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【開催報告】論文の読み方に関するオンラインセミナーを開催しました

愛知県立大学の久保薗愛先生からご依頼を受け、5/26にオンラインセミナーを実施しました。
久保薗先生の授業を受講している学部3〜4年生30名が参加してくれました。
今後の授業で学生たちが論文をレビューしていくことになるので、そのときに役立つ知識や技術を教えてほしい、というご依頼でした。

参考図書

今回のセミナーは、M.J.アドラー・C.V.ドレーン『本を読む本』(講談社学術文庫)をベースに作りました。

また、この本を解説しているものとして、澤田昭夫『論文の書き方』(講談社学術文庫)も併せて参考にしました。
『本を読む本』は、そこそこの分量があるのに加えて、翻訳書であるせいかやや読みにくい印象があります。
一方、『論文の書き方』は、「論文(学術書)を読む」ということに特化した形で『本を読む本』の要点を平易な文章で要約してくれています。
短時間でエッセンスを理解したい、という人は、『論文の書き方』の「読む」の章を読むだけでも、充分だと思います。

論文を読み解く4つのステップ

セミナーでは、論文を読むステップを4つに分け、それぞれのポイントを伝えました。
4つのステップとは、点検・分析・総合・批判です。

  1. 点検読み 本格的に読み始める前に、できる限り情報を集める

  2. 分析読み 論文全体を部分に分けて、部分と部分を関係付ける

  3. 総合読み 論文の各部分を全体の中で位置付けて理解する

  4. 批判読み 賛成できる部分と反論すべき部分とを見極める

各ステップで何をするかをひと通り説明した後には、3分程度のミニワークをやってもらいました。
聞いて学んだ知識をすぐに実践してもらうことで、実際に活用するときに知識を思い出しやすくしたり、心理的なハードルが生じないようにしたりするのが狙いです。
この「10分程度の講義の後に、2〜3分の練習時間を設ける」という構成は、ルーシー・カルキンズ『リーディング・ワークショップ』(新評論)を参考にしました。

アンケートから

受講生のアンケートから、いくつか感想を紹介します。

今まで、「これ使えそうだな」とざっと見て保存しておいた論文をいざ読むと、あまりほしい内容が載っていなかったことが度々ありました。点検にもう少し時間をかければ思っていたよりも内容が理解できたので、今後はちゃんと見るようにしようと思いました。

論文のみに適応できるというよりも読むことそのものについて学ぶことが多く、大変ためになった。

今までは論文を最初から最後まで同じ労力をかけて読んでたけれど、今回の授業で構造について学ぶことができたので、それを生かして効率的に今後読めたら良いなと思いました。

先行研究の内容全てを正しいものとして捉えるではなく、自分なりに疑問点を見つけながら読み進めていくことが大切だと思いました。

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