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【2020/07/31→→→2020/07/23】_φ(・_・「宮崎正弘の国際情勢解題」 🐧💦 (07/21/22/24/25は休刊です。)

✨李登輝💫元台湾総裁が天国に召されました・・・。 🙏💧🐧

▼▼李登輝・元台湾総統(台湾民主化の父)逝去▼▼
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)7月31日(金曜日)参
       通巻第6606号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「アジアの巨星」。邪悪に挑戦した「台湾のモーゼ」=李登輝元総統
  「わたしは日本人だった」。「台湾人にうまれた悲哀」と歴史的な名言残して
*************************************何回もお目にかかった。その情景が様々な感慨とともに瞼に浮かんでくる。
 1996年に台湾初の直接選挙による総統選挙が行われ、中国がミサイルを撃って脅迫を続けていた。筆者は台北にいて、総統選挙を取材していた。

巷は騒然としていた。李登輝は「国民党は外来政権」と比喩したが、蒋介石に付いてきた外省人の一部は急ぎ財産を売り払って米国へ逃げた。
町の声は「逃げたい奴はとっと失せろ」だった。

 李登輝は96年ミサイル危機を目の前にしてこう言った。
「何も心配は要らない。わたしには十八の戦略がある」。
この剛胆とも言える総統の発言に本省人の多くは頼もしさを見出し、安堵感を得た。アメリカは親中派のクリントン政権だったが、空母を当該海域に派遣し、中国はすごすごと引き揚げていった。

 96年の総統選には民進党から「台湾独立運動のカリスマ」を言われた膨明敏が出馬していた。
多くの本省人は膨明敏支持だった。しかし同時に心情的には李登輝を応援した。結果は李登輝が55%。膨は25%。残りは林洋港(旧国民党強硬派。参謀総長、首相を歴任した赫白村が副総統候補)と陳履安(無所属)が出ていたが、旧勢力は惨敗だった。

 この選挙戦で、筆者は初めて李登輝氏の輝きを見た。この人の行くところ、後光が射しているかの如きで、じつは他の候補は霞んでいた。民進党は善戦したと言える。

 前後して日本側が中嶋嶺雄教授と住友電光の亀井正夫氏の呼びかけで毎年一回、台湾と日本を交互に「アジアオープンフォーラム」が開催されていた。私は台中会議から呼ばれるようになり、取材陣に加わった。毎回、李登輝閣下は出席して基調演説をこなし、懇親会にも顔をだされることがあった。
日本側の参加者を総統府に招かれ、ひとりひとりと握手された。筆者は初めて李登輝氏と握手を交わした。手に暖かみがあった。

 李登輝はキリスト教を信仰していたが、台湾のキリスト教は一神教の風情がまったくなく、台湾の風土と道教的な馬祖信仰の伝統に被さった、独特のキリスト教である。
なかでも長老会派の勢力が強いが、戒厳令の時代、教会が、じつは台湾独立派の集まる秘密集会の場所でもあった。


 ▼守旧派と千日の静かなる闘いに李登輝は勝利した

 李登輝の使命感は「台湾のモーゼ」。邪なものに挑戦し、正義を回復する。良いものは良いと評価し、一歩一歩、確実に改革に邁進するという政治信条をもち、蒋経国急死のあと、副総統から昇格したのち、守旧派と千日にわたる凄絶な戦いを続け、ついに戒厳令を撤廃し、蒋介石時代からの終身立法委員を廃止し、総統を民意で選ぶ民選にまでもっていく。
独裁政権だった国民党は大きく動揺し、李登輝を敵視する守旧派はあらゆる場面で李登輝を妨害した。
 
 李登輝は怯まなかった。
さずがに「台湾のモーゼ」を自称し、武士道を日本精神の中核とする信念は無私無欲、そして日本との繋がりを重視し、継続発展させるには、新幹線を日本に強引に発注する決断をなした。その後のメインテナンスで、日本との関係は継続され、深化するという独特の読みがあった。
 日台の民間交流はますます活発になった。

 1999年だった。筆者は竹村健一氏を誘って、李登輝総統への独占インタビューに出かけた。印象深かったのは、同席した「お目付役」の国民党幹部らの渋面である。同席の通訳が早業のように翻訳した紙切れを廻すと「え、こんなことを言っている」「なんとまぁ、こんなことを発言しているゾ」というあきれ顔、渋面、苦渋を浮かべる国民党幹部の顔色と、悠然と自由な会話を愉しむ李登輝総統の対比的な光景を観察しているだけでも愉しかった。

 当時、李登輝のまわりを囲んだブレーンの一人が蔡英文(現総統)だった。彼女が「中国と台湾は別個のくに」という二国論を起草した。
ドイツのラジオ局とのインタビューという形で出した「二国論」に中国は猛烈に反発したが、李登輝は自信を持って対応した。筆者は直後に『諸君!』に「猿でもわかる二国論」と題した文章を寄稿した。

蔡英文女史はその後、立法委員に当選し、いつしか党の重鎮となり、2016年総統選で国民党候補を破った。

 李総統が『台湾の主張』を出版されたときは、論壇の多くに呼びかけて発起人を引き受けて貰い、オークラに1500名が集まった李登輝出版記念会。大盛況だった。


 ▼李登輝氏とはその後も何回かインタビューに出向いた

 その後、台湾へ出かける度に、李登輝氏の台北の自宅、大渓の別荘、李登輝氏主宰のシンクタンクは淡水にあったが、そこにも三回か、四回は訪問している。

自宅を訪ねたときは花田紀凱、堤堯、中村彰彦氏が一緒だった。別荘に伺った時はたしか高山正之、花岡信昭氏が一緒だった記憶がある。
別荘の地下が書庫となっていて、その大半が日本語の書籍。哲学、思想関係のほかに日高義樹氏の著作もあった。最新の日本事情に詳しい背景がわかった。

シンクタンクへの訪問は最初、ラジオ番組収録のために、ミッキー安川と一緒だったが、このときは急遽入院されたので叶わず、後年、息子のマット安川との特別番組のインタビューの時は会えた。別の機会には、井尻千男、片岡鉄哉、藤井厳喜氏らが一緒だったこともあった。いずれも筆者が台湾側と交渉し、ツアーを組んだ企画だった。

 東京に来られたときも六本木の国際文化会館で開催された後藤新平賞授賞式では楽屋に訪ねた。日本李登輝友の会の懇親会では拙著への質問があり、氏の隣に呼ばれた。

 李登輝総統との幾つかの会話で、筆者は多くを発見した。
 第一に『武士道解題』をかかれた李登輝氏の武士道理解は『死ぬことと見つけたり』の山本常朝の武士道という悲壮な世界観に立脚するのではなく、新渡戸稲造的なキリスト教的コモンセンスの世界解釈だったこと。
 第二に、三島由紀夫に関しては、おそらく情報不足からか、一度も発言がなかった。
 第三は、李登輝世代は恋文も哲学も日本語でなしたので、大正から昭和初期にかけての日本的情緒、その奥ゆかしさを体現でき、思考の基礎を日本語で組み立てることだった。それも正調日本語である。

 或る時は駐日大使(台北経済文化代表処長)のお招きで芝のレスオランに筆者夫妻、阿川弘之夫妻、竹村健一夫妻が招かれ、懇談した。席上、阿川弘之氏が李登輝総統に会いに行くことになった。そのとき阿川氏は「断じて自費で伺います」と元日本海軍将校の基本姿勢を言われたのも印象深い。

 かくして日本李登輝友の会は初代会長を阿川弘之、二代目が小田村四郎、そして現在は渡邊利夫(拓殖大学学術顧問)となって地道な活動を続けてきた。
これからも李登輝総統閣下をカリスマとして、日台友好発展のための中核的組織として継続される。毎年7月30日の命日には追悼行事が組まれることになるだろう。

     
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(読者の声1)李登輝元総統の訃報に接して
                      台湾独立建国聯盟日本本部委員長
                          王 明理
 李登輝先生が旅立たれてしまった……。こんな日が来ることは分かっていたはずなのに、いざその時が来てみると、喪失感の大きさにたじろいでいる。
 今の台湾があるのは李登輝先生のお蔭であり、今日の民主的な社会は李登輝先生の手腕無くしては有り得なかった。
小さな政策ではなく、大きな哲学に貫かれた国造り。正義感に裏打ちされた政治力。まさに世界史上に残る政治家であり、哲学者であり、いえ、どんな形容も当てはまらないような世界に一人だけの特別な存在であった。
 日本に亡命した私の父(王育徳)と、台湾に残る道を選んだ李登輝先生とは、離れ離れに生きていたが、今から約60年前に無理を押して密かに会って、一つの同じ理想を持ち、お互いがそれに邁進していくことを確かめ合った。
 台湾に民主的な理想郷を作る、台湾人の立派な国を作る。人生を賭けるに惜しくない大きな目標。なんという大きなやり甲斐のある仕事であっただろう。李登輝先生は見事にその使命を果たされた。血を流さずに、一党独裁体制を民主主義に変革したことは燦然と世界史に刻まれるべきことであった。
 人は育ち、民主国家台湾は今や世界中から称賛されるまでになった。きっと、安心して旅立たれたことだろう。国内には優秀な人材がひしめき、頼りがいのある若者が大勢いる。そして、国際的にも台湾の存在感はどんどん高まっている。きっとそれを肌で感じ取られて、幸せを感じながら立派な一生の幕を閉じられたことだろう。
 今、胸に溢れる尊敬と感謝の気持ちはどんな言葉でも表すことができない。
李登輝先生が御自身の全てを注いで下さったことが無にならないように、私たちは怠らず力を合わせて努力していかなければ……。天国からいつでも、また慈愛に満ちた笑顔で見守っていて下さることを信じて。
李登輝先生、長い間お疲れ様でした。本当に有難うございました。
   (台湾の声)
     


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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)7月31日(金曜日)弐
       通巻第6605号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~((( 読書特集 )))
*************************************加瀬英明vケント・ギルバート『新しいナショナリズムの時代がやって来た!』(勉誠出版)
室谷克実『韓国のデマ戦法』(産経セレクト)
湯浅 博『アフターコロナ 日本の宿命』(ワック) 
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~なぜ韓国人はあれほど嫌いな日本に大挙して観光にくるのか
  ゆがんだ思考回路がショートすると常識の数倍の非常識行動をとる

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室谷克実『韓国のデマ戦法』(産経セレクト)
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 悪韓論、嫌韓論、韓監論、韓国批判の先頭ランナー、室谷氏の最新作は、凄まじい内容である。
 しかし韓国人への嫌悪感はやや希薄で、全編が抱腹絶倒。哀れな韓国人というより、哀れすぎる韓国という奇妙な存在。激情と興奮と恨みがこきまざった、通常の思考回路では判断できない、頓珍漢は発想が得意芸の国民性を発揮してしまう。
 国策が反日という文在寅政権。ほかにやることないの?
ましてや安倍晋三首相が慰安婦に土下座する像を植物園に設置して「あれは日本の首相ではない」とにやにや笑いながら嘯いている。
 嘘とデマと風説に酔っぱらう。韓国の若者は米国が駄目なら、フィリピンでもサモアでも、ともかく外国に留学しないといけないという見栄のための強迫観念に取り憑かれており、兵役もあるから初任給にありつけるのは平均30歳になる。
 泥棒をしても、お前が泥ボーと叫ぶ、逆ギレの民。中国人は、もすこしユーモラスで、泥棒の現行犯でも、品物が勝手に俺のポケットに入ってきたと、理屈にならないことをのたまう。韓国は違うのだ。つねに逆ギレして恩人に罪をなすりつける性癖がある。
 韓流が、国策による韓国のイメージを高める作戦だったことは、完全にばれた。それでも日本人の若者のなかには、「ものを考えない人」がいて、韓流ドラマに嵌り、俳優達のポスターを集めている手合いがいる。ま、どこの国にも莫迦がいるものだ。
 外華内貧というのは、ようするに見栄を張る日常を送り、大手に就職しても、45歳で肩たたきに遭遇すれば、以後はラーメン屋の屋台を引いて、ほとんどが失敗する。なんと韓国がスエェーデンよりも、高齢者の自殺は世界一という。
 これらの性格的歪みがレーダー照射事件やGSOMIA廃棄に繋がる。真相は嘘の体質と見栄っ張り、つねに反日という歪みからきている。理性でものを考える習性がない、こういう韓国人と、おとなりという地理的な宿命から付き合わざるをえない。だから日本人も可哀想である。
 トランプはあきれ果てて板門店で金正恩と三度目の会見をしたときも、文在寅を同席させなかった。
 大韓航空は倒産寸前、アシアナはほかの企業の管理下にはいり、日本旅行どころではなくなった。LCCは前途絶望的。明るい展望はなにひとつない。
 なぜあれほど夥しい韓国人が『大嫌いな筈の国』に観光に来るのかといえば、韓国より物価が安いからだ。
 韓国系のホテルに宿泊し、韓国系のレストランで食事をし、外国人観光客のなかで、もっとカネを落とさないのが韓国人観光客だ。コロナで激減したが、ほっとした日本のインバウンド業界、悲鳴を挙げているのは在日韓国系のインバウンド業者だけではないかという。
 おまけに韓国では99%の若者は結婚しない。というより出来ないのだ。したがって出生率は日本より低く0・9%台。文政権はばらまき政策を敢行し、財政赤字は天文学的にふくらみ続け、それでも国民は極左従北政権を支持している。
 この破天荒な歪み、いったいどうやって落とし前をつけるのだろうか。
         
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 大激動、大変化がやってくるが「備えは大丈夫?」ですか
  アメリカ通の二人が徹底的に、日米関係の未来を語った

