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ikuyori
2017年2月27日 23:25
一月十六日。その日は日本各地で、大雪の日だった。 僕らの住んでいる地域もその例にもれず、早朝から降り出した雪は瞬く間につもり、昼には交通機関をマヒさせるまでに至った。 親友の川瀬と昼食を食べ終えた僕は、二人そろって三コマ目の講義に向かっていた。スキーが趣味で、雪道も走れる車に乗っている僕は、帰りの心配もどこ吹く風だ。 そんな調子で大学の廊下を歩いていると、講義棟の出口で、ふと気になる
2015年11月29日 21:06
事務室に鍵をかけ、オフィスをでる。外にでると、肌を刺すような冷気が身を包んだ。 今日も終電帰りだ。会社に入って三年。入社当初以来、終電以外で帰った記憶が数える程しかない。私はマフラーを巻き直し、疲れきった体を引きずりながら駅へと向かう。 こんなに夜遅くでも街には多くの人がいる。私と同じように会社帰り風の人、お酒が入り、大声をあげながら数人で連れ立って歩く人。雑踏の中、私はひとり、うつむき