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令和2年(2020)9月11日〜9月17日 💕🐧。。。 「宮崎正弘の国際情勢解題」
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)9月18日(金曜日)
通巻第6648号
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(休刊のお知らせ)9月19日~22日の四連休中、小誌も休刊です!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~米国務次官が訪台。蔡英文総統と会見。李登輝元総統葬儀に列席
日本からも森嘉郎元首相ら、国会議員数名が訪台へ
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コロナ災禍で外国機乗り入れがほとんどない台北松山空港。
9月17日夕刻、米国の新型軍用機、垂直離陸機が降り立った。なかからタラップを降りてきたのは、恰幅の良いクラック国務次官と人権担当、女性問題担当補佐官らだった。軍用機のお目見えは、台湾への国防関与を示し、中国への牽制でもある。
クラック国務次官の訪台は、過去40年の米台関係で国務省では一番の高位となる。18日に蔡英文総統と会見し、19日に予定されている李登輝元総統の「国葬」に参加する。
また日本からは国会議員数名が、18日にチャーター機で台北入りし、国葬に参加する。団長は森嘉郎元首相。 台北のメディアは歓迎一色となっている。
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産経の李登輝先生特集 メールアドレスの訂正
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産経の李登輝先生特集紙面事務局に「掲載されているメールアドレスが違うようで、メールを送れない」という電話が何件も入ってきているそうです。
rritouki@sankeiitouki@sankei--ad.co.jpad.co.jp
↓
ritouki@sankei-ad.co.jp
(李登輝友の会)
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樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@ 知道中国 【2134回】
──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港16)
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門番が指し示す先を追うと、洒落た邸宅の車寄せに40代前半と思しき女性が手招きしている。甘先生だ。どんぐりマナコの丸顔で頑丈そうな中肉中背。決して美人ではない。毛沢東が「中国の女性は化粧を好まず、軍装を好む」と形容していた「新中国の理想的女性像」にピッタリのタイプだった。
真ん中に安っぽい木製の机と2脚の椅子が置かれていた部屋に入る。黒光りがする板張りの床に、年代物の使い込まれた高価そうな家具。そのアンバランスな雰囲気に戸惑ったが、先生の自宅は香港島にあり、この部屋は個人教授用の教室として借りているらしい。
たどたどしい中国語で自己紹介が終わると、机の上に置かれていたテキストを声を出して読むように、と。今でも覚えているが、それは「説的話是語言、写的文章也是語言、可是説的話跟写的文章完全不一様・・・」で始まる、
話し言葉と書き言葉の違いについて書かれた文章だった。途中まで読むと、「じゃ次」と。中国人の生き方を解説した「差不多先生」だった。早い時期のアメリカ留学組で、プラグマテチズム(実用主義)哲学を中国に紹介した胡適の文章だったように記憶する。
なにを聞かれようとも、どうされようとも、どんな結果になろうとも「差不多(そこそこ、だいたい、まずまず、ま~ま~、別に~ッ)」で済ませてしまう。中国人は己がない。だから反省も自省も省察もなく進歩もない──こんな内容だったと思う。
一通り読み終わると、先生は目の前のテキストを指さして、「次回から、これで」。いましがた読んだテキストで次回から本格授業開始の運びとなった。1週1回1時間は少ないだろうが、懐具合を考えれば致し方ない。以後、甘先生の許に通っての個人教授は4年ほどに及んだような。途中から先生の御主人による授業となり、授業場所も香港島北角に聳え立つ五洲大廈(ウンチョウ・タイハ)に代わった。
さて次の週の「差不多先生」から個人授業の本格開始となる。
胡適の短い文章を何本か読んだ後、謝冰心、落花生や巴金へ。それらを終えると、待望の老舎だった。
なぜ待望か。それは老舎が北京生まれの満州族で、ことに作品中の会話の部分に京片子(北京人独特の単語、耳に心地よい発音・言い回し)が多用されているからだ。『猫城記』『牛天賜伝』『龍鬚溝』『駱駝祥子』などのサワリを読んだ。さすがに先生は北京生まれの北京育ちだった。会話の部分の朗読を聞きながら、暫し耳福の一刻を楽しませてもらったものだ。
老舎が済んだ時点で、次の教材として『李家荘的変遷』『青春之歌』『紅岩』『金光大道』など現代小説のベストセターの類を提案したが、先生からは色よい返事は返ってこない。やはり共産党を嫌って香港に逃げてきただけあって、口にこそ出さないものの、共産党式の勧善懲悪・刻苦勉励ストーリーは嫌いに違いない。そこで一気に魯迅へと進んだ。
「某君昆仲(某君兄弟)・・・」ではじまり、「・・・還没吃人的孩子、救救孩子(まだ人を喰らったことのない子供を救え)」で終わる『狂人日記』から始まり、「孔乙己」「祝福」「薬」などの小品、そして代表作の『阿Q正伝』まで。
『阿Q正伝』は、「プライドだけは高いが、実力の伴わない阿Qが人々から辱めを受けた際、精神的には相手が自分より優位に立っているという自己欺瞞によって、自らを慰めるのであるが、その「精神的勝利法」こそが、中国人の悪しき国民性であり、そこからの脱却なしに中国の再生はあり得ないと考える魯迅の思いを形象化した作品」(『岩波 現代中国事典』岩波書店 1999年)として知られる。
一方、『狂人日記』は狂人の戯言の形を借りながら、中国人のヒト喰いを告発している。阿Qも『狂人日記』の主人公である「狂人」も共に中国人である。ならば三段論法では阿Qもヒトを喰っている・・・はず。
宮崎正弘の新刊『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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宮崎正弘『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社、1650円)
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──岐路に立つ日本の「平和論」。欺瞞のヘイワケンポウで国を守れるのか?
──日本は世界史でも稀な泰平の日々を送ってきたが、その代償とは?
──縄文時代の一万年以上、日本には戦争がなかった
──弥生時代に渡来人が混入してから、国内騒乱、権力をめぐる争いがおこった
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(読者の声1)。「ハリウッド超大作映画『ミッドウェイ』に噴飯!
「中国忖度がヒド過ぎる!
