常駐とハンズオンについて
こんにちは、戸田です。
TRAILのお仕事で新しく出会う方とのお話の中で時折、「ハンズオン(支援)との違いは何ですか?」という質問を頂くことがあります。
ここで言われるハンズオンとは、具体的にはコンサルティング会社さん(や、場合によっては投資ファンドさん)のスタッフが現地に常駐して、経営周りの業務を推進することを意味している場合が多いですね。
そもそもTRAILは、会社の経営業務そのものを当事者として受託したり、一定期間に現地で社員の皆さんと企業変革に伴走する業務を生業としています。ですから、見た目に常駐することも多く、その違いは何か?、といった会話の流れになりやすいのも確かです。
※TRAILは自らをコンサルティング会社とは定義しておらず、経営の当事者の一員として現地業務に従事・伴走する経営パートナーと位置付けています
この点、ハンズオンであれ、常駐であれ、経営業務の受託であれ、現地の伴走支援であれ、基本は手段の話ですから、支援を受ける企業が目的とするところによって、その起用の意図は変わってくると思います。
今日は、このハンズオンや常駐というものについて、TRAILの取組みを交えて私が感じるところを記してみたいと思います。特に今回は、TRAILに参画頂く可能性のある方々に向けたお話と位置付けて整理をしてみたいと思います。
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1 常駐したからといって、ハンズオンにはならない
当たり前といえば当たり前です。
ハンズオンが求められるのは、多くの場合において支援を受ける側の企業の「実行能力」や「組織体制」に問題があり、経営を含むステークホルダーにとって課題感が強い場合が多いと考えられます。つまりは、人を動かし、組織を動かす(変える)という、相応の経験と全人格で臨む水準の仕事が求められています。
そして、常駐する者の一人ひとりの間で個人の力量差も大きく、また、外からのアプローチだけでは組織の内側までを変えていくことが難しい状況においては、単に常駐することだけをもって、本来ハンズオンで期待される成果がもたらされるわけではありません。
特にコスト面の問題から、常駐者に若手が起用されることも間々あるように見受けられますが、ITや特定の業務改善ではない、経営全般を担う業務の場合において、組織までを巻き込んだ成果を上げるにはハードルが高いことは明らかです。
また、時には常駐すること=即ハンズオンかのように謳われることがあり、いかにも人海戦術の印象がありますが、やはり本当は常駐かどうかは本来の意味のハンズオンの本質ではないように思うのです。
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2 ハンズオンで支援することと、経営の当事者になることは違う
まず、ハンズオン、という言葉からして、まさに「外からの直接関与(手を入れる・置く)」が意味されていると思っています。
この点、専門家や一定の経験を持った方が外部から加わることの価値はとても大きく、まさにハンズオン(支援)が求められているケースにおいて、人選さえ間違わなければ、企業が投資した以上のリターンが期待できるでしょう。
とはいえ、「内に入り込む」、すなわち自らが当事者そのものの一員となる(TRAILの)動き方とは異なるのも確かです。
当事者の一員となるということは、特定の(専門の)領域の問題だけを取り上げて解決策を出して指示出ししてそのあとでモニタリング・・・で業務完了、とはなりません。
複雑に絡み合う経営上のしがらみや入り組んだ問題構造に対峙しつつ、さらには、その結果の良し悪しに基づいた終わりなき一連の検証まで含めて、一定の経営の結果責任を伴う形で(スコープなども当然なく)自らが率先して主導し、変革を牽引していくことになります。
このスタイルでは当然ながら、相応の経営信用リスクも抱えた行動となります。したがって、一般的にこの種のリスクは一定のオーナーシップを備えてこそ成り立つものになります。しかしこれは、コンサルティングの業務とは本来「第三者でいることの価値」が一つの本質であることから、オーナーシップとはもともと相容れないものです。
結果的に、コンサルティング会社さんが“本気で”ハンズオンをしようとすると、それなりに高いフィー(や株式等の所有権)をもらうか、やはりハンズ“オフ”で限定的にスコープを設定して支援するかのどちらかになることが多いでしょう。
となると、コンサルティング会社さんのハンズオンは、どこまでいっても第三者の専門家としての価値提供にこそ意義があって、その一方で、TRAILの経営受託や伴走は、あくまで当事者の一員として企業を内から動かして変えていく価値提供(と、それに見合ったコストの許容性)に意義があることになります。
これは能力や知見の多寡というよりは、担うべき役割や業務範囲の違いです。
コンサルティング会社さんのハンズオンとTRAILの当事者としての支援は、対立するというよりも、お互いが両立してそれぞれが尊重しあえるものと考えていますし、実際にそのようなチームアップも多くさせて頂いています。
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本日は、以上です。
TRAIL INC.(トレイル)
経営変革のための伴走パートナーシップ
Open Management®
(オープン マネジメント®)