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(令和三年・2021/08/03〜08/10) 📚📚📚「宮崎正弘の国際情勢解題」 & etc., 💕🐧


「広島、原爆投下の再現映像。一瞬のうちに家々が押し潰されていく。恐ろしいとしか言えない。 https://t.co/hbG2fM3tfd」 / Twitter



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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)8月10日(火曜日)   通巻第7009号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~チベットのラサ空港に第三ターミナル
  標高3570メートル、年間900万の観光客と8万トン貨物輸送を見込んで
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 総工費6億ドル強。しかもBRI(一帯一路)プロジェクトの一環。
 標高3570メートルのチベット高原。中国は州都のラサ空港に第三ターミナルを建設中だが、2025年完成を目指している。完成すれば、年間900万の観光客と8万トン貨物輸送が見込めるという。

 対外発表では、第三ターミナルは国際線専用とし、ひろく東南アジア諸国からの観光客を呼び込むという。これまで外国人ツアーは隣の四川省成都で旅行代理店を通じて五人集まると組織できた。国内ヴィザ(団体旅行許可書)が必要だった。

 すでに青海省西寧からラサまでの青蔵鉄道は完成し、鉄道ファンやビジネス客を運んでいるが、工事期間中には労働者の多くが高山病にかかった。しかも十月から四月は気候変動により、工事は中断する。
 
 四川省でも新幹線工事は続けられており、ラサとニンチ間が開通した。この区間は印度のアナチャルブレデシュ州との国境まで僅か15キロ。
 要するに新幹線も航空路も兵力輸送が真の目的である。

 中印国境は3488キロにも及び、印度の保護領であるネパールとブータンが、安全保障上の脆弱性をもつ。
インドはブータン防衛に本腰を入れているが、ネパールのほうは、マオイストの跳梁によって反インド感情が拡がり、この隙に入り込んだ中国がカトマンズへ直行便を飛ばし始めると、ネパール中が中国人で満員となった。
     ▽□☆◎み☆◎□☆や□▽◎☆ざ▽◎□☆き◎☆◎▽   
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絶賛発売中! 「静かなる侵略」シリーズの決定版!  
宮崎正弘『中国の静かなる日本虐殺 2025』(徳間書店、1760円)
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 ──中国共産党百年の式典で、独裁皇帝は言いはなった。「つぎの百年」だと。 
 日本をウイグルにと、ジェノサイドが始まっている。あの文化人もコメンティターも洗脳された。電波、新聞、そしてSNSの言論空間も中国のサイバー攻撃と操作で乗っ取られた!
 議論の前提を破壊する「認知戦争」とは中国オリジナルの「超限戦」のタクテック!
 中国軍は日夜、台湾と尖閣諸島侵略のための軍事演習を繰り返している。どうするのか、日本は!          ■ 
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)『路地裏中国』を熟読しました。(宮崎正弘『日本人が知らない 本当の路地裏中国──乗って歩いた! 全33省旅遊記』啓文社書房)。
 世界一乱暴な国の民たちがどんな生活をしているのか、政治はどうなっているのか、新幹線の全乗車を通して浮き彫り。地図と照らし合わせながら拝読しました。実に面白い! 
 奇妙で、田舎者で、元気が良くて、気にしなくて、ずるくて、人なつこくて、そして、ほんとに怖い中国人。
 そしてまた、気の毒な中国人。と思っていると、日本はどうなのか、これが見えてきて、少々しょんぼり。
 前著『地図にない国を行く』(海竜社)もそうですが、宮崎さん旅本の根底にあるのは、ニーチェ的肯定論ですね。楽天的な捉え方を最終にもつ。読後感がとても爽やかなのはそのためですね。
読みながら、吉田松陰『西遊記』の序文を思い出し、あらためて序文・本文を通読しました。
「序、道を学び己れを成すには、古今の跡、天下の事、陋室黄巻にて固より足れり。豈に他に求むることあらんや。顧(おも)ふ に、人の病は思はざるのみ。則ち四方に周遊すとも何の取る所ぞと。曰く、「心はもと活きたり、活きたるものに必ず機あり、機なるものは触に従ひて発し、感に遇ひて動く。発動の機は周遊の益なり」と。
松陰は西遊日記を綴りました。「そうだ、私も旅をしよう!」と思えど、コロナの怖さかな。
 次の旅本を楽しみにしております。暑さが応えます。ご自愛を。
   (HN生、新潟)

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(読者の声2)貴著最新刊『日本人が知らない 本当の路地裏中国』啓文社書房)を興味深く拝読しました。最大の特色は現地を歩くというフィールドワークですね。情報はやはり現地、現物で自分の目耳など五感を総動員したものでなければ、真実を穿つことはできないと思いました。中国の各地、それこそ小生は一度も行ったことがない中国の路地裏まで目撃される現場感覚の作品にかなう物なしと思うに到りました。
食事やアルコールも現地に適応されることは敬服に値しますし、なんぴとも真似の出来る業では有りません。
  (TF生、練馬区)

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(読者の声3)イベルメクチンについては、期待しているのですが、ある呼吸器科のドクターが、 「効果がある」という証拠のもとになった論文を見に行ってみたら、正式論文として発表される前の論文が掲載されるサーバーに置いてあって、パスワードがかかってくるそうです。
つまり、著者に許可をもらった人にしか読めない!
しょうがないので、読んだ人のレポートを見たら、年齢に偏りがあり、ほかにも突っ込みどころ満載のようです。
たくさんの論文を集めて、集計して、「効果あり」という結論を出している論文には、その論文が組み込まれていて、「効果なし」という結果を出している論文には、該当の論文が組み込まれていない、ということのようです。
ワクチンは、私は2回目も何ともなかったですが、息子は39度以上の熱が出て、「死にそうや」って、言っておりました。大げさな! 若い人は打たずに済むのなら、それに越したことはないと思いますが、今では、「やめろ」とも言えませんね。
お二方の著名な学者が反対しておりますが、ファイザーの元副社長さんの、「治療薬があるから」っていうのはちょっと無理があると思いますし、エイズウイルスを見つけたモンタニエ博士のご著書も拝見しましたが、専門分野以外のことも「あれも危険、これも危険」って、どうかな?って思いました。
こんなことを言うと失礼ですが、いろんな専門分野でも、第一人者が、新しい理論を受け入れられずに、しばらく進歩を止めてしまうということがよくあるようです。
素粒子理論を認めなかったアインシュタイン。ブラックホールを認めなかったエディントン。消毒によって、産褥熱を激減させた人に対して、「医者の手は神聖なものだ。汚れているとは何事だ」って反対して、精神病院送りにしてしまったウイルヒョー。
伊邪那岐命が伊邪那美命を裏切って、人間が死ぬようになったからか、彦彦火瓊瓊杵尊が、石長比売を送り返してしまったために寿命というものができてしまった。どちらかはわかりませんが、正解だったのかも?
  (TT生)


(宮崎正弘のコメント)最後の段にある「彦彦火瓊瓊杵尊が、石長比売を送り返してしまったために寿命というものができてしまった」。
 これは記紀にあるニニギノミコトの嫁取りで、美女のコノハナサクヤヒメの姉君は不美人だったため、追い返されたので、神々も死ぬことになるという「不老長寿の象徴」となった女神のことですね。

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(読者の声4)一時はトランプを偲ぶ勢いで次期大統領候補に有力とまで言われたクオモNY知事ですが、セクハラで告発されて弾劾寸前。民主党って、この類いの偽善者が多いですね。クオモの政治生命はまもなく終わりでしょう?
  (DJ生、喜多見)

(宮崎正弘のコメント)クオモ黄昏の日々ですが、さて、クオモ支持のNYタイムズが、クオモやめろと主張し、バイデンも辞職を勧告。ということは民主党がクオモを鼻つまみにしているということでもあり、同時にセクハラに引っかかると、民主党の有力者といえども、民主党支持のメディアの支持を失うということでもあり、党派をこえて、目に見えない反差別のうねりが米国社会を席巻している実態がうかびあがります。
 森五輪委員長を辞任に追い込んだ、あの圧力。凄まじい魔物です。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)8月5日(木曜日)   通巻第7008号  
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(休刊のお知らせ)小誌は明日(8月6日)から10日まで休刊となります!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜国防、外交、科技、情報などの公務員と契約企業の従業員も対象
  台湾大陸委員会、中国との接触を禁止。引退後も三年。罰金も高額に
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 先端技術の漏洩、政府、国防部の機密情報漏れを防ぐため、台湾では公務員に大陸の人士との接触を禁じている。
2021年8月4日、所轄の大陸問題委員会は、近未来の法改正を視野にいれて、公務員の退官組ならびに政府との契約企業社員など「引退後三年」、大陸人士との接触を禁止死、違反者への罰金も増額するとした。法案は立法府(国会)に提出された。

これは従来の政策の延長でしかなく、台湾民衆の大陸への不安視に対して台湾政府はちゃんとやっとるぞとするアリバイ証明的な政策変更に過ぎない。台湾の大陸委員会はどちらかといえば北京への理解度が深い政府機関とされてきた。

 実際のハイテク科技の情報漏洩、ソフトエンジニアリングの大陸移管は台湾の民間企業によってなされており、数万社の台湾企業は大陸へ進出したが、ピーク時には百万人のエンジニアとマネージャーが大陸で暮らした

このためシナ大陸各地と台湾の主要都市は航空便が結ばれ、コロナ以前まではかなりの客があった。いまは大半が欠航となって、多くの台湾企業は進出先をフィリピン、ベトナム、インドネシアにシフトしてきた。
この中国からの撤退シフト作戦で、一番の遅れをとっているのは、むしろ日本企業である。そればかりか、トヨタ、日産、日本電産などのように中国での投資を増やしているところが目立つ。
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    ●台湾の愛読者の皆さんへ、宮崎本の中国語版がでております!
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https://www.books.com.tw/products/0010878795?sloc=main
宮崎正弘『「コロナ以後」中国は世界最終戦争を仕掛けて自滅する』(新冠後,中國與世界的最終戰爭)。簡体字です。
 宮崎正弘の五冊目の中国語訳です。
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絶賛発売中! 「静かなる侵略」シリーズの決定版!  
宮崎正弘『中国の静かなる日本虐殺 2025』(徳間書店、1760円)
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 ──中国共産党百年の式典で、独裁皇帝は言いはなった。「つぎの百年」だと。 
 日本をウイグルにと、ジェノサイドが始まっている。あの文化人もコメンティターも洗脳された。電波、新聞、そしてSNSの言論空間も中国のサイバー攻撃と操作で乗っ取られた!
 議論の前提を破壊する「認知戦争」とは中国オリジナルの「超限戦」のタクテック!
 中国軍は日夜、台湾と尖閣諸島侵略のための軍事演習を繰り返している。どうするのか、日本は!
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(休刊のお知らせ)小誌は明日(8月6日)から10日まで休刊となります。投稿される方はご注意下さい。読者欄の掲載号も8月11日号からになります!
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)宮崎さんの新刊 『日本人が知らない 本当の路地裏中国──乗って歩いた! 全33省旅遊記』(啓文社書房)を隅々まで拝読しました。
 この旅行記には著者の才能、語学力により現実味溢れた中国を知る格好の作品となりました。本当に面白い、日本人でこれほど深く広く、中国を探訪した作家は、おそらくおりますまい。
佳木斯(ジェムス)近郊で生まれた小生にとっても、いつも想い出を語った母を思い出しました。また『アカシアの大連』で芥川賞を獲った清岡卓行は、かの地の様々な想い出を文章にしています。かような中国は懐かしい。
 いつぞや宮崎さんが旧ソ連圏、東欧諸国のすべて三十ヶ国を廻っての作品(編集部註『日本が全体主義に陥る日』、ビジネス社)を並列で思い出させてくれますが、こうした海外に限らず日本国内の遺蹟もほとんど廻られた由、その行動力に感服しつつ、このコロナ禍、くれぐれもご自愛下さい。
  (TS生、千葉)

