首の後ろ側を伸ばすストレッチ 頭板状筋、頭半棘筋
首の前側を伸ばすストレッチにつづいて、後ろ側。
まず、頭を天井に近づけるようにして、首を伸ばします。
イメージとして、整骨院などで行われる頸椎の牽引にも似てます。
その際に、頸椎を伸ばすのではなくて、特定の筋肉を意識して伸ばすようにします。
前側だったり、側面だったり、後ろ側だったり、どこを伸ばすかで伸ばし方のコツが違います。
伸ばしたらそのポジションで首を固定して、スワイショウ等でひたすら身体を揺らします。
というのが、前側や側面のときにやったことです。
後ろ側も同じことです。
首の後ろ側の筋肉は、3つの区分にわけられます。
今、適当にわけてみただけですが。
・上位頸椎の辺につく筋肉
後頭下筋群
・下位頸椎の辺につく筋肉
板状筋、半棘筋など。
・肩甲骨や背中につく筋肉
僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋など。
これは、首の後ろの筋肉を伸ばそうとしたときに、どこを意識すると伸びやすいかの区分です。
後頭下筋群は、上部頸椎だけを意識しても伸びます。
板状筋や半棘筋は、筋肉自体は頭についてたり胸椎についてたりもしますが、下位頸椎だけを意識しても伸びます。
僧帽筋や肩甲挙筋は、肩甲骨を意識しないと伸びません。
後鋸筋や菱形筋は、胸椎を意識しないと伸びません。
この中で、とくに伸ばしにくい筋肉は、板状筋や半棘筋などの、下位頸椎の辺についてる筋肉だと思います。
上部頸椎を意識して伸ばしてみると、エネルギーが上に抜ける感じになって、下位頸椎の辺の筋肉が伸びにくくなります
また、肩甲骨や胸椎を意識して伸ばすと、肩や背中が上がりやすく、下位頸椎の辺の筋肉が伸びにくくなります。
なので、首の後ろ側を伸ばすときは「あえて上部頸椎、肩甲骨、胸椎を伸ばさない」やりかたにしてみるのも良いと思いました。
頭を天井方向に伸ばしつつ「下位頸椎(頸椎3~7番)の後ろ側の筋肉だけ」を意識して伸ばします。
頭のつけねや背中は、ついで(受動的)に伸ばされるくらい。
その首のポジションを維持したまま、スワイショウ等の身体を揺する体操を行います。
首の後ろを触ってみて、どういうポジションで頭板状筋や頭半棘筋が伸びるか確認します。
前頭部のてっぺんを、天井の気持ち前に向かって伸ばすと後ろ側の筋肉が伸びやすかったです。
気持ち前といっても、前傾するわけではなく姿勢自体はまっすぐで、むしろ筋肉がほぐれるとともに後ろに少しずつ頭の位置が移動します。
どうしたら筋肉が伸びるポジションになるかは、ひとによっても段階によっても違うと思うのでむつかしいです。
その辺は前側を伸ばす話にも書きました。
身体の揺らしかたもむつかしいです。
時間もかかったりします。
ですが、首を倒したり回したり、普通にストレッチしてもほぐれなかった首の緊張が取れたりします。
と同時に、首のポジションが正しいほうに移動します。
「首は脳の一部」というくらいなので、首の筋肉は独特の頑固さと繊細さをもってると考えて良いでしょう。
また、肩甲骨を前傾下制させる意識は大事だと思いました。
上部頸椎、肩甲骨、胸椎を伸ばさないで下位頸椎の後ろの筋肉を伸ばす意識とは、
肩甲骨を前傾下制させる意識とも言えます。
あえてさせるというより勝手にするというか。
漬け物石が上から乗っかるみたいに肩甲骨が乗っかって沈みます。
逆に言うと、上部頸椎や上部胸椎を無理に伸ばすと、肩甲骨が浮き上がりやすいです。
「猫背にならないように!」と肩甲骨を後傾させたり、上部胸椎を伸展させると、
胸椎の自然な後弯が失われて、胸を張るような肩の上がった姿勢になりやすいです。
胸椎の自然な後弯が失われると、頸椎の自然な前弯も失われて、
一見ピンと伸びあがってるようでも、首の後ろの筋肉が伸びにくくなります。