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加瀬英明 v ケント・ギルバート
『新しいナショナリズムの時代がやって来た!』(勉誠出版)
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 もしトランプ大統領が再選されなかったら、日米関係はどうなるか?
 バイデンは認知症だから、まともな政治判断が出来ないし、失言ばかり繰り返して周囲がおろおろしている。
そもそもバイデンには確乎たる政治哲学はなく、利権をもとめるマネーハンター。だから息子の名前はハンター(爆笑)。したがって強い副大統領と、ちゃんとした閣僚が絶対に欠かせないが、左派に擦り寄るバイデンでは、アメリカの力は衰退の一途となるだろう。
それは日本にとって不幸である。暗い、活気のない、経済も沈没となる、近未来のシナリオに結びつく。
 トランプの圧勝がコロナ前までの情勢だった。バイデンなど相手ではなかった。
 すべてをひっくり返したのはコロナである。
 都市封鎖、学校閉鎖、病院崩壊、飛行機乗り入り禁止、レストラン、カフェ営業不可。なによりの悲劇は失業の急膨張だった。アメリカは簡単にレイオフするので失業率は、14・3%という最悪の数字が並んだ。
 これで、大統領選挙の情勢ががらり一変した。
世論調査はあてにはならないが、10%の開きが続くと、誤差の範囲(5-6%)を超えている。バイデンが辛勝する可能性が出たのだ。トランプ支持のコアな部分は鉄壁だが、せっかく築いた共和党の団結に亀裂が入り、ロムニーらが反トランプの跳躍台に乗って跳ね上がり、旧ブッシュ政権の「トランプ嫌い」の面々が「トランプには投票しない」と言い出した。ネバートランパーが共和党の中に五つも六つの誕生した。この分派は、つぎはバイデンに入れようと叫んでいる。
ところで日本のメディアといえば、相変わらず、米国のリベラルなメディアの論調を鵜呑みにして、ニューヨークタイムズを単に翻訳しているに過ぎない。
したがって、現況判断ではとてもトランプに勝ち目はないという安直な予測がはびこっている。
 このメルマガの愛読者なら、きっと記憶されているだろう。四年前の大統領直前、99・99%の米国メディアはヒラリー当選を、満腔の自信をもって、予告していた。
 投票日の二日前に小誌は書いた。
 「トランプ、逆転満塁さよならホームランの可能性高まる」と。

 戦後、現職で再選されなかった共和党の大統領はフォードと、ブッシュ・シニアである。戦前も含めると、大恐慌に遭遇して、FDRにまさかの勝利をゆるしたハーバート・フーバーである。
民主党をふくめると戦後はカーターがレーガンに敗れた例がある。
 フォードはニクソンの不人気が尾を引いたし、途中から副大統領に指名され、いきなりの最高指導者への昇格だったので、選挙の洗礼を受けていなかったことが響いた。
 ブッシュ・シニアが敗れたのは、伏兵ロス・ペローが独自候補として出現し、19%の共和党の票を浚ったため、漁夫の利がビル・クリントンに転がり込んだ。

 ビルが言ったではないか。「STUPID IT‘S ECONOMY」と。
 こんどは「STUPID IT‘S JOB,JOB,JOB」だろう。
 となると、パンデミックが最大の問題である。 
 だから原則的な予測では八月末までに大幅な経済再活性化、雇用の拡大と失業率の劇的な低下にトランプは死力を尽くすことなる。経済が好転すれば、トランプ再選の可能性がぐんと高まるだろう。

 さて前置きが長くなったが本書の内容である。
 各州の人口構成や産業状況などから細かな分析があり、ミシガン、ペンシルバニアなど勝敗の分かれ目となる選挙区の情勢が説明されているが、このあたりは状況が変化するので、拘泥することはない。
 「武漢ウィルス」で露呈した日米の弱点とは製薬、とくに抗生物質と医療用マスク、機材、保護服などを中国に依存していたことだ。インドへの代替案も言われたが、インドのジェネリック製薬も中国から原料を輸入している。
 加瀬氏はさらに日本の柩はほとんどが中国からの輸入で、数ヶ月もすると柩が不足すると警告している。だから二人の結論は、これらも自国で生産するべきで、ギルバード氏は「騒ぎが落ち着けば、米国での生産を義務づける法律ができる」と予言する。
 加瀬氏は1932年選挙で、フーバーが当選していれば、本格的な大恐慌は防げたし、日米戦争はなかったと指摘し、もしバイデンが選ばれたら、世界は真っ暗、不況は長引くと予測する。
 ギルバード氏は、「トランプが勝たないかもしれないけれども、バイデンは勝たない」。この意味は「バイデンが勝つはずはありません。ただ、コロナウイルス問題の対応次第で、トランプが負けるかも知れない。(中略)国民が積極的に彼を選んだ結果にはならない。したがって、今回の選挙は、トランプにリーダーシップに対する審判でしょう」
 米大統領選挙まで、あと三ヶ月あまり、おそろしい結末を回避できるか?
    
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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~米中対決は「自由」vs「専制」という価値観の戦争だ
  中国は手負いの龍となって、ますます凶暴化するだろう

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湯浅博『アフターコロナ 日本の宿命』(ワック)
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 米中戦争は、どこからどうみても、「ルビコン河をわたった」
 「トランプ政権はもう引き返せない」とNYタイムズが報じた(2020年7月25日)。
本書の眼目は、もはや米中対決は、その既成概念を越えて、「自由」vs「専制」という価値観の戦争だとする湯浅史観が基調になる。だから「中国は手負いの龍となって、ますます凶暴化するだろう」と予測する。
 評者(宮崎)のみるところ、ニクソン記念図書館で注目の演説をしたポンペオ国務長官は「敵は中国共産党であり、中国国民ではない」と党と国民を明確に峻別した。そのうえ、習近平を「主席」といわず「総書記」と呼称した。歴然と区別しているのだ。これはポンペオ、ならびにペンス副大統領の演説に共通する。
 米国は対中スタンスで一枚岩ではないが、アンチチャイナという基本姿勢は一致していて、ニュアンスの違いは強硬派か、もっと強硬派かという温度差でしかない。意外にもいちばん穏健なのは、じつはトランプである。
 ならばボルトンが去って、誰が米国の対中外交をリードしているのか。湯浅氏は次のするどい指摘をしている。
 「トランプ政権は『中国が支配する世界』になる前に、アジア地政学の中で増殖した彼らの不行跡をとめるのは、いまが最後のチャンスと位置づけている。コロナ危機以前から、トランプ大統領自身の最大の関心事が、貿易赤字と2020年秋に受けた大統領再選にあっても、ペンス副大統領はじめ政権を支えるタカ派高官たちは、大統領を立てつつ中国と覇権を争う真剣勝負にでていた、アメリカ政府は、中国が国際秩序の中で、穏やかに貢献する大国になるよう期待したが、中国の不法行為と不作法の数々は、ついに彼らの我慢の限界を超えた」(56p)
 以下、評者のみるところ、経済的な助言はクドローとナバロ、そしてアーサー・ラッフェーである。この三人は四年前の選挙中、手弁当でトランプタワーに駆けつけ、何回も討論を重ねてきた仲間である。
 閣内はポンペオ、ペンスだが、司法長官も、CIAも発言の記録を辿ると強硬である。
 連邦議会は上院でマルコ・ルビオ、テッド・クルーズ議員らが目立つけれど、中国擁護の議員は誰もいない。民主党は経済封鎖より、「人権」「人権」の念仏を唱え、それに輪を掛けてメディアも「人権」、「民主」が優先し、とくにウイグル問題が焦点となる。
 総括すれば、米中戦争は、もはや米中対立ではなく、民主主義vs全体主義の戦争。価値観の激突だ。 
 湯浅氏はこうも予測される。
 「歴史上、巨大権力を握る人間の傲慢さは、九分通り愚行を冒すものである。まして全体主義がもつ『文明の不作法』は、行き過ぎれば自滅を招くことになる。キューバ危機で核戦争の恐怖をまねいたソ連のフルシチョフ第一書記が解任されたように、香港や台湾への武力介入を行えば、習主席もまた失脚の憂き目を見るだろう」
 当たって欲しい予測である。
      
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(読者の声1)サプライチェーンからのシナ離脱は製造業の米国、ベトナム、インド他への移転に追い風ですが、今回のドル安は、特に製造業の米国回帰に大きな追い風になります。
 トランプが戦略的に、製造業の米回帰を狙って、シナの封じ込めをやったかのような印象さえ受けます。そしてそれを待っていたかのようなドル安。見えざる手か?
 そして新たな米国工場ではAIをフル活用させるでしょう。今後のアメリカの工場ではAI操作能力を持った人材が主に工場での労働者であって、そうではない単純労働者の雇用はぐんと落ちると予想します。
 したがってAIが主導する工場は教育レベルが高いアメリカでなければなりません。ASEANではAIを操作できる人材に不足します。アメリカ製造業の労働生産性は今後5年で急上昇を予想します。
一方、AI工場に不向きな労働集約・単純・低付加価値業種(アパレル、ワイヤーハーネス、プラスチック等)はベトナムをはじめ、インド、バングラ、ミャンマーということになるでしょう。
設備過剰だった世界から、シナの大設備が抜け落ちたのですから、アメリカ製造業にとって大きなチャンスです。日本の設備投資関連企業はおこぼれをいただけるかもしれません。
日本企業だって内部留保ばかりやっている場合ではないのでは?AIで究極まで合理化された工場が必要では?配当せず、設備投資せず、給料上げずで内部留保ばかり増やしても付加価値は増えません。   (R生、逗子)

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(読者の声2)台湾の李登輝元総統が死去のニュース。氏の業績や日本との関係などいまさら触れるまでもない。米中対立が深まるなか、弔問外交はどうなるのか。日米を中心とした自由・民主を旗印にした国とそうでない陣営がはっきりするのかもしれません。
 中国関連のニュースといえば南米エクアドル沖のガラパゴス諸島周辺海域でサメの乱獲をしているとか。もっともフカヒレの材料になるヒレだけ切り取りあとは海に捨ててしまう。昔の白人の鯨油だけとって残りは捨ててしまう鯨の乱獲と同じ。神に選ばれし民という白人と世界の中心である中華という中国人の精神性はよく似ている。
 香港・マカオ・バンコクどこでも高級中華の店は大きなフカヒレのディスプレイが目に付きますが「中華一番」というマンガにもフカヒレ勝負が出てきます。
清朝末期を舞台にした料理漫画ですが、ある街では一流店だったはずのフカヒレの店が落ちぶれている。特級厨師を名乗る男が金にあかせて高級部位を買い占めたため他の店はクズフカヒレしか手に入らずなすすべもない。コロナ騒動のマスク買い占めを彷彿させます。マンガではフカヒレは背ビレ、腹ビレ、尾ビレの順に高級だという。
 主人公の天才少年料理人マオは料理勝負でクズフカヒレであっても斬新な発想と高度な技巧で最高級フカヒレを買い占めた料理人を打ち負かすという話。日清戦争で物量に勝る清国の軍艦に機動性と正確さに勝る日本軍が勝利したのと同じだなあと。特級厨師を名乗る男が実は偽物で主人公のマオが本物の特級厨師というところも日本の漫画やドラマの勧善懲悪定番ネタ。

 韓国の土下座像の騒動ではいつもの韓国らしく逆ギレしています。土下座の安倍総理ばかり見ていて気が付かなかったのですが、保守速報を見ると慰安婦像の表情も髪型も既製品ではなかった。
https://hosyusokuhou.jp/archives/48883606.html
 関連記事を読むと作者は日本大使館前の慰安婦像とは別の人物。そのうち元祖慰安婦像作者からパクリはけしからんと訴えられてもおかしくはないですね。
  (PB生、千葉)

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(読者の声3)宮崎正弘先生独演会『米中激突、鎖国ニッポン、さようなら習近平』
https://www.kokuchpro.com/event/a802defef41c3c2d09302832ba5314d0
       記
【日時】令和2年9月5日(土)14時30分~16時30分(開場:14時)
【会場】文京区民センター2F 2-A会議室(文京シビックセンター向かい側)
交通:都営三田線・大江戸線「春日駅」A2出口から徒歩10秒、東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」5番出口から徒歩3分
【参加費】事前申込:2000円、当日申込:2500円、事前申込の大学生:1000円、高校生以下は無料
【申込先】9月4日21時迄にメール又はFAXにて下記で受付(当日受付も可)
     FAX 0866-92-3551 E-mail:morale_meeting@yahoo.co.jp
【主催】千田会 https://www.facebook.com/masahiro.senda.50
       https://twitter.com/Masahiro_Senda
【参加される皆様へお願い事項】必ずマスクを持参し、ご着用して頂きます様お願い申し上げます。発熱などの症状がある方は来場をご遠慮ください。予防的な観点を熟慮し、マスクの正しい着用、手指消毒・衛生的手洗いなど十分な対策を各自で行って下さい。
 なお、コロナ感染防止のため、講演会終了後恒例の懇親会は御座いません。
     


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)7月31日(金曜日)
       通巻第6604号  <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~社債の償還時期に重なり、無理矢理の景気刺激を続ける中国だが
  地方政府の債務、どうやら1000兆円を突破してしまったようだ
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 小誌はこれまで中国の地方政府債務を邦貨換算でおよそ840兆円前後と見積もってきた。無駄な投資を展開し、将来に返済が不可能と知りながら、地方政府は社債を起債してきた。これを「隠れ債務」、もっと分かりやすく言えば貸借対照表の「資産」の部が、不良債権だらけの粉飾決算が提示され続けたのである。

国有銀行は「融資平台」という曖昧な金融機関へどかどかと資金を流し、その「地方債」の起債によって、建設プロジェクトを推進し、ひたすらGDP躍進に貢献してきた。
このスキームはすでに多くのエコノミストも追認してきた事実だ。中国各地のゴーストタウン、誰もいないショッピングアーケード、進出企業のない工業団地、車より熊の出没の多い高速道路などに化けてきた。
立ち退かされた農民の悲劇も繰り返されてきた。

全人代で李克強首相が認めた数字は「月収が1000元(15000円)以下の国民が六億人」。まさに「国進民退」という衝撃的な数字がなによりも雄弁に中国経済の裏の実態を物語っているではないか。

2019年の新規地方債起債が4兆4000億元(邦貨換算=66兆円)。2020年上半期だけですでに同起債額は3兆3000億元(同=50兆円弱)。この資金は、無理矢理拡大して強行している土木建設工事に廻され、それは必然的に鉄骨、セメント、建材の生産増に繋がり、コンクリードミキサー、シャベルカー、クレーン、ブルなどがフル稼働し、現場労働者、運転手、資材管理などに雇用を産む。したがって統計上は、GDPの増大に人為的に繋がり、「第二四半期は3・2%成長、中国は『V字回復』だった」という政治宣伝に直結することになる。

 内蒙古省の包商銀行の倒産、国家による救済に端を発した地方銀行の経営危機は錦州銀行などに波及した。
ほかに証券会社では新時代証券、国際証券、保険では天安財産保険など四社、信託では新時代信託、新華信託。そして先物取引の国盛期貨など、明天系の九社は国有化された。これらはいずれもが香港の豪華ホテルにガードマン付きで暮らしていた明天集団のボス、蕭建華がある日突然、中国に拉致されてからの『金融事件』である。
 
 江蘇省常州市、貴州省遵義市、遼寧省営口市などでは、債務不履行すれすれが噂され、償還期日直前に面妖な資金供給がなされて倒産を免れている。中央政府が救済したとしか考えられない。したがって地方債の財務残高は邦貨にして1000兆円を越えていると推定されているのだ。

 IMFが2019年7月に発表した中国の債務はおよそ40兆ドルで、GDPの303%(前年は297%だった)。これは世界全体の15%を占め、さらにGDP成長率が低下している一方で、政府支出を増やし続けているのだがら、現在はもっと悪い数字になっているだろう。


 ▼ならば鳴り物入りだったAIIBはどうなったか?

