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戦前予想を覆す駒澤大学の強さはどこか

まえがき 藤田監督2年目の苦闘

昨シーズンから指揮をとることになった藤田監督。
昨シーズンは出雲、全日本を圧倒的な強さで優勝し箱根も優勝濃厚と言われていた。2年連続の3冠をとると思われた駒澤大学に悲劇が襲った。
ライバル青山学院が実力の120いや150%の力で駒澤を圧倒し優勝した。

そして強かった4年生が引退、箱根を走った5名が抜ける形になり、
残った選手で駅伝経験者は6人、エース格の選手はほとんど抜けた。

逆にライバルとなる青学は箱根を走った選手のうち8人が残りさらにはゴールデンルーキーが多数入学することになった。

國學院も4年生主体のチームではなく下級生主体のチームであり今年は大学駅伝優勝を本気で狙ってくると思われていた。




戦前予想に駒澤大学が弱いと思われていた理由

スターぞろいの世代が抜ける


駒澤大学が弱いと思われた理由はまずは選手層の薄さだ。
強い世代には絶対的エースの鈴木芽吹、ロードの鬼花尾に赤星、2年生からすべての駅伝を経験する安原太陽、スピードスター唐澤に駅伝経験者には青学、白鳥、赤津、金子など今名前上げただけでも実績十分なスターぞろいの学年だった。
この学年が抜けたことは学生スポーツとしてかなりチームに悪影響が出ることがある。
例えば、練習での意識、練習の質、そして心持。自分たちがだめでも先輩がなんとかしてくれるという安心慢心がこれまでどうしてもあったと思われる。

夏合宿に篠原が海外遠征をやめてチームに残って練習したという話も聞くが残らざるを得ない危機的な意識の低い状況であったことがわかる。

関東インカレの悲劇

そしてなんといっても関東インカレの結果である。
これまで駒澤大学は関東インカレにすごい力を入れているというわけでもないか売り出し中の選手を起用するなどしてしっかりと入賞をすることが当たり前になっていた。
しかし、今年は、ルーキー桑田の5000m6位
15004で小山が7位に入ったが、それ以外の種目は全滅した。
長く続いた連続入賞記録を持っていたハーフマラソンも今年で途絶えた。

一方でラインバルだる青学、國學院や創価城西東洋など箱根駅伝で上位進出、優勝を狙うチームは結果を残し強さを証明してきた。

今年の駒澤大学はエースは強いけどそれ以外の選手は弱い。
そう思われてもおかしくない状況だった。

エース格にケガとコンディション不良

最初から最後まで元気だったのは篠原だけかもしれない。
むしろエースとしてさすがとしか言いようがない。

3年生の主力人もけがや不調が続いていた。
伊藤に関しては昨年の箱根駅伝でデビュー戦を飾り1年生ながら6区を走り区間賞を獲得した。
しかし、今年の箱根駅伝は出走することができなかった。
その後も走る機会はあったが思ったような成績を出せていない。
関東インカレでも10000mに出場したが入賞できなかった。

山川も箱根で5区を走るべき選手だったが全日本が終わってから思ったような練習ができず4区に回ったが走ってる途中で故障し区間6位となってしまった。
その後もレースに出ることはなく復活したのは7月くらいだ。
夏合宿も前半は練習に参加できていなったという。

そして怪物佐藤圭汰だが、順調にレースで結果を残していたが
コンディション不良で春以降のレースには出場せず夏合宿を迎えた。
夏合宿ではしっかりと練習を踏めたそうだが帰省後ケガをしてしまい出雲全日本は回避する形となった。

ただでさえ選手層が薄いといわれている中でエース格の選手が時期はそれぞれ違うとはいえケガやコンディション不良でレースに出られないという事態が続出していた。


出雲駅伝の粘り

区間配置と戦略

駒澤大学は優勝を本気でどれくらい狙っていたのだろうか
2連覇中とはいえ選手層の薄さは否めない、そして怪物佐藤圭汰が起用できない。そんな状況の中どのような戦略を組んだのか

1区桑田
2区帰山
3区山川
4区伊藤
5区島子
6区篠原

戦前予想通り1区には青学鶴川を配置してきたこともあり出遅れ現金でスーパールーキーの桑田を配置した。
おそらく先頭から10秒くらいでつないでくれたらまずまずと思っていただろう。2区はスピードがある帰山。ここも粘って15秒以内で山川へ
ロードに定評のある山川が他大学のライバルと争い20秒以内でタスキをつなぎ4区伊藤が地元の応援を胸に差を縮め5~8秒以内でそして初出場島子が粘り20秒以内でエース篠原にタスキをつなぎ逆転をするという構図だったかもしれない。
エース篠原頼りの区間配置ではあったかもしれない。

しかし結果は驚くものとなった。

出雲駅伝の驚く結果とは

1区桑田は先頭鶴川と15秒差でまずまず
2区帰山は先頭吉田響とは離されるも、青学國學院とは秒差でタスキをつなぐ。
3区山川は青学のエース黒田と一騎打ち。ラストで負けるも区間タイムは勝利。4秒差でタスキをつなぐ。
4区は伊藤。先頭を奪取に成功する。
5区は島子、青学若林に並ばれるも粘り國學院上原が追いつき前に出るも食らいついた。國學院とは4秒差、青学とは20秒の差をつける2位。
6区は絶対的エース篠原。誰もが優勝すると思ったが、4キロ過ぎに先に仕掛けた平林についていけずそのまま引き離され2位でゴールとなった。

