34.2%「子育て仲間がいない、つくれない」【2021年調査】数字で見えた「ママ達の心の声」Vol.2
コロナ禍で出産した人の多くが、「ママ友が作れなかったり、いても会えない日々が当たり前」になっていたのではないでしょうか。
一方で、コロナ禍前と後を知る支援者からは、親子の様子変化を心配する声がこの調査でも多く見られました。
また、感染症対策により支援事業が制限・縮小されたことで、コロナ禍前の半数しか保護者との接点を持てなかった反面、より丁寧な対応ができるようになったという声も。
保護者との接点をコロナ禍前と同レベルに維持し、同時に支援の質を高めるには、子育て支援のリソースを効率的に機能させるための課題があることも、結果から示されています。
Vol.2では「コロナ禍で子育てする保護者の置かれた環境」に関する調査結果を中心にご紹介します。
Vol.1はこちら▼
なお、すべての調査結果は文末のリンク先よりご覧いただけます。
※引用データの出典元:「コロナ禍における親の”孤育ち”実態および子育て支援に対するニーズの変化」調査報告書
※調査対象【兵庫県全域の3歳未満の子どもを育てている保護者】447名
※紹介する調査の回答者は母親が95.7%だったことから「ママ達の」と題しています。
※調査期間は2021年9月22日~11月30日です。
※写真はイメージで調査内容とは関係ありません。
⑥52.1%「ワンオペ育児になっている」
過半数を超える保護者にワンオペ実感があることと、コロナ禍との関連は、この調査からはわかりません。
しかし、妊娠出産が女性しか担えないのに対し、育児は男女で共に担えることを考えると、こうした実感を持つ女性が半数いることは、日本の子育て環境をありのまま示す数字だと感じます。
⑦34.2%「子育て仲間がいない、つくれない」
これもコロナ禍前との比較はできませんが、少なくとも「子育て仲間が欲しい」と感じる保護者にとっては、コロナ禍ではより孤立感の高まる環境であったと言えるでしょう。
また、コロナ禍で妊娠出産を迎えた場合は、そもそも子育て仲間を作れるという発想に至らない保護者もいたのではないでしょうか。
さらに、29.5%は「近くに頼れる親戚や知人がいない」と回答しています。
コロナ禍に関わらず、子育てする上で「いざという時の心強さを得られにくい環境」の保護者が一定数いることがわかります。
⑧子育ての悩みやしんどさに対して頼りになる存在は?
コロナ禍において、家族・親族を頼りにする傾向が強く出ることは、必然と思われます。
他に「頼りになる」が過半数を超えていたのは、「子育てひろばや児童館などのスタッフ」、「医師、看護師」でした。
一方、設問の多くの項目で「関わりを持てる機会や時間がない」という回答が目立ちました。
特に、コロナ禍前までは交流を深められた可能性の高い園や子育てサークルにおいても、次のような結果になっています。
コロナ禍では、就園・就学後も、保護者同士が交流する機会は大幅に減少し、調査対象でない3歳以上の子どもを育てる保護者にとっても、環境の変化は大きかったと考えられます。
この調査結果だけではコロナ禍前との比較や、回答者にとっての必要性までは判断できません。
しかし保護者にとって、設問項目にあるような子育て支援資源との接点は、コロナ禍を機に大きく変化しているのを感じます。
⑨95.3%「対面交流は必要」
対面とオンライン上では、保護者が求めるコミュニケーションの質が異なっていることや、対面交流は、保護者自身にとって必要というだけでなく「子どもの発達にも必須」と考える保護者が多いことも明らかとなっています。
ただし、支援側に対する調査では、オンラインによる支援を行った支援者の過半数以上が「手ごたえを感じた」と回答しており、保護者側も「子育てを学ぶ」ツールとしてオンラインは有効と認識しているのを感じます。
実際、子育てのノウハウをYoutubeで学んでいる保護者は増えており、私自身もオンライン講座は支援の入り口として有効と実感しました。
ちなみに、「人口密度の高い地域の方が、SNS(LINE含む)やオンラインを活用して親戚や知人と交流する保護者が多い」という分析結果も出ています。
⑩コロナ禍で子育てを楽にしてくれたり、前向きにしてくれた出会いや出来事は?
家族以外の人との出会う機会が少なくても、子どもの成長を感じて前向きになれることもあるのではないか…と思っていたので、「なし」という回答が21%もあったことに非常に驚きました。
コロナ禍特有の結果かどうかはわかりませんが、コロナ禍においても、この数値が下がるような子育て支援のあり方やアプローチを考える必要があると感じます。
親になれば誰もが、隣近所みんなで子育てを学び合うことができる社会背景でない今、親としての成長を支えるための子育て支援が必要とされていることは言わずもがなです。
そして、どのような環境下でも支援を保護者に届けられる多様な選択肢を、支援する側が有していくことが求められていると思います。
コロナ禍では、経済的な理由よりも、子育てに対する困難感から、子どもを預けて働きたいと感じる保護者が増えたようにも感じています。
幼保無償化も手伝い、”小1の壁”に加えて今や、小規模保育園から転園するための”3歳児の壁”もできています。
子育て支援は「支援を受ける側が利用しやすい仕組みや選択肢があるからこそ、支援できる状況が生まれるもの」だと私は思っています。
従来の仕組みや選択肢が、コロナ禍に対しては不十分であった可能性を示すこの調査結果を元に、いかなる環境下でも、社会として未来を育む支援の提供を維持できるよう、支援する側が変わっていく必要があるのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました:)
最終回となるVol.3では、報告会動画では割愛した分析結果や自治体などの子育て支援サービスに対するニーズについてご紹介します。
▼出典元の資料はこちら ▼
【調査テーマ】コロナ禍における親の「孤育ち」実態および子育て支援に対するニーズの変化
【実施団体】NPO法人育ちあいサポートブーケ
【助成元】NPO法人 モバイル・コミュニケーション・ファンド
※写真はイメージで調査とは関係ありません。