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(読者の声2)在米のKM生様に全く賛成します。軽症の場合は 隔離施設で カクテル抗体を2時間点滴を二回するとして午前6時から午後10時位迄、100床有れば 四日で1600人 50施設有るなら八日で16万人 中重症に向かう人消える計算、若い女性に血栓症多く発生するワクチンを打つのは日本を滅ぼす犯罪、国賊です。 
 日本にもイベルメクチンで治った方いるはずですが隠蔽されて知らないのでトランプ氏の薬で考えました。
またワクチン足りないそうなのでワクチン打ち病院に中重症用病床拡充しイベルメクチン治療を義務付けるのが真っ当な医療行政。
事実をデマと言いつのり、テレビで嘘っぱち洗脳しつこくやり続けNHK筆頭に、国民の命を犠牲にして憚らない、宣伝ばかりです。
   ( SH生 北海道 )

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(読者の声3)貴誌前号コメントに「地下鉄や電車に乗ると分かるが、90%近い乗客はスマホを見ている。その半分近くがゲームをしている。精神の荒廃が、ここまで来ている暗黒は、中国に限った現象ではない」とありました。
宮崎先生に100%同感です。
私は20年近く、ASEANに住んで昨年帰国しましたが、 日本では電車でスマホ。何を読んでいるのかとみてみれば、いい大人がゲームアプリ。びっくりしました。20年前は文庫本を読んでいたはずです。
2000年代前半にバンコクのBTSに乗車すると、本を読んでいる乗客が皆無。「やっぱり日本人はすごい」と誇らしかったのが夢の跡です。たしかに私もゲームは好きで(短期的に夢中になった時期もある)すが、ゲームアプリはダウンロードしないし、ゲーム機もないのでやりません。環境要因ですね。(笑)
 日本人は分別ごみ捨てなどを自慢して、自ら民度が高いという。たしかに、WCなどの試合後にゴミ拾いするのは日本のサポーターだけです。しかし分別回収したゴミが最終的にどんな連中に処理がまかされているのかを知ろうとしない。入札までで「フォロースルー」がない。
 「臭いものには蓋」のカルチャー。土石流の原因にも蓋。
 民主主義といっても、「自民党以外に選択肢がない」自由選挙。「フェーク」民主主義、実は「コロナワクチン強制の緩い全体主義体制」になっているのではないかと疑っています。
 なお、電車のなかでは宮崎先生の『WORLD RESET 2021』(ビジネス社)を読んでいますが、テレワーク(が忙しく)、まだ半分残っています。
  (Z生、逗子)

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(読者の声4)『令和正倉院・電子万葉集の編纂・電子民族蔵書館・電子記念廟』の創設を、と(SSA生)氏が通巻第7006号で述べておられます。
 海外に住む者にとっては、日本語の本の入手が困難、高価であるが、「青空文庫」というありがたい、ほぼ全ての主要な日本文学が、誰でも、タダで直ちに、面倒なてつずきも無しで、読める図書館がある。15,734作品(2019年12月31日現在)
https://www.aozora.gr.jp
 あまり知られていないのは、文科省、既得権益集団、本屋などが隠蔽しているのかもしれない。天下りに使えないから、資金の援助など絶対しないだろう。馬鹿げた検定教科書など廃止して、生徒に「明日までに、折口信夫の義太夫と三味線、を読んできなさい。」
(在米のKM生)

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(読者の声5)貴誌前号ですが、ドイツの国防大臣は、アンネグレート・クランプ/
カレンバウアーという女性です。メルケルのお気に入りだった人で、2018年、メルケルの後継者としてCDU党首に据えられましたが、全然うまくいかず、メルケルにほぼ裏切られた形で切られました。
フォン・デア・ライエンは、現在、欧州委員会の委員長、EU1の権力者ですがメルケルの子分。評判はすごく悪いです。自意識過剰の女性です。
  (EK子、杉並)


(宮崎正弘のコメント)そのドイツのフリゲート艦派遣ですが、どうやら上海にも親善訪問するようで、何だかなぁ。

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(読者の声6)「感染爆発の東京を、イベルメクチンの臨床試験場にせよ」
 新型コロナは、アルファ株から感染力が強く毒性も強いとも言われるデルタ株に置き換わりつつあり、日本でも東京を筆頭に感染者の増加が止まらない趨勢だ。
厚労省は、中等症以下の発症者については、自宅療養を基本とする方針を発表したが、その後批判を受けて逡巡している。
 今更繰り言を重ねても詮無いが水際対策と医療キャパ拡大での失政が致命的であり、菅総理はワクチンで乗り切れると踏んでいたようだが、ワクチンに変異株の感染自体を防ぐ力は弱く、また供給不足と副反応及び長期的副作用リスクへの懸念から接種率は頭打ちになっている。
 今の状態は、医療崩壊若しくは医療崩壊前夜と言えそうだ。多数の死者を覚悟して集団免疫が出来るのをひたすら耐え忍ぶという道も、ワクチン耐性に拠ったのか強毒化を伴っている場合もある変異株が次から次へと襲ってくる中では出口にならない。
 ここで一縷の望みとなるのが、治療薬である。しかし正式承認された「抗体カクテル療法」に用いる治療薬は、供給量が限られる上に高価でかつ点滴での投与となり在宅での処方は困難であるため、焼け石に水で実質的な戦力にはならない。
 投与が簡単な経口薬であり経験レベルでは重症化防止効果が高いと言われるイベルメクチンは、現在日本では医師の責任に於いてのみ処方が可能であるものの、国内治験に取り掛かった所であり、今年中の正式承認を目指している途上にある。
 治験に時間が掛かるなら、いっそ現下の東京をイベルメクチンの臨床試験場にしてはどうか。毎日増え続ける感染者の中から、治験希望者を募る事は恐らく容易だろう。もちろん可能なら全国に広げてもよい。
 「ワクチンを差し置いて治療薬を優先してはならない」というような大人の事情や不文律があるはずは無いし、万が一あれば踏み潰して行くべきである。
 菅首相は五輪に勝負を賭けたそうであるが、このまま行けば政権がもたないのみならず、歴史の石碑に最大の失政首相として名を刻み込む事になる。イベルメクチンの大規模治験は賭けでも何でもなく、供給や体制の整備は必要だが、淡々粛々と進めればよいはずのものである。
 そこに踏み込むのか、そこにすら踏み込めぬのか、菅首相の胆力と知恵が試される。
(佐藤鴻全)

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(読者の声7)藤野博著『三島由紀夫と日本国憲法』(勉誠出版)について 菅谷誠一郎氏が 通巻第7007号において評論されている。
数年前、現大統領と自称するバイデン氏が公に、「日本憲法は俺たちが書いた」と言っておるので、信じてもいいだろう。
 そもそも、近代の国際法、憲法、条約、とかが生まれる以前、2600年も前から存在する日本国家の仕組みを決める約束事、作法、指針、倫理などの成文は何者にも遠慮せず、勝手に決めればいい。
勿論、支那や朝鮮は文句をつけるだろうが、内政干渉と撥ね付ければ済む。憲法とは純粋に「国内の司法」である。戦後GHQは変更不可能な「不磨の大典」を初期の段階で意図していた。
占領が終わった後に、日本人が「勝手に憲法を変えて」しまうかもしれない、と懸念していた。少し手加減して書いた現在の憲法は実質上、100%変更不可、になっている。将来も不可能だろう。多少の修正ぐらいは出来るかも。
 勿論、国家は憲法の上、であり、憲法が国家を超越し所有し支配するのではない。「憲法に忠実に従い、国が消滅しました」では冗談にもならない。
同様に、皇室は憲法以前、遥かな昔から既存しておるので、憲法の下、であるはずはない。明治憲法下では、「憲法と皇室典範が、同位に独立並存」する、と言う関係をとっていた。
「権威と権力の分離」と評価される日本固有の発明、仕組み。
 今、日本国家の存亡の危機にある、と認識するのが正しい。油断しているとすぐに占領され「日本自治区」となり「支那語の憲法」によって統治される。
根本的問題は「強い、悪い敵」にあるのではなく、国内の指導者が敵の味方、家来になってしまった、という組織の腐敗、崩壊にある。
これらの売国奴、寄生虫は、憲法を理由に、機能しない日本国の組織を改革する意思も能力も意図もない。敵にとっては「指導者不在の親敵・媚敵・非武装国」ほど占領するに易い。この状態を国民が「既存の民主的政治制度、選挙」などによって変革させる可能性はゼロ。
そんな悠長な時間も無い。
 そんな絶望的な状態に、幸運にも一つの道が与えられている。それは、
1。「憲法が占領下において、GHQによって作られた」と言う歴史的な不幸な悲しい事実である。形式的には、占領下、厳重な言論統制下、に「捏造された国会」で、即席の指名された議員たちの自由な投票で、民主的に自主的に国民の総意に元ずいて決めたれた、とNHKや朝日によって内外に宣伝され、未だに国民はこの嘘を信じている。勿論、そんな選挙芝居は当時の無知な国民は騙せても、現代では、その正当性・合法性を疑う。  
2。国際法的に見れば、敗戦国が、降伏条件として受け入れた、受け入れる以外の選択が無かった、戦勝国から強要された不正な「条約」として認識される。「自由意志で合意」したのでは無い。
 3。政府は「条約」を批准し、あるいは破棄、できる。この条約を押し付けたGHQは現在では存在しないので、その御意見、御理解、承認も必要ない。総理が、一方的にそう宣言するだけで、終わる。
あるいは、国の元首・陛下が、久しぶりに、国家の危機に、已む無く総理に命令なされる、かもしれない。
あるいは、宮中に内外の報道陣を召喚し、生放送中継で、上記の経緯により、占領憲法を破棄します、と宣言なさる。
例によって、NHKや朝日は不敬にも隠蔽するか、風向きを見て180度得意の変遷するかも。
4。新しい憲法の書き方、その施行、などの決まりは無い。総理が一晩で書いた5ページのものでも、有識者が1年かけて1000ページの文でもいい。誰が、如何にして、それを憲法とするか、と言う決まりもないが、天皇陛下が公布する、となるだろう。
5。これによって、日本は一晩で、別人に生まれ変わる。そして、やっと長い戦後が終わり、新日本が始まる。新憲法が、上手く出来ていれば、飛躍的に日本は改良される。それは70年前の旧式のOSを捨て、最新のアプリを入れるような激的進歩・復興。あるいは、寄生虫を殺す特効薬イベルメクチンによって救われる。
 あなた任せで、神風はただ待っていては、吹いて来ない。