首の後ろの筋肉を伸ばすときは、深い部分を意識します。
首の後ろの筋肉は、背骨の棘突起の左右にかなり深く入りこんでるのがわかります。
肩甲骨を前傾下制する意識の他に、上部肋骨を下げる意識もあるといいです。
例えば、首をつけねから折り曲げるようにして頭を前に倒すと、上部肋骨が下がります。
上部肋骨を下げた感覚を維持したまま、頭を起こしてまっすぐにします。
とにかく胸を張らないように気を付けます。
肩甲骨を前傾下制することも、上部肋骨を下げることも、胸を張るの反対のことをやってます。
胸を張るのは悪!くらいの勢いです。
胸を張るのをやめて、首がまっすぐに起き上がってくると、
首の後ろ側以外にも、首の前側とか引っかかってくる可能性があります。
首の前側を伸ばす話に書きましたが、首の前側の奥にある咽頭収縮筋とか。
マイナーな筋肉ですが、交感神経幹(ストレス)の影響を受けやすく、首の姿勢や首こりにも関係あると思います。
咽頭収縮筋が収縮すると、頭が前に倒れます。
なので、咽頭収縮筋が緊張してると、つねに頭が前に倒れようとして、首の後ろの筋肉に負担がかかると推測できます。
また、使い方によっては、咽頭収縮筋で頭を反らすこともできます。
咽頭収縮筋を喉の筋肉と考えると、嚥下や発声との関係でしか語られませんが、
首の筋肉と考えると、首の姿勢や首こりに大きく関わってくることがわかります。
姿勢のギアの話では「背骨と肩の動作は切り離す」という風に言ってました。
胸を張らないで姿勢を良くできたとして、
肩を回す運動を、胸を張る動作を大げさに入れないとできなかったら、背骨と肩の動作を切り離せてないってことです。
背骨の柔軟性に対して肩回りの柔軟性が足りないと、肩が重だるくなってしまいます。
胸を張らないように気をつけながら、肩の運動をやるといいと思います。
板状筋、半棘筋について。
頚性神経筋症候群という首こりの病名を考案したひとは、
「頭板状筋や頭半棘筋は、もっとも首こりに関係の深い筋肉」と言います。
頭板状筋
頸板状筋(というのもあります)
頭半棘筋
なぜ頭板状筋や頭半棘筋が首こりに関係が深いか推測してみると、
頸部を支えてると同時に、上部頸椎の伸展に関係があるからかも。
頭の位置が前に出ると、頭板状筋や頭半棘筋が緊張します。
肩とつながってる僧帽筋、肩甲挙筋、背骨の全体についてる多裂筋、脊柱起立筋などとちがって、
頭板状筋や頭半棘筋は首の後ろで完結してて、かかる負担が大きいと推測されます。
肩や背中全体という安定した土台からひっぱってるか、首のつけねという不安定なところからひっぱってるかの違いです。
そして、頭板状筋や頭半棘筋は頭についてるために、緊張すると上部頸椎が伸展します。
上部頸椎が伸展すると、顎が上がって、ますます姿勢が悪くなって、首の後ろに負担がかかります。
そういった理由から首こりの原因になりやすいのではと思います。
また、あえて上部頸椎を伸ばさないことで頭板状筋や頭半棘筋を伸びやすくするのは、
伸長と伸展は似てるから、伸長を抑制することで上部頸椎の伸展グセを抑制する、という意味もあると思います。
頭板状筋と筋膜ラインのつながり。
ラテラルライン(身体の側面のライン)
頭板状筋、頸板状筋、胸鎖乳突筋→外肋間筋、内肋間筋→外腹斜筋
↓
大殿筋、中殿筋、大腿筋膜張筋→腸脛靭帯→腓骨筋
スパイラルライン(身体のらせん状のライン)
頭板状筋、頸板状筋→反対側の小菱形筋、大菱形筋→前鋸筋→外腹斜筋
↓
反対側の内腹斜筋→大腿筋膜張筋→腸脛靭帯
↓
前脛骨筋→長腓骨筋→大腿二頭筋
↓
仙結節靱帯→脊柱起立筋
また、頭板状筋が過剰に緊張してると、拮抗筋の胸鎖乳突筋の緊張をまねく、という話もあります。
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