(8/30)あとで読む・・・。 「中国本土の学生が、米国に殺到…人々は怖くて逃げ出したい。」・・(そして、日本にも殺到しているのでは?🐧💦)
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自然免疫はワクチンよりも「強く長く」作用=イスラエルの新型コロナ・デルタ株研究
米軍のアフガン撤退 人道危機は防ぐことができたはずだ=米軍元大佐
中国本土の学生が米国に殺到 人々は怖くて逃げ出したい
本当に残酷な中国史 大著「資治通鑑」を読み解く (角川SSC新書) eBook : 麻生川 静男: 本
日本軍がやったとされる事は、全て自分達(🇨🇳)がやってきた事
日本軍の残虐行為とされること、例えば妊婦の腹を割くとか、胎児を銃剣で突き刺すとか、実は全部この「資治通鑑」の中の記述にあったとはね。 なぁんだ、自分らがやれること、やったことだから、日本軍もやっただろう、っていう推測で騒いでいるってことですな。 濡れ衣だな。 ( この本が確固たる証拠だな。 🐧💦 )
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転職活動の書類審査をパスする人が「職務経歴書」に必ず書いている"経歴以外"の要素 落とされる人とは発想が真逆
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私は、特定の政党、特定の政治家を支持していません。ある政党が提案している「この政策はいい」「この政策は悪い」というだけです。
たとえば安倍前総理。私は、安倍総理が、中国の「反日統一共同戦線戦略」を「無力化」したことについて、心から感謝しています。
@「反日統一共同戦線戦略」を知らない方は、こちら必見。
↓
https://rpejournal.com/rosianokoe.pdf
また、安倍さんが提唱した「自由で開かれたインド太平洋戦略」。この戦略は、日本、アメリカ、欧州、オーストラリアなどの「共通戦略」になっています。日本の総理が考案した大戦略を欧米豪が採用している。これは、「歴史的できごと」といえるでしょう。しかし、だからといって私が安倍さん「全面支持」かというとそうではありません。
たとえば、2回の消費税引き上げ。これは、まったく必要なかったと思いますし、ずっと反対しつづけてきました。また、政権末期に安倍総理が「親中」に振れすぎたことも大問題だと思っています。習近平を国賓として招待した時は、「終わった」と思いました。というわけで、安倍前総理についても、「いいことも悪いこともあった」と。
では、菅総理はどうなのでしょうか?
▼新型コロナ「無限地獄」から抜け出す方法は「ワクチン」だけ
この件でも、私の立場を書いておきます。私は、いわゆる「ワクチン信者」ではありません。ワクチン嫌いの人が、「短期的副反応は大したことなくても、長期の影響は誰にもわからないのでは?」と主張すること、「そうですよね」と思います。しかし、政府の「マクロ政策」としては、「ワクチンしかない」というのが現状なのです。どういうことでしょうか?
新型コロナ、これまで起こってきたことは、「無限地獄ループ」です。
・新規感染者数が増える→ 緊急事態宣言→ 新規感染者数が減る→ 緊急事態宣言解除→ 新規感染者数が増える→ 緊急事態宣言→ 新規感染者数が減る→ 緊急事態宣言解除→ 新規感染者数が増える→ 緊急事態宣言
このプロセスを、延々とつづけている。何もしなければ、後何年つづくかわからない。そして、緊急事態宣言が出されるたび、経済はボロボロになっていきます。この「無限地獄ループ」を破壊する方法は現状「ワクチンしかない」のです。繰り返しますが、私は「ワクチン信者」ではありません。だから、「高齢者、医療従事者、基礎疾患のある人」以外は、「希望者」に接種する。
アメリカ、フランス、イスラエル、ロシアなどで行われている「強制接種」には反対です。なぜでしょうか?厚生労働省が出している、「新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(速報値)令和3年8月25日時点」
↓
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000823800.pdf
の2ページ目をごらんください。感染者の死亡率。80代は、13.2%となっています。つまり、感染した場合、7.5人に一人は亡くなる。だから私は、「80代は、ワクチンを接種した方がいい」といいます。80代の両親にも勧めました。
70代は、4.6%となっています。感染した場合、22人に1人は亡くなる。私は、70代もワクチンを接種した方がいいと思います。60代は、1.2%です。感染した場合、83人に1人は亡くなる。50代は、0.2%です。
0.2%というと、「インフルエンザ並」といえます。皆さん、インフルエンザの予防接種していますか?50代になると、「個人の自由」といえるかと思います。
40代は、0.1%です。すでに「インフルエンザ以下」です。ここも「個人の自由」でしょう。30代、20代、10代、10歳未満の死亡率は、0%です。
「新しいワクチンだから、長期的影響はよくわからない」ということで、ワクチンが必要なのか疑問です。いずれにしても、死亡率が高いのは、60代以上なので、「このカテゴリーの人たちにワクチンを接種すれば、死亡率は下がる」ことがわかるでしょう。(ちなみにデータは、8月25日時点なので、「デルタ株」の話です。)
▼菅総理が、死亡率を10分の1にした
そして、「ワクチン接種」を積極的に進めているのが菅総理です。たしかに、欧米に比べて出遅れました。しかし今は、「ワクチン一本足打法」と揶揄されるほど、
急速にワクチン接種を進めています。
皆さん、テレビニュースを見ると「菅さんはダメだ!日本は新型コロナで滅びる!」などと考えたくなるでしょう。たしかにテレビを見てたら、そんな気持ちになります。ネガティブな報道がメインだからです。しかし、実際は「いいこと」も起こっています。それは、ワクチン接種が進むにつれ、死亡率が激減していること。
「日刊ゲンダイデジタル」8月17日には、第1~第4波の死亡率が書かれています。
引用します。
<第1波のピークを2020年4月11日とすると、直前1週間の新規陽性者数3047人、入院者数2836人(同53人)、死者数25人で、単純致死率は0.82%。
第2波のピークを20年7月31日とすると、新規陽性者数6333人、入院者数2693人(同19人)、死者数14人で、単純致死率は0.22%。
第3波のピークを21年1月8日とすると、新規陽性者数3万812人、入院者数1万728人(同110人)、死者数397人で、単純致死率は1.29%。
第4波のピークを21年5月8日とすると、新規陽性者数3万4803人、入院者数6196人(同111人)、死者数472人で、単純致死率は1.36%。>
第3波で1.29%、第4波で1.36%。この数字覚えておいてください。では、現状はどうなっているのでしょうか?
<直近の数字だ。8月7~13日(発表ベース=以下同)の国内での新規陽性者数は10万1996人、入院者数は3万4695人(うち重症者数458人)、死者数は118人。単純に計算すると致死率は0.12%となる。>(同上)
どうですか?皆さん、おそらく知らなかったと思いますが、第5波の死亡率は、第3波、第4波比で「10分の1以下」になっているのです!「インフルエンザ以下」です。第3波、第4波と第5波の違いはなんでしょうか?そう、第3波、第4波では、ワクチン接種が全然進んでいなかった。第5波では、ワクチン接種が進んでいる。
なぜ、死亡率が劇的に下がっているのか?FNNプライムオンライン8月20日には、こうあります。
<政府による高齢者(65歳以上)への先行ワクチン接種戦略が一定の効果を上げている可能性もある。新型コロナにより重症化しやすい高齢者層に対してまず
集中的にワクチン接種を実施し、現時点(8月中旬)で、全国の65歳以上の高齢者の85%が既に2回の接種を終えている。これにより、他国と比較して死亡者数が低い水準に抑えられている可能性がある。>
その通りでしょう。死亡率が高いのは、高齢者である。では、高齢者のワクチン接種を進めましょう。高齢者のワクチン接種を進めたら、死亡率が10分の1以下になりました。そういうことです。だから、菅総理の「ワクチン戦略」は、「着実に効果がでている」のです。
既述のように、私は菅総理の信者ではありません。そして、新規感染者数が増えれば、死亡率は低くても、医療崩壊に直面する現実的リスクはあります。ですが、現状の報道は、「あまりにも偏向しすぎている」と思うので、皆さんに「明るい事実」をお伝えしました。 (北野幸伯)
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「週刊正論」令和3年8月30日号
【自民総裁候補は「国家観」を語れ】
自民党総裁選は9月17日告示、29日投開票が決まりました。これに関しシンクタンク国家基本問題研究所の「今週の直言」に掲載された月刊正論発行人有元隆志の論考です。
◇
自民党総裁選で候補者たちに問いたいことがある。それは日本を取り巻く現状をどのように分析し、日本をいかなる方向に導いていこうとしているのかということだ。
野党第一党の立憲民主党は日本を壊滅の危機に陥れた旧民主党政権の残党が中心メンバーであり、政権担当能力はない。次期自民党総裁には日本の首相として舵取りが託される。候補者たちは果たして今の日本が危急存亡の時にあるということをどこまで深刻に受け止めているかを質したい。
専制国家・中国は民主主義諸国と全く異なる価値観を掲げ、世界の覇権を目指した動きを強めている。尖閣諸島は日本固有の領土であるにもかかわらず、連日のように中国公船が周辺海域に侵入し、日本は実効支配を失う寸前となっている。
アフガニスタンはイスラム原理主義勢力タリバンの復権で再びテロの温床となりかねない。ロシア首相は 7 月に日本の北方領土にわが物顔で上陸した。
菅義偉首相は 4 月の日米首脳会談で、「台湾海峡の平和と安定の重要性」を明記した共同声明を発出し、日本が「自らの防衛力を強化すると決意した」と同声明に書き込んだ。ついに日本が「ルビコン川を渡った」と、私たちはその決断を高く評価した。ところが、帰国後の菅首相を見ると、本人には「渡った」との自覚がないのではないかと疑ってしまう。
中国当局による新疆ウイグル自治区などでの深刻な人権弾圧に対する国会の対中非難決議採択は見送られた。防衛力強化に向け菅首相がイニシアチブを発揮した形跡も今のところない。各候補は中国にどう対峙していくかの立場を明確にすべきだ。
国内では、今年に入って何度も緊急事態宣言や宣言に準じる「蔓延防止等重点措置」が発せられ、経済活動が著しく制限されている。感染拡大を阻止し、医療態勢の崩壊を防ぐのは当然としても、ワクチン接種が進んだ後の新型コロナウイルスとの「共生社会」をどのように描いているのか。
菅首相は「脱炭素」の号令ばかりで、小泉進次郎環境相が言及するように太陽光発電の設置義務化を実施すれば日本経済は弱体化する。このような状況に直面しても、我々は戦後 70 年以上続いた「平時」の感覚から抜け出せないでいる。ただ、今は危機であると同時に、日本を変革する絶好の機会でもある。この好機を捉えずに日本の再生はない。
以上を踏まえ、各候補には個別のテーマとして、㈰憲法改正の実現㈪拉致事件の解決㈫安定的な皇統の継承、特に旧宮家男系男子の皇籍復帰㈬防衛力の強化、特に大幅な防衛費増と共に、敵基地攻撃能力の保持㈭製造業強化などによる日本経済の再生㈮原発の長期運転、新増設などエネルギーの安定供給㈯日本学術会議の廃止㉀慰安婦問題など歴史認識—に関してどのように取り組むかの見解を聞きたい。国家は強くなければならない。強くするための処方箋を提示する候補を支持したい。
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From: 岡崎 匡史
第二次世界対戦の戦勝国アメリカは、1945年9月2日をVictory over Japan Day、略して「V-J Day」(対日戦勝記念日)と呼ぶ。
V-J Dayは、「アメリカ人が真珠湾攻撃を受けた屈辱と日本に対する復讐と懲罰の日として常に記憶に留めておくべき」という意味であった。
日本では1945年8月15日を終戦と捉えがちだ。しかし連合国は、日本が降伏文書に調印した1945年9月2日に世界大戦が終わったと見なしている。
ミズーリ号
1945(昭和20)年9月2日午前9時4分、日本帝国は、東京湾に停泊する巨大戦艦ミズーリ号(USS Missouri)艦上にて日本首席全権大使・重光葵(しげみつ まもる・1887〜1957年)が「降伏文書」に調印。
重光葵は、何千何百人という連合国将兵の厳しい視線を感じながら、大役をこなした。足が不自由で杖をついて歩く老いた彼の姿は、敗戦日本を象徴していた。
重光に続いて、最後まで徹底抗戦を主張していた参謀総長の梅津美治郎(うめづ よしじろう・1882〜1949年)が調印。梅津は大本営陸海軍部を代表することよりも「腹を切ったほうがよい」と拒み続けていたので、この任務を遂行させるために昭和天皇が直々に説得したほどだった。 当時の指導者層は、「降伏文書の調印に当ることは、公人としては破滅を意味し、軍人としては自殺を意味する」と考えていたからだ。
トルーマン vs. マッカーサー
日本側の2人が調印した後、マッカーサー元帥が連合国軍最高司令部を代表して署名。アメリカ合衆国を代表してサインをしたのは、かつての戦艦ミズーリ号艦長、アメリカ太平洋艦隊司令長官チェスター・W・ニミッツ提督。続いて、中国、イギリス、ソ連、オーストリア、カナダ、フランス、オランダ、ニュージーランドの順で署名をした。
すべての調印が終ったあと、マッカーサーは、「いまや世界に平和がよみがえり、神が永久にそれを守ることを諸君とともに祈りたい。式を終了する」と宣言。綿密に計算された勝利のドラマは、B29型機400機、艦載機1500機の大編隊がミズーリ号の上空を大音響とともに飛行して幕引きとなった。
しかし、アメリカ国民は、ミズーリ号でのマッカーサーの演説を聞くことができなかった。なぜなら、同時刻、トルーマン大統領がアメリカ国民に向かって「ラジオ演説」をしたからである。
トルーマンは、この大戦での「勝利は文明世界の生存を保障する」ものであると述べ、1945年9月2日を「V-J Day」(対日戦勝記念日)と命名しマッカーサーを牽制した。トルーマンは大統領として威厳を保ちたかった。
ー岡崎 匡史
PS. 以下の文献を参考にしました。
・U.S. Department of State. 2004. Occupation of Japan: Policy and Progress. Honolulu: University Press of the Pacific.
