(雑談)俳句のこと。

俳句が好きです。17音の表現に何度も泣いたり笑ったり。

自分で詠み始めたのは2020年3月から。他人の句の鑑賞は好きでも自分には詠めんわとずっと決め打ちしていたんですが、こふみ句会(コピライターが母体となった句会)に所属している岡田直也先生に「コピーじゃなくて俳句詠んでみて」と課題を出され、ヒェーと思いながら考え始めたら、あれ、意外と詠めるじゃん。で、調子に乗って29本先生に送ったら、こっちが恐縮するほど褒めちぎっていただいて、調子に乗りまくって角川に投句して全作品落選。ここまでがワンセット。

ただ私、「一度でも言葉のプロに褒められたなら、褒めてくださった人への敬意も込めて、努力を続けてみるべきだ」と思ってまして。改めて「季語を意識した生活」を送りながら、日常の気づきを俳句にするようにしたら、2020年12月に2句、角川の俳句誌に採用してもらえました。

前置きが長くなりましたが、このページでは掲載句を記録していこうと思います。特に注釈のない場合はすべて角川『俳句』誌の掲載です。随時更新。

*以下、作品*

雲の裏照らして人の世は無月(五十嵐秀彦 秀逸 選、小林貴子 選)2025.1

ただ足を交互に出して真夏かな(白濱一羊、五十嵐秀彦 選)2024.12

透析のあとの塩パン秋日傘(夏井いつき 選)2024.12

苺洗う病児起こさぬ音量で(成田一子 秀逸 選)2024.9

ががんぼや音符の死骸かと思ふ(五十嵐秀彦 秀逸 選)2024.9

うららかやパンツ干したら出かけよう(小林貴子 秀逸 選、白濱一羊 選)2024.8

大谷が打つから生きてみる春夜(成田一子 選)2024.8

バレンタイン追い風はただ吹いただけ(五十嵐秀彦 選)2024.6

生きること生き残ること初鏡(森田純一郎 選)2024.5

杉花粉の街浪人となる街(夏井いつき 選)2024.5

プルタブは硬し聖夜のE判定(夏井いつき 秀逸 選)2024.4

この夜の最暗部なり黒葡萄(小林貴子、五十嵐秀彦 選)2024.2

鱗雲兄の坂口安吾焼く(夏井いつき 秀逸 選)2024.2

秋高し玉突き事故のトミカかな(夏井いつき 選)2024.1

酷暑来て勧めるものもなき花屋(五十嵐秀彦 選)2023.11

仕上がりの悪い大人や烏賊を喰ふ(小林貴子 選)2023.9

馬の頬は思わぬ広さ夏に入る(五十嵐秀彦 選)2023.9

「官能」を国語辞典で引く薄暑(白濱一羊 選)2023.9

ツチノコを探す弟夏が濃い(夏井いつき 選)2023.9

包装は捨てて行くのかバレンタイン(小林貴子 選)2023.6

重ね着や塾の蛍光灯ジージー(夏井いつき 特選)2023.3★特選句には選者がコメントをくれます。以下は夏井先生の評:さんざん「重ね着」をしているのだけれど、寒い夜なのだ。光熱費をケチっているのか、寒い「塾」なのだ。授業に集中しようとするのだが、天井に並んだ「蛍光灯」の一つが「ジージー」と音を立てている。寒くてイラつく。

ミント噛み春待つプラットフォームかな(夏井いつき 選)2023.3 ※俳句生活

草の花パトカーパトカーまたパトカー(夏井いつき 選)2022.12 ※俳句生活

オペ室の出入り激しき原爆忌(櫂未知子 選)2022.12

一人では使いきれずに夏果てる(五十嵐秀彦 選)2022.11

螽斯義歯調整の十回目(夏井いつき 選)2022.10 ※俳句生活

炎天や同じ人間と云う口(夏井いつき 選)2022.9 ※俳句生活

首都高をとばせ私用の薔薇乗せて(夏井いつき 選)2022.9

五歳児よ杉菜は長く長く抜け(五十嵐秀彦 「推薦」選)2022.8★推薦句には選者がコメントをくれます。以下は五十嵐先生の評:小さなわが子が道端の杉菜を摘んでいる。先を持って引くから短くちぎれてしまう。その様子を見て作者は自分の幼い日に一気に帰ってしまう。根もとから摘んで、それから節を抜いて遊ぶんだよ。ほら、こうやって。

掃除機を七日分かけ春の虹(成田一子 選)2022.8

表計算代わりますよと新社員(夏井いつき 選)2022.7

愛人も梅の香も来て鯨幕(夏井いつき 「秀逸」選)2022.6

冬陽ごと剥ぐ岩波のグラシン紙(五十嵐秀彦 選)2022.6

虎落笛イルクーツクでついた嘘(対馬康子 選/五十嵐秀彦 選)2022.5

銭湯に一人で来た子福寿草(櫂未知子 選)2022.5

連絡先削除しますかいいえ除夜(夏井いつき 選)2022.5

仔猫棲むタートルネックは一昨年の(夏井いつき 「人」選)2022.4 ※俳句生活

犬逝きて忽然とある福寿草(夏井いつき 「人」選)2022.3 ※俳句生活

小春日やきらきら星のミスタッチ(夏井いつき 選)2022.3

赤尾羽成果に数ふ狩の夜(夏井いつき 「人」選)2022.2 ※俳句生活

君たちは重たくなった秋ペダル(五十嵐秀彦 選)2022.2

冬の海男は意見せず夕餉(夏井いつき 「人」選)2021.12 ※俳句生活

スイカバー原動力にドリルかな(夏井いつき 特選)2021.11★特選句には選者がコメントをくれます。以下は夏井先生の評:スイカの形のスイカ味のアイス。一九八六年に発売されたロングセラー商品だ。三十年前の子どもたちも、スイカバーを原動力として宿題のドリルに励んだ。まさか工事現場のドリル? という読みがあってもそれはそれで愉快。

雲の峰シュート外した息子来る(対馬康子 選)2021.10

プラレールなほ延ばしゆく日永かな(五十嵐秀彦 選)2021.8

春一番追い越せABC理論(対馬康子 選)2021.7

木の芽風処々に雀の名乗り出る(小林貴子 選)2021.7

土用凪小児科三十五人待(朝妻力 選)2020.12

草の穂や叱りすぎた日のトンカツ(岩岡中正 選)2020.12

(岡田先生に特に褒めていただけたのは以下の三句。「こふみ句会」の会報に載せてくださったそうです。ありがたや・・・。)

天国の光くずして春の海 2020.3

花冷えの休校コップ割れる音  2020.3



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