【#おつまみ東方SS】パチュリー 一

「そういう類は昔全部捨てちゃったわ」
 それが図書館の主に恋愛系の読み物は無いかと問うた結果だ。一瞬で答えられる辺り、流石の把握である。
「なぜ、そんなのを?」
 色恋につくづく縁の無い僕は、ふと思いつき創作だけでも享受してみたくなったと伝えた。
「……必要ない。貴方にはそんなもの」
 そっけなく告げられたその結論は、根拠が乏しかった。そのある種の横暴さを自覚している様子のパチュリー・ノーレッジは、ばつが悪そうにそっぽを向いて。
「じゃあ、縁結びの魔法なら、してやってもいいよ」
 そう呟いた彼女の顔は、本で隠れてよく見えない。
 そもそも僕には想い人がいないのに、誰と縁を結ぶのか。
「……神道における縁結び祈願を魔法で擬似的に真似る行為に過ぎない。相手は、今は見えてなくてもいい」
 パチュリーは半ば強制的に魔法陣を出現させた。なぜ突然ここまで不機嫌そうになったのか、僕にはまだ分からなかった。

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