にもある通り、支那の会社、つまり、支那共産が製作費を出した映画で、日米離間を目的とする映画だと断言できる。
特に腹が立つのが2点。
(1) 日本軍が米兵捕虜を尋問するシーンがあるが、尋問に応じない米兵を大きな錨に繋いで残酷にも海に沈めるシーンがある。帝国海軍は捕虜を優遇した。同じ年に駆逐艦雷で漂流中の敵イギリス水兵を救出し、「本日、貴官らは日本帝国海軍の名誉あるゲストである」(You had fought bravely. Now, you are the guests of the Imperial Japanese Navy.)として厚遇したほどである。
たった一人の捕虜を処分するために貴重な艦の錨を捨てるものか? バカにするのいい加減にしろ。救助された英水兵の司令官フォール卿は、戦後、外交官として活躍し、定年退職後、1996(平成8)年に自伝『マイ・ラッキー・ライフ』を上梓し、感謝しているんだぞ。
(2) 日本軍は民間人を攻撃対象としない。ドーリットル(Dooではなく、Dolittle隊と表記することとする。)が不時着した支那で日本軍が善良な支那人を無差別銃撃するシーンがある。
日本軍は断じて弱いものいじめはしない。無垢の老弱何女を殺戮するのはアメリカ軍のお家芸である。東京大空襲や原爆投下で日本人は何をされたか思い出すべきた。撃墜されて脱出して漂流しているアメリカ軍の航空兵を日本の艦載機が銃撃するシーンもあったが、米軍と異なり、日本軍はそんな卑怯な戦い方はしない。アメリカに復讐はしないことにしても、こうした映像表現は日本に対する侮辱である。
日本外務省はこの映画は日米離間を意図した共産支那によるプロパガンダ映画であり、抗議すべきだ。支那のフアーウエイを出入り禁止するくらいなら、嘘のエピソードをさも史実のように捏ち上げ、日米離間を意図する映画の上映など禁止させるのは当然だと米国政府に働きかけてもらいたい。
悪人は栄え、正しきは報われずでは困る。
(匿名希望)
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(読者の声2)岸前号の李登輝閣下関連の広告ですが、文中に記されたアドレスでは送信できないようです。正しいアドレスを流してください。
(HK生)
(編集部より)上記に訂正しました。先方の送信ミスだったようです。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)9月17日(木曜日)
通巻第6647号
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李登輝先生を敬愛される 皆さまへ
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日本李登輝友の会会長 渡辺 利夫
産経新聞への「 李登輝先生追悼 特別企画」 掲載に当たってのお願い
謹啓
初秋の候ますますご清祥のことと拝察申し上げます。さて、ご高承のように去る 7 月 30 日、 台湾の李登輝元総統が満 97 歳にてお亡くなりになりました。訃報 に接した とき は頭を深く床に伏すしかないほどの 衝撃を覚えました 。深い思索、巧まざる行動力、それでいてみずからを誇ることのないという、底知れぬ力を感じた方は李登輝先生以外に お 会 いした ことがありません。 皆さまも、それぞれに深い感慨をもって訃報 を 受け止 め られ た のではないかと拝察しております。
私ども日本李登輝友の会 の今後について も、本当に多くの方からご心配や励ましのご連絡をいただいております。お気遣い誠にありがとうございます。 亡くな
られてから 新規入会の お 申し込みが 続出していて 、本会への注目度や期待は以前に も 増して高まっているようです。本会はこれまでどおり活動を続けて参ります。 またセレモニーとしての「お別れの会」や「偲ぶ会」ではなく、「李登輝元総統追悼シンポジウム」 (仮称 を開 き、 李登輝精神とは何だったのか、李登輝先生が日本人に お伝えしたかった ことは何 だったの かなど を伝える 、本会にふさわしい 場を設け たい と 考えています 。
西郷隆盛を慕う「南洲会」があり、坂本龍馬を慕う「龍馬の会」がありますように、私どもは李登輝先生の「日台運命共同体」に共鳴して設立したことに鑑みましても、今後ともその理念を実現し、李登輝精神を体すべく活動を続けて参りたい と考えています。
一方、私どもの追悼の 意の 表し方として追悼シンポジウムを開催する に しても、 李登輝先生に寄せられる 皆さまの追悼の 念 を表するにはどうすべきかとも考え ました。そこで、 新聞に追悼企画のような紙面を作れないかと思い、 台湾や日台関係に理解の深い産経新聞 東京本社 に相談したところ 快く ご理解いただき東京本社版に 紙面を提供いただける運びと相成りました。
李登輝先生追悼特別企画と銘打ち、 五指山軍人公墓への埋葬式(納骨式)に合わせ 10 月 7 日に 掲載することになりました。具体的には、産経新聞の 1 面( 15 段)全面を使い、上 5 段を本会からの追悼メッセージと李登輝先生の 写真を配し、下 10 段にこの追悼企画に賛同してご厚志( ご賛助 )を寄せていただいた方々のお名 前を掲載することとなります。産経新聞社からは、ご賛同者 が多い場合は 2 面見開きで掲載してもよいと のご提案もいただいています。
ご厚志(ご賛助)は 個人なら 1 口= 1 万円、法人なら 1 口= 10 万円を寄せて いただ きたいと考えております。 皆さまに ご理解の上 ご賛同をお願い申し上げる次第です。
謹白
<<お申し込み要綱>>
*国籍は問いません。
*ご賛助をいただいた方には掲載紙面を郵送します。掲載は10月月7日付の東京本社版。
・お申し込み:「李登輝先生追悼特集の件」と書き添え、(1)ご氏名(法人は社名)。(2))フリガナ、(3)住所、(4)電話番号を明記の上、メールまたはFAXにてお申し込み下さい。)家族など複数の場合は、それぞれの方のご氏名をお書き下さい。
--mailmail::rritouki@sankeiitouki@sankei--ad.co.jpad.co.jp
FAX:03-3219-2236FAX:03-3219-2236
*匿名を希望される場合は「匿名希望」とお書き添え下さい。ペンネームは不可。
*ご氏名・社名の表記は、新聞常用漢字以外の場合、お申し込み時の表記は、新聞常用漢字以外の場合、お申し込み時の表記を変更する場合があります。
*メールとFAXはお申し込み専用で24時間受付時間受付です。です。
*お名前の誤記を防ぐため、電話でのお申し込みは受け付けておりません。
・お振り込み:お申し込み後、3日以内に、、指定口座へお申し込み者名でお振り込み下さい。ご家族など複数の場合は代表者名でお振り込み下さい。
*お振り込み手数料はご負担願います。
*未入金の場合は事務局から電話で確認します。
お振込口座:ゆうちょ銀行 店名:019 当座預金:18944
口座名義:カブシキガイシャ サンケイコウコクシャ
三菱UFJ:京橋支店 普通普通 2596731
口座名義:カ)サンケイコウコクシャサンケイコウコクシャ
・締切日:10月2日15時
・事務局連絡:李登輝先生特集紙面事務局李登輝先生特集紙面事務局(仮称)
電話:0120-650-5480(平日:10時~17時)
*お問合せ専用電話です。*お問合せ専用電話です。
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宮崎正弘の新刊『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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宮崎正弘『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社、1650円)
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──岐路に立つ日本の「平和論」。欺瞞のヘイワケンポウで国を守れるのか?
──日本は世界史でも稀な泰平の日々を送ってきたが、その代償とは?
