灼熱のデイキャンプ
ついにデイキャンプデビュー!と華々しく書きたかったのだが、そうはいかせてくれないらしい。
念願のデイキャンプは期待していたものとは全く違った
夏の強い日差しを遮るタープの下で、爽やかな心地よい風が吹き、焚き火のにおいと火のゆらぎを楽しみつつ、うまい飲み物を片手に語らったり、肉を焼いたり、日が落ちゆくさまを眺めたり。
そんなイメージでいっぱいの自分は「ついにデイキャンプに行ける!」とウキウキワクワクしていた。
それは、お盆前の話。
キャンプ初心者の友人が初めてのテントを買って、テントの初張りをしたいけどうまく組み立てられるか不安だからと、ベテランキャンパー(になりつつある)友人夫婦を召喚し、ついでにデイキャンプもするので一緒にキャンプしようと急遽、お誘いを受けた。
せっかくのチャンス、楽しいデイキャンプのイメージにウキウキして、ちょっと遠いところだけど、お盆の帰省の道すがら自分もデイキャンプにおじゃまできることになった。
今回は帰省のタイミングだったので、今まで集めてきたキャンプ道具は持っていかず、冷凍したこんにゃくゼリーと、キンキンに冷やした麦茶をステンレスボトルに入れて、ほぼ身一つで乗り込んだ。
だが、お盆時期の8月中旬、日本列島は灼熱地獄状態。
想像していたウキウキなデイキャンプのイメージは、キャンプ地についた瞬間に音を立てて崩れ去った。
午前9時。
気温33度。
灼熱の苦行の時間は始まった。
炎天下で2時間、ナウシカのオームと戦う友人夫婦
ベテランキャンパーになりつつある友人夫婦が張ってくれたタープの下で、イスに座り、冷たい麦茶を飲みながら、テント初張りに苦戦する初心者キャンパーの友人夫婦を眺めて応援する。
テントを買った本人が、自分たちだけで張れるようになるためにということで手伝いはしない。
ただ、なにせ相手は総重量20キロ超えの大物の家族用テント。
ナウシカのオームみたいな形でなかなかのサイズ。
狭めのワンルームマンションの1室よりでかいんじゃないか?と思える。
ポールの数も多く、組み立て方も難しいらしく、炎天下で汗だくになりながらへばる夫婦。
時折、ヘロヘロになりながら、こちらのタープに逃げ込み、スポーツドリンクを飲みつつ、YouTubeで組み立て方を何度も確認。
相当大変らしい。
がんばれ〜と笑いながら言い放ち、ベテランキャンパー夫婦と自分は、とにかく冷たい飲み物を飲み続ける。
なんだかんだ見ている方も、結構厳しい。
午前10時。気温35度。
いくらタープの下にいても、かなりしんどい。
たまに吹く風は熱風で、ドライヤーの中にいるかのように感じる。
そんな時間が2時間以上続き、なんとか大物ナウシカオームテントが張れた。
大喜びでみんなで、テントの中に入ってみると、異常なまでの湿度の高さで蒸し風呂状態。ビニールハウスというよりスチームサウナに近いレベルで、全員入って一瞬で悲鳴をあげて逃げ出す。
急ぎ、テント外側を跳ね上げて、フルメッシュの状態になったら、かなり快適にテント内で過ごせるようになった。
非常にいいテントだけど、大変すぎる。
初心者キャンパー夫婦は、もう全力を出し切ったような状態であった。
暑すぎて生きるために飲む以外何もできない。それでも意外に気分はいい。
本当はデイキャンプデビューで、買ったばかりのメスティンを使って何か料理をしたかったのだけれども、炎天下の下、火を使う気に全くなれない。
午後1時。
気温37度超え。
食欲ゼロ。調理する気もゼロ。
ベテランキャンパーの友人たちは色々と食材や調理器具を持ってきていたのそうだが、暑すぎる環境で全く食欲がわかないし、作る気にもならない。
延々と冷えたビールを飲み続けていた。
もう冷たいものを飲むことしかできない。
というか、熱中症にならないために、生きるためには冷たい液体を吸収せざるを得ない状況と言うほうが正確かもしれない。
そんな中、唯一食べられたのがローソンで買ったフローズンパーティ。
本来は電子レンジでチンして温めて溶かして食べるほどカチンコチンに冷凍されたパフェ兼フローズンドリンクなのだが、YETIのクーラーボックスに入れて約1時間後、程よく溶けて美味しいフローズンドリンクになっていた。
電子レンジの代わりになるなんて、なんという暑さ。
マンゴー味、めちゃくちゃうまかった。
でも、初めてのデイキャンプはキツイことだけではなかった。
暑くてしんどかったけれど、たまにふわりと吹く川からの涼しげな風は気持ちよかったし、マシンガンタイプの水鉄砲を抱えて遊びまくる親子とかをみてると非常に平和だなぁと感じたりできた。
ときには、野外ですごすのもいいもんだ。
そして、帰り際、空には犬の形の雲が出てきてびっくり。
天気予報で急なゲリラ豪雨が来る状況だったので、撤収は全員総出で一気に実施。案外ペグを抜いたり、ポールを畳んだり、やっぱり組み立てや解体は楽しい。
デイキャンプデビューを終えて
夏が苦手な人間に、気温35度超えは無理だ。
どうしても夏場やるなら標高が高いところに行かないと命の危険を感じる。
そう静かに強く心に決めてキャンプ場を去り、実家に戻るのであった。
そして、そこから数日体調を崩したのは言うまでもない。