100年続く産業を。『城陽ワイナリーへの軌跡』その8
2021年から100年後の未来(2121年の誰かへ)
正直なところ。今まで5年間やって来た畑がなくなることがわかった時、なんだか一瞬目の前がカメラで連写したみたいに、白くなったり黒くなったり。
歩んできた過去と行こうとしていた未来の画像が、
フラッシュのように頭を通り過ぎて気分が悪くなりました。
しばらくは喪失と虚無に心をもたげられたような気分でした。
もちろん、なんとか残せないかと自分なりに動いてみたけど、影さえも踏めないような大きな動きに僕の意思は無力でしかありませんでした。
深く深く思考。
深く深く思考。
父に会いに行きます。
不思議な感覚でした。
それしかないし。そうなるべきだと思う。
仏壇に向かって手を合わせて。
「よし。行ってきます!」
ほどなくして、それを知っていたみたいに、
「まっちゃん。無くさへんで〜。城陽ワインは
無くさへんで〜。」と沢山の土地の資料を持った友人二人が現れました。
このプロジェクトの立ち上げ人の二人。
感謝。というかもう。何というか。
漕ぎましょう。一緒に。という感覚。
確かに。とんでもないタイミングで、
でっかいもんを失った。
失った時はそれは何がなんだかわからない、整理が追いつかない感覚がある。
けれども
もう一度振り返って見る。
確かにそこは美しかった。
確かにそこには想いがあった。悲しいけれど。
だからこそ。そこにすがってはいけない。
そこに居座ってはいけない。
今こそ、もう一度エンジンに火を灯す時。
航海は続く。これは機会。
次はもっとでっかいもんを見れる気がする。
次はもっとでっかいもんを作れる気がする。
その為に何が出来るかを考えてみる。
僕はいま。
『ワイナリーを一から作るプロジェクト』
というコミュニティを立ち上げました。
そうして、僕は新たな方法を考えつきました。
思い描いた『父と僕の夢』
それを、くしゃくしゃに丸めて空に放り投げます。
そうすると…そこから新しい何かが降ってきます。
『パブリックワイナリー計画』
僕は、みんなのためのワイナリーを、
みんなで作る事に決めました。
ワイナリーを通じて、みんなが笑顔になれる
共有財産。共遊施設。
僕は、おもむろに。
なんだかやれそうな気がする30人に声をかけました。
毎日のように会う友人もいれば、
もう10年近く会ってない人もいる。
最近知り合った人も旧知の仲の人もいる。
手の届かないところにいるような大先輩もいるし、
高校の時からの後輩もいる。
なんでこのメンバーなの?って聞かれたら、
明確な答えはないけれど。
『なんだかやれそうな気がする』
から。笑笑
コミュニティは広がります。
益々誰かを楽しくする為に。
共に遊ぶ場所を創るために。
楽しみの輪が自然に自然に広がりを続けたら。
それは、100年続く産業の完成です。
100年後…。
もちろん僕たちは生きていません。
世界はきっと様変わりしているでしょう。
けれど繋がっています。
繋がってきっとそこに残ります。
自分の人生を超越できるってこと。
たまらなくおもしろいプロジェクトです。
さて、新しい船出です。
今度はみんなで行きましょう。
『ワイナリー。見れるんやったら見てみたいな…』
囁いた小さな声。
見れるよ。必ず。
完