 IMF世界銀行のSDRに認められた中国人民元が国際取引に決済通貨として機能しているのは1・7%。ドルユーロ、日本円で全体の85%である。ほかにスイスフランなど。
 中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)を大音響の政治宣伝とともに立ち上げ、発展途上国のインフラ整備に資金を供給するとして、資本金1000億ドルを謳った。

西側からは英国が一番乗り参加を表明し、いまでは百二ヶ国がAIIBに加わり、日米両国は参加を見送るという正しい判断をしたが、国内では『バスに乗り遅れるな』と騒ぐパンダハガーがいた。

 開業から五年、金立群総裁の任期が切れるので、年次総会がテレビ会議で開催された。
報告では融資額が200億ドル(ところが実際の融資実行は22億ドル)。発足から二年は「ADBとの協調融資」だったが、2018年から「単独融資」が増えたと金立群総裁は強調したが、たとえばカンボジアの光ファイバー網建設に7000万ドルとか、融資金額が小口である。

 融資実績は「予想の半分だった」としたが、ちょっとまった。「資本金1000億ドル」じゃなかったの?
 AII場の2019年末の純資産額は216億ドル、起債は25億ドル(つまり資本金は四分の一しか集まらなかったようだ)。融資残高は22億ドル、融資承認額が120億ドル(2016-19の実績)。可笑しいというより、これらの「実績」から推して、実態は凄まじく怪しいのである。

     
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2110回】         
 ──「ポケット論語をストーブに焼べて・・・」(橘70)
「中國共産黨の新理論」(昭和3年/『橘樸著作集第一巻』勁草書房) 

     △
 では、なぜ?介石が「資本家勢力の過度の膨脹を牽制する」ような行動に踏み出せなかったのか。それは彼が孫文の忠実なクローン人間であり、その孫文自身が清朝打倒後の国家建設に向けての具体的な全体像を描いていたとは到底考えられないからだ。

 つまり北一輝が「孫逸仙の根據なき空想」と揶揄したように、孫文は終始一貫して『カラッポ』だったに違いない。だから孫文のクローンに、一貫した政治哲学を求めるのはムリな相談というもの。?介石もまた『曖昧模糊たる渾沌』だっただろう。

 日中戦争中、中国戦線米軍司令官兼?介石付参謀として近くに在りながら?介石とは決して心を交わすことのなかったスティルウェル将軍は、?介石を徹底してこき下ろした。その一例を彼が著した『中国日記』(みすず書房 昭和41年)で拾ってみると、

 ──「ピーナッツ」「小男のでくの坊」「小男の成上がり者」「握り屋で、偏屈で、恩知らずのがらがら蛇」「愚鈍で強情」「チビのばか野郎」「底抜けの愚鈍さ」「小さながらがら蛇」「ゲシュタポと党諜報機関によって支えられた一党政府の長」「強欲、汚職、えこひいき、増税、幣制の崩壊、おそるべき人命浪費、あらゆる人権の冷淡な無視」「名義上の頭首」「その資格と業績に比して度はずれなアメリカでの宣伝によっておしたてられている」──
この悪罵の羅列は同將軍の狷介な性格にも起因するだろうが、「名義上の頭首」との形容が象徴しているように、やはり?介石は『軽い神輿』だったということか。

 1920年代末以降の?介石の歩みを、当然のように昭和3(1928)年に「?介石」を記した橘が知る由もない。
だが、?介石は国家の指導者としては「名義上の頭首」でしかなく、一貫して孫文のクローン人間であり、個人的行動は「唯共産黨員及び左翼的國民黨が孫文の遺産たる國民黨を亡ぼすであらうと云ふ獨斷に出發した義憤及び特別の負けぬ氣」に支えられたことを正確に掌握できていたなら、満州事変前後以降の我が国の対中政策も違った路線を歩むことができたのではないか。

 あるいは、その後の?介石の行動──西安事件前後の不可解な行動、国共合作による抗日戦争、汪兆銘と同政権関係者に対するコンプレックスの裏返しのような執拗極まりない冷酷な仕打ち、国共内戦敗北を機とする台湾への逃避以後の「一つの中国」への強い拘り、「中華民国」という国名への固執、国連からの『栄光』の脱退など──を振り返った時、客観情勢に逆行する不合理極まりない判断、無理に無理を重ねたような軌跡が「孫文の遺産たる國民黨を亡ぼすであらうと云ふ獨斷に出發した義憤及び特別の負けぬ氣」によって支えられていたのだろう。
ナンとかの一つ覚え、とまで言わないが。

 たしかに国家指導者としての?介石の一生には毀誉褒貶はある。だが、孫文の「忠實にして謙?なる弟子」として人生を見事なまでに全うしたと言っておきたい。決して皮肉ではなく。その孫文亡き後の空白を宋美齢が埋めた、ということか。

 それにしても、である。満州事変前後以降の我が国における対中政策担当部署が?介石の「正体」を孫文の「忠實にして謙?なる弟子」であると見抜いていたなら、我が国が大陸の広大な泥沼に引きずり込まれ悪戦苦闘を強いられることもなかったろうに。

 孫文、?介石と重ねれば次は毛沢東となる。そこで橘が毛沢東をどのように見ていたかを知りたいところだが、残念ながら毛沢東への言及は極めて少ない。それというのも橘が関心を持っていた当時の共産党において毛沢東は主流ではなかったからだ。

 現に我われが接する共産党の歩みは、毛沢東正統史観に基づいて粉飾・誇張が加えられている。そこで同時進行で変化する共産党に対する橘の分析を通して、「毛沢東以前の共産党」を捉え直すと共に、当時のチャイナウォッチャーの眼力の程を見てみたい。
      
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(読者の声1)貴誌にあった金価格の急騰ですが、ゴールドマンサックスは2200ドルまで上昇すると予測しているようです。宮崎さんの予測は?
    (HD生、杉並区)


(宮崎正弘のコメント)小生は、そういう予測はしませんが、プラウダによれば、4800ドルに吹き上げるとか。ロシアは金備蓄が多いですから、外貨準備が膨らむことを期待してのアドバルーンでしょう。
 中国もいつの間にか金備蓄が3000トンと豪語していますが、ウォール街に上場した中国の金属加工の会社が資産担保としていた金塊は、金メッキの偽物でしたね。これが、あることを象徴していませんか?
 いずれにしても、日本の金備蓄は740トン程度。少なすぎます。

      


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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)7月30日(木曜日)弐
       通巻第6603号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「中国から撤退し、アメリカ企業は回帰せよ」とトランプの掛け声は勇ましく
   しかし撤退企業は米国には戻らず、ベトナム等へ移転先を変えていた
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 ホンハイ(鴻海精密工業)は2017年にウィスコン州に新規工場をつくるとして、鍬入れ式にはトランプ大統領が直々に駆けつけ、テープカット。そして工場は出来たが、つくっているのはマスク。謳われた五千人の雇用は、現時点で500人。

 台湾のTSMCはアリゾナ州に120億ドルを投じ、新工場を創設する。まだ起工セレモニーにはいたらず、現地の雇用の展望は聞かれない。

 韓国のサムスンは米国内で需要が高い電気洗濯機工場を稼働させているが、工程は殆どが自動化され、ロボットが生産しているため、雇用はわずかに800名である。

 米国企業の中国進出は過去30年間にわたって時間を掛けてなされた。これを一晩で米国に復帰できるわけもないし、また工賃の、彼我の差は解決不能である。結局、中国から撤退した米国企業はベトナムなどへ移転先を変えている。「リショア・イニチアティブ」(RESHORE INITIATIVE)というが、まさに目的地が産業によっては異なっていた。

 一方、台湾企業は中国から迅速なる撤退作業を展開中だが、米国へ進出するのではなく、このところ、インドへ振り向けている。
アップルに製品を供給する「ペガトロン」社は448億ドルを売り上げているが、主力をインドへ移管する。インドへ進出の台湾企業は2019年末までに140社.TECOやデルタエレクトロニクスが含まれ、労賃が中国より15%安いことと法人税が30%から22%になったことを歓迎、チャンスと捉えた。

こうした現実の中で、注目すべき動きがワシントンにある。
マルコ・ルビオ上院議員とリズ・ウォーレン(民主党上院議員、つい三月までバイデンと大統領予備選を戦った)が、なんと超党派の法案を提出したのだ。
それは製薬、医薬品の生産を米国若しくは同盟国へ移す「医薬製薬サプライチェーン再考法案」で、7月1日に提出された。日本の製薬企業にも直接的な影響力をもつ法案だけに、今後注視が必要だろう。

     
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(読者の声1)貴誌6600号金価格の暴騰に関してですが、ゴールドはリーマンショック後の高値1980ドルを抜けるのは確実な一方で、基軸通貨のドルは下落トレンドが明白です。
つまり通貨への信認が低下している。ドルインデックスとはドルを他のハードカレンシー(主に、ユーロ、円、ポンド他)の通貨バスケットと比較した指標で、ETF(上場投信)もあります。ティッカーはDXY。DXYには下落トレンドがでています。
ゴールド高の原因は、FRBをはじめとする各国中央銀行による人類史上初の巨大量的緩和です。金産出量は足し算でしか増えませんが、中銀は通貨を指数関数的に増やしていますから、「金価格≒世に出回るマネー総量÷金総量」で右辺の分子が強烈に増えているわけです。
ゴールド高→ドル安→日本で円高→輸出産業不振→貿易収支悪化→給料減→消費減という連鎖の可能性が高いのは残念。ケインズ的に財務省が財政支出しない限り、この負の連鎖は続くでしょう。これを止めるには財政支出しかないです。
しかし個人的には次に景気浮揚したときには、かなりのインフレが発生するような気がします。それを避けるには「株価暴落→マネー消滅→マネー総量の調整」で先進国の人々は厳しい期間をすごすしかないのではと考えます。
コロナ後、株価は元のさやに戻っていますが、本当にこれで下げは終わりか?疑問です。
ところが、あまり株価が下げると、11月3日の大統領選でトランプ大統領の不利になり、民主党の副大統領が重要になりますが、ディープステートの意のまま。
それは日本にとっては「地獄の始まり」になるかも。ディープステートは米シナ戦でシナがアメリカ企業に有利なように負け、第一次大戦後のドイツの ごとく疲弊したシナの利権や不動産を買い叩く(ユダヤ人は海外から資金を集めてドイツの土地を買いまくり、反ユダヤ主義を強化した)でしょう。
日本に対しては、戦後の統治が永久に続き、独立は遠のきます。大統領選にはトランプにぜひ勝ってほしい!
参考、ドルインデックスのETFチャート
https://www.marketwatch.com/investing/index/dxy
ゴールドのチャート
https://www.bullionvault.com/gold-price-chart.do
   (R生、逗子)

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(読者の声2)ウクライナでは平野貴志氏が現地メディア邦訳に努めておられます。氏は観光に留まらない深いウクライナ案内邦字書籍を上梓され、読まずば欧露土を語らるべからざる程の好著です。
 最近のウクライナからの報道、次の転載のとおり支那通商活性化企図とのこと。隣国チェコとは文化の相違なのか、国民の矜持よりも実利を採る様子です。うまく支那を操縦出来るよう念じます。香港民の避難地として仮装、香港知財を蓄積する狙いでしたら大した振舞なのですが。
 ゼレンシキー大統領、中国国民向けの期限付き査証免除体制を施行28.07.20ウクルインフォルム大統領令には、「2020年8月1日から2021年1月31日まで、観光目的でウクライナへ入国する中華人民共和国国民のために、ウクライナ滞在期間が180日間中30日間を超えない場合の、ウクライナへの渡航とウクライナ領トランジットの際の査証を免除する体制を施行する」と書かれている。
 大統領令にはまた、ウクライナと中国間の友好関係の発展と二国間の観光分野の活性化を目的とする、と書かれている。
  (熊本護国生)

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(読者の声3)とびっきりの講演会のお知らせ

とき   令和2年8月27日(木)PM600~
ところ  神奈川県民サポートセンター3F 304号会議室
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/u3x/cnt/f5681/access.html
(JR横浜駅西口徒歩3分ヨドバシカメラ裏)
演題  「中東の大国イラン」
講師   駐日イラン大使 モルテザ・ラフマーニ・モヴァッヘド 大使
定員   先着80名(要予約)
問い合わせ先 045-263-0055
    (時事問題調査会)

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(読者の声4)知られざる美談があります。
https://seijichishin.com/?p=43258
   (山本二郎)

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(読者の声5)日本維新の会所属の元参院議員・藤巻健史氏が、本日(7月29日)のブログで次のように述べている。
「世界が相続税を無税化・軽減化しているのに日本だけは重税化。機会平等ではなく結果平等を目指している社会主義国家」
 しかし、少なくとも、相続税の重税化が、機会平等に反して結果平等に向かうものだという論理は、少しおかしいのではないだろうか。
 所得税の累進度を強化し、重税化するというのならば、「機会平等ではなく結果平等を目指す」ことになろう。 しかし相続税重税化が、どうして「結果平等を目指す」ということに結びつくのだろうか?
 生きている間に稼いだお金に所得税がかかり、死んでからも相続税がかかるのは、二重課税であり、不公平だとするのが米共和党の伝統的な考え方と言われるようだが、藤巻氏の考え方は、私にはその論理を理解できないが、米共和党のものに近いのだろうか。

 しかしながら、相続税を無税化・軽減化するならば、資産家に生まれた子弟は、その「生まれ」の偶然性のみによって、被相続人(通例は親)の生存中に富裕な親からの恩恵を享受できた上に、親の死後も、その財産を相続人本人は(配偶者は別論であり、親の財産形成に「寄与」している子である場合は別としても)何らの努力もなしで承継できることになる。
これは社会主義的などというイデオロギーを捨象しても、「機会平等」に反するのではないだろうか?
藤巻氏は、子息も国会議員にして、議員の地位も「世襲」させるつもりのようだが、私は世襲議員は認められるべきではないと考える。世襲議員に対する非難など、イデオロギーとは関係がないのではないだろうか?

