7,宗教団体派7,シオニスト政党7。ほかのミニ政党を加えても59議席(イスラエル国会=クネセトの定数は120)。過半数の61議席確保にあと二議席足りない。

 他方、野党側は直前までの連立相手「青と白」が議席を減らして8議席、これに新党のイエシアテッド、労働党、極右政党、アラブ政党などを足しても57議席。態度不鮮明が4となっている。なぜ極右政党が連立に加わらないかと言えば、感情的にネタニヤフが嫌いだからだ。

 ここへきて、ネタニヤフ首相は、敵対してきたアラブ政党に水面下で連立を持ちかけている。なにしろユダヤ社会とは「全員一致ならやめちまえ」という原則があり、少数乱立はいつものパターン。それぞれの少数派が我を通すので、連立交渉は長引く。野党側は、国防、外交などでネタニヤフ首相を評価しながらも、根本的に感情的にネタニヤフが嫌いなので、絶対に連立を組もうとしないのである。
    ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    

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(読者の声1)貴誌前号の「ジェンダー・ギャップ(男女格差)指数の基準は恣意的」について。国外のテレビ報道番組と比べると日本の女は明らかに添え物、壁の花、として扱われている。
「ニュース・女子」なる番組は、可愛いだけが取り柄の若い女が「あたし、何も知りません、えらいおじさんたち、教えてー」に武田邦彦教授などの学者、役人、専門家のおじさん達が講義をし、女のセリフは簡単で覚えやすく「へええー、ああ~、」とかを合唱する。
これを証拠として判断されれば、当然、女性蔑視となる。
 50年ほど前には、欧米でも同様な「白人男のみ」の世界であったが、現在、表面的には、女と男の割合は半半となり、女の学歴・知識・能力も男と同様になり、むしろ語学、しゃべりに関しては本来女の方が優れていることは周知である。
 ところが、そんな男の社会で勝ち抜いた女は、明らかに優秀であるが、過酷な競争(男も同様であるが)を強いられて来た故に、本来の女の特技、母性愛(大抵独身、子なし)優しさ、寛容、長期の思想などに欠け、むしろ男以上に残酷、無慈悲、凶悪性、非倫理的になってしまう。
そんな女をテレビで見て、若い少女の価値観、行動が影響されてしまう。
 つまり男の利点、女の利点、性格、資質、本来の存在理由を消し去るという人類の根本的な改造を現在進めている。これは共産主義の人類全て「平等」の方針でもあり、反人間、反自然の恐ろしい愚かな人体実験をしている。
かつてのソヴィエトは消滅したが、その「改善」された支那中共政府は躍進しているし、欧米も「女を男に改造」する病気に犯された。
 具体的には、「ニュース・女子」には河添恵子氏、遠藤誉氏、有本香氏、竹内久美子氏、青山透子氏、深田萌絵氏などを揃え、ヘナヘナな自称保守の男を論破し、女の地位を向上。
(KM生)