──縄文時代の一万年以上、日本には戦争がなかった
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(読者の声1)アメリカで保存料されていた戦艦「長門」に掲げられていた旗を石坂浩二さんが日本にあるべきだと自費で買い戻し、大和ミュージアムへ寄贈。石坂浩二さん感謝感謝です。
(NI生)
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(読者の声2)台湾ボイス『TaiwanVoice』林建良 x 藤井厳喜【最新レポート】MIT&元香港大の2人の教授が暴露…大手医学誌が告発レポート掲載拒否のワケ
(台湾の声)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)9月16日(水曜日)
通巻第6646号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~事実上の対中禁輸。「新ココム」が発動された
部品どころか、ソフトウエアが米国製なら出荷できなくなった
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対中輸出が大幅に制限されるどころが、事実上の出荷停止である。
9月15日、中国向け半導体輸出が全面的に停止された。これまでは「25%以上の米国製部品をつかったもの」を対象とすると商務省が規定していたはずだが、いつのまにか、「米国製ソフトウエアがつかわれたもの」「米国製製造装置をつかって生産したもの」と解釈が拡大されたからだ。
ただでさえ低落してきた日本の半導体メーカーが直撃を受けた。
規制が予想以上に厳密な内容だったため、対応が遅れ、ノキア、エリクソンなど北欧勢への販路拡張も遅れている。
ファーウェイ向けのフラッシュメモリーを生産してきた旧東芝メモリー(キオクシア)、画像センサーのソニー、通信機向け半導体の三菱電機、電波増幅器のルネサス、HDD(ハードデスク駆動装置)の東芝ほかが、もろに影響を受ける。代替仕向地は簡単には見つからないため、暫時低迷する可能性がある。
もっとも中国側もこの事態を見越して、台湾のTSMCや韓国サムスンなどから、向こう二年分の半導体を緊急に輸入し在庫している。それでもファーウェイのスマホは70%減速するだろうと予測されている。
また米国製ソフトを使用した部品という定義を拡大解釈すれば、ソフト開発に携わるエンジニアの国際間の移動、技術の移転も制裁の対象となりかねず、完全な対中禁輸措置である。つまり新ココムが発動されたということである。
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樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@ 【知道中国 2133回】
──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港15)
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4人兄弟が相手の家庭教師と第一日文での代講・・・取らぬ狸の皮算用は十分に承知しているが、両方のバイト代を合わせれば一定の収入が確保できそうだ。切り詰めた生活に努めれば、なんとか留学期間も伸ばせるだろう。
先の見通しが立ったようでもあり、そこで改めて中国語を学ぼうと思い立った。
理想は個人教授ではあるが、やはりネックとなるのは高い授業料である。貧乏留学生にとっては贅沢が過ぎる。だが、だからといって映画館での学習は無意味に近いことは経験済みだ。香港までやって来て独学はないだろう。そこで、飛び降りることもないだろうが、先ずは清水の舞台に立った心算で、個人教授でやってみようということに。
人間というヤツはどうしようもなく怠け者であり、一生懸命に勉強しようなどと殊勝な気持ちを持ったところで、それは一時のこと。『崇高な決意』は程なく雲散霧消して、元の木阿弥となるのが関の山。抑え難い怠け心を封じ込めることが出来るような『鋼の意志』なんぞを、凡人が持ち合わせているわけがない。
怠け者の尻を引っ叩く最良の方法は、やはりカネしかない。カネさえ出せば、なんとか払った分は取り戻そうとするはずだ。欲の皮が突っ張っているから、しょせん人間はセコイのである。
幸運にも理想に近い先生が見つかった。北京生まれの北京育ちで京片子(べらんめえ口調で耳に心地よく響く北京弁)を話す。北京大学で中国文学を専攻した50歳前後の女性で、そのうえ授業料が思ったほど高くはない。まさに願ったり叶ったり、だった。
早速、指定された番号に電話すると、歯切れのいい中国語が返ってきた。「時間があるなら、いま直ぐにお出でなさい。アナタの程度を確かめてテキストを考えたいので」。そこで「我就去(すぐ行きます)!」と電話を切って、台所にいた大家のSさん夫人に指定された場所への道順を訊ねた。すると地図を書いてくれながら、「『我就去!』でも意味は伝わるけど、やはり『我就来!』の方がいいと思いますよ」と。
そこでハタと気づかされた。日本式中国語でも通じればいいってものではない。ここは香港であり、住民の圧倒的多数は広東人である。広東人も中国人だろう。香港が中国人の社会であり、その香港と言う中国人社会にドップリと浸かろうとしているわけだから、願ってもない絶好の機会を逃がしてなるものか──こう思い至ったところで、日本で身につけた中国語の知識は取り敢えずはキレイサッパリと忘れ、一から学び直そうと考えた。
善は急げ、である。
バスを乗り継いで、指定された住所になんとか辿り着く。近くには赤煉瓦が美しい名門女学校があり、周囲を高い木々に囲まれた落着いた雰囲気の高級住宅が並ぶ。雑踏と人いきれの香港にも、こんなにも緑豊かで閑静な住宅地があったのだろうかと驚いたが、時に轟音が耳をツンザク。
見上げると、着陸直前の態勢に入った旅客機が啓徳空港(当時の香港国際空港)の滑走路に向かって超低空で通り過ぎて行く。もちろん、風向き具合によっては離陸直後のこともある。
大きな石造りの門があり、高い塀で囲まれた広い青々とした庭の先に2階建てのレトロな雰囲気の洒落た邸宅があった。門番に来意を告げると通してくれたのだが、彼の背後の門番小屋を見て驚いた。もちろん普通の犬小屋よりは大型だが、まるで見た目は犬小屋。だが窓もあれば、入口の板戸にはカギも付いている。
チラッと目に入った小屋の中には布団も畳んであれば、食器もあった。ここが彼の職場兼住宅らしい。職住超近接と聞こえは良いが、まさに劣悪な居住環境と表現するしかない。
だが『固定の住宅』を持っているだけでもヨシとしなければならなかったはず。それというのも当時、繁華街の夜の路地裏で歩道脇に設えた折り畳みベッドを塒としていた例にお目に掛かることがあったからだ。
改めて香港社会の厳しい現実を知ったのである。
宮崎正弘の新刊『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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9月20日発売決定!
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♪(読者の声1)OracleはTikTokを買わない。提携はする、その方がよいというアナリストの反応です。両社の交渉をそう見ているという下記ソースです。(mkm)
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(読者の声2)菅(スガ)が番頭?とんでもないこのマキャベリストの野心は青空高く(曇り空高くの方が合うかな?爆笑)限りないぞ。
この男がすんなり番頭で来年引くものか?もちろん失脚はありうるが・・限りない野心 控え目に見える態度の陰に、黒沢明(今度の餓鬼紛らわしい清監督ではない 程度の低いくだらないベネチア選考基準)監督映画に出てくる悪党 見かけ慇懃無礼で表情を変えずに偽善の面をしながら悪徳の権力欲に燃える男、を連想するこの男に野心・権力欲・謀略欲以外の何物もない。
(AO生、世田谷)
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(読者の声3)中国人教授「地球滅亡計画」の背後、中国全体は狂気と危険の方向へ走っている。2020.9.14、石平氏のユーチューブで、瀋陽工業大学特別招聘教授の趙盛?氏の発言とあった。
世界を滅亡させるには、アメリカに核弾頭を射つ必要はない。太平洋上に数千発の核弾頭を打ちこめば二千m級の津波が発生し、ヒマラヤ山脈を除く全てが水没するという。
日本人なら、震え上がる声明である。
だが、中国共産党政権は、もし、アメリカが中国に戦争をしかければ、世界を破滅させるとの恫喝であろう。ソ連のゴルバチョフが政権の末期、銀行強盗に入った。その銃の先が自分の頭に向けている、という風刺画があった。
ソ連の崩壊よりも遙かにすさまじい脅迫である。
かつて、中国共産党が潰れるときは、中国人民全てが滅ぶ時であると言っていた。これは、決して脅かしではない。
東洋史家の岡田英弘氏は、後漢末の黄巾の乱の乱には、五千万いた人口の九割が死に、五百万に減ったと言っているからである。
日本も戦中は、1億総玉砕(台湾、韓半島を含む)と言っていた。決して中国を一方的に非難はできない。
(斎藤周吾)
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(読者の声4)今晩(16日)夜放送予定の「フロントジャパン」は佐波優子さんと宮崎正弘さんでお送りします。深夜からはユーチューブでもご覧になれます。
宮崎さんのテーマは「管政治が始まる」の予定です。
(日本文化チャンネル桜)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)9月15日(火曜日)弐
通巻第6645号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~TIKTOKはオラクルへ。英アームは米エヌビディアが買収へ
ハイテクの中国包囲網、大型のM&A(企業買収合併)で道半ば
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TIKTOKの米国子会社をトランプ政権はマイクロソフトへ売却するように命じたが、中国が激しく抵抗し、訴訟に持ち込まれた。現時点ではオラクルとの「提携」で、事態は落ち着きそうな気配となった。
TIKTOKは動画投稿サイトとして急激に業績を伸ばしてきたが、データが中国に渡るとトランプ政権が警戒してきた。
他方、ソフトバンクが3兆2000億円という巨額を投じた英アーム買収は、ソフトバンクの経営悪化による株式売却が急がれていたが、米エヌビディアへ4兆2000億円での買収交渉が最終段階に入った。米英連合にAI技術の覇権が移行する。
エヌビディアはGPU(画像処理半導体)の大手として知られ、ゲーム映像などをなめらかに描く技術を音声認識にいかし、計算をこなすAI計算を高速でこなす。次世代AIの成長分野である。
アームは半導体設計で世界の90%のシェアを誇り、中国が買収を狙っていた。これもトランプ政権の反対により、ソフトバンクは新しい買収先を水面下で探していた。すでに中国は「アームチャイナ」という子会社を中国に設立し、技術の猛追を図っている。
これらの大型買収劇は、従来の資本主義におけるシェア拡大という一般的なM&A戦略を越えたもので、ハイテク、とりわけAI半導体の最先端技術を中国に渡さないというトランプ政権の中国封じ込めを基盤に生まれてきた。
宮崎正弘の新刊『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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宮崎正弘『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社、1650円)
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──岐路に立つ日本の「平和論」。欺瞞のヘイワケンポウで国を守れるのか?