このような「憲法破棄・無効論」は戦後暫くは当たり前であったが、近年では弁護士南田喜久治氏、故渡部昇一氏、石原慎太郎氏、西田昌司氏、西村真悟氏などが唱えられている。決して過激な論ではなく、極めて当然な効果的な今必要な策である、と思ふ。憲法に忠実に従い、国を消滅させてはならない。
(在米のKM生)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)8月4日(水曜日)弐   通巻第7007号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~こんどはゲーム業界に土石流。最大手テンセント株が暴落
  日本のゲーム業界にも波及した「ゲームは精神のアヘン」
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 中国共産党が初めて正論を吐いた。「ゲームは精神のアヘンだ」。
三日前の「教育産業は利益追求であってはならない」につぐ、第二の土石流となった。

 宗教はアヘンと早くから共産党は唱えて来たが、文字通りに受け取る向きは少なく、ようするに共産党独裁そのものが一神教だから、ほかのカルトの存在は認めない、抹殺の対象である、と宣言していたことになる。

 8月3日、共産党御用達の国営通信社・新華社系の『経済参考報』が「子どものオンラインゲーム中毒の蔓延に苦言を呈し、「ゲームの有害性が高まっている。まさに『精神のアヘン』、『電子薬物』という批判があるが、どのような産業であれ、スポーツであれ、社会をむしばむような発展は望ましくない」としたのだ。

これによって中国最大のゲームソフト企業テンセントの株価が暴落、日本のゲーム業界の株価にも波及した。
日本のゲーム大手はソニー、任天堂、バンダイナムコなどで、この業界の規模は5・3兆円(ほぼ日本の防衛予算に匹敵)、9・7%の成長率を誇った。地下鉄や電車に乗ると分かるが、90%近い乗客はスマホを見ている。その半分近くがゲームをしている。精神の荒廃が、ここまで来ている暗黒は、中国に限った現象ではない。

テンセントは三月に日本企業「楽天」への出資をしている。これは「テンセントリスク」と大騒ぎになった。楽天へ日本郵政が8・32%、テンセントは3・65%を出資したのだが、楽天の幹部は「なにも問題はない」と言い切ったが。。。。
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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憲法に「国家のアイデンティティ」たる歴史・文化の視点が必要だ
楯の会「憲法改正研究会」で三島は自衛隊違憲論に転換した
  
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藤野博著『三島由紀夫と日本国憲法』(勉誠出版)
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                            評 菅谷誠一郎

 藤野博会員(以下、著者)は慶應義塾大学文学部卒業後、北海道で38年にわたって公立高校教員を務め、その傍らで三島に関する研究を続けてきた。
 その成果は定年退職後に刊行した著書『三島由紀夫と神格天皇』、『三島由紀夫の国体思想と魂魄』(いずれも勉誠出版)にまとめられている。2年前、第49回憂国忌のシンポジウム「三島由紀夫の天皇論」ではパネリストの一人として登壇している。本書は三冊目の単著である。
 序文によれば、本書は三島の憲法論を単に解説することではなく、「三島の提起を今日の課題として引き受け、日本国憲法を根源的に考察すること」(1頁)にある。本書の概要は以下のとおりである。

 第1章では三島の憲法観を検討し、その変遷をたどっている。
昭和42年時点で三島は自衛隊合憲論に立ち、直ちに改正の必要はないと認識していたが、昭和43年以降は第9条2項の必要性を公言するようになる。そして、昭和45年に楯の会内部で「憲法改正研究会」で組織された段階で、完全に自衛隊違憲論に転換し、「第1条の天皇条項と、第9条及び第20条の政教分離条項とを連動させて改正すべきであると唱えていること、第9条を削除して新たな条文を提案していること、また緊急事態法の制定を主張している点が、顕著な特徴である」(10頁)と指摘している。

 第2章では日本国憲法の制定過程に始まり、そこから国家像、天皇条項、非常事態法をめぐる問題に話題を広げ、三島の認識と近年における代表的識者の見解を比較している。著者はGHQが憲法制定権力であった一方、「現憲法は、『敗戦』と『ポツダム宣言』の所産」(22頁)であるとして、「非合法的な押し付け」を強調する現行憲法無効論を退けている。その上で、第9条は当時の首相・幣原喜重郎が発案者であり、マッカーサー・ノートに基づき、GHQ民政局が条文化したと推測している。
 
 第3章では第9条誕生の歴史的経緯として、幣原とマッカーサーの意向が出発点にあったことを確認する。
しかしGHQ民政局がマッカーサー・ノートに見られる非武装平和主義を修正した際、第1項にある「戦争」の定義を明確にせず、第2項との整合性を検討しなかったために矛盾が生じたとする。その結果、当時の日米双方の当事者の認識としては、自衛戦争は認められるべきとの解釈であったにもかかわらず、第2項をそのままにしたため、自衛戦争まで否定する結果になったとする。
その上で、警察予備隊創設から第二次安倍政権に至るまで、日本政府が憲法改正ではなく、「解釈改憲」を重ね、戦力であるはずの自衛隊を戦力ではないと位置付けてきた責任を厳しく指摘している。最後に、著者自身の見解として、「9条問題と日米安保の問題は、論理的に分離すべき」(182頁)とし、第9条改正により自主的軍隊と自主防衛を基軸にした体制を確立した上で、現行の日米安保体制の問題点を是正し、集団安全保障は維持すべきという立場を示している。

 ▼丸山眞男や大江健三郎に対する著者の評価は厳しい。

 本書の特徴として挙げるべきは、現行憲法制定の歴史的経緯に紙幅を割くことで、戦後日本の問題点にアプローチしている点である。
著者は国内で入手可能な日米双方の資料を渉猟し、現行憲法が国民主権原理を掲げながらも、極めて非民主的手段によって制定が強要されたことや、その背景には極東委員会が介入してくる前に憲法改正作業を主導しようとしたGHQ側の焦りがあったことを明らかにしている。
また、行論の上では、憲法学や政治学、論壇の代表的識者の見解を紹介し、それに対する著者自身の見解を端的に述べるスタイルを貫いている。要約はいずれも丹念且つ正確であり、恣意的な引用や曲解は見られない。本書の洗練された叙述を見れば、著者が真摯な態度で執筆に臨んだことは明らかである。
ときに難解な表現もあるため、読む側も集中して文章に向き合わなければならず、そこに著者と読者双方の知的緊張関係が成立する。約200頁というコンパクトな分量でありながら、これほどまで中身のある内容を凝縮させた著者並びに編集者の苦心に対して敬意を表したい。

 特に第2章・第3章では憲法議論を進める上で重要な意味を持つ用語や概念、事実関係を先行研究に照らして丹念に確認しながら筆を進め、叙述の信頼性を高めている。また、第9条をめぐる護憲派、改憲派の論客の主張を紹介した部分はそれだけでも戦後日本の思想状況を理解する上でテキスト的役割を果たしており、有益である。
特に戦後民主主義の旗手である丸山眞男や大江健三郎に対する著者の評価は厳しい。

 管見する限り、社会科学、特に憲法論を軸に据えて三島をアカデミックに論じた著作は稀有である。
これまで三島を憲法問題の面から取り上げる場合、昭和45年の三島事件や檄文の表現が先行してしまい、どうしても感情論的な内容に終始しがちであったことは事実である。昨年は三島没後50年の節目ということで、多くの関連書籍が刊行されたが、三島の文学的側面と政治的側面をどう包括するか、その点を充分にバランスよく論じたものは意外に少なかった。
それだけに、憲法とは何か、そこから戦後日本の思想空間と三島の位置付けを考察しようとした著者の試みは実に大胆であると言えよう。本書を読み進める中、評者にとって印象に残った叙述や資料は少なくなかった。

 ▼三島の「祭祀的国家」、「文化的天皇」という概念

 たとえば、楯の会「憲法改正草案研究会」で配布された「問題提起」を要約した部分では、「国体と政体の別を明らかにし、国にとって侵すべからざる恒久不変の国体と、盛衰を常とする政体との癒着を剥離することこそ、国の最大の要請でなければならない。
したがって、第1章<天皇>の国体明示の改正なしに第2章の<戦争の放棄>のみの改正に手をつけることは、国家百年の大計を誤るものである」(7頁)とある。国体と政体の関係は戦前の憲法学でも争点の一つだったが、戦後は「国体」という言葉自体が死語となり、この問題は真剣に議論されてこなかった。
しかしながら、皇位継承の在り方が重要性を増す今日、第1章も含めて、憲法改正論議をすべきだろう。私たちは政治家を見る際、第9条への認識だけを俎上に載せて、保守か否かを評価しがちである。この「問題提起」の部分は半世紀を超えて、現在のわれわれに対して、まさに重要な問題提起をしていると言えるだろう。

 また、著者は第2章で現行憲法の問題点の一つとして、日本的国家像の欠落を挙げている。
「天皇祭祀を法的に廃棄させたことはGHQの重大な過誤」であり、「国家的意義のある『祭祀』を、現行の皇室典範に追加規定することによって、天皇の『公的行為』とすべきである」(77頁)との提言は卓見である。
著者は三島の「祭祀的国家」、「文化的天皇」という概念に影響を受けながらも、三島が祭祀全般を第20条の例外にしようとしたのとは異なる立場を示している。いずれにせよ、本書は政教分離原則をトピックにして、三島の思想を論じたものとしては初の試みと言えるだろう。

ただし、同時に、気になった点もあるので、本書の章立てにしたがい、数点挙げておく。
 第1章では自衛隊体験入隊以降の三島の憲法観を取り上げ、その変遷を整理している。三島と関係した自衛隊関係者の著作はいくつかあるが、近年のものでは西村繁樹『三島由紀夫と最後に会った青年将校』(並木書房、令和元年)が同時代の自衛官と三島の間に見られた認識のずれや、自衛隊二分論の問題点など、貴重な内容を含んでいる。
自衛官の側から見た三島の憲法観や軍事認識は著者の見方と比較した場合、さらに密度のある議論ができたのではないか。

 また楯の会「憲法研究会」における討議内容(全文は本多清監修『天皇に捧ぐ憲法改正』(毎日ワンズ、平成25年に収録)には吉田茂以来の戦後保守政治を批判した三島の言葉も収録されている。
本書第3章の内容にも関連するが、憲法と政治の関係を議論する際、吉田ならびに「吉田学校卒業生」である池田勇人、佐藤栄作への評価は避けられない。三島の理解はどこまで妥当なものであったかも含め、検討すべきであったように思う。

 第2章では、「連合国による武力革命」が現行憲法成立の本源であり、敗戦国である日本が「『国家主権』を喪失したことが根本にあり、国内法を超越した国際法が現憲法の法理的根拠なので、法的有効性を認めなければならない」(23頁)と指摘している。確かに、条約が国内法に優先することは国際社会の慣例として確立しており、憲法も例外ではない。 
ただしGHQ側の当初の方針は日本政府に憲法を起草させることにあり、本来、起草作業への主導的介入は想定していなかった。したがって、ポツダム宣言を根拠として「法的有効性を認めなければならない」と主張する点については、読者に対して丁寧な説明が欲しかった。

 ▼憲法に「国家のアイデンティティの中核となる『歴史・文化』の視点が必要である」

 また、著者はあるべき日本の国家像として、「法的・政治的・経済的共同体」の側面と「歴史的・文化的共同体」の側面の均衡と調和を説き、憲法に「国家のアイデンティティの中核となる『歴史・文化』の視点が必要である」(55頁)と主張する。
その点は評者も同感であるが、上述の見地から、憲法学者である西修駒沢大学名誉教授と百地章日本大学名誉教授の改憲論に高い評価を与え、三島の理念との共通性を指摘している部分には留保が必要である。