  ♪
(読者の声2)「科学文明時代だからこそ甦る古事記」、ユーチューブで拝見しました。有益でした。それにしても、宮崎さんのいつもながらのタフネスに敬意を表します。
 あらためて、古事記関係の書籍を読み返したいと思います。
 林房雄『神武天皇実在論』も引っ張り出してきたら、私が所有する学研M文庫版(2009年7月初版発行)では、竹田恒泰氏が解説を執筆しておられますね。
 私事になりますが、私は、もう余生も定かではないと強く感じることも多くなり、できれば、早急に関西(大阪または奈良)帰還を果たしたいと考えているところです。
 3年前の春には、「奈良県桜井市移住体験プログラム」(2泊3日)に参加してきました。桜井駅前は、近鉄、JRの二線合流駅であるにもかかわらず、日中はほとんど通行人も見当たらず、地方の人口減を体感しました。
 小路田泰直氏(奈良女子大教授、日本近代史専攻)は、「地方創生」を実現していくためには、東京以外にもうひとつ「中央」を立ち上げ、東京の「中央性」を相対化し、結局は多極分散型の社会をつくりだすしかない。
そして京都・奈良を(再び)「中央」化させるためには、そもそもなぜかつて京都や奈良が、この国の「中央」だったのか、その理由を説明しなくてはならない、と説かれます(『日本史論─黒潮と大和の地平から』敬文舎、2017年)。この点、強く同意します。 
 ただし小路田氏は、上記論の中で、大阪を挙げていなのですが、難波京、大坂(豊臣)時代という歴史を軽視してもらっては困ります。
 そもそも、山川教科書『詳説日本史』でも、難波京がほとんど無視されていることは、極めて遺憾です。
 その大阪が、地理的な厳密さからいえば中央よりやや西によっているが、交通の点からは、中央としか言いようがない(司馬遼太郎「大阪の原形」)こととは異なり、奈良がかつて日本の「中央」であった理由については、解明されるべき点が多いと思います。
 こうした点から、『大和・紀伊半島へのいざない』(敬文舎、2007年)にも大いに啓蒙されました。
 ところで、雑誌『群像』に連載中の「Nの廻廊」(保阪正康)は、西部邁氏についての回想録ですが、郷土愛的なものとは無縁のように思っていた西部氏が、その出身地・北海道に強烈な意識を持っておられたことに驚きます。
 4月号から、西部氏の発言を以下に紹介しておきます。

(保坂氏に対して、雑誌『発言者』の発刊について)「今に見ていろ、と思わないか。こんななにもかも壊れてしまった世のなかで、いいかげんな言説が跋扈して、嘘八百の綺麗ごとに振りまわされて、根性が腐ってエヘラエヘラして・・・・。建て直すんだよ。それも北海道を建て直すんだ。そうだろう、だから協力しろ。北海道をあるべき姿に作り上げるんだ。冗談じゃないぞ」

 また札幌での講演会で、西部氏がかなり強い口調で、北海道左翼の甘さを説いたこと、その西部発言についての、中学教員女性による批判的質問に対する罵声的回答、 

「アンタ、なにを言っているんだ。こっちの内容を聞いていたのかっ。そんな考えで教師をしているのか。アンタのような意見がもっともタチが悪いんだ」
   (椿本祐弘)


(宮崎正弘のコメント)西部氏について渡邉望氏が『西部邁  非行保守の思想家』(論創社)という本を出されたので、近日中に書評します。
 また小生も西部氏と対談本(『アクティブ・ニヒリズムを超えて』、文藝社文庫)があり、拙著『青空の下で読むニーチェ』でも、ワンチャプターを割いて西部論を展開していますが、その故郷へのパトスは、蓮田善明の「ふるさとの駅に降り立ち眺めたる かの薄紅葉忘られなくに」を連想しました。
 ついでですが、御指摘の林房雄『神武天皇実在論』は昨年、リニューアルされ、小生が解説。ハート出版から復刻されております。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月2日(金曜日) 通巻第6846号  <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~日本は世界156ヶ国中、120位とか(びりはアフガニスタン)
  ジェンダーギャップ(男女格差)指数の基準は恣意的すぎないか
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 ランク付けしたのは世界経済フォーラムとか、どの程度の選考委員があつまった組織なのか、最初から侮日偏向プリズムがあるか、でなければ日本史に無知かのどちらかだろう。いや、そうではない。日本に女系天皇を誕生させ、日本の伝統を破壊しようとする勢力と組んだ、奥の深い陰謀の臭いがしないでもない。

 とくに女性政治家、女性経営陣の数が問題だとするのも、おかしな指数評価だが、日本は表面的な風潮を気にして、無理矢理に欧米に追随し、政府審議会に女性を選び、五輪委員長も参議院議長も、都知事も横浜市長も、あちこちで、むしろ女性だからという理由で資質もなにも問わないで選んだことのほうが深刻ではないのか。

 最初の反撃は「それなら財布を誰が握っているのか?」と問うと良い。欧米は、財布は夫が握るものである。日本は主婦が采配し、亭主に小遣いを渡すというシステムは、日本の他に殆どないだろう。
 知り合いの英国人夫婦は、逐一の出費を聞いて夫人に金を渡している場面を筆者は何度も目撃して逆に奇異に感じたことがあった。

