野球脳とサッカー脳
中学まで続けた野球を辞めて高校でサッカーを始めた。
当時は後ろめたい気持ちでいっぱいだった。
高校の野球部は強かった。県内から有望な選手が集まる地元の強豪だった。
一方で、サッカー部はそんなに強いわけではなかった。
野球から逃げたって、初めから周りに勝てないと諦めたって、楽な道を選んだって。
自分が嫌だった。
でも、その逃げの先にある今、振り返ると良かったと感じる。
僕は、これまで何度となく野球とサッカーの違いを感じてきた。
そしてそれが、社会に出た今も似たような違いに遭遇することがある。
僕は野球とサッカーの違いを知っている。
どちらがいいとか、どちらが簡単とかそういうことではない。
どちらもやったから、失敗して、どちらも難しいことを知っていて。何が必要かをなんとなくわかるようになって。
そのポイントが明らかに違うところがあると気がついただけ。
その違いがわかるのは、どちらもやったことがある僕だからこそだと思う。
自分の思考をこう呼ぶことがある。
野球で役立つ考え方=野球脳
サッカーで役立つ考え方=サッカー脳
(もちろんこれで全ての思考を分けられるわけではない)
野球脳
ポジション(立ち位置)が決まっている
一人一人の役割がはっきりしている
攻めと守りが区別されている
自分が次に何をすべきかわかる
一つのことに集中する必要がある
サッカー脳
ポジション、役割はなんとなくでしか決まっていない
攻めと守りは状況によって変化し、次に何が起こるか予測しにくいカオスな状態にある
自分がやるべきことはその瞬間によって変わる
同時に複数のことを考える必要がある
自分はずっと野球脳だった。
サッカーを始めてからもその考えからなかなか抜け出せず、上手くいかなかった。
そのまま三年間は過ぎて行った。
会社に入ってからは、サッカー脳が求められることが多いと感じる。
僕のいる部署では、常に新しいことを考えて、みんなが面白いと思うことを自分たちなりにやっていかなければならない。
だからルーティンワークは少なく、その時の状況を考えて、今は攻めなのか守りなのか、はたまた両方なのかを考えなくてはならない。
ここで、「自分は野球脳になっていないか?」という自分への問いかけが必要なる。
もちろん野球脳が必要な時もある。
しかし、ここ数年はずっとサッカー脳の比率が大きいままやってきた。
僕はサッカー的な考え方が苦手だと思っていたが、案外楽しい。
ずっとチャレンジの連続で、失敗も次の糧になる。
野球脳も楽ではあるが、ポジションが固定されていて、取りたいボールも取りに行けない。
野球とサッカーの違いがわかる一方で、共通点も見えてくる。
体力が必要とか、チームワークが大切とか、コミュニケーションが必要とか。
この共通点は、社会人でも同じじゃないだろうか。会社に所属してる僕は、一人じゃ仕事ができない。お客様に対して価値を提供できない。
そういうことを理論ではなく、実践で知っているということは大きい財産であるような気がする。
中学一年生の時、所属していた野球クラブチームを辞めた。
辞める時にコーチから「お前はこれからも逃げる人生になるぞ」と言われた。
あの時の恐怖感と悔しさは今でも忘れない。
あの時のコーチよ。
僕は逃げたかもしれないけど、その先で今を手に入れてるよ。後悔は一切してない。
野球もサッカーも、楽しかった。
どちらも僕にとってかけがえのない経験になった。
やりたいことをやらせてくれた両親には感謝したい。
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