「家族」の、こと。
小2まで、やんちゃな父と2人で暮らしていた。
母親の顔は、覚えていない。
彼女は今何をしているんだろう。
片親だった分、口うるさいばあちゃんが私の母親代わりだった。
なんなら、小学校低学年あたりまで、ばあちゃんの事を母親だと思っていた。
鈍感にも程がある。私は割と適当だ。
ばあちゃんが私に嫌味を言う時は、
「そういうところ、母親そっくり」と、言ってきた。
そりゃ、血が繋がってるんだから。ねぇ、
母親は、ろくでもない女だったらしい。
けれど私は、彼女を庇う気も、愚痴を言う気もない。
誕生日になると、
「生まれてきてくれてありがとう」
そんな、素敵なメッセージをくれる友人がいる。
その度に母親を想う。
産んでくれて、ありがとうと。
ただ、それだけ。
どうか、お元気で。人様に迷惑をかけないほどに。
一方、父もまた、やんちゃな人だ。
よくこの2人から平凡な私が生まれたもんだと思う。
父は、
お世辞が言えなくて、
自由を愛していて、
割と一途で、
いくらベロベロになって帰ってきても、
翌朝早くには起きて、なんなら朝ごはんも食べて、
仕事に行く。
そんな、私のパパだ。
小2までのパパとの二人暮らしは、楽しかった。
「片親で可哀想だ」なんて言われても、私自身が、そんなこと微塵も思ってなかった。
小2からは、新しい「ママ」ができた。
ついでに「兄」も。
嬉しかった。
「ママ」と「兄」に嫉妬もした。
パパを取られた気分だったから。
でも兄もまた、私に嫉妬してたんだろうね。
現在、兄は結婚して、子どもができたらしい。
私たち兄弟は溝がある分、そいつが産まれたら、どうか可愛がらせて欲しい。
子どもができて初めて、自分の親に心から感謝するらしい。
子どもを育てると、自分が成長するらしい。
私にはまだ、未知の領域。
大人になるって、親になるって、なんだろう。