篠原は自分を責めたが、チームとしては戦前の予想を大きく裏切る大逆進の2位となり今後の大学駅伝に明るい兆しが見えた。

出雲駅伝で戦前予想を覆した理由

なんといっても、2区帰山が青学野村、國學院山本との差を詰めたこと。
3区山川が青学のエース黒田と同等に遣り合えたことが大きい。
青学にとっては3区で抜け出したかったところだろうが駒澤がそれを許さなかった。
初出走の島子も区間2位と今後の戦力になる計算できる選手になったデビュー戦となった。

つなぎ区間で負けず他大学のエースと渡り合えたのが大きかったか。


5連覇を目指した全日本大学駅伝まさかの連続

区間配置と戦略

1区島子
2区桑田
3区伊藤
4区谷中
5区村上
6区安原
7区篠原
8区山川

名前だけ見ると少し心配はしてしまった。
4区~6区が初出走。2区桑田もスピード区間はあまり向いてなさそう。3区伊藤はこれまでの駅伝前半区間を走ったことなくいきなり前半のエース区間を走ることになった。

戦略としては
1区島子2区桑田で先頭から1分以内でタスキをつなぎたい。3区伊藤が30秒詰め、4区~6区の初出走組で何とか粘り1分半以内で篠原にタスキをつなぐ
そんなイメージだったんじゃないだろうか。
どの大学を比べても7,8のロング区間は圧倒的に駒澤が強かった。


全日本大学駅伝の結果は意外なものに

結果は準優勝。まさかの連続だった。
1区島子は区間13位だったが先頭と7秒差、青学國學院とは5秒差のため順位は悪いがタスキをつないだ位置としては悪くなかった。

2区桑田がまさかだった。区間17位の16位でタスキをつなぐ形となった。
元々後半区間で淡々と走ることが得意な桑田。当初7区を走る予定だったが前日に不安ということから2区を走る予定だった。篠原と急遽変わった。

3区伊藤がまさかの激走。まさかと表現しているが力的にはこれだけの走りをしてもおかしくない選手ではあったがさすがに強すぎた。区間2位(日本人トップ)昨年の篠原と同タイム。強すぎた。8位まで順位を上げる。

4区ルーキー谷中が区間3位で5位まで順位を上げる。
5区村上が区間5位、6区安原が区間3位で5位をキープして篠原へ。

7区エース篠原が走る。先頭青学とは2分47秒差。先頭は太田と平林が競り合いながらどんどんペースが上がっている。
その中篠原は淡々と走り続け、結果2分37秒差、10秒縮め区間賞。
歴代3位、3人目となる49分台を達成した。
前日に急遽変わった区間そして先頭が競っている中一人で走り続けての区間賞は篠原の強さを改めて証明したといっても過言ではない。
篠原はこれまで前半区間で起用されることが多かったが今回後半区間で一人で黙々と走らないといけない中で出した結果。これは次につながる自信になったレースではないだろうか。

8区山川。これがやばかった。篠原からもらったいい流れをさらに勢いを増させた。2分37秒差あった青学との差はゴール残り2キロ付近では0になっていた。
そして國學院上原との差も最終的には28秒差。
誰もが山川の走りに衝撃を受けたことであろう。
SNSでも國學院の優勝より山川の走りのほうがインパクトに残っているというコメントも多く見受けられた。
山川は歴代日本人2位のタイムで区間賞を獲得した。


全日本でシード圏外から2位になった要因

2区終了時点でまさかの16位でシード圏外
ここから2位になったのは駒澤の底知れぬ力があったからだ。

まずは伊藤。3区というエース区間に抜擢されたが昨年の篠原と同タイムで走ったのは篠原と同じだけの力を出せるといってもよい。
出雲では少し重たそうに走っていたが全日本はかなり足取りが軽く見えた。

そして谷中。彼はかなり強かった。谷中はロード向きで山川のような選手になれるんじゃないかというポテンシャルを感じた。
谷中の走っている動画もぜひ見てほしい

5,6の初出走村上、安原も区間上位でしっかりとまとめている。
そしてエースの力篠原と山川が強かった。

まとめ

選手層が薄いとされる駒澤大学
確かに國學院や青山学院に比べるとまだまだ薄いかもしれない。
しかし、戦前予想されていた選手層よりはるかに厚みを増している。
この2大学駅伝で駅伝初出走した選手が5名となった。
これは他大学に比べてもかなり多い。青学は折田の1名だ。
そしてその初出走組がしっかりと結果を残している。箱根でも戦力となるだろう。

全日本走った8名にプラスで箱根の山を下り出雲も走った帰山、そしてなんといっても怪物佐藤圭汰がいる。それ以外にも駅伝未経験だがトラックで結果を残している金谷や2年生の小山、1年生にも力がある選手がいるらしい。

エースの力は他大学から見ても脅威であることは間違いない。
中間層の選手がしっかりとタスキをつなげば
箱根駅伝も非常に面白い存在になるのではないかと思う。

駒澤大学今後も目が離せない。

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