・加瀬俊一『加瀬俊一回想録 下巻』(山手書房、1986年)
・重光葵『昭和の動乱』(中公文庫、2001年)
・ マッカーサー『マッカーサー回想記』(朝日新聞社、1964年)
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「日台与党版2+2(外務・防衛担当者協議)」の会談内容と台湾PT提言
8月27日、自民党からの呼び掛けにより、日台の与党である自民党と民進党にとって初の取り組みとなる会談「日台与党版2+2(外務・防衛担当者協議)」がオンラインで開催されました。
日本側の出席者は、自民党外交部会長で「台湾政策検討プロジェクトチーム(台湾PT」座長でもある元外務副大臣の佐藤正久・参議院議員と。安倍内閣で財務副大臣や内閣府副大臣をつとめた国防部会長の大塚拓・衆議院議員。 台湾側は、
民進党本部国際部主任で安全保障問題にも造詣が深い羅致政(ら・ちせい)立法委員と立法院の外交・国防委員会委員を長期にわたり務めてきた蔡適応(さいてきおう)立法委員でした。
会談は約1時間半行われ、NHKは「会談では、覇権主義的な行動を強める中国をけん制するため、日本政府や台湾当局に対し、海難救助の共同訓練など安全保障分野で共通の政策を策定するよう働きかけることで一致しました」と報じていま
す。
また産経新聞は「会談では、日台の海上保安機関などによる海難救助協力や、世界保健機関(WHO)といった国際機関への台湾の参加を促進していく方針で一致。台湾と国交がある国に断交を迫るなど、中国の外交圧力に連携して対処すると申し合わせた」と伝えています。
朝日新聞は「日台の議員は、世界保健機関(WHO)など国際機関への台湾の参加促進のほか、台湾と外交関係がある国に断交を迫るといった中国の外交圧力に連携して対処していく方針で一致した。……参加した民進党の蔡適応立法委員は会見で、日本側が日米台での海上警備について合同訓練をすべきだとの認識を示したと紹介。『台湾は(3月に)米国と海上警備について覚書を結んでいる。日本とも協力を強化すべきだ』と語った」と伝えていました。
主な日本メディア3紙を紹介しましたが、どうも輪郭がはっきりしない印象が残ります。しかし、台湾メディアはより具体的に報道しています。
例えば中央通信社は「会談後の記者会見で羅氏は、台湾積体電路製造(TSMC)を含む半導体産業の協力を政府が後押しするかが会談の焦点になったと説明。また、日本側からは環太平洋経済連携協定(TPP)への台湾の参加を全力で支持、支
援する意向が示されたと明らかにした。米日台の協力の今後の方向性や、第三国における台湾と日本の具体的な協力の方法についても話し合った」と報道しています。
台湾国際放送も「国防の議題は今回の会談の焦点の1つ。双方は軍事交流についても意見交換しました。……日本、台湾、アメリカの間の海上保安の連携強化についても意見が交わされました。詳細は、日本の海上保安庁に相当する海岸巡防署
と話し合うということです」と、日米台の海上保安の連携強化について、具体的に日本の海上保安庁と台湾の海岸巡防署が話し合うことを報じています。
実は、佐藤正久議員が座長をつとめる台湾政策検討プロジェクトチームは6月1日、第一次提言を発表しており、提言は多岐にわたっていますが、すでにこの提言で「海難救助という観点から、情報連絡体制を構築しておくとともに、共同訓練
などを通じて人的交流を促進し連携強化を図るべき」と述べています。
また、会談で焦点になったというTSMCを含む半導体産業の協力を政府が後押しするかについても、この提言では「TSMCはじめ台湾企業が共同でサプライチェーンを構築できる環境を整えるべき」と述べていました。
そもそも日台の与党同士による安全保障会談は佐藤正久・台湾政策検討プロジェクトチーム座長から発議された提案であり、自民党政務調査会で了承され、菅義偉総理に手渡されたその第一次提言に基づいて対談内容が構成され、それを台湾側
と意見を交換することで具体的な計画を一歩進めたのではないかと思われます。
事実、佐藤議員はフィナンシャルタイムズのインタビューに、会談内容の一部について、台湾との関係強化のため海上での自然災害及び事故に対する合同救助訓練を要請する計画だと明らかにしていました。
下記に台湾政策検討プロジェクトチームの「第一次提言」をご紹介するとともに、台湾国際放送の記事をご紹介します。
◆外交部会 台湾政策検討プロジェクトチーム 第一次提言[6月3日]
https://www.jimin.jp/news/policy/201712.html
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台日与党初の安保対話、海上保安連携強化で一致
【台湾国際放送:2021年8月27日】
https://jp.rti.org.tw/news/view/id/94021
台湾の与党・民進党と日本の自由民主党が27日、オンライン会談「外交・防衛政策意見交流会」を行いました。民進党からは羅致政・立法委員と蔡適応・立法委員が出席。自民党からは外交部会長の佐藤正久参院議員と国防部会長の大塚拓衆院議員が出席しました。
台湾と日本との軍事面と安全保障面での連携に注目が集まっています。蔡適応・立法委員によりますと、国防の議題は今回の会談の焦点の1つ。双方は軍事交流についても意見交換しました。それらの意見は台湾と日本の国防と防衛機関に参考
として提供します。佐藤正久議員が主張していた、日本、台湾、アメリカの間の海上保安の連携強化についても意見が交わされました。詳細は、日本の海上保安庁に相当する海岸巡防署と話し合うということです。
蔡適応・立法委員は、「海上保安について、台湾と日本は共通認識を持っていると信じている。台湾と日本の周辺の海域はつながっているから、海難救助、海上演習、人道的な救援活動の演習などは必要と思う」と話しました。
羅致政・立法委員によりますと、台湾と日本は経済面における協力関係の推進に合意しています。台湾の半導体産業の日本への投資がその1つです。日本は台湾による「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への参加に協力することを承諾し、台湾のCPTPP加盟は、環太平洋地域と台日関係にとって重要な目標であるとの見方を示しました。
(編集:曾輿?/王淑卿)
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◆竹田恒泰『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』を読み解く
・日本のポップカルチャーの先駆者は「浮世絵」。
「クール・ジャパン」は日本のポップカルチャーから始まった。
・漫画・アニメは世界に向かって開かれた日本文化の入り口。
子供時代に接する文学や映像が、人格形成に決定的な影響を及ぼすことに疑いの余地はない。日本の漫画・アニメが世界の子供たちに与える影響の大きさは、想像を絶するものがある。
・東京は世界一の美食都市。
ミシュランガイド東京版で最も衝撃を受けたのは、欧州だった。
星付きの店の数は、東京版(2008年度)が150軒で、パリの74軒の2倍だったからだ。総星数でも東京が他を圧倒したからだ。
・食前感謝と食後感謝は、人が人として生きる上で、大自然、食材、生産者、料理人などに感謝する美しい日本人の作法である。
・世界中の旅券の中で、日本旅券(パスポート)が最も高い値段で売れるというのだ。(もちろん違法)
日本旅券は、ビザなしで入国できる国の数がいちばん多く、またビザを最も簡単に取得できることがその理由らしい。
日本旅券の所持者は世界の国々から歓迎され、また信頼されている。
・軍艦沈没で育まれたトルコとの友好は有名。
和歌山県沖で沈没したオスマントルコ軍艦「エルトゥールル号」の遭難事件は、トルコの教科書に必ず紹介される。
1890年、トルコの使節団は、宮中で歓待を受け、明治天皇にオスマントルコ皇帝からの親書と勲章を献上した後、本国を目指した。
紀伊熊野灘に差しかかったエルトゥールル号は、台風の中心に入り込み、座礁、沈没した。
生還したのは69名のみで、特使の提督をはじめ約500名の命が失われた。
遭難を知った地元住民は、夜を徹して生存者の救助と手当てに尽力。多くの村民たちが生存者を看病した。
紀伊大島は貧しい島で、島民は食べるものにも困る状況だったが、非常食として飼っていたニワトリなどの食料を遭難者たちに分け与えた。
その後、軍艦2隻をオスマントルコに派遣し、生存者たちを母国に送還した。
遭難事件から95年後、イラン・イラク戦争の最中、各国は軍用機や民間機チャーター便を派遣してイランに駐在する自国民の保護に努めた。
日本は自衛隊を海外派遣できない上、日航に救援機の派遣を求めるも同社の組合が反対したため、日本人を保護できない事態に陥った。
イラン駐在の野村豊大使は、在イラン・トルコ大使のビルセル氏に相談したところ、トルコが救援機を派遣して救出してくれることになった。
トルコ大使は「トルコ人なら誰でもエルトゥールル号遭難事件の際に受けた恩義を知っています。ご恩返しをさせていただきましょう」
と語ったという。
そして、トルコ航空の2機がテヘランに派遣され、215人の日本人は全員救出された。救援機の派遣を決めたトルコのオザル首相(当時)は、他国民を助けるために、自国民を危険にさらす決断をしたのだ。
※コメント
たしかに世界を歩くと、日本人の評判は良い。
それをうまくビジネスに繋げていけば、一石二鳥だ。
ただ、約束した時間通りに打ち合わせに行くだけで、「ああ、やっぱり日本人は素晴らしい」と言われる。
どんどん海外に進出したい。
★竹田恒泰
『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』
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◆篠原匡『神山プロジェクト:未来の働き方を実験する』を読み解く
・少子高齢化の田舎に企業が来た。
・鮎喰川の畔に広がる人口6,100人ほどの町、神山。
徳島市内から40分の距離だが、平地が少なく、
急峻な斜面にへばりつくような集落が点在している。
・かつては林業で一時代を築いたが、
木材価格の低迷とともに人口は減少の一途をたどる。
高齢化率も46%と、少子化と高齢化に悩む苦しむ中山間の典型のような地域だ。
・ところが、神山はITベンチャーの「移転ラッシュ」に沸いている。
名刺管理サービスを提供しているSansanが、
2010年にサテライトオフィス「神山ラボ」を開設したのを皮切りに、
9社のベンチャー企業が古民家を借りた。
・移住者の増加にともなって、店舗や施設のオープンも相次いでいる。
ここ数年を見ても、パン屋やカフェ、歯医者、パスタ屋、お好み焼き屋、
ビストロ、図書館などが神山Mapに登場した。
・アーティストやクリエイターなどクリエイティブな人材の移住も加速しており、
まさに新しく町が生まれ変わっている印象だ。
・若者の流出や高齢化に伴って、日本の山間僻地では過疎化が進んでいる。
「出口なし」といった状況だ。その中で、神山は異彩を放つ。
・エンジニアやクリエイターがここに押し寄せる。それはなぜか。
神山に固有な理由はいくつかある。例えば、抜群のIT環境だ。
・その街並みからは想像できないが、神山は全国でも屈指の通信インフラを誇る。
徳島県知事の飯泉が情報化に熱心だったこともあり、
2000年代半ば以降、徳島県は県内全域に光ファイバー網を整備した。
・企業や移住者は、IT環境だけではなく、神山という「場」が醸し出す雰囲気に引かれたようだ。
その雰囲気の中心にいるのは、神山に本拠を置くグリーンバレーだ。
・日本の田舎をステキに変える。
グリーンバレーは、移住者支援や空き家再生、アーティストの滞在支援などを手がけるNPO法人だ。主な活動は、上記に加え、人材育成、道路清掃など。
・彼らのミッションは、「日本の田舎をステキに変える」。
そのミッションを体現している存在といっても過言ではない。
・この本では、グリーンバレーの道程をひもとく。
「奇跡の町」とささやかれる今の神山をいかに築き上げたのか。
そのプロセスは多くの示唆を与えるに違いない。
・新しい発想やプロジェクトは異なる価値観やスキルを持つ人同士の対話を通じて、生まれるものだ。
そのために必要なことは、クリエイティブな人材が集まる場を作ること。
その場を作り出してさえいれば、あとは自然発生的に何かが生まれる。
・ある意思を持った人が5人いれば町は変わる。
・日本の地方は人口流出と高齢化にあえいでいる。
全体の人口減少と都市化の波を考えれば、その中の多くは限界集落と化していくだろう。それを押しとどめるものがあるとすれば、それは道路でもなく美術館でもなく、クリエイティブな人間の集積以外にない。人が集まる場をつくる。
それこそが、生き残りの解だ。
※コメント
シンプルなことであるが、本質を突いている一冊だ。
地方のあり方について、実践とインスピレーションを与えてくれる。
ビジネスについて新しい何かを発想できそうだ。
★篠原匡
『神山プロジェクト:未来の働き方を実験する』
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下記は、藤井厳喜氏の講演録文字起こしより一部抜粋です。今では、このような話を知っている人が結構増えてきているのではないでしょうか。テレビしか見てないとか、学校の教科書しか勉強してない人は、まだ聞いた事もないのかも?
