no Filterの「強み」についての一考察(4)
(5)子どもに向けたアンケート結果とその考察
次に、子どもたちに向けてアンケートを実施した。なお、実施方法としては、ご家族経由で聞き取ってもらう形で実施している。子どもの視点から「no Filter」がどのように映っているのか、大変興味深い結果を得ることができた。
①no Filterの好きなところはどこですか?
●可愛い。
●パフォーマンスが凄い。歌がうまい。カッコいい。かわいい。
●かわいいしおどりがたのしい。
●歌がうまくて、ダンスが上手で、ライブの時どこにいても見つけてくれて、優しくて可愛いところ。
【考察】
子どもたちの目に映るno Filterは、とにかく「かわいい」。それはそうだろう。大人が見ても可愛いと感じるのだから、子どもたちからしたらあらゆる可愛いキャラクターを超えた究極に「かわいい」存在であろうことは想像するに難くない。加えて、「歌が上手い」「ダンスが上手」という意見があるのも注目に値する。子どもたちは単に「かわいい」対象というだけでno Filterを観ていない。歌やダンスといった、アイドルの本質的な部分までよく観ているということに驚かされる。つまり、我々大人のオタクと同じ視点でno Filterを観ているのである。僕は常々、お子さんのホワイトフィルターたちを「オタクとして尊敬する」と表現する。それは彼女たちが真剣な眼差しでno Filterを推してくれているからに他ならない。アイドルを推すのに年齢など関係ない。子どもは大人が思っている以上に「立派な一人前のオタク」である。対等な存在である。
②学校や園で友達にno Filterのこと話したりしますか?(その時の友だちの反応とかもあれば教えてください)
●お話しするけどみんな分からないそうです(まだ年少なので)。
●していません。
●ううん、みんなしらないよ。
●パソコンの授業があると同じクラスの子に写真みせたりする。学校にno Filterを好きな子もいます。学年違うけど、なのちゃん好きな子。知らない子は、この人だれ?って聞いてきます。
【考察】
推し活が浸透していけば、現場に行く楽しみも増していくのかもしれない。パソコンの授業でno Filterの写真を見せたり、というのはホッコリとする。身近に会いに行けてライブも観れてお話もお写真も撮ることができる超絶かわいいアイドルがいるんだよ、というのが子どもたちの間でももっと浸透していけば、推し活の世界は広がる。子どもたちも大人と同じで推し活や布教を頑張っているのかもしれない。
③家族でno Filterを観に行くのは楽しいですか?
●楽しい。たくさん行きたい。
●楽しいです。
●たのしいー!
●とっても楽しい♡
【考察】
楽しいから行く。それはそうである。しかしここにビジネスのヒント、新規ファン獲得のヒントがある。子どもの流行のネットワークはバカに出来ない。ひとたび興味の対象として子どもたちの間で広まると、学級で、学校で、ブームが巻き起こる。子どもが行きたいと言うから親は連れていく。そのうちに親もハマる。親同士のコミュニティーができて現場に行くのが楽しくなる。プリキュアや仮面ライダーなど、子どもに付き合わされて観るでもなしに観てたら自分までハマってしまったという話はよく耳にすることである。であるならば、アイドルだってその理論は適用されると僕は思う。
まずは子どもの心を掴む。そして親に波及させる。ビジネスの話にしてしまうと少しいやらしい感じになってしまうが、ファン層拡大のための一手はそこにあるのではないか、と僕は思っている。
④来ている他の(大人の)オタクの人たちの印象を教えてください。
●優しい。
●いい人が多いけど、一部、微妙な感じの人もいるように思います。
●いっぱいあそんでくれておもしろい!
●知ってる人は、優しいくて面白い。知らないオタクの人は、怖いみたいです。
【考察】
子どもにとって親以外の大人は未知なる存在である。それが「オタク」という特殊を極めた人種であれば尚更であろう。怖いと思われて当然である。しかし、「優しい」「面白い」という意見があることからも、ホワイトフィルターの間では、子どもに対してフレンドリーに接するオタクも少なくない。
一方で、子どもの目は、大人が思っている以上によく見ているし、厳しさがある。それは、「微妙な感じの人もいる」という言葉に集約されているだろう。子どもたちに「微妙」と思われない為にも、現場では恥ずかしくない行動を取りたいものである。
⑤同じくらいの年齢の子たちとno Filterを観たいと思うことはありますか?
●はい。さくらちゃん(no Filterを推している別のご家族のお子さん)と一緒に観れて楽しかった。
●あります。
●〇〇ちゃんといっしょにみたらもっとたのしい。
●思う♡
【考察】
これは設問③で考察したこととも通じるが、やはり楽しいことは友だちと共有したいと思うのは普通の心理である。子どもが学校で「no Filter」を話題にし、その友だちが興味を持ってくれて親と共に現場に来てくれる。そしてそこで楽しさを共有し、ハマってくれる。こうして伝播していく可能性は、十分あり得る。それを実現させるためにも、親子連れに優しい環境や優しいレギュレーションは必須であるように思う。