前作『神武天皇「以前」』に引き続く話題作です!
日本は世界史でも稀な泰平の日々を送ってきたが、その代償とは?
縄文時代の一万年以上、日本には戦争がなかった
弥生時代の渡来人が混入してから、国内騒乱、権力をめぐる争いがおこった
とはいえ大殺戮は避けられ、国家最大の内戦「西南戦争」でも死者は一万余。
戦後、日本からサムライ精神は去勢された。闘わない民族に明日はない
拉致された同胞を武力を用いて奪回する迫力もなくしたヘナチョコ
シナや朝鮮からイチャモン、難癖をつけられても沈黙を続ける政治の腐爛
こんな国でよいはずがない。「凛たれ、ニッポン!」
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(読者の声1)通巻第6644号 先生の「番頭政治」は痛烈、痛快です。 一般マスコミが、この点を指摘しないのは、見識がないも甚だしいと感じていました。
英語には、たしか、Caretaking Government とかCaretaker という政治用語があったと記憶します。
来年秋、あるいは解散総選挙までの一年足らず、「私は番頭でございますので、この突発事に、その間だけ、暫定内閣を組織させていただきます」と菅氏は公言しておれば、喝采を浴びていたのではないでしょうか。
政治には、大向うへの意識が必要です。
(KI生、尼崎市)
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(読者の声2)証券アナリストジャーナル(2020年9月号)にツネイシホールデイングスの特別顧問で元大蔵官僚だった伏見泰治が30年前に英国の王立国際問題研究所に2年間派遣されていたときの話を書いている。
この中で、「Tsushima沖海戦」に関する質問を同僚のクロアチア人から受けたエピソードがあった。本人が今でも「Tsushima沖海戦」と書いていることから、「Tsushima沖海戦」が日本海海戦のことであり、連合艦隊を指揮した東郷平八郎大将が海戦史上稀に見る勝利を収め、バルチック艦隊の艦艇のほぼ全てを損失させたことを、どうやら、ご存じない可能性が高いように思えた。
国家公務員採用試験には、自虐史観を取り除いた正しい歴史知識を問うような問題を出題し、日本の高級官僚が海外で恥ずかしくないようになってもらいたいものである。
これにより嘘が書かれた歴史教科書を検定したり、慰安婦を買いに行く事務次官で構成されている文部官僚の左翼思想も浄化できると思うが、已にこちらは手遅れで、浄化が終わるまで何十年も待っていられない。一度解体するべきだと思う。
((匿名希望)
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(読者の声3)貴誌9月15日付通巻6644号「読者の声」欄における「宮崎正弘コメント」に「平川さんのそうした表現を集めて『天下の馬鹿者列伝』なんて企画したら面白いかも。」とあるのを読んで、あらためて、稲垣武著『「悪魔祓い」の戦後史』(文春文庫1997年刊、単行本1994年刊)を取り出しました。
この著者、なんと元朝日新聞社記者なのですね。
この著書も、小気味よく「進歩的文化人の言論と責任」を論断しています。この書の中では、「丸山にとってのものの考え方や論理は、おのれに都合の良いものを
、そのときどきに応じて使い分ける道具にすぎないのだろう。さすが教祖だけあってその円転滑脱ぶりは感嘆の他ないが、そこに思想の一貫性は見出すべくもない」(189頁)と述べられ、また、全共闘運動の関連では、「国立T大学のM教授」などと表現して「進歩的文化人の理論的指導者と仰がれたM教授など、その反体制論は自分に火の粉が降りかからない範囲での観念的遊戯だったと言えなくもない。彼らに比べれば、和田や折原のような全共闘擁護派の方がまだしも良心的だといえる」などと述べられています(516頁)。
とにかく、これらの丸山真男氏についての「評価」については大いに同意、同感できるだけに、「安倍首相の成蹊大学時代の『恩師』が苦言」「首相としてもう少し知的になってほしかった」という見出しの9月9日のYahoo記事の中で、成蹊大学時代の「恩師」殿が、「安倍さんも首相を辞めたら、前よりは時間があるだろうから、ぜひ丸山真男を読んで勉強してもらいたいですね(笑)」などと語っているのを見て、呆れて、それこそ「笑」いたくなりました。
私は教養学部時代も、法学部でも、この成蹊大学名誉教授殿と話し合った記憶はありませんが(彼の発言で、印象的、鮮明に記憶しているものはあるのですが、公表は差し控えます)、卒業後約50年、この人物は「ぜひ丸山真男を読んで勉強してもらいたい」などという観念というか、思考枠組の中で、成蹊大学なる三菱財閥と関りが強い大学で学生指導を行ってきたとは、驚くほかありません。
ところで、ネットで調べると、『「悪魔祓い」の戦後史』は、2015年にPHP研究所から新装版が発売されているようですね。文庫版の解説は松原隆一郎氏が担当しておられます。よくまとまった好解説だと思います。
(椿本祐弘)
(宮崎正弘のコメント)稲垣武さんとは二回か三回ほどしたあったことはありませんが、その強烈な共産主義批判の文章を前提としていたら、穏やかな紳士でしたね。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和2年(2020)9月14日(月曜日)
通巻第6643号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~中国、欧州関係でも従来の姿勢が崩れ始めている
慌てて王毅、楊潔チが欧州の主要国を訪問した
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中国の王毅外相が欧州五ヶ国を緊急に訪問したのは八月下旬。これをEU諸国の外交筋は、「ダメージ・コントロールの旅」と評した。香港安全法、人権問題で中欧関係が急冷したからである。
王毅はオランドを皮切りに、イタリア、スペイン、ノルウェイ、そしてドイツの五ヶ国を駆け足で廻った。直後に国務委員で前外相の楊潔チも巡回した。
とくにドイツだった。これまで良好な関係を堅持して、ドイツは人権問題を脇に置き、フォルクスワーゲン、ベンツ、医薬品、工作機械などを大量に中国に輸出し、一方、5Gでは英米仏とは距離を置いて中国のファーウェイと使うと表明してきた。ドイツと同じ路線を表明していたのが、イタリア、スペインだった。
中独外相会談ではドイツは香港問題で人権弾圧への懸念を表明し、またイランの核などでも議論は噛み合わなかった。駐独中国大使は「従来の(良好だった)中独関係は去った」と中国紙のインタビューに語った。
というのも、王毅が帰国した翌日、ドイツは「ドイツ、EU、アジアがともに21世紀を切り開こう」と外交の概要を説明し、「インド太平洋パートナーシップ」を唱えた。つまり外交方針の評価替えである。
これは中国にとってはブローになる。貿易と国際取引は続けるが、米英仏主導の「インド太平洋」戦略に加わると、実質的に表明したことになり、こうなるとドイツ海軍艦船が、米英仏の空母の列に、何時、加わるのかという問題に繋がるからだ。
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樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@ 【知道中国 2131回】
──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港13)
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殖民地経営のためのソフトとハードの両面にわたる全機構を、ほぼそのままの形で特別行政区が踏襲したと考えるのが、おそらく「中国回帰」の実態に近いのではないか。
イギリス駐留軍の総司令部と駐屯地を人民解放軍香港駐留部隊が『居抜き』で引き継いだことや、殖民地時代には宗主国イギリスの枢密院司法委員会が持っていた法律の最終解釈権を全国人民代表大会常務委員会が掌握していることなどが、その象徴と言えるだろう。
特区政府のトップに立つ行政長官にしても、総督以上の権能を持たない。いや中央政府の権限がより強化されているだけに、もはや操り人形以上の意味を望めはしない。行政局は行政会議、立法局は立法会と漢字表記が改まりはしたが、香港独自の行政や立法は不可能だ。香港基本法は「高度な自治」の意匠が施された『拘束衣』ではなかったか。