 田中二郎『租税法』(1968年)では、相続税は、課税体系上、「遺産税」(被相続人の遺産額を課税標準とする)と「遺産取得税」(相続人の取得した遺産の価額を課税標準とする)があり、英米では遺産税制度を採用、わが国では、戦後は遺産取得税制度を採用しているとして、次のように説明している。
「遺産税は、被相続人の遺産に対して累進税率で課税することにより富の集中抑制の効果をもつ。被相続人の財産の蓄積は、被相続人個人の経済的手腕に負うところ
が大きいが、同時に、社会一般から受けた利益も大きいので、相続を機会に遺産税の形でその利益を社会に還元すべきものとされる。また、被相続人の財産の蓄積の
なかには、被相続人の生存中における各種の税制上の特典の利用、租税の回避等による租税負担の軽減によるものも含まれており、相続を機会に租税負担の清算を行うことにも、遺産税の根拠があるとされている。これに対し、遺産取得税は相続という形で行われる遺産の偶然な移転による不労所得に対する課税で、特殊の形態の所得税ということができる。また取得した財産を基準にして累進課税を行うことにより、担税力に即した課税を行うことができ、取得者の段階における富の集中排除の効果もあるとされている。」(426)

 以上、「一般論」として述べたが、実は、最近、「自分自身の相続」を考える機会があり、その結果について愕然としている。というのは、最近(2015年)、相続税制が変わり、その基礎控除額が「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」となったことは承知していたが、自分のような貧乏人とは無縁の話だと思い込んでいた。しかし東京都内で不動産を所有しているならば、3000~5000万円程度の評価額となることは、ごく普通であるから、東京都内などでは、ほとんど全ての不動産が相続税対象となってしまっているのではないか。
あらためて考えてみると、自分のように、裕福でもない家庭で育ち、終生にわたって、高額所得とは全く無縁で、低レベルの清貧(というより貧窮)生活、低所得者生活を送ってきたような者(現在、低年金のため、所得税、住民税は非課税。不動産を所有できたのは、たまたまの幸運によるもの)の資産についてさえも、不動産を所有しておれば、相続税課税対象となってしまうことになる。
 国の借金(赤字国債)が、民間人の負債と異なる点は、国については、将来の徴税権が担保されていること、または、実質的に通貨発行権を持つ、ということであろうから、膨大な赤字国債の累積は、将来における現実の増税か、実質的な増税(通貨発行増、インフレ化)によって解消されざるを得ないだろう。
 このように考えるとすれば、そして、法人税増税、所得税増税・累進強化が、社会経済的、政策的に問題があると考えざるを得ないとすれば、社会経済の活性化を維持していくためには、まだしも、(自分のような低所得者の相続人でさえも)相続税重税化(基礎控除額引き下げ)を甘受しなければならないということになろうか。 
ただしその結果としては、一般論として今後は相続税支払いのための相続不動産売却が増加すること、それによってかつての家族にとっての共同生活の場であった所、追憶、追慕を引き起こす媒介的物体が消滅していくのであるから、一家族の単位としてもその伝統文化の破壊が進んでいくことは必然ではないだろうか。
移民などを安易に導入すれば、相乗的に、社会全体として伝統文化破壊は急速に進んでいくのではなかろうか?      (椿本祐弘)


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)7月30日(木曜日)
       通巻第6602号  <前日発行>
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ペンシルバニア、ウィスコンシン、ミシガンは接戦州
  ネバートランパーたちが共和党内をかき荒らしている
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 RVAT(REPUBLICAN VOTER AGANIST TRUMP=共和党員だがトランプに投票しない運動)を組織したのはジャック・スピエルマン(元陸軍サイバーセキュリティ・エンジニア)だ。
かれは一貫して共和党支持だったが、トランプが陸軍中将ヴィンドマンを解任して以来、バイデンに投票することを決めたばかりか、ほかの共和党支持者にもおなじ投票行動をおるように呼びかけ、五月にRVAT運動を始めた。

 六月、もっと大がかりな「リンカーン・プロジェクト」が始動する。
 これはブッシュ政権の高官が中心となって、かなり広範な呼びかけが行われており、ミット・ロムニーやジェブ・ブッシュといった、トランプに個人的に反感の強い人脈が母体となっている。

 もうひとつ、元ブッシュジュニア政権を担った共和党員たちが集合し、「アルミネ43」が結成された。
さらには「ブレイブリー・プロジェクト」が発足した。これら四組織以外にもトランプ反対運動が共和党員によってなされており、いずれも共和党支持者だけれども今回はバイデンに投票しようと、共和党のPACリストを元に、共和党集票マシンの分断を図る。共和党の選対から見れば分裂主義、裏切り者と映るだろう。

 すでにコーリン・パウエルや、アーミティジらは四年前にも50名が連名でヒラリーに投票するとして露骨なトランプ当選阻止を狙ったが、こんかいも同様にバイデンに投票することを呼びかけている。
 この動きに同調する共和党有力者が微増しているという。

 かれらはブッシュ親子がそうであるように民主党と深い根では繋がる、いわゆる「ディプステーツ」であり、もし民主党政権ができても、国防長官と財務長官は共和党系で占めるという伝統的な流儀にしたがっているように推測できる。

 年初まで共和党内のトランプ支持率は90%あって磐石だった。党内の反トランプの分派は、ごく少数で資金も集まらず、吼えるだけの存在として、まったく無視された。
 
 コロナ災禍で状況が激変した。
 共和党内でトランプ反対(ネバートランパー)と言われる人々が急増するようになった。 党内でトランプ支持が78%にまで急落した。これは失業率の増加に比例した。

 とりわけペンシルバニア、ウィスコンシン、ミシガンは前回トランプが辛勝し、ここでヒラリーをひっくり返したが、2020年大統領選挙では、この三州をうしなうとトランプは極めて危ない情勢となる。

 ネバートランパーらは、この三州に集中する行動に出た。集まった資金の大半を、テレビCMに注ぎ込み、バイデン支持に乗り換えるよう共和党支持者に訴えるという想定外の政治宣伝を始めたのだ。

 ネバートランパーの組織にはウォール街の非主流派や、ニューヨークのファンド筋から10万ドル単位の資金が寄せられ、RVATは1300万ドルを集めて、勢いづいた。彼らは同時に、選挙に弱い共和党議員への攻撃も開始した。

 メイン州のスーザン・コリンズ、コロラド州のコリー・ガードナー、モンタナ州のスティーブ・ダイネス(いずれも上院議員)。トランプ政権は、現在上院が過半数ゆえに助けられているが、上院が民主党多数派にひっくり返ると、防衛外交政策に反対がなされ、政策実現が流動的となる。
 それもこれもあれも、みんな武漢ウイルスの所為だと中国への反感はますます募る。

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(読者の声1)あれほど異論の多かったMMTが武漢ウイルスの件で世界を席巻しだしたと言っては言いすぎでしょうか?
それなのに経済の専門家はなぜかダンマリの様子です。
 そこでこれからの世界経済をMMTが主導することを予想し、私はMMTのメカニズムを素人の目で、且つ自分の頭で検証してみようという気になりました。
 A)まずMMTとは何かについてですが「奇跡の経済教室」(中野剛志著 KKベストセラーズ)には下記のような説明になっています。
(1) 政府は通貨を決定する。(2) 国民にその国の通貨単位で計算された納税義務を課す。(3)政府は通貨を発行し、租税の支払い手段として定める。
以上から通貨には納税義務の解消手段としての需要が生じる。こうして人々は通貨に額面通りの価値を認めるようになり、その通貨を民間の取引の支払いや貯蓄などの手段として利用するようになる。こうして通貨が流通するようになる。

B)以上を起点として、わたしは以下の如く考えを巡らせて行きました。
1)と云う事は・・・政府は自分が必要とする通貨を自分で印刷している。誰も無から有を生み出せない。つまり政府は自分で通貨を印刷することで価値を創造しようとしているのではなく、通貨を富(価値)を徴収する手段とみなしているのだ。→
 2)と云う事は・・・通貨の価値はその国内・社会で”流通”している価値と同一以上である事、つまり通貨の額面より富の価値は低くあってはならないと政府は考えるはずだ。→
3)と云う事は・・・通貨は少なくとも額面通りの価値(富)を運んでくれない(吸い上げてくれない)と政府は困るのだ。→
 4)と云う事は・・・「きちんと通貨が価値を政府に運んでくれる(吸い上げてくれる)限り、国民に納税を求める必要はない。つまり通貨価値の下がるインフレは政府にとって好ましくない。→
 5)と云う事は・・・政府は一方で通貨を増刷し続けることで通貨価値を下げてしまうインフレ策を実施していることになり、これは矛盾である。→
 6)と云う事は・・・通貨を印刷することで、インフレという欠点を補う十分なメリットが無くてはならない。それには「通貨増刷に伴い、人工価値(実社会における富)の増大を促す」ための何らかのメカニズムが用意されねばならない。それは「インフレ率<経済成長率」と云う事だろう。
 7)このスタンスは政府ばかりか民間も同じだ。インフレでもそれ以上の人工価値(富)の増大が得られるのであればこそ、「無税国家」の恩恵がえられるはずだ。(補足)仮に価値総量と通貨量が一定(仮にそれぞれ100とする)の国家では、政府が100通貨量を増やせば、国内通貨量は200になり、それ以前に国民が有していた100通貨に相当していた価値量は半減してしまう。つまりこの場合経済成長で価値量が100増えて200になればこそ、国民の保有していた通貨価値は守られる。→
 8)もう一つ問題・・・MMTでの財政のなかで社会福祉が『充実』しすぎるとどうなるかだ。つまり失業者が生活に必要なマネーを政府から常に支給されれば、人間は働く必要(目的・意欲)がなくなる社会になろう。
 9)と云う事は・・・誰も働かないのに人間が食べて行ける社会が出現することになる? でも、例えば食料は誰かが創らねばならない。誰も働かなくなる社会で経済成長がインフレ率より高くなるのか?
 10)更に・・・「国債をどんどん発行してゆくと国民の資産がそれだけ増える。民間貯蓄が増える」と日銀雨宮副総裁は国会で答えたと2019.9月号クライテリオンは肯定的にかいている。でも政府が通貨をどんどん発行して行くと国民は働かなくても金持ちになってしまうのか?
 もし社会・国家の価値総量が一定であれば通貨量が増えれば国民の貯蓄額はどんどん減耗(目減り)することにならぬか?国民は働かなくてもいい社会なのに、経済成長率をインフレ率より高くするなんて可能か?成長に必要なイノベーションは生まれるのか?
 11)つまりMMT理論は貸借対照表的には、それなりに筋が通っているが、全体を流れとしてみると、時間軸のある損益計算書的には正しい理論ではなさそうだ。そうではないとするためには「通貨がどんどん発行されると国民は(勤労意欲を失うのではなく)成長率>インフレ率となるよう更に働くようになる動物だ」という「メカニズム」が必要となるし、「通貨は価値を誘引(呼び水)する手段(道具)であり、この”呼び水効果“は永続するモノだ」という定理も必要となろう。
 12)それではMMTが国の為になると言えるようにするためにはどうすればいいか・・・
 (a)健全な理由なくして働かない国民にはいかなる補償も行わない事、即ち人は働かなくては食べて行けない・生きて行けないという制度を堅持する事。
(b)通貨発行額の上限を、「国家の失業率ゼロを目指した政策」を大前提に設定する事。
(c)その発行された通貨の相当割合は、補助金ではなく減税還付金という形で使用され、発行された通貨はヘリコプターマネーのように国民に直接交付することは避け、 経済政策の最高位の目的である雇用確保へ貢献した企業などへ付与されること。
 (d)この減税は社会に付加価値を創出するために貢献し且つ雇用の確保に貢献した(税金を支払った)黒字企業に適用されること。
 (e)企業などへの減税額は規模・役員賞与総額・納税額などを勘案しつつも、根幹は雇者人数により厳格・適性に決められ、企業の実雇用者数と減税還付金額は公表され「社会貢献企業」とみなされること。
(SSA生)
   


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)7月29日(水曜日)
       通巻第6601号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ようやく自民党内で特許制度の欠陥「秘密条項」の議論がでてきた
  先端特許は軍事転用の汎用技術である。
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 自民党の「ルール形成戦略議員連盟」(甘利明会長)は7月28日、動画投稿サイトの「ティックトック」を日本でも規制できないか、検討に入った。インドにつづき、米国も禁止する方向で検討にはいっている。情報が中国に漏洩する懼れがあるからだ。
 
 さらに同連盟では日本における「特許」制度は、申請から十八ヶ月後にすべてが公開され、公文書であるからにはその日の内に中国語に翻訳するのは違法でもないという問題点をあげた。
 米国は、この最高機密に属するような軍事技術に関しては特許法によって「秘密特許」とすることが出来る。通称『サブマリーン特許』とも言われる。自民党部会は、この特許の秘密制度に関しても討議に入った。

 筆者が『日米先端特許戦争』(ダイヤモンド社、絶版)を書いたのは、すでに35年以上も前のことだ。草稿の一部を雑誌『自由』に掲載したところ、たちまち英訳され、そのコピィをもって米国大使館の技術担当官が面会を求めてきた。

 筆者は、日本の民生用技術が汎用的であり、たとえばニコンのレンズは巡航ミサイルの眼となりソニーのヴィデオ技術はミサイルの羅針盤となり、ペイント会社の塗料はステルス戦闘機に転用可能だから、戦前のように特許制度の秘密条項を加えるべきだと主張した。
 
 取材に当たってはリコー、三菱電機、三洋電機などの特許部長らが快く取材に応じてくれたし、上梓直後にはトヨタの特許本部などから講演の依頼もあった。また日米の防衛シンポジウムでも筆者は何回かパネラーとして、特許制度の秘密条項復活などを訴えた。
 そして三十五年が経った。何事の変革もなかった。

 特許公開広報は相変わらず、無制限の公開を続けている。
 この間に何が起きたかと言えば、米国はスクリュウ音を消す技術をソ連に供与したとして、ココム違反で東芝を制裁した。次世代半導体を日本の頭越しに韓国へ供与した。

 日本の半導体産業は明らかな遅れをとり、わずかにエルピーダメモリ、ルネサステクノロジーなど数社が残るのみで、TSMC、サムソンと、最新技術の工場は台湾、韓国へ移行したうえ、軍事転用の最先端半導体は米国インテルがトップを走る。インテルは主力工場をイスラエルへ建設し、TSMCはトランプ政権の強い要請で米国アリゾナ州へ新工場を建設する。
なぜ日本が置いてきぼりとなったのか。特許制度にも欠陥があるからではないのか。

 米中が激突し、軍事汎用技術に関してアメリカが厳しい規制をかけている。こうなると次の問題は韓国サムスンが、どちらに付くか。まだ中国へつく様子だが、しずれ米国の制裁対象となる。