両者は第9条2項を維持したまま、新たに自衛隊の存在を追記する安倍「加憲」案を支持しており、自衛隊の「国軍」化を志向した三島とは立場が異なる。
評者はさきに挙げた西村繁樹元防衛大学校教授や、元楯の会会員の一人から、仮に三島が存命中であれば、安倍「加憲」案には賛成しなかったという言葉を聞いている。したがって本書においても、自衛隊「加憲」案の是非に斬り込んでもよかったのではないか。特に第3章を読む中でその思いを強くした。

 第3章ではGHQ民政局が憲法起草の段階で自衛戦争の否定までは考えていなかったと述べているが、この点は評価が分かれるとことである。
本書で紹介されている有識者のうち、西修駒沢大学名誉教授は民政局次長だったケーディスへのインタビューを通じて、交戦権の放棄に自衛戦争の放棄までは含まれていなかったという主張を展開している。
これに対して、慶野義雄・高乗正臣『亡国の憲法九条』(展転社、平成30年)はケーディス証言そのものに矛盾があり、それに基づく西説にも疑義を呈している。
評者としては、マッカーサーも含め、GHQ内部で日本の再軍備の必要性が認識されるのは朝鮮戦争勃発以降であり、第9条起草段階ではポツダム宣言に謳われた日本の非軍事化が重要目標であった。したがって、当時の民政局がマッカーサー・ノートに盛り込まれた戦争放棄について、侵略戦争と自衛戦争の区分まで含めて対処しようとしていたと捉えることには疑問がある。

 以上、三島の憲法観以外の点にまで触れたが、評者の感じたところを率直に述べた。言うまでもなく、本書は著者の温厚篤実にして控えめな人柄と、三島研究にかける真摯な姿勢により生み出された。本書をテキストにして、新しい議論につながることを期待する。評者として理解の足りない部分があれば、著者のご寛恕を乞う次第である。

(評者の「すがや・せいいちろう」氏は三島研究会事務局長)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)8月4日(水曜日)   通巻第7006号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ドイツ海軍、南シナ海へフリゲート艦を派遣
   中国は意図的にか沈黙。ドイツの鵺的行動をどう見るか
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8月2日、ドイツ海軍はインド太平洋地域にフリゲートを派遣したと発表した。
 フリゲート「バイエルン」は北海に面するウィルヘルム・スハーフェン港を出港し、インド太平洋地域において存在感を示威する。南シナ海を通過するに前後して、シンガポール、韓国、オーストラリアを経由するという。

 このフリゲート艦は1996年に就航、4900トン、乗員は380名、ディーゼル駆動で、全長が139メートル。29ノット。日頃はアドリア海に配置されてきた。

 これをどう見るべきか。短絡的にドイツもとうとう西側の一員として、米英主導の中国包囲網に加わり、日米豪印のクアッドの動きに触発されてのことなのか、どうか。

 ドイツは中国との経済的関係を維持するため、英仏の南シナ海派遣を横目に、決定を大幅に遅延させてきたが、メルケル政権の黄昏が視野に入り、反メルケル政治勢力の反撃のチャンスが、このフリゲート派遣に繋がった。

 ドイツ国防大臣は女性のウルズラ・ゲルトルート・フォン・デア・ライエン(EC委員長をつとめた)。しかも反メルケル派で、はやばやとドイツ海軍の艦船派遣を唱えてきたが、ドイツの政界はなかなかまとまらなかった。

 またNATOの重要なメンバーとしては、大勢がアンチ北京の雰囲気となってきたので、アリバイ証明的にNATOの一員の義務を演じる必要があったのだろう。
 こうしたドイツの鵺的行為に対して、中国はいまのところ沈黙している。
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──中国共産党百年の式典で、独裁皇帝は言いはなった。「つぎの百年」だと。 
 日本をウイグルにと、ジェノサイドが始まっている。あの文化人もコメンティターも洗脳された。電波、新聞、そしてSNSの言論空間も中国のサイバー攻撃と操作で乗っ取られた!
議論の前提を破壊する「認知戦争」とは中国オリジナルの「超限戦」のタクテック!
中国軍は日夜、台湾と尖閣諸島侵略のための軍事演習を繰り返している
 どうするのか、日本は!
       ◎◎◎◎◎
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)御新刊の『日本人が知らない 本当の路地裏中国──乗って歩いた! 全33省旅遊記』(啓文社書房)を拝読しましたが、よくもまぁここまでお歩きになったとは。執念ですね。
 それにしても中国の異様さ、恐ろしさは何でしょう。およそ文明の枠を破壊しまわっているとしか見えません。
 ますますもっての御活躍が求められますね。ご自愛のほどを。
  (松本徹)

  ♪
(読者の声2)貴著『『日本人が知らない 本当の路地裏中国──乗って歩いた! 全33省旅遊記』を拝読。世界中歩きまわった宮崎さんならではの、しかも視野の広い旅行記に感心
しました。
中国には二十年前までは何回か行きましたので、地方によっては思い出して、まさに隔世の観あり、今度も旅をされて、見たこと聞いたことを聞かせて下さい。
   (高池勝彦)

  ♪
(読者の声3)中国は、本当に残虐ですね。「和」の国の日本人は、神話によると天孫です。かたや中国は、伏羲と女?という、下半身が竜蛇です。すなわち、人を人ではなく、動物とみているのでしょう。だから、ダムを決壊させて地下鉄を水浸しにしても、意に介さないのでしょう。
 漢の呂后は、関夫人を人豚(じんてい)にした。隋の煬帝は、父帝の夫人であった宣華を、「蒸す」とあります。資治通鑑では、蒸すとは、義母を犯すとあるが、宣華は、翌年には死んで居ます。もっと深い意味がありそうです。
 これも、毛沢東が唯物史観の共産主義革命で、焚書・禁教にしたので、なおさら、増幅したようです。
  (斎藤周吾)

   ♪
(読者の声4)中国河南省の洪水被害で泥だらけになった自動車の一時保管場所の動画(1分ほど)
https://streamable.com/bjq5jr


 鄭州市から北に黄河を越えて位置する衛輝市周辺の7月26日の洪水の模様。60万人が避難したという動画では大型重機(ホイールローダー)のショベル部分に被災者を載せて運ぶ。後半には高速鉄道車内からと思われる映像。行けども行けども水浸し。
https://www.youtube.com/watch?v=PfarYjskRHE

 新疆タクラマカン砂漠ではシノペックの機器が3万セット浸水(中国石化3万套設備被淹)、砂漠がいきなり湖になる。
https://news.ltn.com.tw/amp/news/world/breakingnews/3623320


 中国語のメディアでは養豚場の水没、葉たばこやとうもろこし(玉米)畑の水没などでてくる。エネルギーと食糧生産にも影響が大きく、中国各地の被災状況はますます広がることでしょう。
  (PB生、千葉)

  ♪
(読者の声5)A: 貴誌通巻6909号でMKM様は「個人(故人)の手紙、日記、写真等を保存する施設のようです。この制度は、フランス、イタリアが発祥で、最近欧州へ広まったとあります。この指摘を受けて、最近日本で問題になっている孤独死に思いが至りました」と御意見を述べられ、私は「文化庁やデジタル庁に『令和正倉院・電子万葉集の編纂・電子民族蔵書館・電子記念廟』の創設をしたらどうか」と申しました。
それが社会との接点を増し孤独感を軽減するとともに、国家の安全に最も重要な国家との「絆意識」を強化することが期待できるからです。

 B:ところで千葉市図書館は7月30日からスマートフォンやタブレット、パソコンで7600冊の本を読むことができる電子書籍サービスを開始すると発表しました。電子書籍の機能としては「文字の大きさの変更や音声読み上げなどがあり、図書館に足を運ぶことなく、本を借りたり、返すことができます」と。
 C:私はこのB.はA.の構築に十分使えるなと思いました。なぜならばすでに7600冊分のdataは千葉市図書館にあるのですから、全国どこの公的図書館でも千葉市図書館の電子書籍サービスを、技術的には簡単に共用できるはずです。例えばOO市の市長さんが千葉市長に OO市・千葉市図書館を提携してくれませんかと申し出、それが合意されればそれで済むことになります。そうすればOO市はほとんどコストゼロで千葉と同じサービスをOO市市民に提供できます。

C.そして次なるステップとして、OO市民が「自分で本を作ったらその書籍などを、OO市図書館で電子化して、OO市民が読んだり(読み上げ機能を付けて)聞くことができるようにすること」です。つまりMKM様のお話しの「この考えはフランスとイタリアで当初発案され、今や他の欧州諸国へ広がっています」という仕組みが一気に日本でも広げることができると期待できます。

 D。この仕組みはもう一つ重要な効用が期待できます。それは音声読み上げ機能付きなので、多くの視覚障碍者が利用できるということであり、まさに障碍者支援策として最適なのです。私もぜひどこかの市当局にこの仕組みを提案してみようと思いますので、貴誌の読者の方々にもそれぞれのお住いの市当局への働きかけを期待いたします。
(SSA生)

  ♪
(読者の声6)貴誌第7005号(読者の声4)に再度景初三年説に反論されています。反論の 根拠を三点あげ、刮目天の推理は根拠が明示されていないとのことです。しか し、推理の根拠はすでに何度も繰り返し述べています。誤った景初二年説に固執するあまり、景初三年説の根拠が素直に受け取れないようですので、今一度、景初二年説を頭から取り除いて考えてみてください。
 景初二年説では倭の遣使が司馬懿の功績によるものだと魏の朝廷が認知していることを説明できません。西晋の陳寿も「魏志倭人伝」に卑弥呼を親魏倭王とする詔勅の全文を載せる理由もありません。詔勅全文は全く他に例のないことです。
「西域伝」を載せなかった理由も説明できません。そして難升米が面会した帯方郡太守が、明帝が帯方郡攻撃のために任命した劉?(りゅうきん)ではなく、劉夏(りゅうか)だったということを景初二年説では全く説明できません。
「晋書 高祖宣帝懿紀」に魏の少帝「斉王が即位すると、転任して侍中兼持節兼都督中外諸軍兼録尚書事となった。」とあります(訳出担当 田中愛子/辰田淳より)。録尚書事は官吏の考課、宮中の文書発布を司る尚書台の長官である尚書令よりも上位で、あらゆる職務を統括する役職です。
景初三年説であれば、司馬懿が自分の部下劉夏を倭国懐柔のために帯方郡太守に任命でき、自分自身の功績をアピールするための倭女王をべた誉めした詔を出すことが出来るからです。何
よりも、当時の魏の人々が、東夷が朝貢したのは、明帝の功績ではなく、司馬懿
の功績だと認めていることが推理の大きな根拠です。
 そうすれば、景初三年六月に劉夏が難升米を帯方郡に呼び寄せて二人で十分に談合し、明帝の喪中が明ける直前の十二月に洛陽で少帝に拝謁させたことも説明できます。尚書を司馬懿が掌握するまでに十二月までかかったということなので、 それまで難升米は帯方郡に留め置かれたのです。そして景初年間は形式上は明帝の時代ですので、喪が明けて改めて正始元年春正月(240年)に少帝が正式な詔を発し、喪中だったので十分返礼を整えられなかったということで、返礼をさらに上乗せして、後日魏使を倭に送って届けさせたということです。
すべて司馬懿の差配なのですから、反論者様があげられた三点の疑問もすでに述べられた最初の疑問もすべて解消されるはずです。そして重要な点は、景初二年説ではこのような事実とそれに基づく推論の流れを全く説明できないと思います。
 邪馬台国問題が解決しなかった大きな理由のひとつは、景初三年が原本の誤写によって曖昧にされたため、目先の議論に陥って全体の流れを読み切れなかったことではないでしょうか。
すでに述べましたが、「日本書紀」や「梁書 倭伝」に景初三年と明記されていることを勝手な解釈で無視する姿勢も、誤写のある版本を原文だと思い込まれていることから起こっているのだと思います。ここで景初二年説によって何が明らかになり、何が不明になるのかをもう一度整理されると、景初三年説が正しいとご理解いただけると思います。
 そして最も大事な点は、景初三年説であれば、邪馬台国問題を二・三百年議論しても解決しなかったという事実を説明できますから、解決の道が開かれるのです。邪馬台国への行程記事も、倭国の支配者とする女王卑弥呼のイメージも邪馬台国が列島最大の都だというのも全て司馬懿の功績を曹魏第一とするためのフェイクだったのです。これは倭国大乱を考古学の成果を用いて考察すれば証明できます。
つまり、文献に書かれていることは、その目的を推理して検証すれば真偽が分かるということなのです。すべてではないですが。ご興味が湧けば、拙ブログ【刮目天の古代史】にお越しください。
 (刮目天)