経済の中心はイギリス系資本から香港地場の巨大企業集団に代わったが、主要な企業家は例外なく親中派だった。親中派として振る舞うことが企業経営に好結果を生み、同時に『免罪符』となるわけだから、やはり掛け「利」は「理」に勝る。
こう見ればこそ、中華人民共和国特別行政区と名乗る香港の社会構造はイギリス殖民地時代と大差はない。確かに極論だとは思うが。
テレビに映るニクソン米大統領の訪中シーンを見ながら「不当なイギリス殖民地を脱し、香港は中国に戻らなければならない。だが、オレの目の黒いうちはムリだろう」と諦念を吐露してくれた左派の友人に、現在の香港について率直な感想を聞いてみたいもの。依然として左派の立場に在ったとしても、現状を好ましとは見ていないはずだ。
1974年頃にアメリカ留学に旅立つ彼を見送ったが、現在でもアメリカで暮らしているだろうか。
昨年6月来の香港については、現在の若者は「深い山へと逃げ込む」ことを拒否し『新たな宗主国』に果敢に抵抗を試みる、といった程度に止めておく。
ここで話題を半世紀前の新聞報道に戻すと、日常的に、しかもリアルな形のままで死体写真を掲載していた。当時のことだからモノクロ写真だったが、紙面からは確実に「生々しい現場」が浮かび上がってきたものだ。今でも鮮明に思い出す写真が2枚。1枚が投身自殺(あるいは他殺?)で、もう1枚が木から吊るされた焼身死体である。前者は『星島日報』で、後者は『天天日報』だったと記憶している。
些か薄気味悪いことだが、残酷な現場写真が一切の規制がないままに新聞に掲載され、しかも読者から「人道上の配慮が足りない」などと言った類の抗議の声が起きなかったから不思議ではある。だが、それが当時の香港におけるメディア状況でもあった。
さて1枚目である。
新聞紙面中央に大きく掲載されているのは、道路に叩きつけられたうつ伏せの死体写真だ。足の関節は、反対方向に異様に曲がり、周囲は血の海。飛び降りた地点と思しき高い位置から写されたのだろう。じつにリアルに現場の情況を捉えている。カメラマンは警察や消防、救急隊より早く現場に駆けつけ、死体収容以前に現場の真上からシャッターを押したに違いない。
否が応でも死体の様子が判るアングルで写された迫真の報道写真だ。
しかもゴ丁寧なことに、「これが死体です」と確認させようというのか、写真の死体は黒の太い線で囲まれている。高所から誤って落下した事故なのか。自殺なのか。それとも投げ捨てられた殺人なのか。
読者の目に飛び込んでくるのは、路面に打ちつけられ、手足が異様にネジ曲がった死体そのもの。現場保存などクソ喰らえ。交通事故であれ殺人事件であれ、カメラマンは現場に急行し、猛禽のように死体にとりつき、ファインダーの先に死体を捉え、シャッターを押し続け、これでもかと言わんばかりに衝撃の死体写真を読者に提供してくれる。(ひいずみかつお氏は愛知県立大学名誉教授。華僑研究の第一人者)
宮崎正弘の新刊『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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9月20日発売決定!
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宮崎正弘『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社、1650円)
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──岐路に立つ日本の「平和論」。欺瞞のヘイワケンポウで国を守れるのか?
前作『神武天皇「以前」』に引き続く話題作です!
日本は世界史でも稀な泰平の日々を送ってきたが、その代償とは?
縄文時代の一万年以上、日本には戦争がなかった
弥生時代の渡来人が混入してから、国内騒乱、権力をめぐる争いがおこった
とはいえ大殺戮は避けられ、国家最大の内戦「西南戦争」でも死者は一万余。
戦後、日本からサムライ精神は去勢された。闘わない民族に明日はない
拉致された同胞を武力を用いて奪回する迫力もなくしたヘナチョコ
シナや朝鮮からイチャモン、難癖をつけられても沈黙を続ける政治の腐爛
こんな国でよいはずがない。「凛たれ、ニッポン!」
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(読者の声1)11日放映のフロントジャパンは上島嘉郎さんと宮崎正弘さんのコンビでしたが、ご両人のコメントに感銘を受けました。
https://www.youtube.com/watch?v=UkVzbJDSb-w
とくに1968年8月、「チェコの春」がソ連の戦車に押しつぶされた折に、たまたま選手団とチェコの南にいた松平康隆監督以下の日本代表団が、チェコの選手団に送られてオーストリアの国境にたどり着き、無事に出国できたという話。すかさず宮崎さんが、1968年8月にソ連の抗議するデモを組織されたことなども始めて知りました。
自由を求める民衆が全体主義の支配に立ち上がって、ついにビロード革命に成功するまで、チェコでは21年を要しています。香港も独立と民主化の達成も、それくらいの歳月がかかるのでしょうか。
(TY生、江東区)
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(読者の声2)9月11日の産経新聞朝刊に、「中国、8月の新車販売(前年比)11.6%増」とあり、ここ4ヶ月連続二桁増の由。
「武漢ウイルス」も最近は死者はほとんど出ていない様子であり、世界がまだまだ武漢ウイルスで呻吟しているとき、ひとり中国だけが、ウイルス禍を鎮静させ、経済社会活動を軌道に乗せているというわけでしょうか?
これでは、コロナ禍後は、世界経済は中国の独壇場になるのではないでしょうか?
先生のお見通しをお聞かせ下さい。
(KI生、尼崎市)
(宮崎正弘のコメント)中国発表数字はすべて、嘘ですから報道は信用に値しません。
最近、中国の中央銀行のエコノミストが個人的見解で発表する論文が閲覧できにくくなっており、したがって香港にいる証券界、金融界のベテラン、とくに欧米系のエコノミストの意見に注目したいところです。
いずれ正確な数字が入手できたら小誌上で分析します。
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(読者の声3)「南(内)モンゴルの中国語教育強制を阻止!」 ホワイトハウスへの署名運動 「We the People」 協力依頼
南(内)モンゴルに起こっている民族文化ジェノサイドを阻止するため、アメリカ政府に行動を求める国際的な署名運動が進められています。是非ご協力ください。
We the Peopleとは
署名開始から30日以内<10月7日まで>に10万名を超えればアメリカ政府は何らかの回答をしなくてはなりません。(9月11日現在 75,000名 あと25,000名)
ホワイトハウスへ向けた署名サイト(日本語版もあり。)
署名はローマ字で
https://petitions.whitehouse.gov/petition/stop-ccps-cultural-genocide-inner-mongolia?fbclid=IwAR3jMEc8k0jIfnPOgZUqrJRXSCOqkS2N0ZW9bzmj5ot9SdtXS94DPOExw1E
署名の方法など解説ウェブサイト
(TK生)
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(読者の声4)9月12日)の朝日新聞は、「若者が見た安倍さんの7年8か月」という記事を載せています。
「第2次安倍政権の特徴のひとつは、若い男性の支持率の高さだ。朝日新聞の世論調査では、7年8か月の政権支持率は全体平均で44%。18~29歳の男性では57%になる。熊本出身で都内の不動産会社に勤める男性(25)も「もっと安倍政権が続くことを望んでいたのに」と落胆する。
「暮らしに不満があっても、政治に注文をつけるのではなく「決まったことのなかで自分がどうリアクションするのかが大事だ」と東京渋谷のIT系企業の男性(28)は言う。モリカケや桜を見る会の問題は「国家予算からしたら大きな問題ではない」としか思えないという。など、(少なくとも私の先入観からは)「あの朝日新聞が?」と意外に思うような記事内容になっています。
安倍首相の「恩師」だとかいう成蹊大学名誉教授殿は、この記事をお読みになれば、最近の若い者は、勉強不足、思慮不足だから、丸山真男の著作をもっと読んで、「勉強」するべしとでもおっしゃるのだろうか?