 女性の政治参加が遅れている?
 政治参加をしすぎて、その反省があることを「選考委員」は知らないのではないか。日本の神話のはじまりはイザナミ、イザナギだが、イザナギは終始、イザナミにリードされている。
 女性がまつりごとに口出しをしないほうがうまくいくというのは日本の伝統的な知恵である。

 高天原に君臨したアマテラスは女帝である。魏志倭人伝は、信憑性が薄いが、邪馬台国の卑弥呼も女帝だった。神武肇国以後、お后がどのような影響力を持ったかは古事記、日本書紀を通じてもよく分かるが、八代の女帝が存在した。

 推古、皇極・斉明天皇、持統天皇、元明・元正天皇、孝謙・称徳天皇。
 そして大正時代に皇統譜から削除されたのが神功皇后と飯豊天皇だから、事実上は十代の女性天皇がこの国を統治した。

 称制(臨時天皇)は、後継を選ぶまでの臨時措置というのは後世の解釈で、七世紀あたりまでは男女の区別はなく、40歳になるまでの実績を見て候補者の中から合議で決めた。
 男子長男嫡流が後継と決まったのは持統天皇からである。

 ▲男尊女卑はシナの風習で、それが朝鮮半島に過大な影響をもたらした

 それはシナの男尊女卑という考え方、ならびにその影響をもろに受けた朝鮮半島の風習からの影響がむしろ強かった。
 中国史唯一の女帝は唐朝三代高宗の后だった即天武后だが、随・唐は鮮卑系で漢族ではない。しかも武帝が即位した690年は、日本でも持統天皇が即位した年であり、日本は持統直系の皇子が早世したために、天智系の孫が後継となる。成人するまで、しかし、持統が事実上の統治をおこなったのである。

このやり方は完全にシナはことなった。武帝の後継となった玄帝は、武帝のきまたまつりごとの制度、規則はすべて撤廃し、改めている。つまり唐朝は、武帝の時代に易姓革命同様な事態に陥っていたのだ。

 『三国史記』新羅本紀によれば、日本は「婦夫人を以て王となし、隣国に軽侮せらる」とあり、続けて「男は尊くして女は賤し」と新羅王は明言し、武帝を老婆と比喩して、その政治を許せないと談じている箇所がある。

 この影響が日本にも伝わった可能性があり、事実上、山の神が統治していても、表面には男性を立てた。北条政子、日野富子、エトセトラ。。。。
 
 外国の女性重視は、逆に言えば男尊女卑社会の卑屈な偽善でしかない。英国、オランダ、北欧諸国は女帝が続いているが、スペインを除けば残りは共和制であり、まつりごとは混乱の繰り返しである。
   ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    

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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@  【知道中国 2217回】       
  ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港99)

   ▽
 たしかに深?河は香港の歴史を象徴している。
 1941(昭和16)年12月払暁、日本陸軍は左右両翼と迂回部隊の3方面に分かれ深せん河を越えて新界に進攻し、13日に九龍を制圧した。
18日には香港島に上陸し、英軍を圧倒した後、28日午後2時に九龍の弥敦道で、3時には香港島湾仔の軒尼詩道(ヘネシー・ロード)で、それぞれ入城式を行ったのだ。

香港の人口は、日本軍が軍政を布いた1941年の164万人から戦争が終わった1945年には65万人にまで激減し、1946年には155万人へと激増している。つまり日本軍が軍政を布いていた3年8か月ほどの間に100万人近くが深せん河を越えて大陸へ、戦争終結と共に100万人ほどが深せん河を香港側に越えたことになる。

日本敗戦が近づいた頃、香港回収のために林彪が部隊を率い深せん河の近くまで進攻していたとの説も聞かれる。多分に「都市伝説」の類だとも思われるが。
それから半世紀ほど後、特別行政区となった香港に進駐するため人民解放軍部隊を乗せた軍用車両が深せん河を越えた。篠つく雨の中を、多くの香港住民が五星紅旗を手に「祖国の兵士」を迎えたのである。