 ▼日本がスパイ防止法がなくても、当面次のことが可能である

 さて米国の対中制裁はいよいよ本格化している。日本も日米同盟を謳う以上、このままの状態では第二の東芝ココム事件が惹起されるだろう。
 
 たとえば次のことが出来ないのだろうか
 NHKからCCTVの退去。朝日新聞から人民日報、新華社などの退去を促せるのではないか。
 米国務省は、新華社、中国国際テレビ(CGTN)と中国国際放送(CRI)、英字紙チャイナ・デーリー、米国海天発展の5社を「外国の宣伝機関」と認定した。追加で中央テレビ局(CCTV)、人民日報、中国新聞社(CNS)、環球時報の4社も「外国の宣伝機関」と認定し、ジャーナリストヴィザを交付しない措置を取った。

 アカデミズムの世界も怪しい雲行きがある。大学生にSNSなどを通じて、中国人教授らが何を教えているか投稿させる。違法滞在を続ける中国人はただちに送還することくらいは可能ではないのか。
 米国は大学、ラボ、政府機関などに巣くった中国人スパイを摘発し、学生ヴィザの期限を短縮し、孔子学院を閉鎖し、ファーウェイ社員へのヴィザ発給を中止した。スパイの拠点だったヒューストンの中国領事館を閉鎖した。

 ELリスト作成で中国の企業との取引を停止した。
少なくとも、日本の公務員、警察、自衛官はファーウェイのスマホを使わないよう勧告することはできるのではないか。

同じ手段が使えないのであれば、現行法の範囲内で何が出来るかを考えるべきである。
ヴィザ制限は可能だろうが、すでに日本に帰化した中国人のなかで、スパイ活動をしている連中をどう取り締まれるのか。日本のようにプライバシーに五月蝿い国では、限界がある。

 したがって予算で攻める方法がいまのところ、効果的である。日本政府の予算で援助している施設など、予算の見直し、中止。内部査察を行う。孔子学院の授業内容公開、立ち入りも文科省が出来る余地があるのではないのか。
 また民間の企業活動となると、夥しい中国人が日本企業にすでに雇用されている。ELリストとの関連で調査が可能になる展望がある。

 一方で、スパイ防止法の制定を急ぐべき。外国人土地取得法の改正。文科省予算を査察し、補助金を出している大学や、大学における中国人教授のチェック。中国人留学生への特待制度の見直しは、その政治決断さえあれば、出来るだろう。妨害するのは連立相手の政党と、与党内のN派あたりか。 

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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2109回】          
──「ポケット論語をストーブに焼べて・・・」(橘69)
  「?介石」(昭和3年/『橘樸著作集第一巻』勁草書房) 

   △
 その後、国民党内は四分五裂状況で推移するが、?介石は1926年に国民革命軍総司令に就任し軍権を握り北伐を開始する。この当時の?介石を、橘は軍事指導者としてはともかく政治指導者としては余り評価してはいない。
 
 たとえば1926年3月から27年4月の南京政府設立までの間にみせた「右翼的行動は、孫文の指示した途に外れて居た」ばかりか、「思想的にも階級的にも何等判然たる背景を持つものではなかつた」。この頃の?介石の行動基準は「唯共産黨員及び左翼的國民黨が孫文の遺産たる國民黨を亡ぼすであらうと云ふ獨斷に出發した義憤及び特別の負けぬ氣」でしかなかったとの橘の指摘は、その後の?介石の人生にも当て嵌まるように思える。

 やがて「共産主義者の勞働運動に困り抜いて居た上海資本家階級」は「?氏に接近し、『打倒共産黨』を條件として(?介石率いる)南京政府に對する財政的援助を約束し」た。
 
 かくして?介石は北伐途上の1927年4月、上海で共産党に壊滅的打撃を与え、以後の覇権を確固とした。もちろん、「主として上海を中心とする浙江及び江蘇資本家階級」の支援があったからであるが、そこで「反對給付として資本家階級は南京政府に對し強い發言權を與へられた」。かくして以後の?介石は、それまでの「無政府主義的乃至儒?的孫文主義」を捨て「資本家的孫文主義へと移った」というのだ。
 
 それにしても「無政府主義的孫文主義」「儒?的孫文主義」「資本家的孫文主義」と並べられても、肝心の「孫文主義」が曖昧模糊として解らない。
じつは橘は「孫文の革命思想」と題した論文で孫文を「(出自から判断できるように)思想に於ても閲?に於てもプロレタリア階級の代表者である」と捉えた後、以下のように説いている。
「彼の思想には幾多の矛盾があり、彼の行動には幾多の失策が有つたけれども、而も彼は今日の文明社會に於て最大なる無産階級指導者の名譽を擔ふに足る偉人である」。

「孫氏は中國革命同盟會の創設を稍得意らしく回顧するのであるが、併し彼の革命主義の全體から見ても、殊に其の基調を爲すところの階級精神から見ても、同盟會の出現は寧ろ彼を深い陷穽に導いたところの誘惑であつたと言へないであらうか」。

「孫氏は二十年の苦鬪の末に清朝に勝つ事が出來た。併しながら彼は官僚階級の偉大なる勢力に逢着して見事に背負投げを喰はされた」。

「(清朝を倒し中華民国となった後、階級闘争が本格化した)。階級鬪爭とは支配階級即ち官僚階級と被支配階級即ちブルジョアジー及びプロレタリアートの利害、感情及び思想の衝突である。ブルジョアジーには纏まつた指導者と云ふ者は無いが、プロレタリアートには其のヒーローとして我が孫文氏がある」。
 
 ここから、中国社会は支配階級としての官僚階級と被支配階級であるブルジョアジーとプロレタリアートから構成されていて、「我が孫文氏」をプロレタリアートの「ヒーロー」と見做している──以上が橘の考えとなるだろう。

 これに加えて橘は「軍閥及び官僚階級を何等かの手段で克服せねばならぬ?史的使命を負はされて居る」のが「中國資産階級」であり、「この使命は勿論國民革命のプログラムの中に缺くべからざる」ものだ。
 
 1927年4月に上海で共産党勢力を排除し国民党を掌握して以降の?介石に対し、「一方に資本家階級を導いてこの使命の爲に努力せしむると同時に、他面、小資本家的孫文主義と提携して資本家勢力の過度の膨脹を牽制することが、孫文の民生主義に託した理想の途に合致する所以であらうと思ふ」と、橘は期待を寄せる。
だが、その後の?介石が「資本家勢力の過度の膨脹を牽制する」ような行動に踏み出す・・・ことはなかった。
      ○△□◇ヒ◎○△□イ○△□◇ズ◎○△□ミ△□◇◎  
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)【追悼】宗像隆幸さん、59年間の活動の足跡を辿る
 www.youtube.com/watch?v=ufa2E_Jssd4
   (台湾の声)

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(読者の声2)韓国の植物園に建てられた安倍総理を象徴する土下座像に対し、菅官房長官の発言は「日韓関係に決定的な影響を与える」「国際儀礼上、許されない」と今までにない強硬なものでした。テレビ各局のニュースでも報道されたようで、さすがに「報道しない自由」でごまかすのも限界にきたようです。
 ネットの反応で面白かったのがあの像は「土下座」ではなく「三跪九叩頭」だというもの。確かにつま先が立っていますから土下座とは違う。
https://pbs.twimg.com/media/Ed_fLCNU0AAJkmI?format=png&name=small
https://pbs.twimg.com/media/Ed_ftZoU4AAmJ1t?format=png&name=small

 教科書検定に北朝鮮のスパイという報道に続いて外務省の金杉憲治外務審議官が更迭されたというニュースが朝鮮日報から出ていました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/f18674b2cf0cdfcc9307d8af62f10ff7ad7d096a
 「金杉外務審議官が1年足らずで退き、外務省やその周辺に大きな衝撃を与えた。これで、安倍首相の周囲で韓国のことに神経を使う人は1人もなくなった」、さらに「2011年3月11日に東日本大震災が発生した時、韓国の救助隊を最初に受け入れようと言ったのも金杉氏だった」というあたりコリアスクールらしい。
日本の外務省は国益を守るよりもいかに摩擦を抑えるかばかりでまともな喧嘩もできない。コリアスクールの影響力などとうになくなっていたのは外務省の大韓民国のページを見てもわかります。ほとんどのデータが更新されず2018年2月で止まったまま。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/korea/index.html
 おすすめ情報の動画は2016年版で岸田外務大臣のまま放置状態。そもそも韓国が日本スクールを壊滅させたのが先で日本には話し合う相手すらいないのでしょう。アメリカもハリス大使が辞任の意向を示してしており、先日は口髭を剃ったばかり。これもなにかのサインかも知れません。
  (PB生、千葉)

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(読者の声3)昨晩放映の「フロントジャパン」は宮崎正弘、福島香織両氏のコンビでお送りしました。テーマは「ルビコン河をわたったトランプ」ほか。
https://www.youtube.com/watch?v=5p6W0AXrK2M
 上記ユーチューブでご覧になれます。
   (日本文化チャンネル桜)
    


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)7月28日(火曜日)
       通巻第6600号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「米ドル安、香港ドル高がつづく」とジョセフ・ヤム(元HKMCトップ)
 金価格。史上空前の1937ドル60セント。先行きの「ドル安」が見えた  
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 ジョセフ・ヤム(中国名=任志剛)は国勢金融界では有名人である。日本でも金融ビジネスに携わる人なら、たいがいは聞いたことのある名。1993年から2009年まで、香港通貨当局のトップにあった。
ということは1997~8年のアジア通貨危機と、2008年のサブプライム危機に遭遇し、香港ドルを守った「功績」がある。現在も閣僚級として林鄭行政長官の財政アドバイザー。72歳。

 さて問題は、この任志剛が、「次の異様な金融危機が視野に入った」と発言していることである。任によれば、1997~8年の「アジア通貨危機」は強欲資本主義の投機筋が仕掛けてきた「グローバル金融の危機」であり、HKMCは、1180億HKドルを投入して投機筋に対応した。

 「2008年、リーマンショックによる金融危機は「『国際金融文化』の危機だった」と任志剛は分析してみせる。

 ならば次の金融危機が視野に入ったとする理由は何か。
 「米国のゼロ金利が向こう二年続くとすれば、ドル安に傾くのは当然であり、一方でドルペッグ制のHKドルは、ドル預託の安定通貨であるために買われる。4月以来、29回HKMCは香港ドル高を防ぐために介入し、1093億ドルを投入した。中国のユニコーンのHK市場への上場が重なり、香港の株式市場に夥しい資金が投下されたためだ。このため米ドルが弱含みとなり、香港の金融収支における入超は140億HKドルに達した」(サウスチャイナモーニングポスト、2020年7月27日)

 同日、金価格は2011年九月につけた最高値1923ドル70セントを越えて、史上空前の1937ドル60セントを更新した。
日本の小口投資家に人気の高いウィーン金貨(1トロイオンス)は田中貴金属の店頭表示で238566円(税込み)。一年前は14万円台だった。
 
(【GOLD】は、偽物も多いから要注意〜。田中貴金属なら大丈夫?🐧💦)

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(読者の声1)宮崎正弘さんが『夕刊フジ』に書かれて提唱された『鎖国の薦め』は、下記に再掲載されています。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/200725/dom2007250005-n2.html
   (ST生、大宮)

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(読者の声2)ただでさえ破綻的状況にあった日本財政ですが、最近のコロナ対応支援政策によって、ますます危機的状況を深めているように思われます。
 しかしながら、それにもかかわらず、今のところは財政破綻の兆候は見えず、本日(7月27日)のドル円レートは、106円を割っていますね。
 財政破綻を否定する理論?として、国の負債は貸借対照表における純債務で見るべきだとか、さらにはMMT理論だとかの主張があるようではありますが、小生は、赤字国債は、結局は、将来の徴税可能性が担保になっているのであって、いずれは増税か、それが不能なら、実質的増税である高率インフレによって、その累積が解消されることが必然だと思っています。
 『週刊ダイヤモンド』7月25日号を見ると、「金融市場異論百出」なる頁で、「コロナ中に世界は財政再建議論」「『増税・歳出削減』驚異の実態」という見出しで、英国では、もう既に、財務省で、巨額の国債を返済するため、増税や年金支給額に物価スライド停止、公務員の賃上げ凍結などが検討されていること。
 国会議員に対する5月の調査によると、72%の議員が増税が必要だと回答。英国民の77%がコロナ対策を賄うために所得税率の引き上げを受け入れると回答したことが紹介されています。「財政資金をばらまいたからには皆で負担せねば」という感覚のようだと述べられています。
 米国でも、特にコロナ禍で税収急減に直面している地方政府では、公務員や教員の削減による歳出カット、不動産税の引き上げ等の増税を「既に」実施した都市が出てきており、計画中の都市、州が増えていることを紹介しています。
 英財務省の「検討」については、国民に危機意識を持たせるために同省が意図的にマスコミにリークした可能性が高いと言われているとは言え、わが国の状況とはかなり様相を異にしているように推察されます。
 わが国においても、財政正常化論が出てくると、すぐにこれは財務省による策謀だと一蹴する論者も多いのですが、家計と公財政を一律に論ずるべきではないとは言え、やはり「借りたものは、いずれは返済されるべし」という原理を否定することはできないのではないでしょうか? 
 わが国の症状では、もう増税によって解消できる域ははるかに超えていると言わざるを得ないでしょうから、わが国においては、いずれは高率インフレという実質的増税となる可能性が高まってきているのではないかと、私は考えています。
 もっとも、インフレ化ということは、金利上昇、国債価格下落につながるということですから、大量の国債を保有する日銀の大幅債務超過化は必然ということになります。そして、それが現実になれば、日銀券(通貨YEN)の暴落ということになるでしょうから、仮にそれによって輸出が振興されるとしても、輸入品(原油、食料等)の価格上昇につながり、インフレ化を加速することになるでしょう。
私のつたない経済知識では、上記の展開が必然のように思えるし、その他の変動要因として首都直下型、南海トラフ大地震の発生を予期せざるを得ないでしょうが、これも従来の神戸震災、東北震災後の展開とは異なり、震災直後はともかく、その後は、巨額の復興事業のための国債大量増発が、上記の流れを加速させることになるのではないだろうか。
 当面の指標としては、先週でオンス1900ドルを超えたGold が、今週以降、どういう展開をするのか、そしてドル円相場がどう推移していくのか、に注目したいと思っています。本日も105円台の円高が継続していますが、Gold価格は、国内、NY先物市場ともに、新高値を更新しています。 
  (椿本祐弘)