私は、朝日新聞を購読などしていませんが、8月から始まった池澤夏樹氏の連載小説「また会う日まで」を、毎日図書館で購読しています。
なお、下記は、ある市民運動に従事している女性からの依頼により、発表した拙文です。 もし、上下水道民営化問題にご関心があればお読みいただければ幸いです。 菅氏は、けっこう、この問題がお好きなようなので・・・
(椿本祐弘)
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(読者の声5)今年度「憂国忌」の概要が決まりました。
(三島由紀夫研究会、憂国忌実行委員会)
▼アンディ・チャンのアメリカ通信 ●アンディ・チャンのアメリカ通信
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第二次南北戦争
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投票日まであと53日となった。今回の選挙は選挙ではなく第二次南北戦争である。民主党の仮面を被ったDeep Stateがアメリカの民主体制に仕掛けた「体制の戦い」である。武力行使ではなく投票による戦い、アメリカの民主体制が危機に瀕しているのだ。
リンカーンの南北戦争は奴隷解放だった。今回の戦争は黒人運動 (Black Lifes Matter、BLM, 黒人の命は大切)から始まったが、どんどんエスカレートしてBLMはAntifaと呼ぶ反体制団体に乗っ取られ、略奪と破壊、暴動と放火、市区占拠などでニューヨーク、シカゴ、ポートランド、サンフランシスコなどみんな民主党優勢の都市が暴動で無政府状態となった。民主党の州長や市長はBLMが暴動になっても阻止できず数百の店や法廷、警察所などが破壊された。
民主党は動乱を選挙に有利な宣伝に使ってトランプ政権の暴動鎮圧をストップする動きに出た。しかもアメリカはウイルス流行のため経済悪化、失業者の増加と言う悪循環で民主党はトランプを攻撃し、選挙はトランプに不利と言われるようになった。
せっかくの黒人運動がAntifaと民主党に利用され、社会主義の仮面を被ったDeep Stateとアメリカ民主体制との戦いとなった。つまり今年の大統領選挙は体制の戦いという第二次南北戦争である。民主党Deep Stateが勝てばアメリカは富の配分、違法移民受け入れ、国境を解放して「自由の往来」、国民と企業に大幅増税など「大きな政府」の独裁となる。アメリカは建国以来の危機を迎える。
共産主義の闘争とは暴力を容認する民主体制の破壊である。彼らの主張に絶対服従と団結を要求する。つまり社会主義(共産主義)とは国民の自由を剥奪することだ。オバマ政治の8年の間にDeep Stateのグローバリズムが進み、反対者を抹殺する独裁体制だった。これが最近明らかになった「オバマゲート」である。
2016年の選挙ではオバマ政府のFBI /DOJの高官が反トランプ陰謀の中心組織だった。トランプが当選した後もこの陰謀は民主党の国会議員に受け継がれ、トランプが就任した後もロシア疑惑の調査とか、ウクライナゲートをでっち上げて大統領罷免で4年間も苦しめられた。
アメリカの建国以来これほど酷い仕打ちを受けた大統領はいない。今年の選挙はトランプとDeep Stateの決闘とも言える。
共和党の自由と民主は「法の統治(Rule of Law)」が基本である。メディアはほとんどが反トランプだから真相を報道しない。そのためトランプが劣勢に見えるが実情はそうでもない。
選挙運動でトランプが民主党優勢の州、ノースカロライナ州やミシガン州に選挙講演に行ったら万に近い数千人の参加者が彼を迎えて気勢を上げた。メディアが報道しないからサイレントマジョリティの数はわからないがトランプの支持者はかなり多い。選挙の結果はトランプ圧勝かもしれない。
選挙の結果を大きく動かす原因となるのは民主党側が主張する郵便投票である。
コロナウイルスのため投票所に行かない人が増えると民主党側は主張して郵便投票を推進している。郵便投票は投票者の身分確認が難しい。違法投票、死者や移住した住民宛に送られた幽霊票、郵便で投票して投票日にまた投票するダブル投票などを防ぐのが難しい。本来なら住民登録と写真身分証が必要なのに郵便投票は住民の移動や本人の身分を確認できない。
しかも郵便物の配送や投票所が受け取った票を確認し保存する方法、投票日に計票する手続き、郵便投票者の身分確認、更に郵便配達の遅延とか遺失したなど、違法に票を混入するなど問題がたくさんある。郵便投票の計標はすごく時間がかかるので結果がでるまで何日もかかる。
トランプは何度も郵便投票に反対したが民主党州は既に郵便投票を進めている。11月3日の投票のあと、トランプ、バイデン、敗者が負けを承認せず、郵便投票の結果に抗議するだろう。トランプは初めから郵便投票に反対しているのにヒラリーはバイデンに負けても負けを承認するなとメールした。
2021年1月20日の大統領就任式までに選挙で敗者が負けを承認しなかったらどうなるか。
予想できるのは敗者が訴訟に持ち込み、問題があると言われた州の地方法廷で裁判になり、更に連邦裁判所から最高裁まで持ちこまれるだろう。
結果が出るまで何年もかかるかもしれず、アメリカは執政党不在となるかもしれない。選挙の結果が決まるまでトランプ政権が政府を維持するのは当然だが民主党はそれにも反対するだろう。国民は誰もそんな結果を望んでいない。
(アンディ・チャン氏は在米評論家)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和2年(2020)9月11日(金曜日)
通巻第6642号
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~台湾防衛は「曖昧戦略」だったが、トランプ政権は「曖昧戦術」へ
台湾防衛を「明確な戦略」化け、ポンペオ国務長官の発言の意味
*************************************「台湾防衛法」が米議会に提出されたのは七月である。中国が香港安全法を施行したのが7月1日、トランプ政権は14日に香港特別待遇を撤廃し、制裁を発表した。米議会には台湾防衛を明確にする法案が陸続と提出された。下院議員の一部は「台湾は独立国だ」という議会決議を求める動きもある。
米議会にいま、媚中派はいない。皆無である。
過去40年、中国の軍拡は予算だけでも九倍に膨張し、空母二隻、ステルス戦闘機、米軍基地や空母を狙う中距離ミサイルを配備した。
軍事覇者として君臨してきた米国が、その地位を脅かされていることに危機感を募らせているのである。
米国の台湾政策は「曖昧戦略」と言われた。
とくに「台湾を守るかどうかは土壇場まで曖昧にしておくことが、有効だ」と言い切っていたのがビル・クリントン政権だった。そのクリントンですら1995-96年の台湾ミサイル危機のおりには米空母二隻を台湾海峡へ派遣した。
ポンペオ国務長官は、この曖昧戦略を「戦術」とグレードダウンした。
日米はともに、「中国は台湾を不可分の領土である」としていることに「留意」するとしてきたが、米国は一方で「台湾関係法」(1979年)を制定し武器供与を続けてきた。
トランプ政権になってからは「台湾旅行法」(これにより、アバー厚生長官の訪台が実現した)、「台北法」と続き、同時に台湾のWHO加盟を要求した。中国の操り人形と化したWHOからは脱退を宣言し、同時に台湾にはF16ジェット戦闘機、アブラハム戦車108両など合計133億ドルの武器供与を決定した。
これによって安堵感を得たのが台湾企業でもある。
ファーウェイ(華為技術)への最大の半導体サプライヤーとして知られたTSMCは、大量のチップを華為に供給したが、8月14日をもって終了した。
以後はアリゾナ州に120億ドルを投資する新工場建設を発表した。まるでトランプの台湾防衛に御礼を言っているようなものである。
米国議会の動きは、台湾防衛からさらに踏み込んで、台湾との国交回復を要求する声があがっている。
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樋泉克夫のコラム
@@@@@@@@ 【知道中国 2130回】