  ♪
(読者の声7)また8月15日がやってくる。今年で50回忌の「金本位制」の命日にあたる。当時の大統領ニクソン氏が日曜日の午後、突然基軸通貨であるドルの金との兌換性を「暫定的」に停止すると宣言し、世界が驚愕した。
世界の金融史5000年ほどの中で、何の裏ずけもない通貨が基軸通貨であった例はない。つまり、この「ショック」は人類歴史、初の極めて異例な事件だった。暫定的が半世紀間恒常化し、今こんな事件を持ち出す者は極めて少ない。
当時、しばらくはブツブツ文句を言う者もいたが、心を入れ換え、時代が変わり、価値も変わり、金融の法則も変わり、それに適応せねば生存できない、と世界の全ての通貨が同時に、フィアット(裏ずけのない)通貨に移行した。
過去にそんな実験はなんども繰り返され、その度に失敗してきたと言う悲しい経緯があるにも関わらず、である(ついでに言えば、翌年同氏は、台湾を裏切って、中共独裁政権に騙されこれを認め、巨大な敵を育て現代に至ると言う大犯罪をも犯している)。
 「処世術」には悲しい響きがある。時にはその場に合わせて、迎合し、曲げて、不本意ながら生きるために、己を捨て、倫理、正義もついでに捨てる。個人も国家もそんな不本意な行動をとる。
一度、身を崩した女が娼婦になり幼い弟を立派に育てる、などと言う美談もある。
ドイツも日本も酷いインフレに悩ませられた最近の記憶が残っていたため、日本政府は「通貨の価値を維持」する重大さを肝に命じていたので、ニクソン氏の暴挙に唖然とした。
 それから50年経った今、振り返ると、
1。「みんなで渡れば怖くない」理論を世界の全ての政府、中央銀行が採択してしまったので、日本は先頭を切って渡る。その結果、国債の規模は世界一最悪、と言う危険な状態になった。MMT理論とは最近米国の綺麗な経済学者が言うように、日本で長い間実験、実践されてきた。それで安心して米国も勇敢に「渡り」出した。
2。しかしこの理論、処世術は、過去50年間の異例な状態においてのみ機能する、と言う「但し書き」免責文が忘れられている。日銀やFRBの優秀な官僚は高度の数学を使い、精密な機械を完璧に安全に運営しているかのように宣伝するが、例えれば、火星の弱い重力、薄い空気密度に応じた飛行機を作り安全に50年間使用していたが、故郷の地球に戻しては、使い物にならない。
 武漢菌のおかげで、世界の政府に好都合ないい訳が生まれ、この1年間で天文学的な極めて大胆で不健康な大量の通貨をばらまいた。
50年つずいた自堕落な、しかし金融企業にとっては大変ありがたい、時代がそろそろ終わろうとしている、と思ふ。
 その終わり方には
1。正当な歴史に忠実な「金本位制」に戻る。そして健全な正直者が馬鹿を見ない世界に戻る。
2。官僚主導の全体主義が益々強化され、本来の貨幣の価値、意味も失われる。
(在米のKM生)

(宮崎正弘のコメント)拙作に金本位制の復活を描いたものが数冊ありますが、最新のものでも8年前の『世界は金本位制に向かっている』(扶桑社新書)です。その後は金本位復活どころかデジタル通貨。世界は通貨の基軸を失いますね。
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【「怪文書」=小此木八郎氏、横浜市長選出馬の真相と現状 】

<小此木八郎氏、横浜市長選出馬の真相と現状>

横浜市長選挙は現状、混迷を極めている。

その大きな元凶は、小此木八郎氏がIR誘致の中止を前提として出馬したことで、自民党市連、県連の分裂、また地元経済界の反発等を招いた。

小此木八郎の出馬とIR中止の公約は、菅総理大臣も直前に聞いたとの報道が多く、飼い犬に手をかまれたごとく喧伝されている。

しかし現状では、菅総理大臣の意向を受けた和泉補佐官が、なりふり構わない強引な行動で小此木八郎支援を企業に強要し始めている。

菅総理は就任以来、地方選挙には対応しないことを不文律とし、都議選の応援はしていない。

それを考えると、横浜市長選への介入は主旨に反するし、横浜へのIR誘致の強烈な旗振り役だった菅総理が、中止を公約した小此木八郎を強力に支援することは、更に理解できない。

しかしながら、菅総理が官房長官時代、横浜IRの事業者に中国系企業を選定することを約束していたとすれば、今の状況をよく理解することができる。

小此木八郎の出馬の真相と、市長選の現況を以下に記述する。

貴社におかれては詳しく調査され、民意を踏みにじって平然とする官邸の傲慢さを、明るみに出すことをお願いしたい。

1 菅官房長官時代の500ドットコムからの収賄

菅総理は、秋元司元衆院議員・下地幹朗衆院議員を通じて、官房長官時代に500ドットコムから贈賄を受けた可能性が高い。

日本へのIR事業の展開は、大きな権益となっていたが、トランプ大統領の後押しで本命と目されるアメリカ系企業は、贈賄する必要もなく、劣勢の中国系企業が贈賄を武器に巻き返しを図っていた。

贈賄の証拠は、菅官房長官が大手設計事務所幹部を宴席に招き、500ドットコムを自ら紹介し、中国系企業とIRの検討を進めるよう、指示していたことによる。

菅官房長官は、自身の影響力がある横浜のIRを中国系に、アメリカ系はそれ以外にと、すみ分けを考えていたと想像される。

宴席には、菅官房長官、500ドットコム紺野昌彦顧問、下地幹朗衆院議員、事務次官2名他が同席していた。

500ドットコムは、サッカーくじの販売等を行う会社で、カジノ事業やIR運営の経験は全くなく、中国系IR事業者のダミー窓口として活動していた。

その背後にいたのは、中国IR事業者のメルコリゾーツとギャラクシーエンターテインメンで、特にメルコリゾーツは500ドットコムへの資金提供を行っていたことから、贈賄の詳しい実態を把握し、証拠を握っていると考えられる。

2 トランプからバイデンへの政権交代による状況の変化

一方トランプ政権は、日本のIR事業への参入を目論見、ラスベガス・サンズとウイン・リゾーツを強く推してきていた。

これに対して菅官房長官は横浜以外のIR参入を条件に交渉を行う。

余談となるが菅官房長官の三男を預かり、関係の深い大成建設が、京急電鉄などとメルコリゾーツだけでなくラスベガス・サンズとも接近していたのは、この動きに関係がある。

菅総理大臣の時代になり、コロナ禍による、ラスベガスでのカジノの経営悪化で、ラスベガス・サンズとウイン・リゾートは、日本のIR事業からの撤退を決定する。

またギャラクシーエンターテインメントも同じ理由で撤退を決定したため、横浜IR事業者はメルコリゾーツが本命と目されるようになった。

大成建設は46.5%という大きな出資を決め、メルコリゾーツ(出資49%)、JTB(出資4.5%)と組んで、横浜IRの事業者選定に参加を決めた。

大成建設の2000億円近い異常ともいえる出資は、日本企業が過半数の51%を占めることを理由に、メルコリゾーツを勝たせようという、菅総理の指示と考えられる。

一方シンガポールを拠点とするゲンティン・シンガポールは、セガサミー、鹿島、竹中工務店、大林組、アルソックと組んで事業者選定に参加し、この2チームが統合することになった。

この時期米国でバイデン政権が誕生し、菅総理大臣は令和3年4月15日(現地時間)に訪米し、翌16日にバイデン大統領と面談をした。

面談時間は30分だが、表敬挨拶を除く実質的な会談は10分未満と短く、バイデン大統領の一方的な要求で終わった。

その内容は、「中国に対する徹底的で厳しい対応に同調し関係を出来るだけ断つ」こと、「台湾の防衛を死守するため最大限の協力を求める」の2項に尽きた。

菅総理大臣は、「帰国し関係閣僚と協議調整して回答したい」と返答したが、バイデンは「私は貴方に(お前に)言っている」と言い、会談を打ち切った。

中国に対するバイデン大統領の、極めて強硬な対応を知った菅総理大臣は、お膝元の横浜IR事業者を、メルコリゾーツに決定するのを断念することに至った。

ただしゲンティン・シンガポールを選定した場合は、官房長官時代の収賄を知るメルコリゾーツが、報復にその証拠を明らかにすれば、政治家生命を失うと危惧した。

3 小此木八郎の市長選出馬と横浜IRの中止

ご承知の通り、小此木彦三郎の秘書をしていた菅総理大臣は、小此木八郎とは40年近い付き合いがあり、心を開いて話の出来る関係にある。

小此木八郎自身は、政治家としての資質から、官邸で今以上のポストに上がれないと考え、亡き父小此木彦三郎の遺望=横浜のドン(市長)を目指す考えがあった。

一方菅総理は、横浜のIR事業者をメルコリゾーツにできないならば、横浜IR事業を中止するしかないと考え、小此木八郎と官房副長官の坂井学に市長候補の選定を指示した。

しかしながら、IRの中止を前提とする候補者の選定は難航し、小此木八郎自身の野望と相まって、本人が出馬することになった。

小此木八郎が出馬を決定してから、菅総理にIRの中止を告げたとの報道はガセネタで、IR中止が前提であった。

そうでなければ、菅を兄とも慕う小此木八郎を、菅がコントロールできないはずがない。

4 横浜市長選の現況と和泉補佐官による選挙違反の妨害

IR中止を公約に、小此木八郎が出馬宣言したことは、横浜の政財界に大きな衝撃を与えた。

坂井学は市連会長、また県連会長代行として、IR中止を前提に小此木八郎推薦の説得に奔走したが、結果自主投票となった。

公明党も自主投票を決めた。

小此木八郎は、港湾の関係者のIR反対を、IR中止の理由の一つとしたが、この中心団体のハーバーリゾート協会会長の横浜=港のドン藤木幸男は、小此木彦三郎時代から小此木家と親密な関係だったが、改めて小此木家とは縁を切ることを宣言する。