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(読者の声3)アメリカの混乱は続いていますが、アメリカの歴史について書かれた本を読むと最初から分裂していたのが独立戦争でなんとかまとまったものの南北戦争で亀裂があらわになり、北軍勝利の後の南部は北軍という進駐軍に法律から教育まで変えられ、それ以来ヤンキー(北部人)の価値観がアメリカの価値観とされてきたことがわかります。
それでも南部は北軍の占領が終わったあとはすぐに元に戻している。
南軍の先制攻撃により始まり北軍の容赦ない略奪と破壊、戦後の再建という名の価値観の押しつけ、すべて第二次大戦の日米戦に通じます。南部の人間が北部人をヤンキーと呼ぶときの侮蔑的かつ屈辱的な感情はいまだに残っているのでしょうか。
 17世紀にアメリカに入植したプロテスタントはいろいろな宗派がありますが、信仰の自由を求めてマサチューセッツに入植した清教徒の末裔などある種の選民思想
であり、地上に神の国をつくる使命感に燃え、価値観の合わない宗派は排斥、クウェーカー教徒など追放、再度侵入すれば死刑というほど。しかし家族単位での入植に加えて高学歴の都市民が中心でタウンミーティングなどすべては自分たちで決めるというアメリカの基礎を築いた。当時は子供を十人以上生むことも珍しくなくたちまち人口増加。後にはカリフォルニアまで宣教団を送り北部の価値観を植え付けた。
 他宗派からは傲慢・押し付けがましいと批判されながらも聖書中心主義から識字教育に力をいれ聖職者の養成も兼ねたハーバード大学設立は1636年、エール大学は1701年。カトリック教会の聖職者は権力欲にまみれた強欲な守銭奴であり、カトリックの信者は無知蒙昧な貧乏人というイメージ。
とくにスペインはバチカンによるプロテスタント弾圧の尖兵として憎まれ、さらにスペインの植民地ではスペイン女性の不足から混血が一般的で現代のヒスパニック嫌いにはカトリックであり人種の混交を嫌ったアングロサクソンの価値観が反映されているという。当時の英国で主流だったアングリカンチャーチ(イングランド国教会)は偶像崇拝であるカトリックのまがい物というのですから徹底しています。

 「11の国のアメリカ史」という本では南北戦争の危機が迫っていた時点でも南部の先制攻撃がなければアメリカが分裂していた可能性が高かったという。
旧オランダ領のニューヨークはアムステルダム同様、信教の自由も思想の自由もありさまざまな人種が混じり合う街だった。
さらにユダヤ人を拒絶せず、出版と貿易も盛んだったためハンザ同盟のような都市国家としての独立を模索していたとも。本家のアムステルダム同様ユダヤ人はキリスト教の良心とは無縁で奴隷市場が作られ、奴隷貿易はユダヤ人の得意分野ですから奴隷市場はユダヤの休日には開かれず、北部諸州が奴隷制度に反対するなか、ニューヨークは奴隷制度を維持し続けた。
 クウェーカー教徒は絶対平和主義かつ権威への反抗という日本の憲法9条教徒みたいな面があり、フィラデルフィアを中心とするペンシルベニアでは外敵の侵入になすすべもなく政治的には無能だったところも日本の左翼と似ています。
英国では全裸で教会に押し入る、糞便を身体になすりつけて通りを行進するなど奇矯なふるまいから危険視されたといいますが、宗教はウイルス同様に強毒性の過激派は淘汰され弱毒化していく。日本で有名なクウェーカー教徒といえば第二次大戦後に皇太子殿下の家庭教師となったバイニング夫人がいます。
絶対平和主義者を皇室に配したのはGHQの思惑だったのでしょうか。他にはヘンリー・ストークス氏がいますが、クウェーカー教徒であっても、軍隊や国を護るために命を捧げた人を顕彰するのは大切であるとして靖国神社の参拝も行っています。ストークス氏はプランタジネット朝エドワード1世の末裔といいますから、家系は13世紀に遡る名門です。クウェーカー教徒は奴隷制度に反対し男女の平等を認め、他宗派にも寛容だった。
そのためペンシルベニアから西部に向かってドイツ系や北欧系などさまざまな宗派の人々が入植し、現代文明を拒絶するアーミッシュのような人々さえ尊重する文化が生まれたという。大統領選挙でスイングステートと呼ばれる州の多くがこの地域にあるのにも理由があったのですね。
  (PB生、千葉)