──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港12)
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当初から香港は英語で「Crown Colonies」と表記されるイギリスの直轄植民地であり、イギリス女王の代理である総督は女王に加え、外務大臣、連邦事務大臣の管轄下で香港に関する全権を掌握し行使する。最高権力者とはいえ、総督の権限は「香港限定」である。
総督の下に直属する布政司は総督の首席政策顧問とでも言うべき立場にある一方、殖民地政府の行政のトップであり、同時に公務員の最高位になる。財政に関する全権を持つ財政司、行政管理に当たる律政司、司法を担当する首席按察司がいる。行政機構として政府に当たる行政局、立法機構として議会に当たる立法局があるが、両者とも総督の諮問機関の域を超えることは許されず、ましてや選挙で選ばれていたわけではないから厳密な意味で民主主義制度が行われていたわけではない。
独立した裁判制度はあり、一応は司法の独立は担保されていた。だが殖民地であればこそ当然のことながら、法律の最終解釈権は香港の最高法院(最高裁判所)ではなく宗主国イギリスの枢密院司法委員会が握っていた。
香港社会の治安維持を第一とする駐屯軍総司令官は、イギリス国防省が任命した。
経済は太古洋行(スワイヤー)、怡和洋行(ジャーデン・マセソン)、和記洋行(ボイド)などのイギリス系大企業を頂点に、買弁商人として大成功し強固な経済的基盤を築いた何東(ヘンリー・ホートン)に代表される買弁系一族、その下に日中戦争から国共内戦前後にかけて混乱する中国から逃れてきた浙江財閥や潮州財閥などが位置していた。香港を代表する企業家の李嘉誠にしても、当時はホンコン・フラワーで稼ぎまくった資産を元手に転じた成長著しい不動産開発業者でしかなかったと言える。
銀行では香港上海匯豊銀行(HSBC)と香港渣打(スタンダード・チャータード)のイギリス系両銀行が紙幣発行権を持ち、中小の地場銀行を圧倒していた。
大学は英語で教育する香港大学(1911年創立)と中国語による教育を目指した中文大学(1963年創立)の2校のみ。共に「校監」として総督を最高責任者に戴いているものの、香港大学の影響力は新興・中文大学を遥かに圧倒していた。
こう当時を振り返って見ると、1970年代初期の香港社会は、基本的には魯迅が「再談香港」で描いた1927年当時の香港から大きく変化していたわけではなかった。
総督に率いられた殖民地政府(政庁)を頂点にイギリス系大企業や香港大学などを「西洋のご主人サマ」とするなら、中国系の政庁幹部や企業家が「若干のオベンチャラ使いの『高等華人』とお先棒担ぎの奴隷のような同胞の一群」となり、「それ以外の凡てはひたすら苦しみに耐えている『現地人』」と捉えることが出来る。
「苦労に耐えられる者は西洋殖民地で死に、耐えられない者は深い山へと逃げ込む。苗や瑶は我われの先輩なのだ」と綴る魯迅だが、どうやら些かの誤解があるように思える。香港の住民は、漢民族支配を逃れて新たな生活空間を僻遠の地に求めた「苗や瑶」のような少数民族とは違う。彼らは少数民族のように「深い山へと逃げ込む」ことはぜず、生活空間を求めて海外──同じくイギリス殖民地のカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、あるいは東南アジア──に移住し、生活基盤を築いた後に香港にUターンする。
彼らにとって香港は活力の源泉であり、一攫千金の夢を叶える可能性を秘めた“金の卵を産む鶏”だった。彼らは「支配されながら支配する」という手法を駆使しながら、時には密かに「西洋のご主人サマ」を支配することもあった。
やがて1997年である。中国政府は返還に由って居抜きの形で殖民地を強引に譲り受ける。
だが習近平政権は同じ漢民族だけに「西洋のご主人サマ」ほどに甘くはないから、峻厳な支配体制を企てる。いまや若者も「深い山へと逃げ込む」ように消極的ではない。 《QED》
宮崎正弘の新刊『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社)
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宮崎正弘『一万年の平和、日本の代償』(育鵬社、1650円)
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──岐路に立つ日本の「平和論」。欺瞞のヘイワケンポウで国を守れるのか?
前作『神武天皇「以前」』に引き続く話題作です!
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縄文時代の一万年以上、日本には戦争がなかった
弥生時代の渡来人が混入してから、国内騒乱、権力をめぐる争いがおこった
とはいえ大殺戮は避けられ、国家最大の内戦「西南戦争」でも死者は一万余。
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(休刊のお知らせ)小誌は12日(土曜)と13日(日曜)が休刊になります
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(読者の声1)「トランプ氏、ノーベル平和賞候補に ノルウェー議員推薦 ワシントン=園田耕司2020年9月10日」
「米ホワイトハウスは9日、トランプ大統領がイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化に尽くしたとして、ノーベル平和賞候補にノミネートされたと発表した。
実際に受賞するかどうかは不透明だが、トランプ氏は以前から平和賞に強い意欲を示している」
ノーベル賞は、誰がノミネートされたかは、極秘である。選考過程は50年後に明かされる。それなのに、ホワイトハウスが発表した。これはトランプの選挙対策だろう。もちろん、中国がまっこうから反対するはずである。いや、米中戦争をどうしても防ぎたい習近平政権が、強力に推薦したのかも知れない。
(斎藤周吾)
(宮崎正弘のコメント)ノーベル平和賞は、ことしの有力候補は香港のジミー・ライ(黎智英)ではないでしょうか。
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(読者の声2)天皇皇后両陛下はコロナの影響で、御公務が厳しく押さへられています。そこで、唯一国民と接触する機会として毎月、3回程ご進講が行われています。
ところが、7月16日には奥田知(とも)志(し)(57才)という日本パプテスト連盟の牧師がホームレス支援団体のNPO法人抱撲(ほうぼく)理事長としてご進講をしました。
この男は次の通りのとんでもない人物です。
● 即位の礼の反対学習会に参加して「人間を越えた権威によって、再び戦争の道を歩む事がないよう」と発言。
● 日本パプテスト連盟の牧師らと共同執筆した本で、天皇制を批判している。
● 靖国信仰を「戦前の天皇への極端な信仰と同じ」と発言。
● 小泉純一郎総理の靖国参拝への集団訴訟で原告団に名を連ねている。
● 息子が極左学生団体SEALDsの創設メンバーである奥田愛基。
この様な人物にご進講させたことについて宮内庁に厳重な抗議をして下さい。
また、今後、ご進講の人物選定に当たっては、十分注意するように言って下さい。
西村泰彦長官は警視総監出身なので、思想的におかしな人物とは思えないのですが…。
宮内庁は総理府の傘下ですので、首相官邸へも抗議をお願いします。
・宮内庁 (電話)03-3213-1111(代)
「宮内庁長官」と言えば、担当に回ります。
・「首相官邸ホームページ」から「ご意見」
・菅義偉(すがよしひで) (電話)03-3508-7446 (FAX)03-3597-2707
(一読者)
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(読者の声3)先週金曜日(毎月第一金曜日)発表の失業率は8・4%で予想を上回りましたが、「それで何が起こったか?」といえば、テスラやアップルやズームなどハイテク株の下落です。