 香港の友人宅で、人民解放軍の軍用車両が続々と香港入りするシーンのテレビ中継を見ていると、友人の父親が「どこかで見た情景だ。そういえば、あの時、日の丸を手に打ち振りながら日本軍を迎えたなあ」とポツリ。
あの呟きがヤケに印象に残っている。あの日の雨を、友人の1人は「雨は水、水はカネの象徴だ。返還当日の雨とは幸先がいい。香港的明天更好(香港の将来はバラ色だ)」と。

ちなみに1997年の返還を前にした「過渡期」に、中国政府に協力し民間の立場で返還作業に積極協力した有力企業家が組織した民間組織の名称が「香港明天更好基金会」だった。

 閑話休題。ここらで香港で実感した文革を、改めて振り返ってみたいと思う。
「文化大革命といえば、中国人は一九六六年から一九七六年までの十年間の大動乱という言い方をするのが普通になっている。しかし、歴史家からは異論が出るかもしれないが、真の意味での文化大革命は、一九六九年四月の党大会で終わったと考えるのが合理的ではないだろうか」とは、長い外交官生活のほぼすべてを中国関係の最前線で送ったパーシー・クラドックの『中国との格闘  あるイギリス外交官の回想』筑摩書房 1997年)の一節である。

「一九六九年四月の党大会」とは、直前の3月には全面戦争一歩手前とまで報じられたソ連との国境における大規模軍事衝突があった第9回共産党全国大会を指す。じつは大会会場で毛沢東は「勝利の大会」を連呼していた。
それというのも、最大の政敵である劉少奇を屠る一方で、自らの後継者として林彪を内外に認知させたからだろう。

だが「勝利の大会」を機に毛沢東と林彪との間で暗闘が始まり、やがて1971年秋の「林彪事件」を誘発し、モンゴルでの林彪夫妻不審死を経て四人組の跳梁へとつながる。だから、「真の意味での文化大革命は、一九六九年四月の党大会で終わったと考えるのが合理的」であるかどうかは別にして、「一九六九年四月の党大会」を境にして文革の性格が変わったことは確かだろう。

ならば「文革後期」とでも呼ぶに相応しい時期の香港を、存分に『満喫』したことになりそうだ。この間、1997年の香港暴動のように文革に呼応した紅衛兵式の過激な街頭政治行動が見られたわけではない。

だが、それでも大陸から命からがら逃れてきた何人かの元紅衛兵と知り合う機会はあった。中には暫くして後、アメリカに渡った者もいた。
    

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(読者の声1) 昨日の桜チャンネルの番組「フロントジャパン」でSAYAさんとのトーク、宮崎さんの「科学文明時代だからこそ甦る古事記」を、「ほのぼの」と拝見しておりました。
 コロナ禍の嵐の中、殺伐とした毎日のなかで、日本人の霊性の源を辿る先生のお話に心が救われた視聴者が多かったのではないかと思いました。
   (一読者)


(編集部から)当該番組のユーチューブは下記でご覧になれます。とくに宮崎のテーマである「科学文明時代だからこそ甦る古事記」は43分目あたりから一時間五分ほどの箇所です。




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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)4月1日(木曜日)   通巻第6845号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~日立、次世代ハイテク争奪。乾坤一擲の賭けにでた
  1兆円で米IT企業(グローバルロジック)を買収へ
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 東芝は落ち目。IHIは往年の元気なし。
 鉄鋼の日本製鉄も、JFEも幾つかの高炉を止めて、中国に敗北を追認した。半導体は、日米半導体協定による劇的な衰退が始まり、台湾のTSMC、韓国のサムソンが「二強」となって世界シャアの72%を寡占するに至った。

 米インテルですら、台湾のTSMCに後れを取った。
 日本の半導体の復活が期待されたが、エルビータは経営破綻、ようやく立ち上がってきたルネサスは、東北地震と先週のひたちなか市の主力工場の火災で、想わぬ挫折を強いられた。

 日立は決断した。
 なにしろ1兆円を投下して米国のグルバルロジックの買収に踏み切ったのだ。
 重電企業の変身? つまり企業の体質と構造を自ら激変させる乾坤一擲の賭けである。

