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Internet checkpoint: 魂のセーブポイント

あなたは決意で満たされた。

あなたは、Internet checkpoint と呼ばれる奇妙なインターネットの片隅をご存知だろうか。

私がこの概念を知ったのは、Youtubeで作業用BGMを探していたらレコメンドされた「とげとげタルめいろ」の動画がきっかけだった。

SFC時代の名作ゲーム音楽をBGMにした、ほとんど動きのない不思議な動画。そのコメント欄では、どういうわけかたくさんの人が自分語りをしていた。

親しい友人が亡くなったとか、家が燃えたといった悲劇から、明日は受験だ、夢はゲーム開発者になることだ…といった将来の目標まで。

ありとあらゆる種類の自分語りが行われ、互いに励ましのコメントを付け合っていた。

しかし、一体なぜそんなことになったのか?

Internet checkpointの誕生

Internet checkpointという現象が生まれたのは、YouTubeユーザーのtaia777が投稿していたゲーム音楽の動画シリーズがきっかけだった。

taia777は、SFC時代のゲーム音楽を美しい映像とともにアップロードしていた。2012年4月の「とげとげタルめいろ」の動画は、なぜかYouTubeのアルゴリズムによって多くの人にレコメンドされ、老若男女問わず多くの人がコメント欄に集まり始めた。

彼らは動画から感じるノスタルジーに浸りながら、まるで古くからの友人に話すかのように、自分の人生について語り始めた。喜びも悲しみも、後悔も希望も、ありのままをさらけ出すように。

現代の美学との関連

そんな交流の場として機能していた動画は、いつしか "Internet checkpoint" と呼ばれるようになった。

ゲームの文脈での「checkpoint」は、「セーブポイント」を意味する。まさに「とげとげタルめいろ」や「時の回廊」といった曲は、確かにセーブポイントのような安らぎを感じさせる。

だが、単に曲が良いというだけではない。

Internet checkpointは、Liminal spaceやVaporwaveといった現代の美学とも通じるものがある。

Liminal spaceは、日常と非日常の狭間にある、超現実的な雰囲気を漂わせる場所を指す。Vaporwaveは、80年代や90年代の美学を取り入れた、ノスタルジックで夢幻的な雰囲気を特徴とするジャンルだ。素材としては、当時の音楽や広告などがよく使われる。

taia777の動画も、レトロゲームの音楽と映像を使うことで、Vaporwave的なノスタルジーを喚起しているように思う。まさにそのような美学を先取りしていたと言えるだろう。

現実世界から一時的に離れ、敵とエンカウントすることがない絶対安全領域で、過去を振り返り、これからどうするかを考える。旅先の酒場で出会った見知らぬ人と語り合うように、互いの人生を語り合う。

…そんな想像力が働いているのだろう。

さいごに

残念ながら、taia777の「とげとげタルめいろ」の動画は削除されてしまった。だが、動画は有志によってアーカイブされ、今も当時のコメントとともに残されている。

あなたもセーブしておいてはいかがだろうか。


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