「デザイナーの仮説」と「実際のユーザー行動」を比較してみた
こんにちは。一休デザイナーの安松・李です。
日頃、ユーザー体験を考えているデザイナーですが、ユーザーをちゃんと理解している自信はありますか?
私たちは、日頃の業務を行う中で足りていないと感じた「ユーザーの理解」をきっかけに、よくマーケティングで使われるカスタマージャーニーマップに興味を持ち、作成するワークショップを実施してみました。
経緯
デザイナー組織で何か取り組みができないか考えた際に、以前から興味があった「カスタマージャーニーマップの作成」が挙がりました。
下記が興味を持ったきっかけになります。
普段の業務でユーザー体験を考える上で、どれが最適か悩むことが多く一休のユーザーをよく知りたい
「ユーザーの行動」の考え方を見直し・整理したい
マーケティング部で行動ログのデータ分析やユーザーインタビューを実施していたが、それらを可視化できないか
今回はワークショップとしてライトにやりながら得るものがあるのではないかと考え、あえてデザイナーだけでトライしてみることにしました。
テーマは「比較」
一般的なカスタマージャーニーマップを作成する際、定性・定量的なデータを基に作成していきますが、私たちはマーケティング部が潤沢に持っているデータを活用し、「実際のユーザーの行動」と「デザイナーの仮説」の答え合わせが可能ではないかと考えました。マップを完成させ施策などの提案に繋げる目的にすることよりも「比較」し、気づきを得ることを目的にしました。
では具体的にどのように比較をし、どのような結果だったかをまとめます。
まずは実際のユーザーの行動ログを参考に2人のペルソナを設定しました。
その後、それぞれ以下の2種類のマップを作成し、比較をしました。
デザイナーマップ
どこから流入して、一休.com宿泊サイト内でどういった行動をとって予約に至ったかを中心にその行動をした時の感想・感情を用意したスペースに各自が付箋を貼っていきました。ペルソナが2人いたのでそれぞれデザイナーマップを作成しました。
データマップ
マーケティング部提供の行動ログのデータを見ていき、予約に至るまでを「デザイナーマップ」と同様に用意したスペースにまとめたもので、どう思ったかなどは行動から推測しました。
※運営側で事前に準備し、行動ログのデータの見方を共有
比較した結果
2つのマップを比較しましたが、ユーザーは私たちが考える行動と全然違う行動でした。
予約するタイミング(直前予約や半年先の予約など)
検索の使い方、宿を比較する行動
シーンにあった探し方(ビジネス需要など)
ワークショップを振り返って
参加メンバーの感想
運営側の反省・失敗
ユーザーの選定やペルソナの設定が難しく、2つのマップを比較できない部分が多く出てしまったこと
他社などのカスタマージャーニーマップに囚われすぎて、自分たち用に最適化できていなかったこと
準備に時間を要したが、今後継続的に行える仕組み・活用していくまでに至らなかったこと
カスタマージャーニーマップを作成し比較をすると同時に、このようなワークショップの実施は初めてでした。
実際にユーザーのデータで得た設定をどこまで明示するかが特に難しく、比較の難しさを感じました。
振り返ると、ライトにやるのであれば、予約までの行動のみにフォーカスしページの遷移やどの機能を使ったかを比較した上で、ユーザーがどう思っていたかをディスカッションする方法でもよかったと思いました。
終わりに
今回初めての取り組みとはいえ、うまくいかない部分がたくさんあり自分の至らなさを痛感しましたが、たくさんのフィードバックをもらい、良い経験となりました。
デザイン組織内での取り組みが活発になった今、様々な取り組みを通じ、組織・個人の成長に繋げていきたいです 。
参考にした他社事例
- https://www.uxdl.jp/column/customer-journey-map-casestudy
- https://arcc.vision/knowledge/customer-journey-map-overseas-case/
- https://blog.leapt.co.jp/easy-to-understand-examples-of-customer-journeys