この講演録を読んで、目からウロコだったのが、キリスト教が日本で広まらない理由です。前から何でだろう〜?と不思議に思っていたので、藤井厳喜氏の指摘するそのワケを知って、なるほどね〜と思いました。
あと、蒋介石の妻が、スゴイやり手BABA〜だったのは知ってたけど、改めてオソロシイ存在だと思います。日本人は蒋介石とかを勘違いしている人がほとんどかも?ましてや、蒋介石のツマが、蒋介石も真っ青なくらい、凄腕のヤリ手BABA〜!だったことなんて、絶対に学校では教えないし、マスゴミにとっては㊙️絶対に触れてはイケナイ真実なのでしょう。
蒋介石のツマ=BABA〜がいなかったら、日本人の犠牲者はもっともっと少なかった事は確かだと思います。蒋介石〜毛沢東〜共々、蒋介石のBABA〜も地獄の最・最・最深部に、これからも(永遠に)閉じ込められることでしょう。
・・・
裏切られた自由
今日の話はフーヴァーさんという、フランクリン・ルーズベルトの前の第31代アメリカ大統領が、この人は何冊も、20冊くらい本を書いていたと思いますが、辞めた後にも、あるいはもう大統領になる前にも本を書いてるのですよ。歴史家でしてね、大変にいろんな本を残した。そして、最後に大著を残したのですね。
それが『フリーダム・ベトレイド』という「裏切られた自由」というタイトルの本でありまして、これがしかし、原著でなんと50年近く出版されなかったということなんです。
これなんで出なかったかということが一大事件でありまして、なんで出なかったのかというと本当の事が書いてあるから出なかったということですね。知られてしまうとまずいということであります。
しかし、そういうものをもう出す時期になったんでしょう、いろんな意味で。ということで2011年に、この本が彼が残したフーヴァー研究所で出版されたということです。
我々の仲間というと恐縮でありますけれども、私にとっては先輩にあたるわけですが、稲村公望さんがこの本を見つけてきて、「フジイさん、これ、えらいこと書いてあるぞ」と。「大体、我々の歴史観と同じだ」と。
これをどうにかして世に出したいということで、我々はあちこちの出版社なんかにもお願いしてですね、これ、なんとか翻訳本が出ないかと。我々私どもも、この茂木さんもですね、早速原著を買って読んでみたと。確かにこれは翻訳に値するだろうと。
これは面白い本でして、彼の回顧録プラス兼、歴史研究書というような体裁の本です。だから回顧録ではないのです。俺はああやった、こうやったという話ではなくて、第二次大戦って何だったんだと、ならびに第二次大戦論です。同時に、共産主義論でもある。
フーヴァーというのは大変なアンチコミュニストであって、コミュニズムというのはとにかくアメリカだけじゃない、世界を蝕んばんでいる大変な害悪だと、これと戦わなきゃいけないという、たいへん使命感のあった方であります。
今もフーヴァー研究所はそういうスタンスなのですけれども、それでそのコミュニズムの害悪といかに戦うか、あるいは逆に言うとアメリカがルーズベルト時代にいかに、このコミュニズムに侵略されていたのか、ということを非常に事細かに書いてある本でもあります。
タイトルがフリーダムベトレイドというのは、フリーダムというのはアメリカ人が、そしてこのフーヴァーが最も大事だとしている価値です。自由ということがいかに裏切られてきたかということは、いかにアメリカが共産主義によって侵食されていたかと。
そして、ルーズベルト時代というのは、いかにアメリカが本道から外れて、ひどい国家になっていたかということが、この裏切られた自由というタイトルの中に、非常に良くその意味が込められているというわけであります。
ルーズベルト神話の崩壊と日本の悲しい現状
そしてそれがですね、彼が1964年、ですから東京オリンピックの年です。東京オリンピックの直後に、たしか11月に死んでおるわけですけれども、彼が最後に残して、遺族にこの著書を全部執筆は終わって残していったのですが、これを世の中に出すと大変なことになっちゃうぞと。
いわゆる一般に言われている、アメリカ人が一般的に信じている、第二次世界大戦論ということを、真っ向から否定していると。こうすると、恐らく遺族の人からすると、フーヴァーの名前も非常に汚すことになるんじゃないかと、評判が悪くなっちゃうじゃないかということを恐れたんじゃないかと思います。
いまだに、このフランクリン・ルーズベルト神話というのは、生きとるわけであります。アメリカでは今日でも、このルーズベルト史観と言いますか、そういったものが主流であるということは残念ながら事実であります。
要するに、第二次世界大戦中っていうのは、ファシズム、軍国主義とデモクラシーの戦いであったんだと言って、アメリカがチャンピオンで、日本の軍国主義、ドイツのナチズム、イタリアのファシズムをやっつけたのが、正しい全く正義の戦いであったのだという歴史観が、今日も主流を占めているということです。
それに真っ向から、このフーヴァーは挑戦状をたたきつけていると。全くそういうものじゃないということで、第二次世界大戦なんていうのは、ある意味で戦う必要がなかった、非常にアメリカにとっても悲惨な戦争であったのだと、そういうことです。
恐らく遺族の方たちがですね、それを非常に警戒されたのでしょうね。それということもあって、世に出なかったということだと思います。
今日頂いた質問の中に、例えば稲村公望さんが、この本の経緯にかかわることですが、総理官邸や外務省なんかに、この本の翻訳を進言して回ったが反応がなかったということです。
日本で稲村さんは、僕なんかと違って偉い人をいっぱい知ってるわけで、こういうのはぜひ日本人全員が読むべきですが、一方で政治の要路にあると言いますか、外交なんかをやってる人たちが、みんな常識としてある程度知っておくべきことであります。
だけど、そういうことで歩いて回ったけれど、全然反応がない、これ反応ないんですよ。そういうことに、興味がない。残念ながら、官邸にも、そういうレベルの人が居ないということでしょうね。それが悲しいかな、今の現実でございます。
宣戦布告なき戦争
このフーヴァーの本(『日米戦争を起こしたのは誰か』)自身についての話をいたしますと、これを読んでくれば分かるよと言ってしまえばそれまでなんですが、非常にフーヴァーというのは単純率直な人で、歯に衣着せず書いておりまして、私も読んで非常に驚きました。
正直言って、「ここまで率直に、こう書いておるか」ということなんですね。この本の初めのほうに、一番おいしいところと言いますか、日本人にとってぜひ読んでほしいと思うあたりを書いておいたわけであります。
これは、英語の原文も載っかっております。それで、本当はフーヴァーのほうが、第二次大戦論とかそのコミュニズム論とかが、結局やっぱり第二次大戦って、ヨーロッパが大きな戦いですから、ヨーロッパの戦争に関する部分が非常に長い。
日本に関する部分が、決してメインではありません。しかし、日本に関して、日本人が知っていたらいいなという部分を抜き出して、論じたのがこの本ということになります。
この冒頭に線を引いたところをちょっと読ませていただきますと、1941年ですね、昭和16年7月のアメリカ、日本に出した経済制裁、日本ではよくABCD包囲網なんて言い方をしておりますが、当時はそういう言い方はなかったわけですけれども、後年そう言われるもの。
特にアメリカが経済制裁して、石油の禁輸なんかをやりました。これは日本に対する宣戦布告なき戦争であったと、この時点で戦争をルーズベルトは、開始していたと言っていいんだ、ということを言っております。
それから、アメリカを戦争へ誘導していったのは他ならぬルーズベルト大統領その人であったと。それは、これまで明らかにされた冷静な歴史の光に照らしながら、1938年、昭和13年ですね、から1941年の期間を客観的に観察すればおのずと明らかであると、はっきり言っております。
要するに、ルーズベルトは日本を戦争に導いていったと、日本はそれに乗せられてしまったということです。
米英中ソの蜜月
これはなぜかというと、当時の状況を考えますと、アメリカはまだ参戦してない状況であります。1939年(昭和14年)の9月から、ドイツがポーランドに入ったところから第2次世界大戦が始まったということになっておりますが、その後ですね。この時点では日本もアメリカも戦争はしてないわけです。
ところが、もうソ連がドイツに責められて、どんどんどんどん押し込まれてくると。イギリスも圧迫を受けていると。
それからもう1つ大事なのは蒋介石ですね。これが支那大陸で、日本軍にどんどんどんどん追いやられてしまうと。それで重慶に籠って、アメリカの武将たちに頼ってなんとなく、なんとか生きながらえておる。
イギリスも、これはチャーチルですね、それから蒋介石、中華民国ですね。「ソ連のスターリンもみんなとにかく早くアメリカに参戦してくれ」と。
アメリカという世界最大の工業国が、この兵器庫がフルに回転して、アメリカが兵隊さんを送ってくれなければ、我々各国撃破さちゃうよというところに来ていたと。
ですからみんなルーズベルト政権に対して「とにかく早く第二次大戦に参加してくれ」ということを一生懸命一生懸命働きかけてたということです。
これにはもう色んな、それはそれでまた別に本が何冊も出ているぐらいでありますけれども、そういう工作がなされておったと。もともとこれはみんな3人ともルーズベルトにとっては近いわけですよね、彼はソ連が大好きですから、スターリンはアンクルヨシフですからね。お仲間なのです。彼が国内でどんな残酷なことをやっているかなんてことは関係ないわけです。
当時でいうとニューディール政策ですが、そういう社会主義への思考が強いルーズベルトの経済政策とですね、ソ連の経済というのは間にあまり大きな差というものをルーズベルトは見てないわけです。そういう形で非常にスターリンにも親しみを持っているというわけです。
それからチャーチルとも仲が良くて、チャーチルも早くやってもらわないと、アメリカに参戦してもらわないと、これはやり切れないということですね。
チャーチルとは1940年の大西洋憲章のあたりで、「戦争をやる」ということを明らかに話合っていたということはわかってるわけですけれども、それからとにかくルーズベルト政権を頼りにしているのは、中華民国の蒋介石。
これはとにかくもうこのままじゃ日本にやられちゃうということで、アメリカに早く参戦してもらわないと大変なことになると言って、奥さんの宋美麗をアメリカに送り込んで、それでもって浙江財閥の金をたっぷりあちこちに配ってですね、それから、お金だけではありませんけれども、アメリカから市内に来ていたキリスト教の宣教師。
この人達がみんなアメリカに良いコネクションがありますから、この人達を全部煽って、とにかく日本というのは悪者であると、これにやられているチャイナは可哀想な犠牲者であると、そういうパースペクティブをアメリカ中で宣伝をどんどんさせるということ。
宣教師のこのチャイナに対する思い入れというのは19世紀からずっとあるわけでありまして、ちっとも本当のキリスト教というの増えないのですけれども、それでもずーっと人を送り続ける。そしてお金を使い続ける。未だにどうにもなっておりませんけれども。
こういう事をアメリカは非常に熱心にやっておった。日本に来てもですね、日本ではクリスチャンは増えないのですね。なぜかというと、日本人はキリスト教、別にいらないのです。日本人はちゃんと道徳心もあるし、倫理もあって文化、伝統もしっかりしておりますから、要するに、ちゃんと暮らしていけるわけです。
キリスト教宣教師から見た日本と中国
日本はそんな貧しくもないし、それで自立自尊でやっとるから、今更キリスト教にならないでもいいなという人が大部分です。
明治維新の後に幕臣なんかで、戌辰戦争で負けた側にですね、結構クリスチャンになる人が出るわけですけれども、要するに薩長閥と一緒にやっていけないと、かといって、やっぱり近代化というのはしょうがないということになって、明治国家そのものに自分はアイデンティファイ出来ない人間がキリスト教の方に行くという流れがあります。
それがキリスト教社会主義みたいなもので社会主義の初期の日本の流入にも関係してくるわけであります。
それはそれとして、日本ではもう1%以上大体、カトリックもプロテスタントもキリスト教徒達が増えないのですね。
だからアメリカの宣教師というのは、非常に使命感に燃えておりまして、真面目でちゃんとした生活している人を見ても燃えないのです。
もう本当に貧しくてだらしなくてですね、神の救いを求めている人達がいると燃えちゃうというのがアメリカの宣教師で、殺されても殺されても支那の奥地に行ったりなんかして、一生懸命やる。これはよくわかりませんけれども、大変、だからこそ燃えておるわけであります。
ミッションといいますかね。ミッションと言いますけど、使命感に燃えても日本はですね、日本人はきちんと暮らしているのでキリスト教になる人も少数おるけれどもあまりなってくれない。
ということで日本に来ても面白くないということで、どんどん向こうに行くわけであります。
私の記憶が正しいと1990年代だと思うのですが、バチカンが日本を重点布教地区から外したんです。これはザビエルがどうも来てからずっと重点布教地区だったらしいのです。
だけど、なんかもう400何十年ぶりですか、布教やるのは止めたという、いくらやっても無駄だ日本は、ということだったらしいです。
そういうことで、日本でキリスト教の宣教師に来た人とか、特に息子とか娘っていうのは日本が嫌いになるっていうのは多いらしいね。というのは、「お父さんが一生懸命やってるのに、ちっとも信者が増えない」ということなんだね。
向こうのチャイナなんか行くとですね、形の上では増えるわけです。みんな食えないですから教会に行ったら飯食わしてもらうっていうだけでも人が来る。ところがね、ミッショナリーの宣教師達の影響力というのは、これといった大きな名前はないですが、非常に大事ですね。
アメリカのグッドクリスチャンというような人が、特に地方に多いですから、その人達が宣教師達のああゆう「日本人達は悪いやつだ」とか「中国人が可哀相」っていう話をどんどんどんどんやると、それはお金の問題じゃなくて非常にベーシックにですね、アメリカ社会に広がっていった。まあそれも事実であります。
ルーズベルト大統領とチャイナ・マネー
そういう上に乗っかってですね、宋美麗なんかが金をばらまきます。大いに向こうに寄っていって、取り込むと。チャイナが取り込んでいくということをやりますと、そのパブリックディプロマシーといいますか、そういった点でも日本は非常に分がよろしくないことになってくるわけです。
それでルーズベルトの家系というのは、ルーズベルトがフランクリン・デラノ・ルーズベルトというのですが、お母さんの家系がデラノ家、これはですね、もともと19世紀からチャイナ貿易で大変財を成したファミリーであると言われています。
このデラノ家のお爺さんの財産を相続したので、フランクリン・ルーズベルトは大変な大金持ちであったと言われておりますけれども、これはチャイナ貿易で財をなして、どうしてもチャイナびいき、支那びいきであると。それでもって彼の家なんか、大変古い支那の美術品なんかがいっぱいあったそうであります。
そしてクーリー(支那人労働者)をですね、いっぱい労働者を連れてきて、アメリカに連れてきて、有名なのはアメリカ横断鉄道ですね、それを作るときに使い捨てみたいにクーリーを奴隷同然に労働させてやって、そのクーリーの輸入というのをこのデラノさんはやっていたらしいです。
噂によるとついでにアヘンもやっていたっていうのですけどね。これは当然であって、というのはクーリー連れてくるとみんな労働が辛いですから、それでアヘンを飲みたがるというので、それを連れて来て売っぱらって儲けて、それでまたアヘンを売って儲けると。今これは支那人がやっていることですが、支那大陸でそんなこともあったのではないかと言われております。
アメリカ世論とルーズベルトの本音
とにかくルーズベルトさんは大変な支那びいきであったと。そうすると、スターリンの方から来る、これは1つのイデオロギー的なですね、なんていうか親近性もあるわけですけど、これとあとは血筋的なイギリスとの一体感、チャーチルなんかからの働きかけと、それから、チャイナからくる宣教師なんかを通じたもの。
それから蒋介石。蒋介石自身も俺もクリスチャンだと。非常に形式的ですけどね。ということを言って、クリスチャンであるその蒋介石や中国人がいじめられてるんだという形で、日本悪者にする。
で、蒋介石のほうからとにかく早くアメリカ参戦してくれというのがくる。だから三人というか、三方からきているわけですよ。ルーズベルトのところにね。早く参戦したい。彼は1940年の大統領選挙で第三選の時に、もう十分参戦ですね、三選目に参戦の腹は固めていたわけですが、それはおくびにも出せないということで。
というのは、当時アメリカは8割ぐらいの人はヨーロッパで始まった戦争に、これはアメリカが参戦するべきでないと。というのは非常に核心的な中立論者だったわけです。
有名なのはリンドバーグなんかが中立運動やっておると。これはドイツ系の人だけじゃなくて、中西部に広く住んでおる北欧系の人たちなんかも、やっぱりドイツとあまり近いので戦争したくないと。
そういう人たちが大変力があったわけでありまして、第一次世界大戦ではアメリカは途中から参戦したんだけど、このヨーロッパで始まった戦争にアメリカは巻き込まれないほうがいいと、アメリカンボーイズがヨーロッパの戦争で死ぬ理由はないんだということ。これは非常に圧倒的な数を占めていたわけであります。
これが「アメリカ第一委員会」ことアメリカファースト・コミッティと言って、アメリカを第一に考えようということ。アジアの事もいろいろあるでしょう、ヨーロッパの事もあるけど、アメリカはアメリカだといういい意味の中立主義、孤立主義の運動が大変に力があったわけです。
アメリカが開戦に踏み切った訳
そういうこともあって、ルーズベルトは簡単には戦争は始められないと。で、一生懸命初めはドイツを挑発しようとするんですが、ヒトラーも頭がいいですから、なかなかそれに乗ってこない。
これは三国同盟を悪用して、まぁ、逆用してって言いますか、そして、何とか早く日本に一発目を打たせて、これで第ニ次大戦にアメリカがなだれ込むとそういう作戦を立てて。結果から言うと、これがものの見事に成功してしまうということになるわけです。
国内的にも、大不況から始まった経済は一向によくなっておりませんで、それこそルーズベルトもいろんな手を打つんですけれども、これはなかなか経済浮上しない。で、そういった問題をですね、一挙に戦争政策で解決してしまうという内政的な意味も含めて、彼は早くからもう戦争をやる覚悟です。
1940年の大統領選挙では絶対にアメリカはヨーロッパの戦争に参戦いたしませんと。Never, Never, Neverと言って3回言ってですね、絶対に参戦しないと。ですからアメリカのお母さんたち安心してくれと。あなたがたの子供をヨーロッパの戦争に送ることは絶対ありませんと言って堂々としらを切って嘘ついたルーズベルトです。
これ、その時はもうやる気です、ということなんですね。ですからルーズベルトが戦争を始めるには、内政的な理由もあったし、特にソ連・イギリス・中華民国からとにかく助けて早く開始してくれと、戦争を。アメリカ参戦してくれと大変強力な働きかけがあったということ。こういったことがもちろん前提であります。
( 続きは、藤井厳喜氏の本をお読みください )
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下記は8月27日の「あとで読む…」に転載した、ゴーンがらみの情報です。フランスという国の怪しさが良くわかります。たぶん、フランス国民の大部分も、自国がこんな国とは知らない人が多いかもしれません…。欧米は、実に、この手の国が多いですね。やったもの勝ち?勝つ為にはどんな汚い手を使っても、何をやってもOKなのでしょう。自国の利益の為には何でもありの欧米的思考はオソロシイ…
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「ゴ ーン逃亡劇の裏側。レバノンを利用した第三国の秘密工作」
〜まず今回カルロス・ゴーン氏の逃亡劇の背景というのをざっと洗ってみまして、 そこにレバノン情報機関が関与しているということ、それからその背後にちらちらとフラ ンス政府の影が見えるということです。 フランスのこういった旧植民地に対するフランスの影響力とか、それから実はこの脱出に フランスの大物政治家が関与したのではないかという動きがあるのです。
そして日本国内にもあったフレンチ・コネクションみたいなもの、それからルノーという会 社と某大手ゼネコンの関係、これは結構ゴーンの逃亡に関わっているということです。 あとは政府が関与する巨大企業の戦略、これは海外の企業なのですけれども、そういったも のがどういう動きをしているのかということです。
それからフランスの情報機関が実は大企業を支援しながら一緒にビジネスをやっていると いうことと、そしてフランスの情報機関が秘密工作活動やテロ活動みたいなものも、実はかなりやっているというところ、その一方で過去のさまざまな救出作戦でフランス政府は「自 国民を見捨てない」ということをやってきたので、そういったことをご紹介します。
また、そういったものに比べて日本企業、それから日本政府はあらゆるところで連戦連敗で あるという残念な事実と、それから「今回のゴーン氏の脱出劇を、実はトルコの情報機関は 知っていたのではないのか」というようなところ、そして最後に日本の取るべき道みたいな ところでお話をしていけたらと思います。
・・・
〜はい。すでに前振りだけでも驚きを隠せないような内容になっているのですけれど、 早速伺ってまいりましょう。 まず皆さま本当にご存知でいらっしゃると思いますけれど振り返ってみましょう。
2019 年の 12 月の末、まさに年の瀬に起こった大きな事件でした。
年の瀬に関西国際空港から元日産の会長のカルロス・ゴーン氏が、音響装置を入れる特殊な 箱に身を隠してトルコの航空会社が運営するプライベートジェットに乗ってレバノンに逃 亡しました。 大変世間をにぎわせているこの事件なのですけれども、まずレバノンに逃亡ということに なりました。
まず全体的にどういったことに感想をお持ちになりましたか?