関係者にとって予想外のことだが、小此木八郎との付き合いの長い藤木が、菅総理の動きを察知し、これに巻き込まれるのを、回避したと考えればよく理解できる。

横浜主要経済団体は、裏切り者ともいえる小此木八郎に敵意を明らかにし、横浜市経済の未来をかけて、林市長に出馬要請の嘆願書を提出する。

結果、林市長が立候補を決意するに至る。

林紙工は立候補決意の際、菅総理の連絡をし、横浜経済は観光立国として再生するしか道がないこと、その一つとして統合型リゾートの誘致は必要で、推進者がいない中、自分が立つことを伝えた。

菅総理は終始無言で、林市長が「総理聴かれていますか」と、最後に確認した際、「どうでもいいことだ、私には関係ない」と電話を切った。

自身の第2の故郷たる横浜を、切り捨てるこの発言は、地元経済界の更なる反感を買うに至る。

反面菅総理は、「徹底的にやりますよ」と、やくざめいた伝言を林市長にした。

そのような状況下、7月14日午前中に小此木八郎が菅総理を官邸に訪問し、大変厳しい市長選になると訴えた。

特にIR事業者と地元財界からの要請で、ゼネコン各社が林擁立に動いていることを告げた。

同日16時過ぎに、菅総理は坂井、岡田両官房副長官と和泉補佐官を官邸に呼び、小此木支援を強硬に指示したと推定される。

これから和泉補佐官が動き始める。

16日夜を皮切りに、まずはスーパーゼネコン5社の大成・清水・鹿島・竹中・大林の各経営トップに小此木支援を要請し、同意しない会社を恫喝した。

並行して、ゼネコン各社に、発注者として影響力を持つ大手不動産各社、三井不動産、三菱地所・森ビル等に連絡し、小此木支援と共に、ゼネコン各社に圧力をかけることを要請した。

また、JR東日本・京急・東急・小田急等の鉄道会社にも同じ要請をした。

この行為は、和泉補佐官が国家公務員特別職の身分の為、明らかな公職選挙法違反で、しかも国土交通省が所轄する各社への圧力は、和泉補佐官の優越的な立場から、より悪質といえる。

菅総理大臣の要請による、和泉補佐官の動きは一層強硬になりつつある。

各社に対して、「林を支援すれば動きはすぐに把握できる」等、殆ど恫喝に近いことを話し、京浜急行をはじめとする鉄道各社に、小此木八郎支援を約束させている。

法事国家(※ママ 法治国家)の日本で、前近代的ともいえる公職選挙法違反を、官邸が主導することには、大きな怒りと驚きを隠せない。

また、これだけなりふり構わない暴挙を行っても、小此木八郎を市長にして、IR事業を中止しようとする菅総理の行動は、自身の保身であることでなければ、説明はつかない。

7月20日に横浜市内のホテルで行われた小此木八郎の決起集会では、菅総理をはじめ現職閣僚から支援要請があったと報道されている。

またこれまで横浜市議会でIRを推進してきた「自民党・無所属の会」の市議36名の内30名が参加したことも報道された。

政治理念として自身が掲げてきた政策を反故にし、権力や義理人情に左右される30名の議員達は、本当に横浜の経済や市民の生活を考えているとは、とても考えられない。

政治家としての志に深い疑念を持つ。

菅総理の個人的理由により、権力を使って行う小此木八郎市長の誕生だけは、横浜市民としてとても耐えがたい。

改めてこれを報道され、阻止されんことをお願いしたい。

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)8月3日(火曜日)弐   通巻第7005号  
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 河南省豪雨被害、死者302,行方不明50名以上と発表
  無策の救援活動に省長、市長らの責任を問う声が満ちている
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 映像は凄まじいものだった。地下鉄車内の浸水、幹線道路の河川化。そして道路のトンネル内に閉じこめられた数十台のクルマ。しかもほとんどがSNSで投稿された映像や画像で、世界中に実像が流れた。
 7月17日から20日にかけて河南省を襲った豪雨は家屋倒壊三万戸、避難民1300万、経済的損失が82億ドルという。

 8月2日になって当局は「正式」の数字を発表した。
死者302,行方不明50(このうち、鄭州市内だけの死者292名、行方不明47名)。

中国は伝統的に災害や事故を隠蔽する。唐山地震のときは、いかなる対外発表もなかった。唐山地震は1976年7月28日、中国は毛沢東の文革終息期だった。犠牲者は中国のその後の発表で24万人、米国は衛星写真などから死者は65・5万人とした。鎖国中だったが、発電所建設のため日本から派遣されていた日立製作所の社員3名が含まれていた。

災害につきものの強盗、追いはぎ、死者がしている貴金属や時計が盗まれた。日本は神戸、東日本津波などの未曽有の災害時、助け合うという習慣があるが、中国では救援より先に追いはぎ行為がある。四川省地震でも、犠牲者の数字や「消えた都市」については一切の報道がない。

今回の鄭州大水害報道でも、隠蔽体質が強化され、現場で取材していたAFP記者は撮影したフイルムを没収された。BBCの報じた内容を、当局は「フェイク」と言い切った。
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     樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@    【知道中国 2260回】      
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港142)

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 1984年12月から97年6月30日までの「過渡期」の間に、共産党政権は特別行政区としての「香港のかたち」を定めるため、香港特別行政区基本法起草委員会(1985年6月18日、全国人代常務委員会決定)を皮切りに、基本法諮詢委員会、同委員会執行委員会、港事顧問、特別行政記籌備委員会予備工作委員会組成人員など、数々の機関を新設した。

 これら新設機関に名を連ねた香港の名立たる企業家を挙げてみると、安子介、包玉剛、李国宝、李嘉誠、劉皇発、霍英東、田北俊、李福兆、呉光正、スタンレー・ホー、唐翔千、霍英東、曽憲梓、董建華、鄭裕?、霍震霆、羅康瑞、羅徳丞、邵逸夫、胡應湘、徐展堂、黄志祥、梁振英、鐘士元、李兆基、林百欣、郭炳湘、郭鶴年、陳永棋、包陪慶、李澤鉅、唐英年、霍震寰など──越後屋は数知れず。
そら恐ろしい限り。これが現実である。

 ことに注目すべきは長老格の安子介、霍英東、鐘士元、それに若手では梁振英である。それというのも、これら企業家は複数の委員会で中心メンバーとして動き、オ殿サマの取り巻きと一緒なってオ殿サマの意向を香港基本法の行間に埋め込み、最終的に一国両制を形作ることに貢献したと考えられるからだ。

 さらに付け加えるなら、ここのメンバーにタイのCP(正大)集団総帥である謝国民の実兄で同集団の対中部門を統括する謝中民、マレーシアの郭鶴年一族などが加わって「香港明天更好基金会」なる組織を、返還直前に立ちあげている。

当時のオ殿サマである江沢民の呼び掛けに応じ、いやオ殿サマの心情を大いに忖度し、民間の立場から返還を大々的に祝おうというのが設立の趣旨。返還を前に香港の主要街区を華やかに飾り、返還式典を挟んでヴィクトリア湾の上空に華々しく花火を打ち上げ、香港を挙げて祝賀ムードを演出した。
かくて香港全体をお祝いムードで覆い尽くし、大多数の住民の反中感情を一時であれ抑え込んでしまう。いや麻痺させたようにも思う。

そういえば一連の返還行事参加のために北京から馳せ参じた江沢民以下の一行が宿舎としたホテルは、九龍の先端に返還に合わせたかのように新設された超豪華ホテル。眺望はバツグンで警備は万全。ホテルからヴィクトリア湾を挟んで指呼の間に返還式典会場の国際会議場が位置する。
オーナーが李嘉誠と知れば、どんなボンクラでもオ殿サマのために特別に用意されたホテルと想像できるはずだ。

 なぜここまで超破格の接遇を・・・もちろんオ殿サマと越後屋の関係である。後々の「稼ぎ」を考えれば、超豪華ホテルの一棟や二棟など安いものだろう。
それもこれも「越後屋、ソチも相当にワルよのう」「滅相もゴザイマセン。とてもとても、オ殿サマには敵いません」「ブハッ、ブハッ、ブハッハハハハ!」のアレなのだ。

 であればこそ、何度でも言っておきたい。極論するなら、越後屋を抜きにした香港論議は畳の上の水練以下だ。役に立たない。いくら声高に民主を叫ぼうと、それは単なる「口先介入」に過ぎず、オ殿サマにとっても越後屋にとっても実質的には痛くも痒くもない。

 たとえば李嘉誠である。北京のオ殿サマと『密談』を交わす一方で、じつは去り行くロンドンのオ殿サマに対してもセッセと、しかもシッカリと政治献金を重ねていたというのだから、これはもう恐れ入谷の鬼子母神である。
素人目には盗人に追い銭の類の『捨て金』と思えるが、そこは百戦錬磨の越後屋である。万々一の場合の風険投資(リスク・マネージメント)を忘れるわけがない。やはり保険の掛け方が違う。その証拠に、香港返還後も李嘉誠はイギリスで大きなビジネスをセッセセッセと展開したではないか。

 李嘉誠がそうするわけだから、他の越後屋だって我先に真似するのが商法のイロハ。だが、おそらく北京のオ殿サマも、そんなことは先刻ご承知であったに違いない。
   ○△□◇ヒ◎○△□イ○△□◇ズ◎○△□ミ△□◇◎   
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)貴書新刊の『日本人が知らない 本当の路地裏中国──乗って歩いた! 全33省旅遊記』(啓文社書房)を拝読しました。内容は小生にとって驚くことばかりで、たいへん面白く拝読、しかし宮崎さんはどうして、こんなに中国が好きな(?)のかと考えて、なんとなく分かった気がしました。
 国家も民度も規範から大きく外れる中国は、厄介で、それゆえに滅茶苦茶なところが、きっとお好きなのでは?
   (HS生、奈良)

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(読者の声2)当地は一ヶ月遅い御盆です(東京は新盆でしょう?)。首都圏はコロナ騒ぎがたいへん、「毎日味噌汁を口にしていれば大丈夫」とその筋の権威筋のお医者が発言しています。
 さて、現在、時間的余裕はそれほどあるわけでもないのですが、貴書(石平さんとの激辛対談シリーズ第12弾)『中国が台湾を侵略する日  ──習近平は21世紀のヒトラーだ!』(ワック)を再読しております。再読するのは渡部昇一先生のほかは初めてで、これからも一種愉しくもなるような諸作を期待していております。
  (KN生、佐賀県鹿島市)

