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【開催報告】駒澤大学「新入生セミナー」②:レポート作成ワークショップ

駒澤大学の学部1年生向けの必修科目「新入生セミナー」で2週にわたって講義をしてきました。
受講生は両日ともに50名弱でした。
この記事では、第2週目におこなったレポート作成ワークショップについて、報告します。

ブレストカードを使ったアイスブレイク

今回は2〜3人の少人数グループでのワークをプログラムの軸に据えました。
普段は4〜5人のグループで受講しているとのことだったので、各グループをさらに2つに分けて、2人もしくは3人のグループを作ってもらいました。
そしてペア(ないし3人)でのワークに慣れてもらうために、簡単なアイスブレイクをやってもらいました。
今回使用したのは「ブレストカード」です。
面白法人カヤックが開発したカードゲームで、アイデアを出すためのツールなのですが、今回はこれを使って「連想ゲーム」をやってもらいました。
カードにはさまざまイラストが描かれており、そこから連想されるワードをできる限りたくさん考え出してもらう、という遊びです。
まず最初の2分で自分一人で考えてもらい、次の2分でカードを交換して、相手の連想に自分のアイデアを付け足していく、という流れでおこないました。

ブレストカード。カードにはそれぞれイラストが描かれている。

ライフラインチャートを深掘りする

2週目のテーマは「レポートの書き方」だったのですが、具体的な目標として、この後の課題として控えている「自分史を書く」ことを定めました。
事前準備として、「ライフラインチャート(これまでの半生を振り返り、充実度の変化を描いたグラフ)」を作成してあるとのことだったので、それを利用したペア・インタビューを通して、自分史を深掘りするワークをやってみました。
ペア・インタビューでは、インタビュアーを交代する度に、質問のスキルを1つずつ提供していきました。

最初は「6W2H」のリストを提示するだけで、なるべくいろいろな疑問詞を駆使して、相手から情報を引き出すようにと指示しました。
単に「インタビューをしてください」とだけ伝えてしまうと、つい「なぜ」を繰り返し使ってしまいたくなります。
しかし「なぜ」という問いは曲者で、使い所を間違えてしまうと、表面的で浅い答えやありきたりな答えしか返ってこない可能性があります。
とくにインタビューの最初の段階では、その話題について充分に深められていないため、そういう事態に陥りがちです。
「なぜ」を問うための状況を整えるには、その前に相手から情報を集める・引き出す過程が不可欠です。
そこで、この段階では、なるべく「なぜ」に頼らないように、と指示をしました。

1人目のインタビューが終わったら、次は「閉じた問い・開いた問い」の区別を導入しました。
「閉じた問い」を「1つの単語で答えられる問い」、「開いた問い」を「答えに説明が必要な問い」と定義した上で、どのような質問が「閉じた問い」「開いた問い」にそれぞれ分類されるのかを説明しました。
さらに、「閉じた問い」「開いた問い」それぞれの長所と短所を伝えた上で、それぞれの長所を活かして、問いを使い分けるように助言しました。

2人目のインタビューが終わったところで、最後に「視点や話題を変える問い(他には?、など)」「深掘りしたり具体化する問い(例えば?、など)」の区別を紹介し、意図を持って話を展開できるように助言しました。「ライフラインチャート」を使ったワークは、私自身も何回か取り組んだ経験があります。
一人で自分の過去を振り返るのも悪くないのですが、人に質問をしてもらったり、話を聞いてもらったりすることで、忘れていた事実を思い出したり、新たな自分の特性やこだわりを発見することがありました。
このペア・インタビューを通して、自分だけでは気づかなかった事実や感情や価値観を掘り起こすことができていればいいな、と思います。

ペア・インタビューの様子

自分の人生の物語を紡ぐ

ペア・インタビューは、自分史を書くにあたり、「何を」書くかを具体化させていく作業でした。
手元の「ライフラインチャート」を手がかりに、自分の半生のどこに注目するのか、過去のどんな出来事が今の自分に繋がっているのか、を洗い出してもらいました。
講義の後半は、それらを並べて、「どう」文章にしていくかを整理する作業をおこないました。
文章の流れとしては、「過去→現在→未来」のように、時間軸に沿って展開していくのが定石です。
しかし文章の構成を考える上では、「今の自分」を起点にした方が考えやすいのではないかと思います。
「今の自分」を自分はどう認識しているのか、「今の自分」を構成する大事な要素に何があるのか。
その認識や要素の源流が「過去の自分」のどこに遡れるのか。
そして「今の自分」の延長線上にどんな「未来の自分」を描くことができるのか。
「今の自分」と「過去の自分」とを繋げる、そして「今の自分」から「未来の自分」へと繋げることを意識するように伝えました。

今回のワークショップでは、実際に書く作業というよりは、その準備段階に焦点を当てました。
それは、「文章が書けない」ことの原因の多くは、準備不足にあると考えたからです。
パソコンを開いて文書作成ソフトを立ち上げる前に、何を、どんな順番で書いていくかをしっかりと考えて決めておければ、比較的スムーズに文章に起こすことはできるのではないかと思います。

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