・・・
〜そうですね。最初ニュースを見た時に、口を開けてびっくりしたという感じで、皆さんそうだと思います。 オリンピックを前にして、とにかく日本という国の危機管理の意識の低さが今言われてい ます。
「大丈夫かな」という、全く皆さんと同じ思いですし、あとまず驚くのが裁判所の判 断です。「ゴーン氏に 15 億円もの保釈金を積ませておけば逃亡しないだろう、証拠隠滅もないだろう」というようなことを考えたのですけれども、相手は 100 億以上の金を持っている人で すし、皆さん覚えておられる通り、拘置所から出てきた時も作業着の格好をして変装をして 出てくるような人です。 こういった人を見て「証拠隠滅はないと、本当に思ったのかな」ということです。
だから当然検察の方はこの保釈に強く反対したのですけれど、結局認められず、裁判所では 自分で外せない GPS 装置も付けようともしなかったということです。 それから驚いたのが、ゴーンさんが持っていたフランス、ブラジル、レバノンのパスポート を弁護士に預けるようにしていたのに、2 冊持っていたフランスのパスポートのうち、1 つ は鍵の付いた透明な箱に入れて、「その鍵を弁護団が持っていれば大丈夫だと思った」とい うような話を聞いたというところです。
・・・
〜なるほど。ここで確認しなければいけないのは、パスポートを 2 つ持っていたという ことで、まず 2 つ持つことが可能なのかどうかということが 1 つ、もう 1 つは、2 つ持って いたうちの 1 つを携帯することが可能になってしまったわけですが、この辺りはおかしく ないですか?
・・・
〜そうですね。海外ではイスラエルに行った場合、特定の中東の国では入国を拒否され る場合があり、ゴーンさんもレバノンですから絶対それは認められないのです。 イスラエルのスタンプがあれば逮捕されてしまう国もあります。 場合によっては持つということもあるようなのですけれども、イスラエルはそういうこと に配慮して今はパスポートにスタンプを押すのではなくて、別紙を用意してそれを出国す る時に渡すという形を取っています。
なぜそもそもパスポートを持たなければいけなかったのかといいますと、ゴーンさんは日 産の役職を解かれたので日本の在留資格の証明書を喪失したのです。 それによって入管法上、旅券の携帯義務が生じたので、法律に従うと持たせざるを得なかっ たということなのです。
しかし「この辺りは何とかならなかったのか」と私は思って、「本当に鍵さえなければパスポートは使われないと本気で思っていたのかな」というところが少し知りたいです。
・・・
〜本当にたくさんの意味で日本の危機管理の甘さを指摘されています。 丸谷さんもおっしゃっていました。 そもそもこのプライベートジェット機で関西国際空港から逃亡したということ、そして音 響機器の箱に隠れていたということなのですけれど、そんなことがそもそもまかり通るぐ らい、何も検査というのは普通はされないのですか?
・・・
〜どこの国でもプライベートジェットに対しては今回のようにチェックが甘いところ があるということです。 ですのでやはり麻薬とか金塊とか違法物資の輸送などそういった犯罪にプライベートジェ ットが使われているということは結構世界の常識なのです。・・・結構あります。私自身もかつてある国でプライベートジェットに乗ったのですけれど も、検査なんてほとんどなくて、いきなり車を飛行機の隣に着けて荷物をボンボンと載せて 「はい、乗ってください」という感じだったので、「こんなものか」ということがありまし た。
それと麻薬業者たちというのは本当にプライベートジェットのチャーターを好むのです。 犯罪が発覚しても治安当局が差し押さえるのは飛行機なのです。 チャーターしている以上は自分のお金さえ払ってしまえば自分の足が付くことはないと、 そういうのが残りにくいのです。
あとは事故を起こさないように整備を行うという観点からも、ジェット機の管理というの は結構大変なので、プライベートジェットのオーナーというのは、例えば私がプライベート ジェットを自分のステータスシンボルとして買ったとしても、自分で整備できるわけでは ないので、そういった整備できるところに任せるわけです。
一方でそれよりもお金を生んでほしいので、整備だけではなく運用、運営もしてくれる今回 のトルコの会社のようなところに預けて、お金を生んでおいてもらうわけです。 飛行機の予約もさせますが、「しかしオーナーは私です」というような形を取るようなので す。 そういった犯罪に使われてきたものを日本の空港当局というか治安当局が知らなかったわ けはないのです。
結局今回使われた関西国際空港のプライベートジェットの税関チェックが甘くなったのは、 いろいろ聞くところによりますと 2010 年に Apple のスティーブ・ジョブズさんが京都に 来た時に、忍者が好きだったので手裏剣を買ってそのまま持ち込もうとしたらそれが検査 に引っ掛かって、それで激怒して「自分の飛行機でテロをやるバカがいるか。二度と来ない」 みたいなことを言って、奥様の何か化粧水をばらまいたみたいな有名な話があったのです。
それ以来甘くなったという話もありますが、そういった意味で甘かったのは間違いないの だろうと思います。
・・・
〜まさかそんなスティーブ・ジョブズの逆鱗(げきりん)に触れたことが影響している とは思いたくはないですけれども、いずれにしても関西国際空港のそういった甘さという ものが分かっていたということは、やはりそういう情報を取られていたというふうな理解 でしょうか?
・・・
〜そうですね。そう考えるのは問題ないと思います。 逃亡を手助けした連中というのは「事前に日本を 20 回以上訪れて、国内 10 カ所以上の空 港の下見をしている」と言われているのです。 チームはそういった下見で関空発のプライベートジェットのターミナルには普段人がいな いというとことや、大型の荷物が検査機に入らないというとなど、セキュリティ上の状況も 把握していたというのです。
しかしそこまで知るには実際に中に入らないと分からないですよね。 毎回プライベートジェットで来たわけではないでしょうから、「10 回や 20 回来たぐらいでそこまで完璧に、そんなに分かるのかな」と思うのです。 そうすると「どこかからか情報が漏れたのだろうな」というところでしょう。
あとは「富裕層なら、VIP とかなら悪いことはしないだろう」みたいな性善説を基にしてい たのだとしたら、もうこれは「日本の航空管理は大丈夫なのか」と言われても仕方がなく、 先ほどの裁判所ではないですけれども、「信義則が破られた」みたいな話がありましたけれ ど、「そもそも外国人に信義則を求めてどうするのだ」というところがありますし、なので こういったいろいろな要素が絡んで完全にざるになっていたということです。
だから結局日本政府も裁判所も、こういった富裕層とか VIP とか、そういったものの肩書 きに幻惑されてしまったのではないかということです。 これというのは結構、日本人の悪いところでもあると思うのですけれども、相手の肩書きと か学校の名前とかで信用して、ブランドで人を判断するのです。
日本人だけではないのですけれども、そういう弱いところがあって、上からがーんと言われ たら「では仕方ないからやってしまおう」みたいなところがあるのです。 そういった弱点というものを、やはり逃亡支援チームはよく把握していたという形なのです。
・・・
〜そういった日本人の気質さえもやはり調査されているということなのですね。〜そうだと思います。〜今回のゴーン氏の逃亡事案に関してなのですけれども、この事件の直後から、アメリ カの陸軍特殊部隊のグリーンベレーの元隊員らが関係しているのではないか、ということ があちこちの報道機関から出ているわけなのです。
その中の 1 人、マイケル・テイラー氏は元アメリカの陸軍特殊部隊に所属をしていたとい う方です。「除隊後は民間軍事会社社員としてアメリカの政府が行うさまざまな秘密工作に関与していたのではないか」というふうに言われているのですが、これはほぼこのままの情報で正し いのですか?
・・・
〜そうだと思います。今いろいろなところから出ていますけれども、これは多分間違い ないと思います。〜そうですか。
ただ、一般的な民間の軍事会社、日本の大使館とかを警備しているのも欧米の民間の 軍事会社ですし、日本のエンジニアリング企業もよくこういうものを使います。 しかし一般的なきちんとしたところだったら今回のこういう仕事は引き受けないです。
〜引き受けないですか。
・・・
〜なぜかというと、堂々たる違法行為によって日本のような一国の政府を怒らせて、結 果的に名前が世界中にばれてしまうのです。 しかも違法なのです。そうするとこういうことをやるビジネスというのは、いくらお金がも うかっても、ほかのお客さんが付かない可能性がありますからやらないです。
そのような汚れ仕事にこのテイラーさんという人が選ばれたのは、やはり腕が良いという のは確かにそうだったと思うのですけれども、テイラーさんの過去の汚点、そういうものが あったのだろうと思います。 テイラーさんは過去にアフガニスタン軍の訓練提供に必要なお金ということで 5,400 万ド ル、だから 60 億円近くの米国政府のお金を入札案件で取ろうとして談合を行ったのです。
そして FBI の捜査官に賄賂まで渡したということなので、それで捕まりまして、確かユタ 州かどこかの連邦刑務所に 1 年以上服役した過去があるのです。 つまり今回の作戦計画を描いた組織チームというのは、確かに腕は良いのですけれども、通 常の会社なら絶対にやらないようなことをやるわけです。
表現方法が悪いのですけれども、つまりテイラー氏のような腕利きだけれども過去に、すね に傷がある傷物が一番便利なツールだとして考えたのでしょうし、テイラー氏もまた一生 分、遊んで暮らせるぐらいのお金をもらって、この仕事を引き受けたのです。 犯罪人引渡し条約で「日本に来い」と言われるかもしれませんし、もう国に帰られないかも しれないということを考えると、やはり「それぐらいのお金は当然もらっているでしょう」 ということだと思います。
・・・
〜今回このグリーンベレーという名前、そしてマイケル・テイラー氏の名前が出てきた いきさつというのは、例えばそもそも今おしゃってくださったように、「普通の民間の軍事 会社なら引き受けないということで、そういった腕利きの傷物の方はこの人だ」という見つ け方をされたのか、どういったことで名前が出てきたのですか?
〜多分こういう業界というのがあるのです。
〜業界があるのですね、なるほど。
〜各国の情報機関というのは、はやりそういった、先ほど言いましたようにすねに傷が あるような人間というのをきちんとリストアップしているのす。
〜そういうことですか。
・・・
〜「こいつは腕は良いけれども表には出てこられない、そういった弱みがある。けれど もお金には困っている、だから使ってやろう」という、これは結構中国の情報機関もアメリ カの元 CIA の要員などをスパイに寝返らせたりするときにも使います。 以前も言いましたけれども、やはり食っていけない人間にお金をどんと渡して情報を取ら せるということをやるので、こういった意味でやはり弱みです。
〜なるほど。そういうことを考えるとゴーン氏が今回のこういった脱出劇を「1 人で計 画をした」と言っているけれど、1 人のわけがないですよね。
・・・
〜これは本当にその道の秘密工作のプロでないとできない話ですし、ゴーンさんはそう いう人ではないのでまず不可能です。 本当にこれは何人もの、下手をしたら何十人もの現場のプロと、豊富な資金と、それから秘 密作戦を得意とするこういった特別な情報機関等の関与が必要ですので、もちろんゴーン さん 1 人では無理です。
〜なるほど。実際こういった方たちを巻き込んで計画をして実行に移すには、普通はど のくらいのお金がかかるものなのでしょうか?
〜チャーターの飛行機は、韓国の前はドバイから飛んできていたのですけれども、それ だけで数千万かかるのです。
最低数億円と思っていたのですけれども、一部では「16 億円ほどかかったのではないか」 という話もあって、私は「それはあり得るだろうな」と思います。 テイラー氏に何億も払ったところでまだまだお釣りがきますし、全然いけるのではないか と思います。
〜なるほど。そう考えると本当に皆さんが思うのは、すでに 15 億円を保釈金で出して いるのに、プラスして 16 億円というのはとんでもない金額です。
〜そうですね。なのでその辺りからやはり......。
〜お一人で出したのかというところも考えると......しかし、やはりゴーンさんはたくさ んお金を持っていらっしゃるから、それは賄えたということでしょうか?
〜多分「自分が金を出すから助けてくれ」というふうに言ったのだと思います。 そこで政府系情報機関が関与したのだろうと思います。
〜可能性があるということですね。
〜可能性があると思います。その中で一番最初に関与が疑われているのがレバノンの情報機関だということです。
〜そうですよね。レバノンの情報機関と思うのはもちろんレバノンに逃亡しております し、何となく思いつく範囲ではあると思うのですけれど、それは信ぴょう性としてはかなり 高そうでしょうか?
〜レバノンの情報機関がゴーンさんをかばっているのは間違いないと思います。 これは今日のメインのトピックになるのですけれども、フランスの情報機関の対外治安総 局という CIA のような情報機関がありまして、ここの対外秘密工作部門に Action Service というチームがあるのです。
これは暗殺から救出から、いろいろな特殊作戦をやるのですけれども、そこで活躍したとい う仮名のザビエルさんという人がある新聞に話しているのですけれど、この男性が「ゴーン 氏脱出計画は少なくとも半年以上前から計画されていた。レバノン情報機関は間違いなく 関与している」と述べています。
このことは、ゴーンさん奥さんがレバノン国内で乗っていた車がレバノン情報機関所属の 物であったことで明らかになっていて、これは報道にも出ているのでほぼ確定していると 言っていいでしょう。 一方、過去にレバノンの訓練をしたことがあるという仮名ザビエルさんは、「レバノン情報 機関はわれわれと同じように今回のような脱出作戦をやるような能力がある」とは言って います。
〜なるほど。こういったレバノンの情報機関、フランス仕込みなのかもしれませんが、 かなり実力がある機関であるということは間違いなさそうですか?
〜実力はあるかといえばあるのでしょうけれども、しかし「ここまでやる能力と動機が 果たしてレバノン情報機関にあるのか」というのは疑問なのです。 今のレバノン政府というのは腐敗とか特権層に対する激しい抗議運動を 10 月ぐらいからず とやられています。
その結果、首相のハリーリーさんが 2019 年 12 月に辞任を発表し、向こうは大統領と首相 ですので、アウン大統領の引き止めによって次の新しい首相を選出するまでは暫定首相と して残留しているという形になっていました。 極めて不安定な状況に置かれているというわけです。
そんな富裕層に対する反発で政府がぐらぐらしている時に、また違う国で犯罪を犯して逃 げてこようとした富裕層のゴーンさんを引き入れることは、国民のさらなる反発を買いか ねないですよね。 そうなると「経済犯であるお金持ちのゴーンさんを受け入れるメリットはそんなにあるの か」ということと、そもそも逮捕以来ゴーン被告が助けを求めていたのはレバノンではなく フランスなのです。
実際にフランス政府もゴーンさんを陰ながらサポートしてきているのです。 そもそもレバノン政府が「ゴーン氏をレバノンに引き渡してくれ」と日本政府に初めて言っ てきたのは、おそらく事件のわずか 1 週間前なのです。 そのようにわざわざ自分の姿をさらしてやって来た人間が、その 1 週間後にあんなスパイ 大作戦みたいなことをできるわけがないと私は思います。
そもそも本当に救出するのだったら、わざわざ自分の姿を出さないです。 なので私はレバノン情報機関がここまでやる能力と動機というのはないのではないかと思 います。
・・・
〜確かにそんな 1 週間前という直前に、それはあり得ないと思います。 自分がそういった黒幕ならば絶対に言わないです。
〜言わないですね。泥棒が泥棒に入る家に行って「鍵が開いてるよ」と言うようなものですよね。
〜そういったことなのですけれども、そのレバノン政府というのが、今日本政府からゴーン氏の返還に関する強い要請を受けているなど、今回の事件に関してはすべての矢面に 立たされている感があるのですけれども、「そもそも日本という国を完全に怒らせてまでや るレバノンの動機があるか、ないか」というと、どうなのでしょうか?