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(読者の声3)8月2日の日経新聞の一面トップ記事は「マネーと経済 切れた連動」とあり、「ニクソンショックから50年を迎える。通貨は膨張し、変動相場制での為替の急変は通貨危機をもたらすようになった。
漂流する通貨をどう制御して豊かさにつなげるか、新たな模索が始まっている」と総括し、「マネーの量は世銀によると、GDPの6割から1.3倍になり、一日あたりの為替の取引額は国際決済銀行によると6.6兆ドルと30年前の12倍となった」と記述されている。
さらに「90年代まではドルの供給量が増えると米国のGDP成長率は連動して高まる傾向があったが、2010年以降は供給量が2.4倍になってもGDP は1.6倍止まり。株の時価総額は3倍程度となったが、実態経済を潤す力が衰えている」と単なる表面的な「状況説明」に相変わらず終始しています。この記事で問題なのは、なぜこのような「経済」になってしまっているかの根本的理由や、その原因がどこにあるのかといったことが「スルー」されていることです。
もちろん経済学者による研究論文集などの中には答えがあるのかも知れず、我々はそれらを見落としているかもしれない。然るに日経のような経済専門紙こそ、そのような研究発表を探し出して報じてもらいたいものです。特に、コロナ禍の「追い風」で、MMTが経済先進国のもっぱらの経済政策となってしまった昨今の世界経済下では、「マネーと経済が切れた連動」状態はさらに拡大してゆくはずです。
まさに我々の直面している最重要課題は現行の資本主義経済体制の根本的メカニズムを明らかにすることであるはずです。
 ところで経済学を学ぶと本の中に「資本主義のメカニズムに存在する重要な理論は内生的貨幣供給理論」と必ず書かれています。
「この理論が資本主義を発展させた」のだと、どんな経済学の本にも紹介されているのですが、なぜかその重要さに反して、著者たちはなんとなく「ヨソヨソシイ」説明ですまし、「スルー」気味なのですが、この理論に対する、素人である私の解釈・見解は「融資の際、民間銀行が全く何の裏付けもなしに、融資額を簿記に資産計上しているのはおかしいし、それはトリックではないか」ということです。
換言すれば「王様はやっぱり服を着ていないし、裸だ!」ということなのです。
この不可解性を抱きながらMMTを考えますと明らかになるのですが、要するに、「民間銀行を国家(中央銀行)に置き換えた姿での内生的貨幣供給理論がMMTとなるのだ」ということなのです。
これは民間銀行が融資行為において「価値イコール通貨である」という前提(=トリック)で行うやり方を、同じく「価値イコール通貨である」として国家が踏襲(継承)している現象なのです。
 おそらく「マネーと経済 切れた連動」は今後の世界ではますます顕著になりましょう。しかし、「この内生的貨幣供給理論そのものに疑いを持ち、やはり「価値イコール通貨ではない」という「真実」を認めない限り、問題は解決には向かわないと思います。
(SSA生)

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(読者の声4)通巻第7004号で、議論打ち切りの提案がありました。私の投稿に対して先に反論されたのは反論者さまの方ですから、納得しての打ち切りなら兎も角、納得されないままの打ち切りは議論のやり方として如何なものかとも考えますが、この辺りで収束することに依存はありません。
 前のメールでは長くなるため、公孫氏滅亡後の韓地への別軍の派遣は成立しないことを述べるに留めました。まだ納得はされていないようですが、新たな論点の提示も無いようですので、あと少し述べて最後といたします。
反論者さまによれば、「倭国を懐柔するように司馬懿の命を受けた劉夏は、倭国に遣使を促し、景初三年六月に帯方郡に来た難升米らを洛陽に護衛を付けて送りました。司馬懿にとっては、自らの功績を最大限にアピールする最も重要なチャンスですから、幼い皇帝の補佐役になった司馬懿は、たとえ明帝の喪中であっても、卑弥呼の遣使を絶賛する詔勅を景初三年十二月に作らせたのだと推理できます。」
 とのことですが、ここで述べられていることは、ご自身で「推理」と言われるように全て推測であり、根拠(三国志のどこからそのように読めるのか。或いは考古学的物証など)が明示されないままの推測は単なる思い込みであり、改めて論じるに値しないと考えます。
 仮に、その「推理」を俎上に乗せたとしても、次の三点は合理的には説明できないと考えます。
(1)喪中の使者を半年も都にとどめた理由
(2)半年も留めて、喪が開けるのを待たず、喪明け直前の12月に急いで詔勅を作らせた理由
(3)その挙句に、卑弥呼の使者が贈り物を持ち帰らず、魏の使者が遠路わざわざ届けることになった理由
 終わるに当たり、自然体で読めばどのように読めるかということを申し上げておきます。
卑弥呼の遣使は原文にある通り、景初2年6月に行われたのであり、戦中の遣使であったからこそ、思い切って決断した明帝の心を打ち、不相応とも見える質・量とも優れた見事な返礼品の贈呈となりました。
本来ならば新年早々華麗な授与の儀式が行われ、卑弥呼の使いは意気揚々と持ち帰ったはずが、明帝の急死により全てが中止となり、卑弥呼の使いは手ぶらで戻り、喪が明けた正始元年に魏使が卑弥呼に届けることになったのです。
 倭人伝には明帝からの授与状に、次のように記載されています。
「皆裝封付難升米・牛利。還到?受、(略)」
つまり(卑弥呼に対して)皆装封して(使者の)難升米・牛利に渡すので、(使いが)還り到れば貰った物を記録した上で受け取りなさい、と言っているのです。
 何事もなければ卑弥呼の使いが持ち帰る段取りであったことが明らかです。反論者さまに限らず、通説ではこの肝心なところを読み飛ばして(或いは無視して)、何か普通状態での贈り物のやり取りのように解釈されるので、勝手な想像が膨らむ原因になっていると考えています。倭人伝を丁寧に読めば、再三強調されるような遣使の景初3年説は成立せず、また、倭人伝は陳寿が誇張したものではなく事実を淡々と記したものであることがご理解頂けると思います。
  (高柴昭)
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)8月3日(火曜日)   通巻第7004号  
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~外国との会見場所をなぜ天津に移動させているのか
  北戴河は、北京より天津からのほうが確かに近いが。。。
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 北戴河会議が始まっているようだ。
 8月1日の建軍記念日とかに、習近平は軍に発破をかける演説を行った。その足で、北戴河の長老会議に臨んだのではないかと観測があがっている。

 タリバンの幹部を招待して会合をもったのは天津だった。そして先日、シャーマン国務副長官を迎えての米中会談も天津だった。シャーマンを激怒させるほど中国は高慢ちきな、まるでアメリカに挑戦するかのような態度だった。

 北戴河会議で長老達に、その成果を報告する必要があるからだろうが、江沢民が欠席する会議では、習近平の路線に刃向かえるような直言武士は不在である。
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  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 ウイグルの地獄から決死の脱出、その衝撃的な証言に世界が注目した
  勇気ある証言をポンペオ国務長官とトランプ夫人が讃えた

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サイラグル・サウトバイ & アレクサンドラ・カヴェーリウス著 秋山勝訳
『重要証人  ウイグルの強制収容所を逃れて』(草思社)
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 珍しいスナップが一枚、本書に挿入されている(グラビア11p)。著者がアメリカを訪れてIWOC(國際勇気ある女性賞)に輝いた折、ポンペオ国務長官とトランプ夫人が讃えた。その時の貴重な一枚が挿入されている。
 この証言のサウトバイ女史が語ったウイグルの地獄、その収容所内の震え上がるようなおぞましい実態報告はアメリカを動かした。
 トランプ政権は「ジェノサイド」と決めつけ、制裁をさらに強め、欧州各国もこれにならい、そしてバイデン政権になっても、トランプの定義した「中国共産党によるジェノサイド」路線は引き継ぐとした。
昨秋、アメリカはETIM(東トルキスタン独立運動)を「テロリストリスト」から削除した。
サウトバイ女性の証言を聞こう。
 「私たちは二十一世紀を生きていた。世界は猛烈な勢いで進歩していたが、中国だけは暗い過去へと向い、毛沢東が支配していた野蛮で残虐な過去に戻ろうとしているようだった。毛沢東の時代について、党と政府は私たちの記憶や歴史書から必死に消し去ろうとしていたが、過去について口をつぐんだせいで、私たち全員に同じ残虐行為や同じ過ちを繰り返させることとなった(213p)。
 収容所内では日夜、拷問が繰り返された。
 「それまでの人生で、聞いたこともないような叫びだった。一度耳にすれば、わすれようにも忘れられない声である。聞こえた瞬間、その人物がどのようにさいなまれているのかが目に浮かぶ悲鳴だった。死にゆく動物があげる、生々しい鳴き声だった」(222p)。
 いったい「彼らは人間なのか」。
凄まじい拷問と処刑。なにがウイグルの強制収容曾で行われているか、著者は決意した。
「この実態を世界に伝えなければならない」。
 「私を生かしつづけてくれたのは、東トルキスタンで繰り広げられているおぞましい物語の実態が明らかになれば、ただちに自由主義世界で激しい抗議の声が起こるという希望だった。自由民主主義の国々も、自分たちが置かれている危険に気づくはずだ」(240p)。
 中国から脱出した女性は命がけで証言した。身の毛もよだつおぞましさ、かれらは人間なのか?
 著者は新疆ウイグル自治区で生まれ育ったカザフ人女性で医師であり教師でもあり、二人の子供をもつ母親である。監視態勢が激化するなか、ある日突然、拘束されて再教育施設と呼ばれる強制収容所に連行される。そこで行われていたのはウイグルに生きる少数民族への想像を絶する弾圧だった。自分たちの言葉を禁じられ、伝統も文化も宗教も奪われて中国共産党への忠誠を誓わされる。
 繰り返される拷問、洗脳、レイプ。そしてその先に待ち受ける死。命がけで隣国カザフスタンに脱出した著者は、2018年、法廷に立ってウイグルで現在進行中の地獄のような実態を証言した。
その衝撃的な事実は各国の主要メディアによって次々と報道され世界中に激震が走った。日本のメディアも産経が大きく報道した記憶がある。
評者(宮崎)も直後に彼女の証言の詳細を、小紙に書いた。
 繰り返される脅迫にもひるむことなく勇気ある証言を行った著者に対して、2020年には米国務省から国際勇気ある女性賞(IWOC)、2021年にはニュルンベルク国際人権賞が授与されている。解説は櫻井よしこ氏が書いている。
 この書物を読んでもなお、日本の財界人は中国とビジネスを続けるのだろうか? あなたたちも、あの人達と同様ですね、という声が聞こえないか?
      ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆ ☆☆☆☆
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(編集部から 樋泉克夫のコラムと読者欄は下段にあります) 
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 ──中国共産党百年の式典で、独裁皇帝は言いはなった。「つぎの百年」だと。 
 日本をウイグルにと、ジェノサイドが始まっている。あの文化人もコメンティターも洗脳された。電波、新聞、そしてSNSの言論空間も中国のサイバー攻撃と操作で乗っ取られた!
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 どうするのか、日本は!
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   (休刊のお知らせ)小誌は8月6日から10日まで休刊となります 
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     樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 
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樋泉克夫のコラム 
@@@@@@@@   【知道中国 2259回】         
 ──英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港141)

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 サッチャー首相が持ち出したイギリス側の要望は?小平に鼻先であしらわれ、完膚なきまでに拒絶されてしまう。?小平の傲慢ぶりには、やはり「鉄の女」もカタナシだった。

 ここで思い出されるのが、長谷川如是閑が綴った香港領有をめぐるイギリスと清国との国力の違いである(2182回参照)。

 長谷川は「英国は千八百六十年の条約でこの九竜と香港とを取って更に九十八年に北緯二十一度九分の線から北を東経百十三度五十二分より百十四度三十分に至る間、真四角に分け取ったがその手段は余り真四角ではなかった。何しろ衡の一方が飛び上がって一方が地に着いている始末だから、両者の間の平衡は強者の意思に代わって維持せらる」(『倫敦! 倫敦?』岩波文庫 1996年)と説いた。