理由は失業率低下→景気回復→長期金利上昇→GAFAMなど高PERのテック株の下落という連想です。通常は失業率好転→景気回復→株価上昇ですが、今回は株価が金利に押し上げられている局面(金融相場)なのでちょっと違います。例えばテスラの株価収益率は1000倍超でしたから金利に対しては非常にセンシティブです。
今晩のナスダック市場は反騰中ですが、もし、景気が急回復→金利上昇となれば、株式市場は(一時的に)さらに売られる可能性があります。10%程度じゃ足りません。特にテック株に代表されるGAFAMの高PER銘柄です。
カリフォルニアの変人ども、特にシリコンバレーの連中は何か何でもトランプのせいにする癖がありますから、株価が大きく売られるとトランプ大統領への攻撃を強めるでしょう。
トランプ大統領は米製造業の利益を代表する一方で、シリコンバレーで大儲けしている連中は保護主義を嫌うIT企業の連中です。
仮に株価が大幅急落すれば大統領選には現職不利に働く可能性もあります。
株価大幅下落なら米国の年金ファンドも損害を受けるので、米国民全体に被害が及ぶことになります。
FRBは長期的な金融緩和を宣言していますが、あと二か月弱何が飛び出してくるか。
ところでバフェットは最近、バリックゴールド(GOLD)を買い付けましたが、たしかにもっとも安全な投資と思います。
参考:米失業率
https://www.statista.com/statistics/273909/seasonally-adjusted-monthly-unemployment-rate-in-the-us/
長期金利(Tボンド) : https://finance.yahoo.com/quote/%5ETNX/
(R生、逗子)
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(読者の声4)今晩(9月11日夜)放映予定の「フロント・ジャパン」は、上島嘉郎(元『正論』編集長)と宮崎正弘さんでお送りします。テーマは「欧米ばかりか、世界で孤立する中国の戦狼外交」。ほかです。
深夜からユーチューブでもご覧頂けます。
(日本文化チャンネル桜)
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(読者の声5)8月26日通巻6630にて「経済学と会計学の関係に大きな問題がある」と記しました。
そこで簿記誕生から今までの関係を3期に分け、問題点を浮き上がらせたいと思います。
第1期:簿記誕生のころは北イタリアだけではなくどこも、インフレやデフレの概念(=経済学的概念)は存在しておらず、簿記という会計学的概念が全てであった。ここでの通貨とは金細工業者から成長した「原始的」民間銀行が自行の名前での「交換証書」が「通貨」とされており、この期間は「価値イコール通貨の認識」で簿記は完結できていた。・・・(A)
第2期:17世紀末にイングランド銀行が設立され通貨が国定(欽定)通貨一本になったにも係わらず、民間銀行は引き続き自行の裁量だけで発行する通貨が、融資という国定通貨の形態で社会に供給されてきた。これを正当化した経済学の理論が「内生的貨幣供給論」である。しかし、そこには民間銀行が国定通貨を発行できるとする「不可解さ」と、「価値イコール通貨」の前提では説明できない「インフレ効果」が存在するにもかかわらず、経済学と会計学の双方がこの「不連続性・不整合性」を問題視せず、放置してきた。・・・(B)
第3期:1971年のドルの金兌換廃止を機会に、通貨の価値内包性が排除され、それまで民間銀行の融資行為によりなされていた通貨供給が、もっぱら国家によってなされる時代に入った。この期では国家による通貨供給量があまりにも巨額になってきたために、「インフレ効果」も無視できぬほど大きくなり、「経済学」と「会計学」の不整合性を「座視」しつつこの世の実相を語ることは不可能になりつつある。・・・(C)
上記区分をベースにさらに説明しますと・・・。
(1)会社・個人の相互でやり取りされる簿記論」(A)と国家ベースでの「簿記論」(C)とは異なるものの、通巻第6602号で述べた通り、国家による通貨
増刷(C)と民間銀行の融資行為に伴う信用創造(B)は同じメカニズムであり、同じ範疇に属します。「価値不帯同通貨」たる(B)(C)は「簿記の世界」と
「経済社会」にまず流し込まれ、これは既存の価値の保有者達の価値を浸食している(これをインフレ効果と称する)ことを示しているからです。他方(A)は上記の第1期の通り「会計学」だけで構成されています。それにも係わらず、例えば(C)であるMMTは(A)を根拠にその理論の妥当性を説明しています。この誤りを理解する為には、通巻6610号で述べましたが、(B)と (C)は通貨は全て価値を内包しているとみなしていることに問題があり、通貨を価値不帯同通貨と価値帯同通貨に区別しなくては理解が難しいことに気付かねばなりません。
(2)国家による通貨増刷行為(C)と民間銀行の融資による信用供給(B)による価値不帯
同通貨の社会への「放流」は、時の経過に従いインフレ効果を伴いながら「経済社会」に浸透し、価値帯同通貨社会に混ぜ合わされ、最終的に「経済社会」全体が価値帯同通貨化されます。つまり価値不帯同通貨は「価値帯同通貨へ合流」しながら交換・移動・保管などの伝統的機能(D1)を兼ね備えつつ、「価値創造の為の呼び水効果」(D2-1)や「消費需要を喚起する機能」(D2-2)を合わせ持つ価値創造機能通貨(D2)となったのです。この(D2-1)や(D2-2)が経済成長を促す触媒になるのです。
(3)(B)(C)にはインフレ効果の思考が抜け落ちているので、貸し借りのレシプロシティが正確には成立していないことになります。換言すれば、通常の簿記帳を見ただけでは、インフレによる「借り手の利益・貸し手の損失」があってもそれを認識する事ができません。一方、(A)は増刷通貨の存在や影響を、もともと前提とはしておらず、インフレやデフレの起きない経済社会で「完結」してしまっています。
(4)1971年まではドル通貨は価値(GOLD)を内包していましたが、兌換が廃止されてから増刷されるドルからは、価値そのものは分離され、価値の交換・
移動・保管などの伝統的機能(D1)と触媒としての価値創造機能(D2)を担うことになりました。この二つの機能が作動する以前の状態での通貨が「価値不帯同通貨」です。つまり価値不帯同通貨は経済社会の中で使われた後、価値帯同通貨に変質し、社会で既に価値を帯同している(価値の裏付けがなされている)価値帯同通貨へと合流するのです。しかし、もし(D2)による経済成長が生れぬ場合は「インフレ効果」は価値帯同通貨に内臓されたまま留まることになります。
以上から次のようなことがいえると思います。
MMT派は簿記にはインフレ効果を自動的に組み込むことはできない構造になっていることに思考を巡らせていないので、「簿記がわかればMMTがわかる」事にはならないのです。「国債を増発してゆくと国民の資産がそれだけ増える。民間貯蓄が増えると日銀雨宮副総裁は国会で答えたとMMT派は評価している」と通巻
6602号で記しましたが、これは新たに増発された通貨を資産、つまり価値内包通貨とみなしているが故の誤った発想です。1971年の兌換廃止に伴い、
増刷通貨は資産ではなく機能(道具)に変質したのです。それにも係わらずMMT派を含め世界中が機能(道具)を資産とみなして簿記に記帳する「トリック」から未だ抜けだせずにいます。同じ現象は(B)にも観ることができます。理由は通巻6630号にて述べた通りですが、端的に言えば国家が増刷する通貨は、イングランド銀行が開陳したような民間銀行の融資行為に伴う信用創造と同様に、1971年以降は「価値不帯同」通貨に変質しているのです。
簿記とは価値の変遷をたどるための「記録帳」であり、ここに価値不帯同通貨の如き「機能(道具)」が入り込む余地はありません。ですから財政規律重視派とMMT学者による積極財政重視派の「論争」は、簿記に記帳が許される「債務などの価値量」に関する論争とは無関係で、お門違いで不毛な議論なのです。
(SSA生)
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