〜やはり私が感じているのは、今回の救出劇というのは、レバノン政府が今めちゃくち ゃ政治的に追い込まれているので、そこを突かれて別の第三国からの強い要請を受けて了 承をしただけなのではないかと思っております。 では「その第三国はどこだ」というと、一番最初に挙げられるのがやはり今のレバノンに一 番大きな、強い影響力を持っている国、しかもゴーンさんを何とかして助けたいと考える国 があるとすれば、それは旧宗主国のフランス以外あり得ないのではないかと私は思います。
〜ここが先ほどの前触れで非常に驚いた部分なのですけれども、フランスという国がそ もそもレバノン政府を動かすような力だったり、そういった関係性があるのかということ なのですが、あったのですか?
〜あります。実は今でもレバノンの主導部の大統領と首相というのは、2 人ともフラン スに命を救われた過去があるのです。
〜命を救われていることがあるのですか。
〜今の現職のアウン大統領はかつてレバノンの国内の政治闘争に敗れた時に、90 年代 の初めだったと思うのですけれどもフランス大使館に逃げ込んで助けられて、その後 2005 年までの 15 年間、フランスで亡命生活を送っていたのです。 それで帰ってきて大統領になっているので、フランスの肝いりであることは当然というこ とです。
一方、この前辞任宣言を出したハリーリー首相も、2017 年に直々にマクロン大統領によっ て命を助けられています。
何かというと 2017 年の 11 月にハリーリー首相がサウジアラビアを訪問したのです。 そうしたらその時に、今のサウジを実質的に支配してるムハンマド皇太子によって 3 週間近く軟禁されたという事件がありました。
その時に軟禁されたサウジ国内から「私はレバノンの首相を辞めます」という辞任宣言をさ せられてしまったのです。 なぜムハンマド皇太子がそんな乱暴なことをしたのかというと、レバノンというのはイラ ンの影響力のあるイスラム教シーア派武装組織ヒズボラも政治家としての議席を持ってい たりしていまして、首相が国内でヒズボラを無視するわけにはいかないので融和的な対策 を取ったということにムハンマド皇太子が怒っていたのです。
それで彼の首根っこを捕まえて辞任宣言をさせたのですけれども、その宣言のわずか数日 後にマクロン大統領はいきなりサウジに飛びまして、そこでムハンマド皇太子に対して「ハ リーリー首相を解放しろ」というふうに約束させたのです。
それから 10 日後ぐらいに、ようやくハリーリー首相はサウジ国内から出ることが許されて、 国に帰る前にまずはフランスのパリに立ち寄ってマクロン大統領と会談をしました。
その後にレバノンに帰国して「サウジ国内から発した辞任宣言というのは取り消します。私 はまだ首相であります」ということを言ったということで、これは当時レバノン内外ですご く大きな問題になったのですけれど、あまり日本では報じられなかったのです。
〜そうでしたね。
〜はい。こうやって見ると、アウン大統領もハリーリーさんも、両方フランスによって 命を救われているということです。
〜確かに、救われていました。ただ、もちろん命を救ってくれた恩人に対して何かを突 き付けられたら「ノー」とは言えないのは分かりますけれども、ここまでリスクを犯してま でやることでしょうか?
〜そうですね。個人的には「ノー」とは言えないというところ、それからいろいろと弱 みを握られているというところもあるかもしれませんが、一方でレバノン政府が今大変厳しい財政事情に追い込まれているという事実があるのです。
日本はレバノンに対して ODA を何十億も出していますから、そんな日本政府を敵に回して これをやるのか」と私も思うのですけれども、しかしレバノン政府はゴーン氏をかばってい るということです。
普通ではないのですけれども、やはりその背景にあるのはレバノン政府が旧宗主国のフランスを通じた莫大な財政支援というのに期待しているのではないかと私は少し思っていま す。
〜莫大な財政支援とおっしゃいました。
それは日本のいわゆる ODA などとは比べものにならないぐらいということですか? それともどういったぐらいですか?
〜比べものにならないぐらいだと思います。
日本は多分数十億円だと思います。
〜はい、数十億もですね。
〜日本は数十億円もすごいと思いますが、2018 年 4 月以降、約 2 年前にレバノン政府 は世界銀行とかフランスから 1 兆 2,000 億円もの支援を受け取っているのです。
〜そうだったのですね。
〜実はこのゴーンさん逃亡と同じ月にも、フランスに対して財政支援を求めています。 フランスはこれに対して「レバノンが信頼できる改革を行うのだったら、また資金を援助し てやるよ」と言っているわけなのです。 目の前にニンジンをぶら下げられているわけです。
そうするとこのように過去フランスに大きな借りがあって、財政的に追い詰められたレバノンのリーダーたちが、さらにお金が必要なので「ではゴーン救出の手助けをするよ。矢面に立つからその代わりにお金を出してね」と言う可能性はあると思います。 これに比べて日本からは数十億円の ODA なんて雀の涙みたいなものです。
当然そうなったらフランスの巨額の方を取りますし、フランスとの仲の方が濃いわけです から、そんな中でレバノンの地元紙ジャバル・レバノンというところが、「今回のゴーン氏 脱出には西側の治安機関が協力した」とはっきり言っているのです。 レバノンではなく「西側の治安機関が」と言ってしまっているというところも見逃してはい けないと思います。
〜なるほど。この文脈でいうと西側というのはもちろんフランスになるのでしょうけれ ど、西というと思い当たるような国がたくさんあります。 本当にフランスなのでしょうか?
〜私はそうだと思います。後ほど詳しく話をしますが、今回の件というのはやはり自動 車業界における激しい勢力争いが原因だと私は思っています。 そのような中で「いろいろな西がある」と言いますけれども、自動車産業界でアメリカ、イ ギリス、ドイツ、これらはみんなフランスのライバルなのです。
フランス企業のルノーのフランス人の幹部を助ける義理は何もないわけです。 むしろ、おりに入っていてくれた方が良いと思うのです。 そうするとこの西側の治安機関というのがフランス情報機関である可能性は決して低くな いというか、かなり高いだろうというふうには思います。
〜なるほど。まさかこの事件の裏側にフランスがいたとはと、本当に驚くばかりなので すけれども、しかしなぜわれわれは今までこういった情報の中でフランス政府のそういっ た影を見ることができなかったのか、うまく隠れることができたのか、それとも何らかの圧 力でそう言えないような状況があるのか、どういったことがあるのでしょうか?
〜そうですね。両方だと思います。 先に申しあげましたフランス情報機関出身の自称ザビエルさんは、「フランス情報機関は全く関与していない」とわざわざ宣言しているのです。
〜わざわざですか。
〜わざわざです。その理由として、なぜなら「もしフランスがやっていたら、ゴーン氏 をレバノンではなくてフランスに連れてきていただろう。フランスはそんなバカらしいリ スクは侵さない」というわけです。
しかしこれは言い訳になっていないのです。
もしどこかの国が今回のように一国の日本のような政府を怒らせるような秘密作戦では脱 出させたゴーンをわざわざ連れてきたらその瞬間に国際問題になってしまいます。 そんなへまは当然するわけがないので、そうすると「フランスに来なかったからフランスは 一切関与していない」などということは言い訳にはならないと私は思います。
〜なるほど。そう考えてみるとレバノンは確かにフランスからいろいろな支援をもらっ ています。
もちろん命も救ってもらったし、財政的なものもあります。 確かに「ノー」は言えなかったという構図は正しそうですね。
〜そうですね。そういう構図はあったと思いますね。 やはり先ほどのザビエルさんが言う通り、フランスは以前からレバノンの軍とか情報機関 の訓練をしているのです。両国の関係は極めて緊密だということです。
フランス情報機関というのはかつてレバノンやトルコで、ほとんどアルカイダや IS と一緒 で境界線のないような組織だったりするのですが、シリア政府と戦う自由シリア軍みたい なものに対する訓練もしていました。 一方フランスとの興味深い点というのは、ゴーン氏を監獄から連れ出した、先ほどおっしゃ った元グリーンベレーのテイラーさん、それから彼らの同僚であるレバノン出身のザイエ クさんという人ですが、あまりこの人の正体は分かっていないのです。
しかし、いずれもフランスが歴史的に影響力を持つ、レバノンのキリスト教マロン派という のと関係が深いということがもう 1 つの接点だと思います。
〜なるほど。「キリスト教のマロン派」という言葉が出てきました。 丸谷さんの情報によりますと、このキリスト教のマロン派というのは、レバノン人口のおよ そ 4 割を占めているということで、これはかなりの体制派ですね。
〜そうです、体制派なのです。テイラーさんというのは 1980 年代に民間人になった後 に、レバノンのマロン派の軍事組織に対する訓練を請け負っていまして、その時にレバノン 人の奥さんと結婚しているのです。 そこで「マロン派と生涯にわたる親密な関係を築いた」というふうに言われているのです。 実はゴーン氏もマロン派信者だったのです。
〜そうだったのですね。
〜そうです。いろいろな地元の報道とかによりますと、レバノンの仲介者だというので すけれども、そもそもフランスに亡命して、フランスに寄って帰ってきたアウン現大統領も マロン派なのです。 そうするといろいろなマロン派つながりというものがあるというわけです。 これは「面白いな」と思います。
〜なるほど。登場人物みんなマロン派であるということですね。
〜そうですね、はい。
〜そう考えると、今おっしゃいましたアウン現大統領もマロン派ということは、現大統 領もこの辺りもいろいろと絡んできているという可能性があるということですね?
〜そうですね、本当にどのぐらい絡んでいるかどうか分かりませんが、知らなかったということは少なくともないだろうと私は思っていますし、かなりの高いレベルでやり取り がないとこういうことはできないだろうと思います。 情報機関の車を使ったりとかそういうことは、かなりの高いレベルでないとできないはず だと思います。
〜なるほど。「今フランスはさまざまな意味で影響力を持っていて、特に財政面で大き い影響力を持っている」とおっしゃいました。 宗教面に関してもやはり力を持っているというふうに考えてもいいのですか?
〜そうですね、その理解で間違いないと思います。 旧植民地のつながりという観点で言うならば、確かにフランスというのはいまだにマロン 派に対してものすごく影響力があります。
その一方でもう 1 つのつながりというものから見ると、関西国際空港からゴーンさんを運 んだ飛行機についても非常に興味深い事実があります。
この飛行機を運営していたのは MNG ジェットというトルコの会社なのですが、機体の所 有者、つまりオーナーというのはフランスの旧植民地であり、現政権があからさまな親フラ ンス政策をやっているアフリカの東部の島、マダガスカルの大手コングロマリットの子会 社なのです。そういうところも面白いと思います。
〜ここでまた新しい名前が出てくるわけですけれど、ここもやはりフランスに絡んだ国 であるということですね。 島国でたくさんの動物がいるあの国ですけれども、そういったところが関係するというこ とはやはり裏にはフランスだと思いますね。
〜そうですね。フランスの植民地つながりは、見ていて「なかなか面白いな」と思いま すよね。
〜そういうことですよね。
〜そうなのです。そういったこの飛行機を所有する大手コングロマリットのオーナーと いうのはマダガスカルでは超大物の財界人でして、マミーさんと呼ばれているのですけれ ども、現地で有名なマミー・ラヴァトマンガさんという方なのです。
このマダガスカルの親フランス政権を率いるアンドリー・ラジョエリナ大統領と極めて親 しい関係にあるとうことです。
このラジョエリナ大統領ですけれども、2019 年 8 月に横浜で開催された日本政府主催のア フリカ開発会議、TICAD ですね。
〜はい、TICAD ありましたね。 丸谷:その際にも日本にお越しになっているということで、1974 年生まれなので若きリーダーなのですけれども、元 DJ をやっていた方なのです。
〜元 DJ で 1974 年生まれ、まだ 40 代半ば、かなり若いリーダーなのですね。
〜若いです。写真とか映像から見ると、やはり人懐っこそうな顔をしていまして、この 大統領というのは実は 2009 年に当時反フランス政策を推進していたラヴァルマナナ大統 領政権に対する軍事クーデターで権力を掌握した人物なのです。 これは「マダガスカル・クーデター」というのですけれども、このクーデターの直前には彼 は当局に当然逮捕されそうになって、フランス大使館に逃げ込んで保護されているのです。
ということは、これは何かレバノンのアウン大統領とすごく似ていて、フランスによって救 われている人なのです。 それがその直後にクーデターで政権を取って、親フランス政策を今でも推し進めていると いうわけです。 そして「その知り合いの財界人が今回の飛行機のオーナーだった」というつながりがあると いうことです。
〜なるほど。ドラマのような展開になってまいりましたけれど、ここで少しまとめてみ ますと、つまり今回のゴーン氏を関西国際空港から運んだ飛行機を所有する方というのが、 マダガスカルの大物財界人で、元 DJ である大統領の友人のマミーさんという方です。 そしてフランスが支援したマダガスカル・クーデターと、その後のラヴァルマナナ大統領に よる権力掌握を影から支えた人物であったということですね。 当然フランス当局と密接な関係があるということを推察してもおかしくないですね。
〜おかしくないですね。先ほど言いました大物財界人のマミーさんは、2016 年に流出 したパナマ文書にも名前が出ていた有名な方で、かつてはマダガスカル産の希少高級木材 紫檀(したん)の違法伐採と密輸、それから脱税容疑で有名になりまして、これはフランス の新聞にも結構出ているのです。
2018 年にはパリ市内の 4 つの不動産を警察当局に差し押さえられてしまっているのですけ れども、昨年 6 月のちょうどゴーンさんの救出作戦が始まったころには、その差し押さえ が解除されるという判決を勝ち取っているのです。 これは全く証拠も根拠も実はないのですけれども、まさに時期的に本当にぴったり合うと いうことで、「もしかしたらマミー氏に何らかの便宜があったのかな」というふうに深読み をしたくなるような時系列だとは思います。
〜そうですね。そういったパナマ文書にも名前が載ったという方の所有する飛行機が今 回の逃亡劇に使われたと思うと、何だか興味深いというか......。
〜興味深いですね。そうなのです。
それで 12 月 18 日にこの親フランス派の大統領と仲の良い、大物財界人が所有するプライ ベートジェットは、まずどこから関西に来たかというとドバイから来たのですけれども、ド バイの前にマダガスカルの首都空港からドバイに飛んで、先ほどのグリーンベレーの隊員 たちを乗せて、そこから関西国際空港に来て、13 時間後にゴーン氏とともにトルコに飛び 立っているということです。
ちなみにゴーン氏が使用した機体というのは昨年の横浜におけるアフリカ開発会議で親フランス政策をやっているラジョエリナ大統領が使ったのと同じ機体なのです。
〜全く同じ機体ですか?
