【スタッフブログ】リーダーシップに必要な資質(後編)
前編では、リーダーシップを発揮するうえで必要とされる資質についてお話ししました。様々な資質はどれもいわゆるHow to本で身につくようなものは殆どなく、あくまで生きていくうえで経験と失敗と重ねてこそ、身に付けられるようなものばかりでした。
パネルディスカッションでは、「その資質をどうやって教室で教えて(身に付けさせて)いくのか」とテーマで話が続きました。以下が出てきたトピックと、そこから考えた個人的な見解です。
①経験学習を試す場としての、課外活動の大切さ
聴く力、共感力、インクルーシブネス、言語化する力など、ここに出てきた資質は、どれも人との関係性があってこその資質。そのため教室内だけで起こりうる一定の関係性以外も、様々な関係を持つことが、この資質を養うために大切な要素になります。私も課外活動が大事、というようには考えたことがなかったのですが、iLEAPのプログラムでもセミナーなどの座学に加え、実際に外にでて活動するプロジェクト学習を現地団体と行ってもらっています。これはいわゆる「練習場」で、資質やスキル、理論を、様々な人との関係性の中で練習してみる場として提供しています。
言語教育者の方が多かった今回のシンポジウム。当たりまえながら、言語習得も実地での練習場があってこそ。リーダーシップの学びも言語の学びも、経験学習が活かせるものなのだと、個人的にも改めて確認できた貴重な機会でした。
②失敗ができる環境づくり
このくだりは、パネリストの方々の話を聞きながら、個人的に一番胸が熱くなるところでした。資質の一つでも上がってきた「失敗や間違えから学ぶ力」というところに現れるように、学生のために、どうやって安心して失敗ができる環境を作るのかが鍵になるという話になりました。
私も強くそう思います。これはいくら先生や環境設定する側が「失敗してもいいよ」と言葉で伝えても、受け取り側としては「はい、では失敗してみます」とはなりにくいもの。そもそも、失敗することへの恐れの裏には、深い傷や痛みがあることが多いため、「失敗してもいいよ」の一言だけでは、人はそう簡単に自分にある縛りを外せるものではありません。
その「失敗してもいいよ」のメッセージがしっかりと学生側に伝わるためには、環境設定する側のAuthenticity(偽らない自分らしさ)次第だと思っています。私も人間であり、あなたも人間であり、お互いいろいろと抱えて、失敗もたくさんするけれども、お互いそこから学んで成長していこう、という在り方が大事だと考えています。
≪失敗しても失うものはなく、むしろそこから得るものの方が多い≫ということを体現している人のもとであれば、このような環境づくりが可能だと思っています。
③よく設計されたカリキュラム
これもディスカッション中に出てきた、言語教育のベテランの先生の言葉だったのですが、私も強く共感しました。
カリキュラムは本当に核心の部分で、料理で言えば秘密のレシピみたいなもの。アクティビティやセッション等、すべてその裏には目的があって、何となくやってみようというのは殆どありません。料理でいえば適当に入れている食材や調味料は殆どなくて、すべてに明確な役割があります。
iLEAPでは新しいプログラムを考案するときや、特定のテーマのセッションをデザインするときに、POPということを確認します。
Purpose : 目的・なぜこれをするのか?
Outcome: アウトカム・これをすることによって何が生まれるのか?
Process: プロセス・どのようなプロセスで行うのか?
このPOP(目的・アウトカム・プロセス)を事前に考えることで、不必要だったものがそぎ落とされて行きます。この目的の明確化はアウトカムに繋がり、意図の明確化はインパクトに繋がります。カリキュラム設計には欠かせない過程です。
今回の機会は、日頃からリーダーシッププログラムを行っている私にとって、このトピックで多くの人がディスカッションをするという、自分にとってはとても豊かで贅沢な時間でした。今回得た多くのアイデアを、また次のプログラムに生かしていきたいと思っています。
文責:エリクセン恵、iLEAP Managing Director
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iLEAPウェブサイト:http://ileap.org/ja/
今回のシンポジウムについての記事が北米報知にて掲載されました:https://www.napost.com/ja/rethinking-leadership/
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