3歳の作詞作曲
子供とは結構シュールな存在であると、育児をしてみて初めて知った。
いや、「シュール」というのも大人の勝手な解釈・意味付け・表現であり、彼らは単にあるがままなだけなのだろう。だが少なくとも、「これは子供が喜びそうだなぁ」と思うものを与えれば必ず喜んでくれるような存在ではないのは確かだ。喜ばせようとして掛ける「声かけ」や「相槌」も同様。それを痛感する場面は何度もあった。
2歳になったばかりの頃、長男がお風呂でおままごとをしていた。浴槽の縁をキッチンに見立て、小さな桶やカップにお湯を汲んでは移し替え、何やら料理をしている。「できあがり~」というので、「わぁ、すごいね!おいしそうね!何ができたのかな?」と聞くと、平坦な声で「みず。」という答えが返ってきた。軽く衝撃を覚えた。
そんな長男が、この自粛中、クイーンにはまった。英ロックバンドのクイーン、ボヘミアンラプソディのクイーンである。
クイーンは元々、私が好きだった。しかし、ごくライトなファンでしかなく、代表的な五曲程度を聴くのみ。(We will rock you, Bohemian Rhapsody, Radio ga ga, Under Pressure, I was born to love youなど) しかし、たまたま私がyoutubeでRadio ga ga を視聴していたところに長男がやってきた。くぎ付けとはまさにこのこと。ここからは坂道を転がり落ちるかのようにクイーン沼にはまっていく。毎日何度も「あれを見せろ」と言われ、試しに別の曲も見せてみたらすぐにそれも好きになり、私の自粛生活はクイーンのyoutubeを長男に「次!次!もう一回!」と言われながら頭出しする日々になった。育児をしているというより、怖いPAの先輩にしごかれているかのような生活だ。
youtubeで見せ続けるのも疲れてきたので、より頭出しがしやすいDVDを購入した。JUWELS。さらにそれでは飽き足らず、ベスト盤DVDも二種類買った。加えて、もっと興味を広げられるんじゃないかと、夫が息子に子供用のエレキギターを買った。サイズが子供用なだけでちゃんとした楽器、オモチャではない。さすがにギターには現状そこまで強い興味を示してはいないが、一応たまに自分でポロロンと触って奏でているし、夫がいるときは一緒になって弾いている(私は弾けないが夫は弾ける)。これ、もしかして英才教育になるんだろうか。いや実は、クイーンにはまってから、英語でクイーンを謳いまくるのもあって英語の発音が良くなってもいる。明らかにプラスの方向の成長がみられる。
っていうか、Eテレの子供番組の歌だって日々聞かせているのに、ハマらず、クイーンにはまるなんて、我が子はなかなか見どころがあるのではないか?圧倒的なものが理解できる子?才能ある系?
と内心思っていた時、ついに長男が自発的に作詞作曲しはじめた!それがこちら!
「ち〇ち〇ち〇ち〇 パパにある~♪
ち〇ち〇ち〇ち〇 ママにない~♪」
※関西の方は「カンカンカンカン晩餐館」のメロディでご再生を。
膝から崩れ落ちそうになった。フレディの歌を聞かせ続けた結果が、これ……?しかし、真理、そう真理かもしれない。パパにあって、ママにない、そうだね、そうだけどね……。きっとフレディ天国で泣いてる。この長雨は、まさか。
ということで、うちの長男、フレディマーキュリー的方向性の素質があるかどうかは不明だけど、クレヨンしんちゃんになる素質はあるのではと、今のところは思っているのであります。オチが弱くてすみません。育児は大変だけど、子どもという、予定調和からどんどん外れていく存在の面白さに日々私の心は打ちぬかれているというそんなお話でした。
(どうでもいいけどブライアンメイは自作のギターで演奏しているらしいですね。そしてピックは1セント硬貨。子どもによって変な知識が増える、それもまた親の楽しみ。)