 米国のIT大手、グローバルロジックは従業員が二万人、顧客が世界14ヶ国に400社。このIT企業の裾野を日立が得意とする鉄道、エレベータ、自動車、家電、変圧器、インフラ、エネルギーなどにIoTで結ぼうとする。IoTとは「すべてのものがインターネットと繋がる」という次の社会の産業、生活インフラとなる。

 これはDX(デジタル・トランスフォーメーション)シフトと呼ばれ、次世代のコンピュータインフラと直結させる構造転換である。

     ◎☆◎◎み☆◎□☆や□◎◎☆ざ◎◎□☆き◎☆◎◎    
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 ■加瀬英明のコラム  ■加瀬英明のコラム  ■加瀬英明のコラム
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森会長を追い詰めた今日の日本人の狭量
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 森喜朗オリンピック組織委員会会長が、「女性の理事が増えると会議に時間がかかる」と発言したのを、世論が女性蔑視だとさんざん袋叩きにして、辞任を強いた。私は森氏が辞めたときいて、「日本はもうダメだ」と思って、深い溜息をついた。
 このところ、毎年、日本は活力を失ってきた。
 日本はバブルが崩壊した1988年に1人当たりGDP(経済規模)でスイスについで世界第2位だったのが、2019年に第25位に転落した。韓国が29位だから、追い越されるのではないか。森氏は軽口を叩いたのだった。私たちも日常会話のなかで、会話の潤滑油として冗談めかして相手をからかうものだ。森氏はそういって、反論すべきだった。
 いつから軽口も叩けない、息が詰まるような社会になってしまったのだろうか。このようにゆとりを失って硬直した社会は、当然のことに活力を失う。
 国会の女性の野党議員も森氏を糾弾せずに、「男性は会合で上の者がいると黙っている。自己主張ができない方ばかりで、情けないですね」といい返せば、すんだことだった。笑いはゆとりだ。
 たしかに女性と論争すると、女性の声は200ヘルツから300ヘルツで高いのに対して、男性の声は100ヘルツから150ヘルツのあいだしかないから、太刀打ちすることができない。1ヘルツは声帯が1秒間に100回、震動することをいう。
 
▲軽口を叩いてはいけないのか。
 
平均寿命も、女性のほうが高い。女性は男性よりも持久力があるから、際限なく喋り続けることができる。会議で女性のほうが長く話すのは、生理的な條件によるもので、それを指摘するのは、蔑視や、差別に当たらない。
 森氏を辞任に追い込んだ手合いは、深く反省するべきだ。森氏のこれまでの労苦を労(ねぎら)う言葉もなかった。それなら『敬老の日』を廃止するべきだろう。
 ついこの間までは政治家は思ったことを、そのまま率直に語ったものだった。
 1949年に吉田内閣の池田勇人蔵相が記者会見で、「中小企業の一部倒産はやむをえない」と述べ、野党が不信任決議案を提出したが、否決された。
その翌年、池田氏は第四次吉田内閣で蔵相として留任して、国会で「貧乏人は麦を食べればよい」と発言した。
 その後も、同じような発言を繰り返して物議を醸したが、1960年に首相となると人気を博した。
 1944年に私は17歳だったが、大達茂雄文相が国会で「東京裁判は人喰人種の首祭りだ」と発言したのに溜飲を下げて喝采したのを、よく憶えている。それでも、もっともな指摘だったから、新聞も野党もまったく問題にしなかった。
 私は中曽根内閣の秦野章法相と25歳の年の差があったが、漢籍がいう忘年交で親しかった。そのころの多くの政治家のように、人として魅力があった。
 秦野法相は野党が暴力団の組長と握手をしている写真を取りあげて、詰問したところ、「イエス・キリストが罪人から握手を求められたら、罪人を救うために手を差し伸べただろう」と当意即妙に答えたので、それ以上追及されなかった。
 私は秦野法相と月刊『文藝春秋』誌(昭和58〈1983〉年12月号)で、田中角栄「ロッキード」裁判について対談した。