(宮崎正弘のコメント)かのリチャード・ニクソン大統領もクエーカー教徒でした。
 数年前に宗派別の色分けをした拙文を探していたら下記のような一覧表を拙著に書いたことを思い出しました。
 アメリカの有力政治家の宗教色分け
~~~~~~~~~~~~~~~~
 米国聖公会(エピスコバリアン): FDR,フォード、パパ・ブッシュ
 長老派(プレスピテリアン):   アイゼンハワー、トランプ
 バプティスト(洗礼派):     トルーマン、カーター、クリントン(ビル)
 メソジスト:           ヒラリー
 ディサイプルス(禁酒派):    レーガン(カソリックから改宗)
 クエーカー:           ニクソン
 カソリック:           JFK、ブッシュ兄弟(聖公会から改宗)
      


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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)7月27日(月曜日)
       通巻第6599号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ポンペオの演説会場に魏京生と王丹が招かれていた
 ニクソンは「とんでもないフランケンシュタイン(中国)」と不安を述べていた
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 7月23日にカリフォルニア州のニクソン元大統領記念図書館へわざわざ飛んで、ポンペオ国務長官は演説を行った。
各紙、一面トップで取り上げるほどの画期的な演説だった。「アメリカ歴代政権の中国政策を誤りだった」とし、習近平を「破産した全体主義の信奉者」と規定し、さらに「民主国家に呼びかけて『新しい同盟』を結成しよう」とする演説だった。ちなみに7月23日を選んだのは、1789年フランス革命勃発の日だからだろう。

1972年2月、ニクソンは北京を訪問し、周恩来と固い握手を交わして国交回復への道筋をつけた。実際の米中国交樹立は1979年のカーター政権になるが、米国はその後一貫して中国に肩入れし、経済的に豊かになれば中国は民主化するという甘い幻想をいだいてきた。その期待は完全に裏切られた。

中国は輸出で稼いだカネを軍事費につぎ込み、強大な軍事力で周辺諸国を脅かし、世界的に最悪の不安材料と化けていた。ニクソンは晩年、「われわれはトンでもないフランケンシュタインをつくりあげてしまったのではないか」と発言したこともポンペオを演説の中で触れた。

ニクソン記念図書館は通称「ニクソンライブラリー」と呼ばれ、ロスアンジェルスから車を飛ばして50分くらいのところにある。館内にはニクソン時代の様々な出来事や、ニクソンに関する記念品が展示され、周恩来と握手する等身大の像もある。売店ではニクソンのバッジやネクタイ、そしてニクソンの著作がすべて揃っている。中庭にはニクソンの生家が再現されており、中をのぞける。ニクソンが少年時代、いかに貧しい生活を送っていたかを偲べる。

ポンペオは、この中庭を演説会場とした。参列者には魏京生(北京西単の壁の指導者)、王丹(天安門事件のときの学生指導者)を招待し、さらにポンペオは香港の反政府運動のリーダーである黎智英にあったことにも触れた。

2018年10月のペンス演説から始まったトランプ政権の中国敵視は、オブライエン補佐官、バー司法長官、レイFBI長官、そしてポンペオ国務長官と、だんだんとオクターブが高まっており、いずれトランプ大統領の決定的な方針が出現するだろう。

http://miyazaki.xii.jp/world-situation/index.html
なお、筆者はニクソン『リアルピース』の翻訳者であり、ニクソンとの独占インタビューを上記サイトに再録している。

 
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樋泉克夫のコラム 
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【知道中国 2108回】           
 ──「ポケット論語をストーブに焼べて・・・」(橘68)
 「?介石」(昭和3年/『橘樸著作集第一巻』勁草書房) 

   △
 橘は孫文を「偉大なる革命理想を懷」いた「偉大なる革命家」として論を進めてきたが、「孫文の東洋文化觀」にも「日本觀」にも必ずしも共鳴しているわけではない。
ハワイと香港で西洋式教育を受けた孫文の中国古典理解は不徹底であり、東洋文化と見做す王道思想について確固たる理論的裏付けを欠いていた。さらに日本に関しては専ら孫文に同情し、孫文を支援した日本人に基づいて考え、自分に都合よく捉えていた──これが橘の孫文観だと思う。

 孫文亡き後、統一を求めるも中国は四分五裂状況に突入する。その原因の一端は孫文の思想が孕んでいたからだろう。やはり孫文は思想的にも偉大なドン・キホーテだったのだ。
 橘は、その孫文の「忠實にして謙?なる弟子」である?介石について論を進める。

 先ず橘は?介石を「家庭及び彼自身の生活氣分は共に中産階級上層者的──小資産階級的のものであつたことが明白に認められるやうに思ふ」と捉えた。

橘に依れば「清末以後に輩出した多くのインテリゲンチャ達は、總て中産家庭の出身であ」り、「彼等はその修めた新學問を頼みとして、支配者の地位を手に入れることをその理想として居た」。辛亥革命も、袁世凱による帝政復活の試みも、共に根底には「支配者の地位を手に入れること」を目指した「中産家庭の出身」のインテリによる「安直な政治革命」であった言うのだ。

 だが1911年の辛亥革命、1919年の五・四運動、1924年の国民党改造と言う「三次の洗禮を受けた小資産階級インテリゲンチャは、不可避的に新しいイデオロギーを抱き始めた」とし、その「新しいイデオロギー」を、「一、自由民主主義/二、無政府主義的孫文主義/三、儒教主義的孫文主義、/四、資産家的孫文主義、/五、小資本家的孫文主義、/六、無産者(農民及び勞働者)的孫文主義、/七、共産主義」に分類した後、こういった思想を介在させて?介石と孫文が結びついているわけではない、と橘は見立てた。

 両者の「間柄は他の重要黨員(国民党員)に較べると寧ろ縁故の淺い方であつた」。だが?介石の孫文に対して抱いた「英雄的情操は、何人も及び難い程に熱烈なものであつた」。?介石の孫文崇拝は「純眞にして且つ情熱的」であり、「實に?氏から見れば、孫文は一點一畫の例外もなく彼の全體である」。「孫文と共に考へ、孫文と共に行ひ、孫文と共に革命すると云ふ事が、この忠實にして謙?なる弟子の願望の全部である」。

かくて橘は「孫文と共に生きる以外に自身の生活は無いと思ひ込んで居る所に?氏の強みがある」と結論づける。ということは?介石は孫文のクローン人間と見做してもよさそうだ。であればこそ「?氏の強み」は同時に弱みではなかったか。

思想も行動も孫文のコピーでしかなかったがゆえに、孫文が左傾化すれば?介石も左傾化するわけで、「左傾し切った彼の叫びは、其の實孫文の聲に過ぎなかつたのである」。
 孫文死後、?介石は「先輩たる汪精衞及び廖仲?氏の指導に從」っていた。廖仲?が生きていた間は毛沢東や周恩来のように国民党入りした「共産黨員の非國民黨的行動を抑へ」られたが、廖仲?が1925年に亡くなり、残された汪精衞では共産党員の抑えが効かない。

 そこで1926年3月に勃発した中山艦事件を機に、?介石は「共産主義者は孫文の遺産たる國民黨破壞の陰謀を蓄へて居ると信ずるに到つた」。「この先入見に捉はれて後」、?介石は孫文の「遺した左翼民主主義的理論及び政策を悉皆打忘れ、事毎に共産黨と衝突しつゝ、知らず識らずの中に急速に右傾した」。
その行動は客観的には孫文に背くことになるが、「併し主觀的には疑もなく孫文崇拝の灼熱せる感情に導かれたものであり」、やがて「前非を悔いて理論的に汪氏の許に立歸つた」。?介石の「孫文信奉」・・・ここに極まれり
      
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(読者の声1)連休を利用して、宮崎さんの新作『WHAT NEXT(コロナ以後大予測)』(ハート出版)を読了しました。
 書店に行くとアフターコロナ本も沢山ならんでいて目移りしますが、ジャーナリズム特有の総花的なムック本まで出ていたのにはビックリでした。感想ですが、近未来予測で多死社会がきて、少子高齢化社会というより、看取り士が増えるという箇所は大いに考えさせられました。    (FG生、川崎)

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(読者の声2) 日本の左翼運動の背後には昔からソ連、中国、北朝鮮がいたことは明らか。そしてアメリカのリベラルと言われる勢力も。文部科学省の教科書検定では主任調査官が北朝鮮のスパイだったと週刊「アサヒ芸能」が取り上げていますが、事務次官の前川助平をみればさもありなん。三流官庁といわれるほどですから左翼が潜り込むには都合が良かったのかも。
 詳しい内容は「ナニワの激オコおばちゃん」というブログに詳しい。
https://gekiokoobachan.jp/blog-entry-1101.html
 文科省批判から萩生田大臣への批判へと続く。偉そうなことを言ってたわりには何もできない大臣に呆れている。
https://gekiokoobachan.jp/blog-entry-1103.html
 子供の頃を思い出すと1960年代は学生運動は激しかったものの祝日にはどこの家も日の丸を掲げていて、中学では年配の教師は戦前の地主の娘でしたが極めてまっとうでした。英語の女性教諭は婚約者が戦争で亡くなったという噂でオールドミスと呼ばれていました(子供はけっこう残酷です)。1970年代になると若い教師が増え、天皇陛下を天ちゃんと呼ぶなど教師の左傾化がひどくなりました。日教組の女性音楽教諭の主張で卒業式の「仰げば尊し」もなくなりました。
高校では成田空港の三里塚闘争を応援に行く純真というか単純な生徒もいて、大学では学生運動は下火とはいえ革マルと中核派で殺し合いをしていた時代。新宿の地下道への階段などシンナーと小便の臭いで汚いことこの上なかった。
 戦後の武装闘争も学生運動も失敗し左翼は新聞・テレビといったメディアから官公庁・教育・司法の分野まで潜り込む戦術に切り替えたのでしょう。
1982年の教科書検定では華北への「侵略」を「進出」に書き換えたとの誤報が新聞各紙で広められ、当時の文藝春秋社の雑誌「諸君」に渡部昇一が「萬犬虚に吠えた教科書問題」として問題提起しました。誤報を認めたのは産経新聞だけだったでしょうか。1984年に当時購読していた日経新聞に誤報を前提とした記事があり、本社に問い合わせてものらりくらり、それで日経を止めました。
 民主主義の弱点は「表現の自由」という名の嘘・偽り・プロパガンダがまかり通ること。戦前の本を読むと新聞の危険性として外電の転載を繰り返すことで内容がどんどん捻じ曲げられることを上げています。
朝日が火をつけ、ニューヨーク・タイムズや中韓のメディアが反発する。火のないところに火を点ける「アジアの放火魔」と言ったのは20年前の漫画「戦争論」が売れた頃の小林よしのりだったと思いますが、ネットがなかった時代ならともかく、スマホ時代の今ではデモ隊の仕込みから火付けの現場まで撮影されますからプロパガンダの効力もだいぶおちていることでしょう。

 アメリカも日本の学生運動と同時期にベトナム反戦運動や公民権運動があり左翼があらゆる分野に浸透したのはハンチントンの「分断されるアメリカ」(2004年)に詳しい。ケネディ亡き後のジョンソン大統領時に成立した「公民権法」「投票権法」では人種差別を禁じたものの黒人に対する優遇措置を認めるものではなかった。
ところが連邦政府の役人と連邦裁判所はつぎつぎに特定マイノリティ優遇措置を認めていく。大学に至っては入試でアジア系は基礎点を下げられ、黒人・ヒスパニックは基礎点を上乗せといったことになる。
公教育の内容も西洋史や建国の英雄の物語が消え、マイノリティの話ばかりが取り上げられる。その結果、1987年に高校生を調査した結果では独立戦争のワシントン
や奴隷解放宣言のリンカーンよりも奴隷解放の活動家のほうが知られているという事態に。1990年代初めに実施された世論調査では北東部の名門アイビー・リーグに通う学生の90%は公民権運動の発端となったローザ・パークスが誰だか知っていたが、「人民による、人民のための、人民の統治」が誰の言葉か知っている学生は25%しかいなかった。リンカーンのゲティスバーグ演説を知らないアイビーリーガーがこれほど多いとは呆れてしまう。
 日本でも東大出のバカといわれる福島みずほや東大医学部を出てはいてもコロナ騒動ででたらめ発言をを繰り返した上昌広、援交で辞職した前新潟県知事の米山隆
一、極めつけは首相まで努めた鳩ポッポこと鳩山由紀夫など学歴バカにはことかかない。
 鳩山由紀夫といえば韓国で元慰安婦(偽)に土下座していました。被害者ビジネスが得意な韓国では8月に慰安婦像に土下座する「安倍総理」の像を公開するとか。
https://hosyusokuhou.jp/archives/48883364.html

https://i1.wp.com/hosyusokuhou.jp/wp/wp-content/uploads/2020/07/l_2020072501003075900243531.jpg?fit=610%2C407&ssl=1

 本当に腐りきった民族です。触れたもの全てを黄金に変えたミダス王にちなんで全てを腐らせる逆ミダス王といわれるだけのことはある。半島人の別名は他にもユダヤ人の悪いところ(被害者ビジネス、嘘つき、金に汚い、なりすましetc)にそっくりなところからニダヤ人。北海道ではウポポイアイヌ民族博物館利権に食い込み、でたらめなアイヌの踊りや手抜きの展示物、さらに関係者が北朝鮮つながりの在日だとばれている。
自己申告の偽アイヌで顔がひらべったいからウソポイのザイヌとも。日韓離間の要因をわざわざ作ってくれるのですから遠慮なく日韓断交へと進めますね。
  (PB生、千葉)

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(読者の声3)番組のお知らせです。明日(7月28日)夜に放送予定の「フロント・ジャパン」は福島香織、宮崎正弘両氏のコンビでお送りします。中国問題から世界の趨勢までのホットな話題を語ります。テーマは「ルビコン河とわたったトランプ」の予定。  (日本文化チャンネル桜) 

(👆チャンネル桜…、残念な事に、水島社長と我那覇さんの間に亀裂が生じてしまい、我那覇さんは、チャンネル桜から去って行かれました💧🐧。今では、元共産党員の篠原常一郎さんが我那覇真子さんを応援しています。こんな事になってしまってからと言うもの、最近はチャンネル桜を見る回収が減りました…。🐧💦)
       


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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)7月26日(日曜日)
       通巻第6598号 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~成都の米国領事館前に数千人の群衆。爆竹片手に愛国歌
  反米暴動を極度に警戒する中国公安、厳重な警備体制を敷く
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 7月24日、テキサス州ヒューストンの中国領事館が閉鎖され、米国官憲が立ち入った。この領事館はかねてからスパイ網拠点として、FBIの監視対象だった。前日までに米国は四人の中国人をスパイ容疑で逮捕した。情報窃取の拠点を米国はひとつ壊滅させた。

 ただちに報復措置を発表した中国は四川省成都の米国領事館閉鎖を通告した。
 成都領事館はチベット、ウイグルにおける中国の弾圧をモニターし、監視する拠点でもある。また嘗ては王立軍(薄煕来の右腕だった)が女装して重慶から駆け込んで亡命を求めた所でもある。この事件を切っ掛けに薄夫人の英国人殺害がわかり、習近平最大のライバルだった薄煕来失脚に繋がる。
 
 テレビで知った住民およそ数千名が米国領事館前にあつまり、爆竹とカメラを片手に、愛国歌を歌うなど、規制を挙げている。爆竹は祝福のサイン?
 反米暴動に発展することを怖れる警備当局は、一帯に厳重な警備体制と敷いた。

 同日、ニクソン記念図書館へ出向いて「中国との関係は終わった」と演説したのはポンペオ国務長官だった。かれは「中国共産党と中国国民は違う。国民は全体主義に立ち向かうべきだ」とし、「党」と「国民」を明確に峻別して、習近平と「主席」とは言わずに「党総書記」と呼称した。この語彙の選択は、あきらかに意図的である。米国は鮮明に中国への姿勢を転換したのだ。

 すでに米国は戦前の@ハルノート」に匹敵する最後通告的なメッセージを送った。
となると、次の事態は、WAITING TO THE PAERL HARBOR?
 成都で反米暴動が起これば、米国の思うつぼにならないか?
 
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~中国にも良識ある人が、本物の知識人がまだいた
  習近平は劣悪なる指導者、中国がよくなる展望はない

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金文学『われわれが習近平体制と命がけで闘う13の理由』(ビジネス社)
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 在日中国人(元中国人)で切れ味鋭く習近平独裁を批判する言論人が日本の論壇に輩出するようになった。米国へ行けばもっと多いけれども、日本で活躍する人たちが立ち上がったことが重要である。
 日本のメディアで批判を続ける石平氏を筆頭に、楊逸女史(芥川賞作家)、そして、この金文学氏だ。本書は、その金氏が中国へ行って、あるいは米国に移住した知識人を訪ね歩き、ほんものの中国知識人が何を考えているのか、魂の叫びを聞いて廻ったのだ。本書は、その集大成。題名の13の理由とは、13名の知識人と会話記録だからである。
 トップバッターは猿偉時(元中山大学哲学部教授。「猿」の獣偏をとる)だ。
 中国はGDPで世界第二位の大国だなどとご大層に自慢するが、「反面、精神性はかつての農耕文明レベルで止まったまま。全体主義的な垂直命令型社会で一見効率が良さそうに思えるかも知れませんが、実態は無能で、かつ無常です」
 「この荒唐無稽な体制が中国大陸を支配し、不条理に満ち溢れている状態を本当は拒否したいのにできないでいる。それが中国の一番の悲しみではないでしょうか。」

 賀衛方(北京大学法学部教授)は党員だが党批判を舌鋒鋭く展開する人物である
 「仮に世界中の鶏をすべて殺しても、夜明けは阻止できない」。しかし「誰もが排除されたり、言論空間が狭められたりするなど、いまはまさに毛沢東の死後、中国大陸の知識人にとって最も暗黒な時代です」。
 在米社会学者(元人民大学教授)の周孝正は『中国共産党は実態は社会主義の衣を着たナチス』と非難して憚らない。
 コロナ対策チームを率いて英雄扱いされる鐘南山・博士とて「習体制の手先、喇叭だ」とし、中国共産党が自らを「偉大、光栄、正確」などと自画自賛するのは自信のない証拠であり、「いま、中国社会には、黒蛇、白蛇、コブラという三つの蛇が活きている」という。「黒い法衣を着た法院(裁判所)、白いガウンを着た病院、そして学校の先生が眼鏡を掛けている。すべてがお金を必要とする職能に従事していて中国人を苦しめているから蛇のように嫌われるのだ、という。
 中国共産党はロシアからの借り物のマルクスレーニンン主義ではなく、その「統治体制は、共産主義の名を借りた一種の封建王朝的システムなのです。これが中国共産党の本質でと思います」 
 女傑の郭干華(清華大学教授)は「一党独裁の毒性は新型コロナをはるかに上回るとして次の指摘をする。
 「この21世紀において『二党国民』『三党国民』が存在する国は中国や北朝鮮くらい」だが、他方、町の声はといえば、「貴方は来世も中国人として生まれたいか」のアンケートに70%が「生まれなくない」と回答したばかりか「20%は現世でも中国人為なりたくない」
 かくして、「問題の源泉はすべて権力の独裁にあります」
 以下、作家、経済学者ら、現代中国を代表する知識人達の現状分析と党への批判が濃密かつ雄渾に展開されている。
たとえば「21世紀は中国の世紀などというは戯れ言」だと断言するのは銭理群(元北京大学教授)。大学の質は落ちていて技術だけが向上しても、意味がないとする。
王学泰(中国社会科学院研究員)は「中国史の裏面は暴力という社会病理だ」と歴史の本質を衝く。
女流作家で日本語に翻訳された作品もある残雪はノーベル文学賞候補にも挙がっているそうだが、「中国の文壇は集団的退行」をとげており、伝統回帰を譫言のように言いつのるだけ。「文学賞の選考にも不正がはびこっている」と指摘する。
 
日本でも有名な馬立誠(人民日報元解説委員)は日中関係の「新思考」を展開したので、日本のメディアでも話題となったジャーナリスト。本書の掉尾を飾る。