つまり長谷川はイギリスの香港領有(香港島と九龍の割譲、新界の半永久的租借)はイギリスが軍事力で強引に進めたわけで、余り褒められたものではない。だが国際政治の動向が力によって定まる以上、致し方がない。イギリスの要求は余りにも過酷であり、無理無体が過ぎる。だが相手は強国である。所詮は弱国に過ぎない清国は、嫌々ながらもイギリスの横紙破りを受け入れざるを得ない。無理が通れば道理は引っ込む。これが古今東西を貫く国際政治の大原則。もっとも清国側に十全の道理があったとも思えないが。

 ところが、それから1世紀半ほどが過ぎるや、かつて世界に覇を唱えていたイギリスは凋落の一途。反対に中国が台頭してきた。かくて中国の敵討ちが始まる。こんどは中国側が無理を通す順番だ。中国側の要求が通らないわけがない。いや、断固として通してやる。これが?小平に率いられた共産党政権の考えであり、?小平の老獪な手練手管にサッチャーは?み込まれてしまった。
「両者の間の平衡は強者の意思に代わって維持せら」れるのだ。
 
かくして香港返還に関する中英交渉は中国ペースで進み、1984年12月、北京で「中華人民共和国政府と大ブリテン及び北アイルランド聯合王国による香港問題に関する聯合声明」が正式調印され、殖民地は1997年6月30日深夜までと定まったのである。

 以後、この日から殖民地最終日までを「過渡期」と定め、中国側は返還に向かって次々に布石を打ち、これに香港の企業家が呼応していった。以下、山形勲にオ殿サマを、三井弘次に越後屋を演じてもらうことにして・・・

「のう越後屋、もそっと近こう寄れ。こたびの返還、そう容易いことでもない。そこでモノは相談じゃが、貴公の力添えを願えたら、このうえなく心強い。ワシの無理を聞き入れてくれるなら、有難い限りというもの。そこでどうじゃ、承知してくれるか」

「もちろん喜んでお受け致します。オ殿サマのゴ尽力で成し遂げられた返還と言う民族の歴史的大偉業。一大慶事。殖民地なんぞに巣食ってしがない商いでその日暮らしをしておる卑賎の身ではございますが、越後屋とて中華民族の端くれ。これに優る喜びはございません。なんなりとお申し付けくださりませ。存分な働きをお見せ致しとう存じます」

「よくぞ申した。越後屋、忝い。ところで先代が散財したため手許不如意でのう。ゆえに香港に回す算段が立たぬ。そこで相談じゃが返還に掛かる費用をソチが持ったうえで、香港に住まいするモノドモに目眩ましを喰らわせ、コチラに靡かせてもらいたい・・・どうじゃ、やってくれぬか。なんせヤツラはワシを骨の髄から嫌っておるからのう」

 「お安いゴ用でございます。水道、ガス、電気、電話・・・ヤツらの生活の一切はコノ越後屋が握っておりますゆえ、ギュギュッと締め上げればグーの音も出せません。お任せくださいまし・・・ところでオ殿サマ、世に『井戸を掘った人』と申しますが・・・」

「皆まで申さずと承知しておる。ソチの悪いようにはせん。おい越後屋、ソチもワルよのう」
「滅相もない。オ殿サマには敵いません」。・・・かくて返還バブルが巻き起こる。
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  読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)8月4日(水曜日)のニュース解説番組「フロント JAPAN」は宮崎正弘さんの登場です。お相手は佐波優子さん。
8月4日午 前1100-1200。生番組です。
テーマは「アフガニスタンの真空、周辺国のどよめき」の予定です。
   (日本文化チャンネル桜)

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(読者の声2)●オリンピックの陰で目立たなかったニュース、三内丸山遺跡(縄文前期中頃~中期末葉)など「北海道・東北の縄文遺跡群」が、7月27日、世界文化遺産への登録が決定したとのことです。
ところで、三内丸山現地に復元されている巨大なクリ柱の高楼です。先日、歴博の先生のネット講義を見ておりましたら、丸太を縛り付けたあれは本来の姿ではない、富山県小矢部市の桜町遺跡発掘で同時代の貫(ぬき)構造の建築部材が出土しており、大林組がこれをもとに提案しているような姿であったはずと。短足おじさんも考古学者は何をやってるんだと慨嘆しておられます(短足おじさんの一言 2021-03-02)。
小矢部は近くですから何度か参観しました。もしかするとこれぞ「高志国の文明」かもしれません。
●目下、コロナで国民に大迷惑をかけ医者の世界も同様なのでしょうが、考古学者の世
界も純粋学問以外の人間的な要因がからんでややこしくなっている側面があるようです。私は古田武彦氏ほど漢文資料を深く読み込んだ人はいないのではと感嘆しつつ、古田古代史の著作に没頭したり現地を逍遥していた時期がありました。
偽書事件は困りますが。けっきょく、同時代の直接文献資料がない以上、考古遺物がもっと出現するまではロマンの領域で、マニアックな議論は賢明な人士にお任せすることにしました。
●シナ文明は大陸性「中心」文明で、日本文明は海洋性「周辺」文明です。
同じモノサシで両者を比較することが適当でないのは当然ですが、日本人は海彼の文明に対して謙恭な姿勢を失いませんでした。それがひいては、海彼文明の権威に近い勢力への謙恭となり、このようにして平和的な国の統一が担保されてきた、というぼんやりし
た妄想をたのしんでいます。
(石川県、ボケ脳)

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(読者の声3)貴誌第7003号(読者の声2)に景初三年説への反論が再度寄せられました。「東夷伝 序」に「景初年間(二三七  二三九)、大規模な
遠征の軍を動かし、公孫淵を誅殺すると、さらにひそかに兵を船で運んで海を渡し、楽浪と帯方の郡を攻め取った。これ以後、東海のかなたの地域の騒ぎもしずまり、東夷の民たちは中国の支配下に入ってその命令に従うようになった。」(今鷹真・小南一郎・井波律子訳「三国志」世界古典文学全集24B筑摩書房1982、p.295)とある文章中で「さらに」と訳されている原文には「又」とあり、これは時間の前後関係を表すものではないと主張されています。
また「公孫淵誅殺後に派遣したのであれば、何故わざわざ海路で密かに派遣する必要があるのでしょうか。」と主張されていますが、御自分で「そのような魏の軍を苦手な海路で派遣するのですから、公孫淵に気付かれないように密かに行う必要があったのです。
明帝の周到な準備を窺う事ができます。おそらく背後固めは景初元年中には完了していたと思われ、景初2年になって討伐軍が派遣されることになったのです。」とその答えを出されています。「ひそかに」と記された意味はおっしゃる通りなのかもしれませんが、卑弥呼の遣使(難升米)が写本に景初二年六月とあるからといって、それ以前に楽浪・帯方二郡を落したという根拠にはできません。
もしも難升米が面会したのが、この時明帝が送った帯方郡太守劉?(りゅうきん)だったならば、景初二年説は成り立つかもしれませんが、劉?(りゅうきん)ではなく別の人物劉夏(りゅうか)ですので、おっしゃる通り、どういう経緯で劉夏に交代したのか貴説では全く説明できないからです。
 そして、「晋書 四夷伝倭人条」に「宣帝之平公孫氏也其女王遣使至帯方朝見 其後貢聘不絶」とあります。
つまり卑弥呼の帯方朝見は司馬懿が公孫氏を平定したからだと明記されています。刮目天は漢籍の専門家ではないですが、上記「三国志東夷伝序」の「又」とあるのは時間の前後関係を表していると「三国志」の翻訳者が深く考えて「さらに」と書いたのだと考えられます。
すでに述べましたように「晋書 宣帝紀」にも「正始元年[二四〇年]春正月、東倭が複数の通訳を介して朝貢してきた。焉耆・危須等の諸国、弱水以南の地方、鮮卑の名王が、みな使者を遣わして来貢した。皇帝はこの威風を宰相の功によるものとし、宣帝に増封した。」とあります(「晋書 高祖宣帝懿紀」訳出担当 田中愛子/辰田淳一より)。
卑弥呼の朝貢は、明帝ではなく司馬懿の功績であると魏の朝廷の人々は認識していたと考えられますから、司馬懿による景初二年八月の公孫氏滅亡後の景初三年六月に難升米が帯方郡に行ったと考えるのが正しいのです。
お陰様で、これによって「邪馬台国問題」の謎が解明できるので非常に重要な議論でした。お付き合い心から感謝いたします。
  (刮目天)

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(読者の声4)(新コロナ)誰でもできる自己防衛対策。ただし良心的な医師を探せねばならない。武漢菌が世界にばら撒かれ、その効果的な安く安全な医学的に証明されている処方があるにもかかわらず、それを世に拡散する倫理的な本来の医師、学者の行動が弾圧されてる。
それは、極めて異常な、人命を無視し、いかなる医学の倫理、科学の論理を否定する、しかも全世界同時に起こっている。そんな危険な政策は、全体主義国家内でしか使われなかった。既に多すぎる全世界の人口を人工的に減らすためだ、という噂もある。が、そのホントの理由は、不可解で、不明。
 そんな中で、少数の専門医が、「机上の論」ではなく、自分の利益、職などを犠牲にして、現場の臨場での体験からの統計と経験をもとに、世界に発信している。(FLCCC.net)
御丁寧に日本語訳も付いていたので、参考にして、自分の家族の生命を防衛されたし。以前にも投稿したが、イベルメクチンは、日本人大村智氏が40年前に開発し、その貢献に医学ノーベル賞を受けている、極めて安全で効果があり世界中で過去40年間使われている薬であるにもかかわらず、日本政府は未だに、イチャモンをつけて認可しない、という非人道的な態度をつずけている。
「では、安全性を確かめる試験を始めよう。」しかも後進国が大量に毎年使用できるほど廉価。日本の医者にも良心的な患者のために働く人も残っているだろうから、まず感染したならば、下記の記事を持参して、医師を説得せねばならない。政府も医師会も、国民の命を犠牲にして憚らない、という不思議な恐ろしい時代にいる。

予防的に使う。
https://covid19criticalcare.com/wp-content/uploads/2021/03/FLCCC_Alliance-I-MASKplus-Protocol-日本語Japanese.pdf


初期の感染。医師の為の情報。
https://covid19criticalcare.com/wp-content/uploads/2021/06/FLCCC-Alliance-MATHplus-Protocol-日本語-Japanese.pdf

長引いた場合の処方。
https://covid19criticalcare.com/wp-content/uploads/2021/07/FLCCC_Alliance-I-RECOVER-Post-COVID19-Protocol
-日本語-Japanese.pdf
原文https://covid19criticalcare.com
  (在米のKM生)
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 ──暴走老人、西へ単独行。中国全33省を踏破した記録。
第一章 平気で嘘をつき、?を本当にする人々の大地へ
第二章 横行する「やりたい放題」 北京に迫る砂漠、だれも住まないマンション群……
第三章 辺境地、奥地を吹き荒らす中共の嵐
第四章 生命の否定──共産主義の病理を巡る
 中国新幹線を乗りつくせば見えてくる、高速鉄道の景色から描き出す文明論。
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