 ▲正直者で、情熱も正義感も強い

 このなかで、法相が「政治家は汚い腐敗しているという風に、政治家は神のごときものでなきゃいけないという期待感があるのかねえ。とんでもない話だよ。この程度の国民なら、この程度の政治だよ。政治家に正直や、清潔などという徳目を求めるのは、八百屋で魚をくれというのに等しい。(以下略)」と、批判した。
 野党各党が法相の辞職を要求して騒ぎ立てたが、中曾根首相が「(秦野発言の)内容はなかなかいいことを言っている。法相は非常な正直者で、情熱も正義感も強い。善人だ」と、答弁した。翌月、衆議院を解散したので、野党の追及も立ち消えた。
 いまの国会議員は与野党ともに、百貨店の高級品売場の年季が入った担当者のように心が籠っていない、丁寧語(ていねいご)で話すので空(そら)ぞらしい。もっと本音で話せないのか。
 本心から出たことばで話したい
 あのころの大多数の政治家は、国民と同じように子供のころから苦労を重ねていたから、酸いも甘いも噛み分けて、世事人情に通じていた。そこで率直に本音を語ることができた。
 いつから日本語のなかで「貧乏人」という言葉が、使われなくなったのだろうか。豊かな社会が到来してから、人々が外面だけを纏って、人間味を失うようになった。
 地方自治体から国政選挙まで、候補者のポスターが貼りだされると、きまったように卑しい媚びた笑みを浮かべている。昔、熱海駅を降りると、駅前に温泉旅館の客引きが屯(たむろ)して、仕事だったから仕方がなかったろうが揉み手をしながら、候補者のポスターのような下卑(げび)た表情をつくっていた。
 日本がうわべだけの社会になっている。いまの日本では、何でも可愛くなければならない。
 熊本県のゆるキャラのくまモンから、ポケモン、ハロー・キティまで、可愛ゆいものが、国民のアイドルとなっている。ポスターを見ると、国会議員も可愛がられなくてはならないのだろう。
 ゆるキャラや、コミックのキャラクターは、みな体にくらべて頭と目が異常に大きくて、鼻が小さい。赤ん坊のように無邪気で、抱きしめたくなる。
 私は80代に入ったが、私たちの世代のアイドルといえば、二宮尊徳、吉田松陰、西郷隆盛、野口英世、津田梅子といった、偉人伝に登場する人物だった。

 世界のなかで、これほど可愛ゆいものによって国民の心が支配されている国は、日本の他にない。おそらく日本国民がそうなりたいと憧れて、求めている自画像なのだろう。
 だから憲法を改正して、自衛隊をどこの国にもある軍隊にすることが、できないのだ。軍隊は可愛くないのだ。
 ほどなく、安倍内閣がコロナ・ウィルスの感染が拡大するなかで、「緊急事態宣言」を発してから1年目を迎える。

 ▲コロナより深刻な脅威

 コロナの大感染を境にして、どのように世界が変わったのだろうか。
 4年前に、アメリカでトランプ政権が出現したのは、私が「無国籍企業」と呼ぶ多国籍企業が、無国籍な世界がつくっていたのに対して、アメリカのナショナリズムが反撃したものだった。
 グローバリズムが無国籍な金(かね)をもたらし、人々が甘い蜜に群がった。
 ところが、コロナによるパンデミックは、それまで世界を支配していたグローバリズムという幻想を粉砕して、ナショナリズムが蘇えった。自分の国しか信じられない情況が、もたらされた。私は「コロナ・ナショナリズム」と、呼んでいる。コロナによって、自国しか頼れない現実が生まれている。国家の復権だ。

 日本もコロナとの戦いに国民が団結して、全力をあげることを強いられている。
 ところが、日本国憲法は前文で高らかに謳っているように、自国の運命を諸外国の善意に委ねることを定めている。世界に類例がない「無抵抗憲法」だ。
 コロナとの戦いは、時間との競争を強いられている。コロナと同じように、中国、北朝鮮の脅威が刻々と増しているというのに、目を背けてよいのだろうか。
 中国が尖閣諸島を奪おうと狙っている。北朝鮮が核ミサイルの性能を高めて、爪を磨いている。中国、北朝鮮が日本を攻撃すれば、コロナ・ウィルスよりはるかに悲惨な大災害に見舞われる。国防力の強化こそが、集団免疫力を高める。
                    (かせ・ひであき氏は外交評論家)
 