〜全く同じ機体を大統領も使ったということでありました。
〜そんなことがあり得るのですね、なるほど。 このように考えてみると今回のゴーン氏の逃亡劇は、もちろん舞台こそはレバノンである とか、マダガスカルという言葉が出てきましたけれども、これはもう明らかにフランスの影 があるということが確実に分かってきそうですね。
〜そうですね。何か「フレンチ・コネクションがあちらこちらで見えるな」という状況 ですね。
あともう 1 つ興味深い事実がありまして、実は今回ゴーン氏が脱出した関西国際空港はフランス企業が運営しているという点もあるということなのです。
〜あそこはフランス企業が運営しているのですか?
〜日系との合弁なのですけれどもフランス企業が運営しています。 私は最初、このプライベートジェットで逃げられるような所はどこだと思った時に、「関西 国際空港」だと聞いて、「ああ、あそこはフランスだったな」というふうに思い出して、後 に気付いたということなのです。
〜具体的にどういったところがやっているのですか?
〜この会社はフランスにある世界第 4 位の大手ゼネコンのヴァンシという会社がありまして、その傘下の会社なのです。
世界で 36 カ所の空港業務を運営しているということなのですけれども、関西国際空港だと オリックスさんなんかと一緒に合弁で設立した関西エアポートという会社を通じて当空港 を運営しているというふうに言われています。
〜なるほど。このヴァンシ社、そしてそこの傘下のヴァンシ・エアポート社というとこ ろが、いわゆる空港業務を運営しているということで、まさかそこがこの関西国際空港を運 営しているとは全然存じませんでした。 そもそもそういったフランス企業というだけでリスクが露呈するというか、フランス企業 が関与していることがばれるとは思わなかったのでしょうか?
〜それは当然リスクがあるし、そんなことをするわけがないと普通は思うのでしょうけ れども、しかしいろいろと調べると結構奥が深いところがあるのです。 この空港運営会社のフランス系の企業の親会社のヴァンシ社という大手建設ゼネコンです が、ここは長年ゴーンさんが会長をやっていたルノーと実は関係が深いということで、ルノ ーが必要とする工場とかのインフラ関係の建設も手掛けてきたということなのです。
例えば 2011 年ヴァンシ社はルノーとともに電気自動車の充電施設の開発を行っています し、同じころにはモロッコでルノー・日産連合が所有するタンジール工場の建設もこの会社 がやっているのです。 この第一期工場の落成式には当時ルノーの会長だったゴーンさんも実は参加していまして、 これはヴァンシ社のホームページで見ることができます。
あとはヴァンシ社とは別のグループ企業というのは、現在ルノーと共同でフランス国内に おける自動運転に関する社会実験を行っているのです。 つまり関西国際空港を運営するフランスの巨大グループにとってルノーというのは単なる お客さんではなくて、自動車生産大国フランス、つまりフランスにとって自動車生産という のはすごく重要なので、そういった国家戦略目標のために長年にわたって緊密な協力関係 を維持してきた、結構大切なパートナーなのです。
なのでこれは状況証拠でしかありません。 関空が関与したという証拠もないですし、「そうだ」とも絶対言い切れないのですが、しか しこういうつながりがあって面白いというふうに思うということです。
〜まさかこのような長年ルノーとの関係が深いヴァンシ社が運営している空港から、元 ルノーの会長であったゴーンさんが逃亡したというのは、なんて分かりやすい構図なので しょう。
偶然かもしれませんけれども。
〜紐解いていくとね、偶然かもしれませんが......。
〜これこそまさにフレンチ・コネクションですね。
〜そうですね。面白いなと思います。
さらに興味深いのが、これはもう 1 つ、いろいろ面白いことがたくさんあるのですけれど も、日本脱出直前の 11 月にゴーン氏をあるフランスの超大物政治家が密かに訪問している のです。
それが実はサルコジ元大統領です。
〜サルコジ元大統領ですか。
〜はい。そういうことであります。
〜面会できていたのですか?
〜面会できていたみたいですね。当時サルコジさんは天皇陛下の即位の礼のためにマク ロン大統領の名代として 11 月に来日されたのです。 その際に「都内のフランス大使館でゴーンさんと密会して、かなり長い間 2 人で話し合い をしていた」というふうに報道されています。
〜はい。サルコジ氏といえばここしばらく汚職疑惑ですとか、選挙違反疑惑などで何度 も身柄を拘束されて訴追されていらっしゃいますけれども、その方がゴーンさんと面会し ていたということですね。
〜面会していたということなのです。 選挙違反とかいろいろな汚職疑惑で、最近ここ何年も本当に騒がしい方です。
〜騒がしいですね。
〜そうなのです。その中でも一番騒がしかったのが、2007 年の大統領選の出馬の前に、 リビアの亡くなったカダフィ大佐から最大 5,000 万ユーロ、当時のお金でいうと 65 億円で すが、これを借りて受け取ったという疑いによって汚職容疑で訴追をされたということで、 フランスではかなり大きなニュースになりました。
その口封じのためもあってか、「リビア戦争でカダフィ大佐を殺害したのはサルコジ氏の直 接の命令を受けたフランス情報部員だった」とも言われているのです。 これは日本でも一部ほんの小さくですけれども報道されていて、「最後に息の根を止めたの はフランスの情報部員だった」というふうには言われています。
〜そうですか。こんな映画のようなことが本当だったならば本当に驚くことですけれど も、情報の確度としてはどのぐらいのものなのでしょうか?
〜これは結構フランス国内から出てきている情報なので、もしかしたら反サルコジ勢力 から出てきたのかもしれませんが、大手でもやはり報道されているので確度は高いだろう と思います。
〜確度は高いということですね。サルコジさんといえば 2013 年、700 キロもの麻薬を プライベートジェットで運ぼうとした 2 人の元フランス軍パイロットがドミニカ共和国で 逮捕された事件でも関与を疑われています。 このようなことで関与が疑われるような元大統領が......。
〜そうなのです。「本当にフランスは面白い国だな」と思うのですけれど、サルコジさ んというのはすごくイケメンで、葉巻を吸う姿がすごく格好良い人なのですけれども、時々 こういうことが出てきて少しかわいそうなところもあるのです。
こうやって 1 回名前が汚れてしまったので、例えば先ほどご説明いただいた、2013 年にド ミニカ共和国で 2 人のフランス軍元パイロットがプライベートジェットを操縦して、その 中で麻薬が 700 キロ見つかったということでした。
では「なぜここでサルコジさんの名前が出てくるのか」ということなのですが、これは同じ 飛行機を過去にサルコジさんが何回も使っていたということがあったからです。
〜そういうことですか。
〜そうなのです。サルコジさんはこれを怒っていまして、「では私が使ったものは、何 でも犯罪に使われたら私の責任なのか」と言っていて、少しかわいそうなところは確かにあ ります。
〜かわいそうなところはあるけれども、やはりここでもプライベートジェットが犯罪の 現場になってしまったというところはあるしということですよね。
〜これは「プライベートジェットが犯罪に使われて、かつ情報機関の裏工作にも利用さ れていた可能性がある」という良い見本で、これは今回のゴーンさんの事件にすごく似てい る部分があります。
このドミニカで麻薬を運んだ 2 人の元フランス軍パイロットが面白いのは、逮捕されて「ド ミニカ当局による勾留中の扱いが不当だ」というふうにずっと言っていたのです。 これはゴーンさんと一緒です。「日本の検察の扱いが不当だ」ということです。
しかし結局ドミニカの裁判で懲役 20 年を言い渡されました。 そうするとその直後に「この 2 人のパイロットはフランス元情報部員の支援を受けてボー トと飛行機を使って、密かにドミニカから脱出してフランスに戻ってしまった」という話が あり、もちろんこの時にフランス政府は「彼らの逃亡には一切関わっていない」と言いまし た。
パイロットたちも「私たちは正義から逃れたのではない。正義を求めてフランスに戻ったのだ」と言っているのです。
何だか今回の事件と似ていますよね。
〜今回とそっくりですね。
〜そっくりなのです。「日本の検察がダメで正義がないから私は正義を求めて、フェア なものを求めて来た」と言っていて、これはフランスの元パイロットも同じことを言ってい るのです。
2013 年の話でこういうことがありましたということです。
〜ここまでそっくりだと、その後このパイロットたちがどうなったのか非常に気になり ます。どうなったのですか?
〜はい。面白いのが、開き直ったこのパイロットたちは 2019 年 2 月に始まった裁判で 有罪になりましたが、懲役 6 年の判決を受けたのです。 つまりドミニカよりもはるかに環境の良い所において、20 年よりもはるかに軽い刑で済ん だので、結局は脱出というかこの救出作戦は成功しているのです。
つまりフランスはこの手のかなり強引な救出作戦が非常に上手で得意なのです。 そして実際にその経験もあるというわけです。 こういう点から見ても、やはりフランスの情報機関の能力が高いということがうかがい知 れるということで、見ていて本当にすごく面白いわけです。
一方、汚職から選挙違反、それから情報機関を使った暗殺に至るまで、とにかくサルコジ氏 は話題が尽きない人なのですけれども、何でそのような、いわゆる男前だけれども少しやく ざのような傷物の人をマクロン大統領が重宝するのかというと、やはりマクロン大統領は 若くて経験が少ないのです。
こんな自分よりも良くも悪くも国際政治の裏表を知り尽くしたサルコジ氏というのは、やはりこういった汚れ仕事も含めて、それから非常に政府間同士の裏の交渉力も非常に長け た人なので、やはり「自分にとってはすごく使える」というふうに思っているのでしょう。 そしてマクロンさんとサルコジさんというのは実は結構仲が良いのです。 言っていることは違うように聞こえるのですけれども、結構仲が良いので、そういったとこ ろでその辺の表裏の関係はしっかり持っているのだろうと思います。
〜なるほど。そう考えると先ほど丸谷さんがおっしゃってくださったように、天皇陛下 の即位の礼のためにマクロン大統領の代わりとしてサルコジさんがいらっしゃった、これ も何らかの意図であったり、計画があったのではないかと思わざるを得ませんね。
〜そうですね。「最初からゴーンさん救出のために来たのではないの?」というふうに 思ってしまいます。 しかし何度も繰り返しますが、これらは本当にあくまで状況証拠にすぎないのです。 今回のゴーン氏逃亡事案の周辺にはフランスの影が多く見え隠れはするのですけれども、 しかしフランス情報当局が逃亡を仕組んだという確固たる証拠は全くないのです。
本当にフランスが本件に全く絡んでいないのか、それとも本当に秘密工作に長けているか ら、そして彼らの腕が卓越しているのかどうかは、本当に「神のみぞ知る」なのです。 しかし過去のフランスという国の政策を見れば、「同国の政府が自国の息の掛かったルノー という大企業の元高級幹部に関わるスキャンダルを黙って見過ごしているはずがない」と いうのはやはり言えるのです。
なぜならフランスにとって技術力のある外国企業に入り込むということは、重要な国家政 策の 1 つなのです。 つまり特に自動化運転等とかで高い技術を持つ日産を配下に収めつつあったゴーン氏とい うのは、フランス国家にとっては功労者そのものなのです。
スペインのある IT セキュリティ企業が面白いことを書いていまして、「フランスは情報機 関が大手フランス企業を支援するということはよく知られている」ということを指摘して いるのですけれども、実際に「フランスは長年、米国を含めた諸外国の機密情報をさまざまな手段で盗んできた」というふうに言われています。
中でもアメリカは最大のターゲットとして狙ってきたのですけれども、これに対してはア メリカの情報機関は「攻撃的かつ大規模な手法で産業スパイを行うフランス」というのを隠 語 で 「 C o u n t r y B 」「 B 国 」 と い う キ ー ワ ー ド で 呼 ん で い ま し て 、「 と に か く 大 っ ぴ ら で や る 」 と言っていました。
私はこれは名言だなと思ったのですが、かつてフランスの対外治安総局というところで長 官をやっていたピエール・マリオンさんという有名なスパイマスターみたいな方がおられ るのですけれども、その方が「アメリカとの関係において経済においてはわれわれは競合者 であって同盟者ではないのだ」と明確に言っているのです。
今日においてもこれは同様でして、アメリカの情報機関というのは、「フランスはロシアや イスラエルとともに中国の次に位置する産業スパイ国家だ」と完全に認定しているのです。 そのフランスは実際に 1990 年代、エールフランスが当時運用していた音速のコンコルドと いうのがありましたよね。 あのファーストクラスの座席にも盗聴器を仕掛けていたということがばれているというこ とがあります。
〜そこまであからさまにやられるわけですね。 つまりファーストクラスということは当然ながら VIP が乗っている、おそらく VIP が話す 内容というのは機密情報であったり、最新の技術の情報であったり、そういったものを盗聴 器で盗んでいたということすか。
〜全部聞いていたということですね。
〜あり得ないことが......。
〜やっていることが本当に面白いのです。これはウィキリークスが 2011 年に発表した のですが、ドイツの人工衛星関連企業のトップが、「ドイツ経済はフランスの産業スパイ活動によって、中国やロシアの産業スパイによってもたらされる以上の甚大な被害を被って いる」というふうに言っています。
〜フランスはそんななのですね。
〜EU なのですけれども、ドイツは一生懸命にいい技術を作りますがフランスにかなり 取られてしまっているということです。 こういった産業スパイ的に情報を盗むというのは最近もありまして、世界的な租税回避地、 タックス・ヘイブンで知られる英仏海峡ジャージー島というところがあるのですけれども、 その金融機関に最近まで 3 年間勤務していた 42 歳のフランス人男性が、実は新聞に実名で 告白しているのです。
彼は「現地で得られる、本当に税金を回避してジャージー島に本社を置いている多国籍企業 とか、大富豪の資産情報に加えて、弁護士や会計士、それからコンプライアンス担当者にも 接近して得たさまざまな資産の情報や機密情報を、全部フランスの対外治安総局に渡して いました。現地ではさらにスパイに向いていそうな人をリクルートをし、それからジャージ ー島にあるサーバーに保管されていたさまざまな機密情報に侵入するフランスのハッカー を支援していた」と言ったのです。
フランス人の開き直りというのは面白いものがあって、読んでいて笑ってしまったのです けれども、「そうは言っても、ジャージー島にはアメリカとロシアのスパイ網も存在してい るし、そもそもイギリスだって同じことをやっているし、彼らはこういった工作にかけては 世界最高の能力を有しているのだよ。つまりこれはフェア・ゲームなのだよ」というふうに 言っているのです。
読んできて「面白いことを言うな」と思うのですが、そのぐらいの開き直りというか、開け っ広げにやるという感じです。
〜開き直りが甚だしいですけれども、しかし考えてもみれば経済的なスパイ活動をして いる国というのはいくつか思い浮かぶではないですか。その中にフランスという国が、私は少なからず思い浮かばなかったのですけれど、こんなに 開けっ広げにやっていて挙がってこなかった理由というのも面白いなとは思うのですけれ ども、なぜフランスがこんなに大っぴらにスパイ活動をやっているのでしょうか?
〜そうですね、彼らは本当に悪気がないというか......。
〜悪気がないのですね。
〜ないです。そして堂々としていて、時には開き直り「どこが悪いのだ」みたいな感じです。ちなみにフランス情報機関による経済諜報(ちょうほう)というのは、90 年代に日本が入 札を行っていた韓国高速鉄道プロジェクトというのがありましたが、あの際にも発生して いました。
そのプロジェクトではフランスに加えてドイツと日本の企業連合も入札に参加していたの ですけれども、やはりドイツ企業は日本よりも情報機関が長けていますから、この期間中に 「ドイツの会社のソウル支店から出る電話やファックスが、フランスによって全部盗聴さ れている」というふうにしてフランスを告訴したのです。
一方フランスの情報機関は、この盗聴活動によってドイツ企業がやっている値段の設定な どの情報を得ることができたのです。 そして最終的に韓国高速鉄道の受注をしたのはフランスだったということです。
〜なるほど。
〜はい。フランス方式でしたね。
〜ではフランスはそういった情報機関がもたらしてくれた情報によって勝利を得ることができて、そして日本とドイツは敗北をしたということですね。
〜負けたということです。笑ってしまうのですけれども、ちなみにこの時日本は、欧州 勢によって「日本の新幹線には安全性に問題がある」というふうにネガティブ・キャンペー ンを張られたために負けたのですけれども、当然ながらフランスの企業は日本の企業の通 信も全部傍受しただろうというふうには思っています。
〜そうなのですか?
