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小説・短編集

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2017年2月の記事一覧

私のヒーローたち

 一月十六日。雪が街を埋め尽くした誕生日のその日、私は後輩の車の中にいた。

 すべての原因は、早朝から降り出した雪だった。午前中で講義を終え、午後から地元にいる彼氏とデートにいく予定だった私は、大雪で電車が止まり、大学で足止めを食らっていた。

 そんなとき、サークルの後輩である石本君と川瀬君が通りかかり、事情を聞いて私を地元まで送り届けてくれる運びとなった。スキーが趣味である石本君の車は、雪道

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僕らのお姫様

 一月十六日。その日は日本各地で、大雪の日だった。

 僕らの住んでいる地域もその例にもれず、早朝から降り出した雪は瞬く間につもり、昼には交通機関をマヒさせるまでに至った。

 親友の川瀬と昼食を食べ終えた僕は、二人そろって三コマ目の講義に向かっていた。スキーが趣味で、雪道も走れる車に乗っている僕は、帰りの心配もどこ吹く風だ。

 そんな調子で大学の廊下を歩いていると、講義棟の出口で、ふと気になる

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バレンタインデー side B

バレンタインデー side B

 朝、いつもより十五分早くセットした目覚まし時計のベルをとめる。

 緊張しているせいか、いつもよりスッキリと目が覚める。ベッドの上で小さく伸びをして、枕元に置いてあるデジタル時計で日付を確認した。

 今日は二月十四日。勝負の日、バレンタインデーだった。

 「あら、おはよう、優香。今日は早いのね」

 制服に着替えて一階のリビングに降りていくと、お母さんがまだ朝食を作っているところだった。お父

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バレンタインデー side A

バレンタインデー side A

 いつもより早めにセットした目覚ましが、静かな部屋に鳴り響いた。目を開けずにのばした右手でその音を黙らせた俺は、ゆっくりとベッドの上で起き上がった。

 首を回して、凝った肩をほぐす。いつもより目覚めの良い頭で、壁にかけられたカレンダーを確認する。好きなアイドルの写真が載ったポスター型のそのカレンダーには、今日の日付に赤マルが打たれていた。二月十四日の金曜日。そう、今日はバレンタインデーだった。

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【掌編小説】幸福感

 飲み会の帰り、都心の駅を一人、人ごみに紛れて歩く。

 深夜も近い時間帯。終電へと急ぐ人、次の目的地へ行く人、大人数で騒ぐ人、速足でうつむき加減に歩く人・・・。

 雑踏の中で、僕は独りだった。大勢の人に囲まれているのに、ひどく孤独だった。

 ふと、甘い香りが鼻をくすぐった。石鹸のような、淡い香り。どこか懐かしい、胸の中をくすぐる匂い。

 その正体を思い出して、足を止める。周りに視線をやるが

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