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(読者の声1) ウイグル・ジェノサイド調査報告(英語)
The Uyghur Genocide: An Examination of China's Breaches of the 1948
Genocide Convention - Newlines Institute
https://newlinesinstitute.org/uyghurs/the-uyghur-genocide-an-examination-of-chinas-breaches-of-the-1948-genocide-convention/

日本語訳はありませんが、以下で全文入手できます。
https://newlinesinstitute.org/wp-content/uploads/Chinas-Breaches-of-the-GC3.pdf
  

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(読者の声2)本日(4月1日)午後四時半からの未来ネットの生番組「いわんかな」は出演者に若干の変更があります。
緊急のゲストは産経新聞の阿比留瑠比(あびるるい)氏。司会は高山正之、コメンティターは馬渕睦夫、福島香織、宮崎正弘、塩見和子の各氏です。
後日、ユーチューブでも放映されます。
(未来ネット、旧「林原チャンネル」)

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(読者の声3)雑誌『正論』令和3年4月号に、「日本はいつ建国したか」(竹田恒泰)という論文が掲載されていますが、かなり説得的な内容だと思いました。
 要点としては、初期の日本暦は、1年2倍暦を採用しているということ、さらには1年4倍暦も可能性があることを考慮するべきである、ということです。
 その実在性が一般的に認められ、3世紀前期から中期にかけての人物と考えられている崇神天皇から神武天皇へ9代遡る年数は、1代当たり20年とすると約180年となるが、上記を考慮すると、神武天皇即位紀元(現在2681年)を保ちつつも、神武天皇御即位の時期を考古学的に説明可能な範囲(西暦紀元前後)に入れ込むことができる、ということです。
 ところで小生は、古代史については、小路田泰直氏(奈良女子大教授、日本近代史)の所説、著作に傾倒しています。
 小路田氏の主張を、最近の著作(『日本史論─黒潮と大和の地平から』敬文舎、2017年)から少し紹介します。
 小路田氏は、まず、『古事記』『日本書紀』には、誤解、曲解、省略はあるとしても、基本的には嘘はないと考えるということです。
 そうした基本に立った上で、記紀に書かれているとおりのことがあったかはともかくとしても、「神武東征」のモデルになった出来事はあったのではないかと思う、ということです。
 理由の第一として、これまで神武東征を荒唐無稽としてきた歴史学の常識は、紀元前7世紀は縄文時代であり、縄文時代に国家の形成は無いだろうという考えに立っていた。しかし、C14同位体原素による年代測定の結果、紀元前7世紀ごろには、畿内において稲作も始まり、金属器生産も始まっていたことが分かってきた。国家形成が起きても決しておかしくはないということになる(ただし、神武東征の時期については、上記竹田説により、西暦紀元前後だとする考え方に説得力があるように私は考えます)。
 次にかつて九州南部に住んでいた熊襲と呼ばれた人たちに対して、歴史家側の蔑視・野蛮視があった。しかし、日本社会形成における黒潮の道の重要性に着目すると、南九州は蛮族の住む未開地どころか、むしろ列島社会のなかでもっとも早く世界と接し、異文化を吸収する文化的最先進地域ということになる。ならば、そこから建国のヒーローが現れても、さほどおかしくはない、ということからです。
 なお、小路田氏は、邪馬台国所在地については、魏書における経路記述は日本海経由だと考えた上での大和説です。
 小生は古代史について、それほど勉強したわけではないので、上記小路田説が、どれぐらいの同調者を得ているのかは不知ですが、かなり説得力がある主張だと考えています。
 なお小生は育ったのは大阪市内ですが、両親は奈良県の出身で、小生も生誕地は奈良県です(真珠湾攻撃総隊長・淵田美津雄氏生誕地と同じ)。 
 自分自身が関西出身でありながら、このたび宮崎さんが訪れられた、宮崎、大分、岡山、和歌山などの地については、あまり詳しくはないのですが、東北震災の後、約2か月間に及ぶ関西での避難生活の間、大阪府内、奈良県内はもちろんのこと、それらの西日本各地も周遊いたしました。久しぶりに生駒山にも上りましたが、枚岡神社からかつては海であった大阪市内をながめると、大阪湾へ来攻した神武東征船団が幻のように想像され、神武東征の史実性を確信いたしました。
(椿本祐弘)