〜これは間違いないです。ドイツだけやって日本だけやらないわけがありませんから、 むしろドイツより日本の方が強敵だったはずなのです。
〜なるほど。
〜そしてこういった情報戦を仕掛けて、「日本の新幹線は危ないのだ」ということをキ ャンペーンを張って、こういうような心理工作というのも情報機関がやる、まさにドンピシ ャの仕事ですから、やられたのだろうなというふうに思っています。
〜その当時は、日本側は盗聴されていることをもちろんご存知なかったのですか?
〜多分知らなかったのではないでしょうか。
〜知らないということなのですよね。 そう考えると、数年前にこのオーストラリアの次期潜水艦について、日本とフランスが激し い受注合戦を繰り広げたわけなのですけれども、当初「高い技術力を持つ日本が間違いなく 優勢だ」というふうに考えられていたということですが、けれどもフランス企業が結果的に 勝利ということになりました。
ここももしかするとそういった活動が行われた結果、日本が負けたというふうに考えても よろしいですか?
〜私は絡んでいない方がおかしいと思います。
〜絡んでいない方がおかしいですか。
〜はい。日本が敗北した原因というのは後から見ると官民の足並みの乱れとか、武器輸 出戦略が未熟だったとか、それから日本から完成品を輸出するとオーストラリア国内での 雇用創出につながらないみたいな声が出てきたりとかということもあるのです。 しかしその間フランス情報機関というのは、日本のそういった弱点とか、それからオースト ラリアの世論を集中的に研究していたでしょうし、また彼らは日本とオーストラリアの通 信の傍受も間違いなくしていたはずなのです。
日本はフランス情報機関の前に丸裸にされたというふうに考えるべきだと思います。
私が 2012 年にオーストラリアに行った時は、もうオーストラリアの政府から軍人から何か ら、「とにかく日本のそうりゅう型なのだ」というふうな感じでした。 日本のそうりゅうの話が出てくるのは、特に 2015 年とかそのぐらいだったはずなのですけ れど、私は 3 年前の段階でオーストラリアへ調べものをしに行っていて、1 ヶ月ぐらい滞在 したのですけれども、もう潜水艦の話を振ると日本のそうりゅうの話ばかりだったのです。
当時日本では「何も言われないな」と思っていたのです。 しかしフランスはオーストラリアの主要な経済と軍事関連契約に関する情報収集、中でも 潜水艦計画の入札に関しては、日本、ドイツ、スウェーデンといった他の競合に対する見通 しと、それからそれらの国々に対するオーストラリアの姿勢に関する情報の収集に極めて 熱心だったということは、2015 年の 7 月の『The Saturday Paper』というオーストラリア の新聞も報じているのです。
これからはこのような大型の防衛装備輸出などを行う際には、これらに対抗できるぐらい の準備がなければいけないということなのです。 インテリジェンスなき国というのは、どこまで頑張っても最後には負けるということです。 これだけ向こうは日本の潜水艦を欲しがって技術的にはフランスに負けるはずもなかった のに最後は負けてしまったというのは、やはりインテリジェンスが弱かったということで す。
〜本当にそうですよね。いつも情報機関の必要性をおっしゃっています。 つまり国が情報機関、こういったインテリジェンスを使っていくというのは、まさに国の生 き残りであるとか、国が今後どういった方向を目指していくのか、これは必要最小限で必要 最低限のなければいけないものだということなのですよね。
〜そうです。そういうことなのです。 本当にそういった意味では、「インテリジェンスがないと、多分最初から負けるのは分かっ ていた」というふうに言っても良いかもしれません。
〜なるほど。フランスのお話を聞くと、どうしても今までそういったイメージがなかっ たので、フランスのイメージが悪くなる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、ただや はりそういったインテリジェンスがあったことによって、フランスというのがそういった 強国のままでいるという、こういった表の面もありますね。
〜そうですね。当然これもそうなのです。 こういう話をするとフランスの悪い点ばかりあげつらっているように見えるのですけれど、 これは本当に善悪の問題では全くないと思っています。 特定産業のみならず一国の軍事力とか政治力とか外交力にまで多大な影響を及ぼすのが、 今日の最先端技術なのです。
そういった開発というのは、もはや安全保障分野そのものなのです。 いくらビジネスとはいってもほぼ安全保障分野なので、そんなところに政府系情報機関が 関与して時に暗躍するのは、ある意味当たり前の話なのです。 それをやっていない日本の方が国家としてはおかしいのであって、フランスはある意味そ の辺りの責任は国家としてきっちり果たしているということです。
つまり、「フランス国民を今後いかに長年安泰させて食わせていくかということを考えるた めには、本当に何をしてもフェアなのだ」という考え方でやっているフランスの方が、もし かしたら健全なのではないかと私は思います。
〜なるほど。日本は「政府もしくは国と民間は違うのだ。民間は民間でやっていこう」 という気持ちがものすごく強い国だと思うのですけれども、そういった議論というのは、も う古いというか、過去のものになりつつあるのでしょうか?
〜そうですね。民間企業に関与すると競争力を削ぐみたいな話......。
〜ありますよね。
〜あります。しかし今、実際に世界を見渡せば、グローバル市場なるものをけん引して いる上場企業の多くが実は国有だったりするのです。 中国とかインド、シンガポール、インドネシアなどは、上場企業の多くは国有ですし、アメ リカだって IT や製薬業界の最先端の研究開発費を政府が結構出資しているのです。
ドイツの場合も大手のフォルクスワーゲン社の株は 20 パーセント政府所有ですし、世界最 大の天然ガス生産企業であるガスプロム社というのは、株式の過半数はロシア政府が持っ ているわけなのです。 だから「民間あれを削ぐと何とか」というのは、それは人間の考え方とかシステムの問題で あって、資金の戦いですから政府のお金が入ったらそれは強いです。
〜もちろんそうですよね。しかし今後日本がそういった方向にかじを切るかどうかはま だ分かりませんけれども、少なくとも今の段階において日本が政府からの援助がない状態 の中で、そういった政府の援助を受けている国と戦っていくのは、これはかなり難しいし厳 しいですよね。
〜そうですね。本当に日本企業は孤立無援という形です。 防衛装備品の輸出に関しても、例えば先ほどの潜水艦でもそうですけれども、2015 年に防 衛装備庁ができました。 しかしその実態というのは、いろいろな会社の人に話を聞きますと、「防衛装備庁はつくり ましたから、企業さんがやってくれないと困ります。そうでないと国は何もできないですよ」という感じです。
一方企業も、当然ながらもうけが出るかどうか分からないですし、自分の企業にとっても本 当に数パーセントの利益もないような防衛産業に、しかもいざとなったら向こうで捕まっ てしまうかもしれないとか、もうけが出るかさえ分からないものに、政府のためにやるかと いうと、「なかなか政府が手厚い支援をしてくれなければ動けない。それが実情だ」という 話を聞いたことがあります。
実際に私の知る限りでは、2015 年から今まで輸出は連戦連敗ということです。
オーストラリア向けの海自の潜水艦がフランスに負けました。 イギリスとニュージーランドに向けた P1 哨戒(しょうかい)機もアメリカの P8 哨戒(し ょうかい)機に負けました。
それから海上自衛隊の救難飛行艇 US-2 もインドとの交渉が止まったままになっていて、タ イへのレーダーサイトもどうやら話が止まってしまっているとかで、こういった感じで連 戦連敗なのです。
こうやって見ると、「日本は何と能力がないのか」というふうに思うのですけれども、しか し海外市場で武器市場などというのは、さまざまな国の情報機関とかが国家のプライドを 懸けて裏工作から何から全部をやっているのです。 つまり日本は「制度上はできない」という問題もあるのではないかと思います。
〜なるほど。そういうふうに考えていくと、こういった日本のような国が、もちろん政 府の支援がない中で戦っているという状況もそうですけれども、当たり前のように海外で は政府と民間の一企業がかなりそういった近しい関係にあるならば、今回のゴーン氏の逃 亡劇というのがフランスがルノーという、特にフランスの息が掛かった一企業の元会長で いらっしゃるのですから、関わりがないという方がおかしいかもしれませんね。
〜そうですね。おっしゃる通りで、電気自動車とか自動運転技術というのはこれからの 自動車業界を生き抜く先端技術なのですが、それが独自ではルノーにはないのです。 なので経営難に陥っていた日産を金の力で買収して、日本の日産といえば「技術の日産」です。 その「技術の日産」が持つすべてをわがものにする以外に、自動車生産大国として生き残る 道がないのです。
まさに自動車業界というのは今「100 年に一度の変化期を迎えている」と言われているので、 そんな中で、もしもルノーがこのまま何の手立ても講じずにいれば、同社は間違いなくこの の激しい競争から置き去りにされて、つまるところ最悪の場合、事業縮小から倒産というふ うになるというわけです。
そうなれば十数万人の失業者がフランス国内に出ます。 国家経済も破綻しかねません。
これはフランスにとってみれば絶対に看過できないのです。 そうなる前に、フランス政府が株主であるルノーは、まずはアライアンスという形で徐々に 日産に浸透して、同社の高い技術を獲得してどんどんこちらに引き入れたいということで す。
その次は日産をルノーに完全合併させて、フランスの自動車メーカーにしてしまおうとも くろんで、以前ゴーンさんはそういうことには少し距離を置いていたらしいのですけれど、 ゴーンさんも数年前からフランス政府の意向に沿うような動きを隠さなかったというのが 実は言われています。 そういった意味でゴーンさんの行動は日本側から見ればどう見ても産業スパイであり、日 本の技術の乗っ取りなのです。
しかしフランスからしてみれば、生き残りのために絶対にやらなければいけないことなの です。そういう熾烈(しれつ)な戦いではないかというふうに思います。
〜確かにその一連を聞いていると、本当に「何と戦略的な経済行為だ」というふうに思 いますけれども、「なぜわれわれは気付かなかったのか」とも思います。 しかしその一方で 2019 年、これは去年ですけれども 5 月にイタリアのフィアット・クライスラー・オートモービルズ、これは FCA などといわれますけれども、こことルノーの経営 統合の話が持ち上がりました。 この辺りもやはりそういった戦略戦の上に立ったものなのでしょうか?
〜そうですね。私もこれは面白いなと思って見ていたのですけれども、FCA つまりフ ィアット・クライスラー・オートモービルズも先端技術の独自開発が難しいのです。 ちなみに FCA はイタリアですが、ルノーとの経営統合を通じて電動化と自動運転に関する 日産の技術を取り込もうとしたというふうな指摘を報道でもされていて、それは間違いな いと思います。
FCA との統合はルノーにとっても悪い話ではないのです。
なぜかというと、ルノーと FCA が統合すれば会社規模では日産を上回るわけなのです。 すると、「さまざまな面で日産に対する交渉力が増す」と言われています。 つまり、日本の技術を狙っているのは何もルノーだけではなくて、イタリアも狙っています。 どのようにして日本の最先端技術をわが物にするかということを、技術で盗むということ もありますけれども、株式やお金の力など、いろいろなもので取ろうとするのが、今の外国 企業の関心の的なのだろうというふうに思います。
〜なるほど。ただ、一方でルノーとこの FCA の統合話が、わずか 10 日で破談したと いうことですが、これはどういった背景があるのでしょうか。
〜これは、私もいろいろ見ていたのですけれども、この FCA との統合の話のときに、 ルノーの筆頭株主である、フランス政府が出した条件がネックになったのだろうと思いま す。
フランス側は徹頭徹尾、「FCA とは統合してもいいけれども、とにかくフランスの雇用を失 うな」と主張していました。
例えば、「工場を国内ではなくイタリアへ持って行ったり、スウェーデンへ持って行ったり など、そういうことをするな」といった、フランスの国益に関わることばかり言ったのです。 ルノーにとって大切なはずの、日産と三菱とのアライアンスのようなことに関しては、「影響を及ばさなければいい」という程度の話で、「とにかくフランスの職を失うな」というよ うなことばかり言っていたのです。
多分 FCA 側は、フランス政府がルノーの経営陣に対して有するこんなに強い影響力や自国 ファースト的な主張を見て、「これはうまくいかない。面倒くさい相手だ」と思ったのでは ないかと思います。
それで 10 日でスパッと切ったのだろうと思います。
つまり、このやり取りの中で見えたのは、フランスは「民族の対立を越えた社会」や「国境 の撤廃」や「経済統合」といった EU の理想の旗振り役だったのです。 しかし、旗振り役だったはずのフランスが、実は本音では、自国の生き残りにしか興味がな かったというもろに見えた瞬間だと私は思っています。
〜確かにそうですね。しかしながら、それは生き残り策として致し方なかったのかもし れません。 ただ、もし今回のことが、いわゆる公になったときに、日本をかなり怒らせるリスクまで背 負ってしまいました。
これは、例えばレバノンがそういった上流階級に所属する、富裕層であるゴーン氏を助けた ことが、市民の方たちの怒りを買うように、反対にフランスは「この人を助けなければなら なかった」という、ある種の義務みたいなものがあったというような背景もあったのです か?
〜そうですね。つまり、「いわゆる上級国民だからではないか」というような話だと思 いますが、確かにそれはあると思います。 しかし、もう一方でフランスという国が面白いのは、過去から現在にかけて、結構社会階層 を問わず、例えば誘拐されたり、他国に監禁された自国民を救出することで、「政府は絶対 に国民を見捨てない」という強いメッセージを国内外に発信してきました。
例えば2009年4月に、ソマリア沖のアデン湾でフランス人の家族が乗るヨットが海賊に乗っ取られた事件では、フランス海軍の特殊部隊が救出作戦をやりまして、人質の内、1 人は 死んでしまったのですが、3 歳の子供を含む 4 人を救出しました。
それから、2013 年はソマリアで、先ほどから話に出てきます、フランス情報機関の対外治 安総局の要員がソマリアで武装勢力に誘拐されまして、先ほど言いました、同局の Action Service という特殊作戦部隊が大規模な救出作戦を実施しました。
しかしこのときは、部隊が激しい抵抗に遭い、結局その人質は処刑されてしまって、あとフ ランス側にも複数の戦死者が出たことで作戦は失敗に終わっているのです。 しかし、それにも関わらず、去年、2019 年 5 月には、アフリカ西部のベナンを観光中に誘 拐され、隣国のブルキナファソで人質となっていたフランス人旅行者 2 名の救出作戦を実 施して、このときに 1 人は本当にムキムキのすごい体の特殊部隊員でしたが、その人も含 めて戦死しているのです。
しかしこのときは、この 2 人に加えて同じ場所で監禁されていたアメリカ人と韓国人も一 緒に救出されているのです。 それから、少し古い話なのですけれども、そんな救出活動の中でも、実は最も驚くのが、 1985 年の 7 月にニュージーランドのオークランドでフランスの南太平洋域における核実験 に抗議していたグリーンピースの船を爆破沈没させて、1 人を殺害したテロ事件も起こして いるのです。
〜そんなことがありましたか?