「日本はすでに平和大国として変容しているのに、なぜ中国はまともに評価しないのか」と純粋な気持ちを吐露し、「戦後、日本は中国に対し、150以上の重大な
プロジェクトを支援し、6兆円ものODAを惜しみませんでした。なぜ、このような援助に対して言及、感謝しないのでしょうか」と率直な感想を述べている。馬の発言を精密に追うと、その歴史認識には間違いが多いし、「日本の軍国主義」などど岩波文化人が好みそうな左翼用語を使っている点は、まだ共産党の歴史教育の洗脳の残滓があるわけで、大いに気になる。また多くが中国の「劣根性」(中国語に根性という語彙はない。劣根性という日本人にわかりにくい概念はある)に関して、多数が共通してことを通読した発見できたことは収穫だった。
いずれにせよ中国には世界常識が通じる良識ある人が、本物の知識人がまだいろことが分かって有益このうえない書物となっている。
         
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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@ 【知道中国 2107回】                 
──「ポケット論語をストーブに焼べて・・・」(橘67)
「孫文の東洋文化觀及び日本觀」(大正14年/『橘樸著作集第一巻』勁草書房) 

       △
同文同種は「兄弟の國」を意味し、落魄した兄を羽振りの良くなった弟が助ければ昔のように仲良くなれる──これが孫文の主張なら、たしかに手前勝手と言うべきだ。
 橘は日本人の一部に孫文の考えを支持する者があるものの、「(日本人の)大多數は未だ傳統的保守的思想に縛られて『輕薄にして不道?』なる中國の爲に髪毛一本でも犠牲にすることは出來ないと云ふに傾いている」と説く。そして「孫氏は、日本が中國の爲に不平等條約廢止を援助して呉れたら、其れが日華親善を實現する第一歩の方法であると觀て居る」と、孫文の狙いを捉えた。ここでも孫文の身勝手が顔をもたげる。

 案の定である。日本では「所謂王道文化を骨子とした大亞細亞主義に對しては」孫文を満足させるような反応は起こらなかった。
「不平等條約廢止に對しては之に同情しつゝも、理論及事實の兩方面から其の實現の容易ならぬ事を主張する者が多かつた樣である」。また「孫氏は日本が歐米列國の協同戰列から離れて中國と握手せんことを望んだ次第であるが、日本の側からは之に共鳴する聲が起こらなかつた」。

 孫文の日本に向けられた大きな期待が外れた原因を、橘は「日本の輿論が相變らず國際關係の紋切り形を押破る氣力を持たぬ事」「日本人の自負心の乏しい事」に求める一方で、孫文の中国それ自身の現状に対する甘い認識を指摘している。

 孫文が「中國統一問題として軍閥打破を選ばずに所謂帝國主義の打破を選んだ事」を、橘は「聊か不合理の感なきを得ない」とした。なぜならば、帝国主義列強が「軍閥を煽動したり援助したりする」ことが「中國の國内問題の解決を妨げ」ているからであり、「中國統一の敵は軍閥が主であつて、(帝国主義)列國は從である」からだ。

 かくして橘は「孫文氏に軍閥と云ふ事の觀念に就て可成り不徹底な所があつた樣に思ふ」とする。それと言うのも孫文は自らが打ち立てた「廣東政府の首領としてデモクラシーを高唱した」が、彼自身が「軍閥の上に立脚して」いたからだ。自らの政府が軍閥を基盤にして成り立っていることに気が付かない孫文だからこそ、自らが「廣東省の人民を苦しめて居た事」に意を注ぐことができなかった。
これを言い換えるなら、孫文には自己省察が欠けていた。正しいことをしていると確信(盲信?)するあまり、自らが進める政治が結果として「廣東省の人民を苦しめて居た事」に無頓着であったとことだろう。

 孫文には、中国統一への最大の障害である「軍閥退治を比較的輕視し、列強退治を比較的重視する傾き」がある。「其の主なる原因の一つが、或は此の點──軍閥に關する觀念の不徹底──にあるのではなからうか」。橘による孫文批判である。

 かくして橘は、「孫氏の最後の日本に於ける講演は、今日迄の所、大體上失敗に終つたと言ふべきである」と見做す。では、なぜ失敗したのか。一つには軍閥に対する不徹底な態度が招いた中国統一に関する「理論に缺點のあつたこと」。もう一方に「全く日本人が中國知識に乏しく、同時に東洋の強大民族であると云ふ事に關し充分にして且つ正當な自負心を持つて居ない事に歸せねばならぬ」。つまり日中双方が共に自己省察に欠けていたわけだ。

 だから日本人は中国人による中国統一、つまり「『国家改造』と云ふ事業に對し何の程度の情熱と希望とを懷いて居るかを研究」すべきであり、その一方で「東洋の先進國であるとか世界の五強國の一つであるとか云ふ事に就て眞面目な自負心を懷いて居る事が事實であるなれば」、「如何なる使命と責任とを負はねばならぬものであるかに就て深く自ら反省しなくてはなるまい」と結んだ。

 ここに見える橘の慨嘆は2020年の現在にも通じる。
であるとするなら、この辺りに「普通の国」に飛躍できない日本の根本的病理が潜んでいるように思えるのだが。
     
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(読者の声1)王育徳紀念館の新しい紹介ビデオです。
www.youtube.com/watch?v=42260wLhoeQ&fbclid=IwAR0asz0zo2gP1FN5NmCx7iSQC3ZH6Uzaz1D8A5c32tOJLgkBjIIxLQzXxgQ
(台湾の声)
  

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「宮崎正弘の国際情勢解題」  令和2年(2020)7月23日(木曜日)
       通巻第6597号 
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(休刊のお知らせ)連休中の7月24,25日は休刊となります
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~米国商務省のブラックリスト(ELリスト)に中国の11社を追加
  かつらの「和田浩林」から中国科学院傘下の「北京基因組研究所」まで
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 7月20日、米国商務省は「ウイグル少数民族の弾圧に使用された」監視カメラ製造あるいは、弾圧されて強制収容所内で作られた製品を製造販売した容疑で、11の中国企業をブラックリストに加えた。筆頭は「和田浩林髪飾品」。ウィグル強制収容所でウィグル族に作業させた製品としてボストン税関で13トンのカツラが押収された。

 またエスケル集団の「エスケル繊維」はYシャツやマスクの製造で知られ、グループ全体で5・7万人の従業員がいる。エスケルはラルフ・ローレン、ヒューゴ・ボスなどのアパレル、ポロシャツなどのOEM生産で急成長してきた。

 さきにあげられていたのはファーウェイ、ハイクビジョン、センスタイム、ダーファー、メグビーなどだが、ウィグル弾圧の監視カメラなどが中心だった。
新しいリストに新たに加わったのは、このほかに「KTK集団(今創集団)」、同社は鉄道、線路設備一連の製品、また「湯園技術」(音訳。アルミ製品)、そして「南昌Oフィルム」は、アップル、アマゾン、マイクロソフトへも部品を供給している企業だ。
 
 驚きは中国科学院傘下の「北京基因組研究所」(国家生物信息中心)までがリスト入りしていることで、理由をマルコルビオ上院議員は「この研究所は中国共産党直属である」とした。
 同日、トランプ政権はテキサス州ヒューストンのある中国領事館の閉鎖を命じた。外交的に前代未聞の措置、まるで戦争前夜の様相を呈してきた。
 
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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@  【知道中国 2106回】            
 「ポケット論語をストーブに焼べて・・・」(橘66)
「孫文の東洋文化觀及び日本觀」(大正14年/『橘樸著作集第一巻』勁草書房) 

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 毛沢東の死から5年、対外開放から2年が過ぎた1981年に開かれた中国共産党11期6中全会で決議された「歴史決議」には、文革当初に掲げられた「社会主義のより深く、より広い、新たな発展段階」なる意義づけが全面的に否定され、文革は「党と国家と各民族に大きな災難をもたらした内乱である」と記されている。

もはや多くを語る必要はないだろう。「幼稚な發達をしか遂げて居ない此の政治學説を買被つて、孫氏の樣に大袈裟に吹聽することは愼むべきだ」との橘の苦言は、悲しいことに現在に至っても“効力”を失ってはいないらしい。

橘から「幼稚な發達をしか遂げて居ない」と見做された「孫文氏の亞細亞主義論」を、なぜ、その後も後生大事に持ち続けた日本人がいたのか。じつに不思議だ。

続いて橘は「彼の日本人に期待するところ」と題し、孫文が日本人に求めたことについて言及しているが、その前に「中國人に所謂國家主義思想の稀薄であると云ふ事實」を孫文秘書の戴天仇がどのように捉えていたのか。参考までに以下に記しておく。
「中國の現代一般の人々は非常に無政府的思想に傾き易い。動もすると現實を離れて事物を考へる傾向があり、思想は極端に走るが、現實の主張では非常に妥協性に富んで居る。それも老子の思想から影響を受けて居る。老子の思想では個人に對するのは宇宙であり、其の間に何一つ無きが故に總て極端に走るが、總て妥協する。其れは即ち老子は極端な個人主義であるからであります」。

以上が戴の主張だが、たしかに中国では「思想は極端に走るが、現實の主張では非常に妥協性に富んで居る」。宇宙と個人の間に「何一つ無きが故」かどうかは知らないが、たしかに中国人の振る舞いには「總て極端に走るが、總て妥協する」といった傾向が見られる。

 老子、極端な個人主義、無政府的思想に傾き易く現実から離れた考え、「思想は極端に走るが、現實の主張では非常に妥協性に富んで居る」 戴の指摘は記憶に留めておきたい。

 さて孫文の「彼の日本人に期待するところ」だが、ここで橘は「專ら孫氏が其の大亞細亞主義及び不平等條約廢止の實行に關して何を日本人に希望して居るかを述べ」ている。

 以下、橘の解説に従って孫文の考えを示しておく。
 まず孫文は「亞細亞諸民族に間に歐羅巴民族に壓迫に反抗して獨立運動の勃興したのは、日本が露西亞に對して戰勝した事が直接の刺戟となつた」と説く。

日露戦争からの20年ほどの間のアジアにおいては、エジプトからはじまりトルコ、ペルシャ、アフガニスタン、アラビヤと独立の動きが見られ、いまやインドもまたこの動きに続こうとしている。中国と日本が中心となってアジアの諸民族を連絡することで、アジア民族の独立運動は達成される。問題は、現時点で中国と日本の「兩中心が仲を惡くして、連絡どころか相反撥して居る」ことだ。だが目下のところはともかく、いずれ「將來は我々東亞細亞の各民族も亦大勢に促されて必ず連絡することになるであらう」。
 
孫文は不平等条約廃止の平和的達成を求め、国際的影響力を高める日本の援助を望んだ。日本が自ら築いた国際的地位をテコに中国を日本と同じ地位に引き上げて欲しいし、日本に西洋の覇道文化に対する東洋の王道文化の武力的擁護者となることを期待している。

「我々は口癖の樣に中國と日本は同文同種の國」であり、「之は兄弟の國であると云ふ事を意味する」。そこで「弟は兄と憂を分ち兄を援けて奮鬪し、不平等條約を改造して兄を奴隷的地位から救ひ出してやるべきである。さうしてこそ中國と日本とが再び兄弟の誼を結ぶ事が出來であらう」。
 こう孫文は「日本人に期待する」。
だが孫文センセイ、身勝手が過ぎマスヨ!
      
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(読者の声1)日経新聞7月19日(日曜日)第5面囲みコラム「風見鶏」に「『東芝ココム』はまた起きる」との見出しで、政治部記者の署名記事が掲載された。
内容は、日本企業が漠然と中国企業と技術提携したりしているが、このような鈍感な姿勢ではアメリカの脅威とみなされ、かつての東芝機械ココム違反事件のようなことが起こるだろうというもの。
これには、読んでいて我が目を疑った。
貴誌7月18日配信、第6594号「ハルノートを突きつけられた中国、『真珠湾』を待つ米国 米中対決、いよいよ最終局面に。気がつかない日本政府の鈍感」の趣旨とそっくりだったからだ。その中ほどに「いずれ『第二の東芝ココム事件』に類することがおこるだろう」との記載まである。
貴誌は国際動向を現地現物からレポートするのみならず、世界200か国を主筆自身が誰のアテンドも受けずに、自分の脚で歩いた生々しい現実を「即座に」「無料で」「大量に」「毎日」配信するという、文筆業やマスコミの常識からかけ離れた離れ業を今日も演じている。
どこにも載っていない情報ばかりだし、それが日本の歴史文化伝統という基盤にどのように意味があるのかを縦横無尽に語り尽すので、世の中のマスコミ勤務の諸氏はかなりの比率で購読(タダなので「購」読ではないが)しているといわれている。
平安の昔から本歌取りという技法もあったことだし、先人の知恵に着想を得て文章を書くのは悪いことではないから盗作とか剽窃と難じる積りはないが、件の記者ご本人からすれば整理部によって付けられた見出しがあまりにもモロ出しだったので苦笑していたのではと勝手に勘繰るのも読者の気楽なところ。
若い記者諸君は本紙主筆が30年以上も前に日経新聞ウォッチャーとして記事どころか組織全体を丸裸にした著書を刊行したこともあるのは知らぬが仏というものだろう。    (江東区、YE生)


(宮崎正弘のコメント)後節の著作は、拙著『ザ・日経』(上下二巻、山手書房、絶版)のことですね。よくぞ記憶されていました。小生自身、忘れていました。
 第二のココムは、2018年に成立した「国防権限法」のなかに盛り込まれているECRA(輸出管理改革法)です。ハイテク技術、ソフト、製品で米国の安全保障の脅威となる技術を規制するもの、具体的には「Emerging Technologies(「新興技術」)」と「Foundational Technologies」(「基盤的技術」)が対象とされると原文になります。このECRAにより、まさに対中ココムは発動している。

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(読者の声2)親中派こそが「反日自滅主義」。「反日種族主義」を読み始める、冒頭から「嘘をつく国民/嘘をつく政治/嘘つきの学問/嘘の裁判/反日種族主義」と、自己批判とも思える韓国社会への猛烈な告発が書き出される。どこかで見たような聞いたような既視感に囚われる。日本の戦後社会そのものではないか、「嘘をつく・・・/反日自滅主義」と書き始めます。
「日本国憲法という嘘に縛られる国民/国連という嘘をつく政治/太平洋戦争という嘘つきの学問/東京裁判という嘘の裁判/すべてが反日自滅主義」であり、「危機日本の根源:反日自滅主義」だと思われます。「自虐史観」と戦後の歴史教科書を総括しましたが、残念ながら「自滅史観」が正しいようです。
「危機日本の根源:反日自滅主義」の現状:武漢コロナ禍報道にみる「反日自滅主義」
 まさしく現在進行形の武漢コロナ禍報道は、反日自滅主義そのものでしょう。時々刻々の感染者数と人々の生活困窮ぶりが昼夜を問わず報道されますが、疫病の核心は報道されません。重症者死亡者数推移や感染源地域からの入国者数とその推移などが「疫病対策の核心」のはずですが、「政府は語らず報道は追及せず」を決め込んでいます。国民に事実真実を丁寧に伝え、経済活動への奮起を促すべきところが、疫病の核心は伝えずに生活への不信,不安や心の萎縮ばかりが日々煽られています。やはり反日自滅主義の表れのようです。
 とりわけ政府から新聞テレビまでが「新型コロナウイルス」と称し、武漢肺炎,チャイナウイルスという疫病発生源の隠匿を図っています。「嘘をつく国民/嘘をつく政治」は現在進行形なのでしょうか??発生源に最も近い日本が、世界中の嘘に加担して「?つきは泥棒の始まり」と子供たちに言えるか、反日自滅主義の闇は深いようです。   (高橋玉次、いわき市、元厦門在住)

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(読者の声3)別のネットで、中国はコロナ騒動のため、空母の三隻目は造れないとあったのを見たが、何が何でも空母を造るようですね。今の中国は、コロナどころか、水害で困っているはずである。
中国やマスコミが、水害を針小棒大に発表しているのだろうか。
 日本は、ミッドウェー海戦では、源田實の発案で、空母を集中的に運用して敗北した。
アメリカは、分散して空母飛龍の逆襲に耐えた。戦後のアメリカは、その戦訓を活かして打撃軍として完成させた。それを中国が取り入れても、果たして、質、量、士気はどうだろう。
 中国は、合同艦隊演習をしても、それぞれの戦隊の充分な成果を得たと発表する。艦隊司令長官の命令が、戦隊の末端まで、1分1秒の迅速さで伝達し、攻撃態勢を取らねばならない戦闘時なのにである。
 艦は浮かんでさえいれば、戦力になると思っているのだろうか。しかも日清戦争以来、海戦の戦訓がない。大陸国家では、有能な人材・資財は陸空にゆく。他国ごとながら、案ずる所である。   (斎藤周吾)


(宮崎正弘のコメント)大陸国家はしょぜん、海洋国家にはなれないでしょうね。ドイツは海軍が脆弱です。嘗ての海洋国家、スペイン、ポルトガル、オランダは衰退してしまった。
        
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 ●宮崎正弘の新刊 ●宮崎正弘の新刊 http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
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『WHAT NEXT(コロナ以後大予測)』(ハート出版)
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宮崎正弘『「コロナ以後」中国は世界最終戦争を仕掛けて自滅する』(徳間書店)
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『新型肺炎、経済崩壊、軍事クーデターで、さよなら習近平』(ビジネス社)
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『CHINAZI(チャイナチ) 崩れゆく独裁国家・中国』(徳間書店)
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<< 宮崎正弘のロングセラーズ >> 
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
『地図にない国を行く』(海竜社)
『日本が危ない!  一帯一路の罠』(ハート出版)
『AI管理社会・中国の恐怖』(PHP新書)
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<< 歴史評論シリーズ >>
『神武天皇以前 (縄文中期に天皇制の原型が誕生した)』(育鵬社、1650円)
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『明智光秀 五百年の孤独』(徳間書店 定価1650円)
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『吉田松陰が復活する』(並木書房、1650円)
『西郷隆盛 ──日本人はなぜこの英雄が好きなのか』(海竜社、1650円)
『取り戻せ 日本の正気』(並木書房)
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<< 宮崎正弘の対談シリーズ >> 
宮崎正弘 v 渡邊惣樹 『戦後支配の正体 1945-2020』(ビジネス社)
宮崎正弘 v 石 平  『ならず者国家・習近平中国の自滅が始まった!』(ワック)
宮崎正弘 v 西部 邁 『アクティブ・ニヒリズムを超えて』(文藝社文庫)  
宮崎正弘 v 渡邊哲也 『コロナ大恐慌中国を世界が排除する』(ビジネス社)
宮崎正弘 v 田村秀男 『中国発の金融恐慌に備えよ!』(徳間書店)) 
宮崎正弘 v 高山正之 『世界を震撼させた歴史の国 日本』(徳間書店) 
宮崎正弘 v 河添恵子 『中国、中国人の品性』(ワック)  
宮崎正弘 v 宮脇淳子 『本当は異民族がつくった虚構国家 中国の真実』(ビジネス社) 
宮崎正弘 v 藤井厳喜 『米日露協調で、韓国消滅!中国没落!』(海竜社)
宮崎正弘 v 室谷克実 『米朝急転で始まる中国・韓国の悪夢』(徳間書店)
宮崎正弘 v 福島香織 『世界の中国化をくい止めろ』(ビジネス社)
宮崎正弘 v 馬渕睦夫 『世界戦争をしかける市場の正体』(ビジネス社)
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