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【読書感想】殺人買います



90年代後半、ノストラダムスによれば世紀末も世紀末な時代のミステリーアンソロジー。

タイトルのパワーワードっぷりで、
名コピーライターであるシュガーマンの
「盗品売ります」というコピーを思い出した。
(余談ですがこのコピーは、不良品を買い取って修理して物を、会員制クラブを通じて売るという商売のもの)

高校生の時にブードゥーチャイルドを読み、
その子供騙しにもならないトリックで、危うくふざけんなと本をぶん投げたくなった。
そのせいで歌野晶午嫌いだったんですけど、今回の話でもあんまり印象変わらずでした。相性悪い。

それ以外は黙って読む事ができ、
特に

・使用中
・素人カースケの世紀の対決
・隠蔽屋
・凶笑面

辺りがツボで、
設定やプロットの作り方が面白かった。

ミステリと一口に言っても十人十色で、
切り口や物語のベクトル、
何に重きを置くかで、話の表現方法や筆致が全然違う。
という当たり前を改めて噛み締めた。

たとえば氷砂糖のように、
主人公の女性の現在と過去の恋愛が交錯しながら、感情の動きに突き動かされる話から、
たとえば隠蔽屋のように、
不祥事揉み消し屋なる男と不祥事起こした男との、さらばのコントみたいな話まで収録されてて、
目から鱗とカルチャーショックが出た。

この傑作選が41冊目なので、
そこから数字を降るようにして買い進めようかなとか思いつつ、
歌野晶午が出てきたら買い飛ばすんだろうなと、手前勝手なルールとアレルギーに悩まされながら、結局パワーワードすぎるタイトルの奴だけ摘んでしまうんだろうなぁと推理し、
タイトル買いした中には漏れ無く歌野晶午が入っているんだろうなと変な妄想を羽ばたかせている昼時。

因果の果てに、仲直りできる日が来る事を願って、テンガで果てて眠りについた。


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