〜はい。ありました。
〜グリーンピースといえば、世界的な環境保護団体として有名な団体です。 その船を爆破するなんてひどいですね。
〜殺すつもりはなかったのでしょうけれども、この作戦ではフランス情報機関員がまず 二手に分かれてニュージーランドに入ったということです。 そして陸上からの支援チームは、観光でこの国にやってきたスイス人のカップルを装って入りました。
一方の情報機関の特殊部隊員は、フランス領のニューカレドニアから爆発物を持って、海路 でオークランドに侵入したということです。 そして、海路潜入チームは爆破任務を終えると、爆破させずにそのまま沖合に待機していた フランス海軍の原子力潜水艦で脱出したと言われています。
一方、陸路支援チームも逃げようとしたのですけれども、その作戦の最中に地元民に目撃さ れてしまって、警察に逮捕されてしまったのです。 このときに、当然フランス政府は、また同じように事件への関与を一切否定しましたが、や がて怒ったニュージーランドに多くの証拠を突き付けられて、事件の関与を認めたという ことです。
その後フランス政府は、ニュージーランド政府と、救出のために水面下で多くの交渉をした のですけれども、最後は農産物の輸出で食べている「ニュージーランドの農産品を欧州市場 から閉め出してやるぞ」と脅しをかけて、譲歩を引き出して、最終的にフランスの 2 人の秘 密情報部員を帰国させたという経緯がありました。
〜フランスという国のイメージがどんどん変わってまいりましたけれども、そもそも今 のような話は、日本人の方はほとんどご存知ないのではないですか。
〜そうですね。多分、環境保護団体の方なら知っているのでしょうけれども、一般的に はほとんど知られていないと思っています。 あと、こんなに敵対勢力や外国政府に身柄を拘束された人々への救出活動の実施というの が、今日もなお、世界中でフランスの国益のために活動するビジネスマンや秘密情報部員や 軍人たちを強く勇気づけているということは間違いないだろうと思います。
さらに、もしゴーンさんがフランス産業の競争力を強化するために日本の先端技術を乗っ 取ろうと考えるフランス政府の asset というか、道具として機能していたのだとしたら、 「日本政府を一時的に敵に回しても、フランスは絶対にゴーンさんを助け出すだろう」というふうに考えるだろうと思うのです。
このような姿勢こそがアメリカ、イギリスを筆頭とするニュージーランドを含めたアング ロサクソン連合のファイブアイズのような連合と軍事面のみならず、政治経済面でも何世 紀もの間、フランスは単身で張り合ってきたわけです。 そこがやはりフランスの強さ、心臓に毛が生えているような強さなのだろうと思うのです。
実際にゴーン氏が逮捕された後、「あれは日産による陰謀なのだ」というふうにゴーンさん に告げたのは、何と駐日フランス大使だというふうに報道に出ています。 実際にフランスの経済財務副大臣もメディアに対して、「ゴーン会長がもしフランスに来た としても、日本に引き渡すことだけはしない」と、はっきり言っているのです。
つまりこれは、フランス政府は「ゴーン氏を絶対に見捨てない」と宣言しているのです。 ここで見捨てたりしたら、ゴーン氏だって黙ってはいないです。 「フランス政府のためにやったのに、ふざけるのではない」というふうになると思います。 場合によっては「フランス政府によるさまざまな秘密工作をばらすぞ」というカードも彼は 持っているわけですから、絶対にフランス政府は見捨てないし、見捨てることはできないと いう事情があります。
一方で、もう 1 つ、本当に面白い話ばかりなのですけれども、ゴーン逃亡劇にまつわる、例 えば「グリーン・ベレー出身の隊員がいた」などのいろいろな情報というのは、ルノーを始 めとする欧州勢の台頭を嫌う米国筋や、EU 離脱を明確にしたイギリス筋のニュースメディ アから大量に出てきたというのは非常に面白いというふうに思います。
〜なるほど。お話を伺っていると、フランスのイメージがどんどん変わりつつあります けども、一方でよく丸谷さんがおっしゃっているように、「世界の政治をよく見ながら生き 残っていくためには、こういった方法論を採る」ですとか、「そういうところを知らないと 生き残っていけない」ということも、1 つの見方ではありますね。
〜そうですね。やはり、この世の中では、結局「だまされたり利用される方が悪いのだ」ということになってしまうということです。 今回に関しては、本当にインテリジェンスの欠如と、それから肩書きに惑わされたことで、 ゴーン氏に逃げられた日本側の脇が甘かったということです。
検察は「絶対にやるだろう」と思っていたのに、日本という国がやらせてしまったというこ となのです。 現時点でレバノン政府というのは、ゴーン氏の海外渡航を禁止するなどという通達を出し ていますが、ゴーンさんの奥さんは「公平な裁判が期待できるフランスでは裁きを受けたい」 と言っているのです。
先ほどの「公平な裁きを受けるためにもフランスへ行きたい」という麻薬を運んだフランス 人パイロットと一緒です。 すると、結局しばらくしてほとぼりが冷めた頃に、フランス政府がこの希望を追認する形で、 つまり「フランス政府検察が責任を持ってゴーン氏を逮捕して訴追しよう」と言うことによ って、裁判に呼んで、何年もかけた後、ほとぼりが冷める頃に緩い判決を出して、罰金など いろんな形で一件落着とする可能性があるでしょう。
するとやはり、先ほどのフランス人パイロットたちのように、これによってフランス政府に よるスパイ脱出作戦は成功ということになるのです。 なので、そういった意味ではフランス政府はおそらくゴーンさん救出は今の段階では絶対 に諦めるつもりはないし、諦めることができないだろうと思います。
〜今日はお話を伺っていて、いわゆるすべてはフランスという国の考え方の筋が通って いる結果、「ゴーン氏はやはり救出しなければならない」ということですね。
丸谷:そうです。私もそういう意味ではフランスというのは善悪を越えたところにある立派 な国だと思います。
〜筋は通っていますね。
もう 1 つお伺いしたいのは、今回たくさんのいろいろな登場人物が出てきましたけれども、トルコのプライベートジェットの運営会社が関わってきたということなのですが、トルコ という国の動きはどのように見ていらっしゃいますか。
〜そうですね。トルコは今回、完全に使われただけなのかというふうに見えます。 しかし、トルコの情報機関がまた優れた所でして、フランスの情報機関もそうですけれども、 トルコの情報機関には敬意を抱くくらいすごいと思うことをやってのけるのです。
トルコ情報機関が知らなかったということはないと私は思っています。 早速パイロットを何人かいきなり逮捕しました。 本当に彼らが知らなかったなどということは多分あり得ないと私は思っています。 アメリカの経済制裁によって、ハイパーインフレで苦しんでいた南米のベネズエラの政府 が、牛肉 1 個を買うのに大金を積まなければならなかった事件がありました。
そもそも、この飛行機の運営会社というのは、その頃に現金を得るために、ベネズエラ政府 が持っていた金の延べ棒をイスタンブールで換金するために、やはりプライベートジェッ トで飛ばして行ったのですが、そのときの会社なのです。 そういった秘密作戦でも使っているのです。 つまり、ベネズエラ政府が持っている金をインスタンブールでドルか何かに換えてまた持 って帰ったという仕事をしていたのです。
また、関空からイスタンブールへの飛行機というのは、先ほど言いましたようにフランス植 民地であったマダガスカルの会社が所有していましたけれども、今度イスタンブールに着 いたゴーンさんは飛行機を乗り換えて、そこからレバノンに渡った飛行機というのはトル コ第二の国営銀行のハルクバンクの傘下の会社が所有していた飛行機です。
この会社というのはエルドアン大統領と非常に親しい関係にあります。 ゴーン氏が使った、このハルクバンクが持っているイスタンブールからレバノンに飛んだ 飛行機というのは、数年前にやはりあるトルコ系イラン人のビジネスマンがイスタンブー ルから金を大量にドバイに密輸して、それをドルに換金してトルコ政府が秘密裏に購入し たイラン産の石油の代金決済に充てようとしたという事件があったのです。
それに使われたのと全く同じ飛行機なのです。
当時アメリカの対イラン経済制裁の中にはドルなどの currency、いわゆる「キャッシュで の決済はダメだ」と言われたのですけれども、金、ゴールドによる決済は禁止されなかった のです。 そこを突いたのです。このビジネスマンは現在アメリカで逮捕されて裁判中なのですけれ ども、「どうやら 1 兆円以上のお金を動かしていただろう」と言われています。
ちなみに、このトルコ系イラン人の逮捕されているビジネスマンの弁護士というのは、実は ニューヨークの元市長でトランプ氏の顧問でもあるジュリアーニさんなのです。 この男性への訴追をやめさせるために、ジュリアーニさんがトランプ大統領に頼んで、かつ ての閣僚に圧力をかけて、「このトルコ系イラン人を逃がしてやれ」と言ったというような 話があり、これも一時少しスキャンダルになりました。
あまり時間がないので、これについてはあまり深くは言いませんけれども、つまり今回使わ れたトルコの航空会社はさまざまなトルコ政府の秘密作戦に使われた過去があるというこ となのです。
〜なるほど。トルコ政府が今回のことを全く知らなかったわけはない、知っていたと考 えると、それを看過してしまったということですね。 つまり、こうして日本側に何も言うこともなく、そして阻止することもなく看過したという 理由があるのでしょうか。
〜はい。つまり阻止しなかったということですね。 ここからは完全に推測なのですけれども、トルコというのはシリア領内のクルド人を攻撃 しています。
それに対してフランスがかなり強い勢いでトルコを非難しています。
2019 年 10 月にはマクロン大統領はシリアにいるクルド民衆軍の幹部をわざわざ招待して、 その席でトルコを非難しているのです。
すると、その翌月にトルコ政府は「マクロン大統領はテロ組織を支援している」と言って非 難しました。
実はトルコは、クルド組織の YPG という組織をテロ組織として指定しているからなのです。 このときエルドアン大統領はマクロン大統領に「あいつは脳死だ」、「脳が死んでいる」とい うふうに、汚い言葉を使って非難しました。
2019 年 12 月、まさにゴーン逃亡の直前なのですけれども、それに対してマクロン大統領 は「トルコは時々IS と親しいグループと一緒に共同作戦をやってきましたよね」という爆 弾発言をして、トルコを強く非難しました。
つまりお互いの秘密を知っているものですから、チョロチョロと出して攻撃し合っている のです。 かつてシリアを支配していたのはフランスなので、フランスはあそこにはどれだけ豊富な 石油資源があるかということは分かっているわけなのです。
IS が壊滅した今、シリアの政府のアサド家というのは、フランスを信用しなくなってしま っているので、そういったアサド家が再びシリア全土を掌握すると、フランスはすなわち石 油が豊富な地域にいるクルドの権益さえ失いかねないのです。 フランスとしては、やはりそれは看過できないのです。
トルコもそこの石油が欲しいのです。 一方トルコとフランスは、北アフリカのリビアでも対立しています。 リビアは今、国連の主導の下に 2016 年に発足したリビア国民合意政府というのと、覚えな くてもいいのですけれども、かつてアメリカの情報機関 CIA の保護を受けて、リビアのカ ダフィ打倒に功績を挙げたハフタル将軍という人が率いるリビア国民軍というのが、確か にまだ戦っているのです。
トルコとドイツというのは、この国連の主導の下のリビア国民合意政府を支持しています。 一方、フランスはアメリカ、イギリスと共にハフタル将軍が率いるリビア国民軍をサポート しています。実際に「フランスの特殊部隊がこのハフタル将軍の部隊を支援している」という報道もある のです。
すると、トルコとしては、この国連が認めた国民合意政府に付いて、地中海をリビアからト ルコへパイプラインでつないで資源を輸入したいと思っているのです。 当然クルドの方からも入れたいと思っています。 つまりこういった意味では、トルコとフランスというのは、シリアでクルド問題を巡り、ま たリビアで石油資源を巡って争いをしているのです。
ずっとけんかしていたのです。
ですので、そんなときにゴーン氏救出を行ったグループが、世界各国の秘密工作を担って、 しかも裏の業界では信頼と実績のあったトルコの航空会社を選んだわけです。 やはりこのぐらいしかないのです。 するとフランスが同社を選んだのは、同社の実績に加えて、「いくら資金の流れを追ったと ころで、決してフランス政府が関与する証拠は得られない」という自信があったから、一番 使いやすい所を使ったのだろうと思います。
実際にトルコの会社に航空機のチャーター代金を払ったのは、元イギリス軍の軍人で、中東 やアフリカでさまざまな危険な航空業務に従事する、航空輸送を専門としている会社なの です。
しかし、この先の情報は見えてこないのです。 今の段階で、この金がどこから来たのか、誰が彼に依頼したのか見えてこないのです。
一方、トルコは日本に対しては「直ちに関係者を逮捕する」ということで、すごく良い顔を しています。 日本人は、トルコは親日国だと思っていますし、日本とトルコは実際に関係が良いですから、 日本に対して悪い顔をすることはできません。
しかし、逮捕しながら、一方でフランスに対しては、ここで得た秘密情報を小出し小出しに 利用して、フランスに揺さぶりをかけるということをやろうとしているのでしょう。
つまり、われわれは今、ゴーン氏逃亡劇を通じて、最先端技術の支配権を巡るフランスと日 本、およびその他欧米諸国の争いに加えて、中東やアフリカの石油の支配権を巡る国際紛争 の動乱まで垣間見えてしまっているというところがあります。
非常に複雑なのですけれども、簡単に言えば、今、トルコはフランスと仲が悪いということ です。 今回の事件を使わせることによって、弱みを握って、フランスを少しぐらつかせようとして いるのではないかというのが私の見立てであります。
〜なるほど。そういうふうにお話をお伺いしていると、まさに生き馬の目を抜くような、 こういった謀略戦が繰り広げられる国際政治の中で、日本は毎回、毎回、本当に思うところ がありますけれども、これからどのようにしていけばよろしいでしょうか?
〜私は、「日本がフランスなどのように他国をだませるようになればいいのか」という と、やはり、「決してそうではない」と思っています。 今回のようにだまされることはもってのほかなのですけれども、相手をだまして権益を収 奪することはやはり長期的に見たらあまり国益にかなうものではないのです。 やはり力で押さえ付けなければならないのです。
日本は第三の道、つまりだまされない国家というのを目指すべきだと思っています。 そのためには、やはり強力な情報機関というのが絶対に必要なのです。 例えば、宇宙、サイバー、電磁波のことを「ウサデン」と言いますけれども、今は宇宙、サ イバー、電磁波を含む軍事や外交分野のみならず、金融、経済、それから資源など、次世代 自動車技術のような最先端科学技術、そして知的財産権を含めたすべての領域において、対 外諜報(ちょうほう)能力を向上させるしか道がないのです。
こんなインテリジェンス能力の整備強化が今までずっと、この数十年、外資の後塵を拝して きた日本の基幹産業を再生させ、そして人口減少と高齢化と市場の縮小に向かう日本経済 を守って本物の成長へと導く強力な策なのだと思うのです。 そういう意味では、日本人が苦労に苦労を重ねて生み出した技術の海外流出を防ぐためにも、インテリジェンス能力を強化するしかないのです。
海外におけるさまざまな動きを把握すること、つまり防諜(ぼうちょう)能力を強化するこ とでしか生き残る道はないのです。 そういった意味で、今回フランスがすごい能力を持っていることを説明できたと思うので すけれども、やはり私は、日本は少なくとも見習うべきだと思っています。
これだけの政府が関与して、ぐいぐい押してくるのです。 確かにアグレッシブなのですけれども、やられっぱなしはダメで、やはり見習うべきなのだ ろうと思っています。 そういった意味で、日本は生き残りをかけてやっていくには、やはり情報機関、そしてイン テリジェンス能力をしっかり作るしかないというふうには思っています。
〜いや、本当にそう思いました。
今日も、とても驚きの連続でありました。 本日は「ゴーン逃亡劇の裏側。レバノンを利用した第三国の秘密工作」ということで、お話を伺ってまいりました。
どうもありがとうございました。
〜どうもありがとうございました。
( 丸谷元人氏情報より転載させていただきました。)
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( 取り敢えずの置き場 )
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