(宮崎正弘のコメント)生駒山の麓から鯨の骨が出土し、古代の地勢であのあたりは海だったことが偲ばれますね。
 青森の三内丸山遺跡から高さ16メートルの物見櫓のような高層構造物と想定できる遺構が発見され、これは明らかに当時の天文台。農業暦は縄文中期の5500年前にちゃんと存在していたことが立証されています。
 神武東征は、その前にモデルがあり、ニギハヤヒノミコトが筑紫からヤマトへ東遷(東征ではなく遷都)。地元の有力な豪族だった葛城氏を基軸にヤマト王権の前期が形成されていた。
したがって新参の神武天皇が生駒山を越えて飛鳥へ入ろうとすれば、既存のニギハヤヒ系のナガスネヒコが立ちはだかるのは明らかで、ここで兄のイツセが戦死します。イツセの御陵は和歌山市のはずれ亀山神社の奧に祀られています。
 ニギハヤヒはニニギより先に天孫降臨された神格。だからニギハヤヒとナガスネヒコを祀る東大阪の「いしきりさん」(石切剣箭神社)が、あれほどの賑わいを見せるのでしょう。
難波から飛鳥にかけては「いちげんさん」(一言主神社)、つまり葛城朝の神さまが祀られ、また後代の雄略朝のあとのイチヘノオシハ系が王権を継承することに
なって、この間の臨時天皇(称制)だった飯豊天皇(女帝。雄略に誣されたイチノヘオシハの妹。皇統譜からは除かれた)の御陵が、一言神社の傍の忍海にあり、明らかに葛城系です。宮内庁管轄の当該御陵の看板にはちゃんと「飯豊天皇」と銘記されています。(ちなみに大正時代の皇統譜改訂によって神功皇后も「除籍」されましたが、このお二人の女帝をふくめると、日本史における女性天皇は十人十二代となります)。
 つまり地元からみれば神武天皇は日向からきた「外来政権」であり、ヤマト王権の初期は地元豪族の連合だったとするのが、ようやく近年の歴史学の基本合意のようになったと言えます。
 実際の年代の判定は至難の業で、紀元前70年説から紀元180年頃というのが近年の歴史学の見えない合意のようです。また神武「東征」か、「東遷」かについても大いに議論がありますが、近年の論争は邪馬台国を「やまと」と呼ぶのが正しいので、それは大和にあったという説が急激に有力となってきました。
 「日本海文化圏」は、出雲、高志国が連合し、ここに出雲を追われたオオニクヌシの次男が統治したとされる諏訪が準同盟となって、ヤマト王権と対峙した。しかし、出雲国風土記はあっても、高志国風土記がないので、これ以上のことはミステリーです。
 小生はいずれ、日本海文化圏の中軸だった、この「高志国の謎」(それこそ古代史最大の謎ですが)に挑もうと考えておりますが、数年はかかる作業となりそう。いずれにせよ古代史は「言いたい放題」の世界。仮説が飛び歩き、はね回る「一人一党」の世界です。
御指摘の小路田先生の論は拝読しておりませんので、評価は留保します。
日本の歴史学の欠点は学閥の弊害と國際的レベルで言えば、考古学的な発見と年代の測定による検証結果との整合性が希薄なうえ、こじつけ、強弁による奇論、珍論も多いので、(典型が「欠史八代」を言いつのった津田左右吉ですが)、「論客」を名乗る「歴史学者」を信頼するか、どうかもたいへんにむずかしいものがあります。
海音寺潮五郎の名言を思い出します。「歴史は文学からはいるのが良い」。『古事記』はまさに文学です。
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●南洲神社と西?墓地:戦陣ならぬ西?軍の墓陣はのっしのっしと行軍しているかのごとしと江藤淳も書いた。
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