総額1億円以上の投資で学んだ、 本当に欲しい人材を獲得する新卒採用のポイント
2020年、新型コロナウイルスにより経済に大きな打撃を与えました。それにより、新卒採用のやり方も大きく変化しようとしています。
多くの経営者の方が不安に思っていらっしゃると思いますが、経済は止めてはいけないわけで、私達経営者は前を向いて会社を、事業を前進させていかなければいけません。
そんな中、今年の新卒採用(弊社でいうと22卒)をどう進めていくのか?を新しくjoinする人事メンバーにお伝えする時に私が大切にしている新卒採用のポイントをまとめました。それがこのnoteです。
「より社員がイキイキと活躍する会社を創りたい」
「優秀な人材を採用して事業を成長させたい」
と思っていらっしゃる経営者や人事の方に少しでもご参考になれば嬉しいです。
まず自己紹介をさせて頂きます。
セルフマネジメント型の組織運営、組織の課題解決やその会社らしい組織づくりの経営コンサルティング支援を行なっているENERGIZEの生嶋です。
私は、2002年に東証一部上場企業の内資コンサルティング会社に新卒で入社しました。その会社で7年間勤務しそのあと独立し現在創業11年目です。私が在籍していた会社は毎年100名単位で新卒が入社してきては1年以内に半分以上が離脱するような「サバイバル色」の強い会社でした。そんな中でも生き残った新卒は強く、圧倒的な成果を出してきます。ですので、自分が創った会社でも新卒に可能性を感じ、当初は安易な気持ちで新卒採用をスタートしました。
弊社HP
https://energize-group.co.jp/
■そして、新卒はすぐに辞めた。
初めての新卒採用は社員が9名(全員中途)、まだまだ業績もおぼつかない状態でしたので社内の反対意見もある中でのスタートでした。
自分たちで色々とやった結果、1名採用することが出来ましたが、残念なことに2ヶ月程度で辞めてしまうという結果でした。今思えば彼には大変申し訳ないことをしたなと反省しています。彼が辞めてしまうのも無理はありませんでした。当時私たちの会社には新卒を採用する目的も曖昧で、明確な言語化されたビジョンもなければ制度も何もない状態だったのです。
■8,000万円の人材投資。「ベンチャー志望ならエナジャイズ」
自分たちだけではうまくいかないと判断し、翌年の新卒採用ではありとあらゆる新卒採用のプロフェッショナルに意見を聞き、1年でおよそ8千万円の投資を行いました。
その結果、3名(東京大学大学院、早稲田大学、同志社大学)を採用することができ、今ではインターンシップに1,000名以上の学生がエントリーしてくれて、まだまだではありますがベンチャー志望の学生でENERGIZEという名前を知ってくれている人が確実に増えてきました。
そして、今年も新卒採用プロジェクトがキックオフしました。
ということで、私たちもまだまだ採用市場において圧倒的な知名度があるわけではなく、努力の途中ではありますが、このタイミングで6年間の新卒採用を通じて学んだポイント6つをまとめました。この状況ですので新卒採用のやり方は変化すると思いますが、大切にしていることは変わらないと思いますので、少しでも皆様に参考になれば幸いです。
■3つの重要なスタンス
重要なスタンス①:「本当に欲しい人材だけ採用する」と決める
「我々は採用弱者である」という立場に立ちつつも、「自分達の身の丈にあった人材を採用しよう」では本当に欲しい人材を採用することは出来ません。
採用弱者であるがゆえに、経営陣含めて社員全員が本当に欲しい人材を採用するためにコミットする必要があります。
例えば、Plan・Do・See(https://plandosee.co.jp/)は人材に年間1億円の投資を行っているようですし、リクルートは(https://www.recruit.co.jp/)は1988年に1,000人を採用するために86億円の予算を割いたり、その同時期に優秀なエンジニアを採用するために16億円のスーパーコンピューターを2台購入して魅力を創出したと言われています。
私達はそんな大手企業や人気企業と同じ土俵で戦わなければいけません。そんな時に「自分達はこのレベルだからこのレベルの人材で十分」と考えるのではなく「本当に欲しい人材はどんな人物像か」「その人にだけ刺さるメッセージングは何か」を常に念頭に置いて組み立てていくことが大切です。
弊社も理念や行動指針、人物像設計、オフィスのレイアウト含めて一貫性を持って再構築しました。
重要なスタンス②:「見極める」のではなく「育む」
多くの場合、人事や選考担当者は学生を見極めようとします。最終的には見極めることは採用における大切なフェーズであることは間違いありませんが、本当に我々が見極めることが出来るなら採用活動はもっと成功しているはずです。
実際に我々の採用に至らなかった学生が某有名メガベンチャーで大活躍し同期200人でTOPになったり、起業してIPOを目指していたり、逆に弊社のインターンシップに補欠参加だった子が新卒4年目で弊社のトップセールスになっていたりします。
なので、私たちは学生を見極めるというスタンスではなく、採用を通じて学生を育むというスタンスでプロセス・面接設計を行っています。
ですので、人事メンバーとの会話は「○○さんのここが欠点」「○○さんのここがダメ」ではなく「どうやったら○○さんが成長するか?」をメインに会話することを常としています。
結果、お互いが「ここだったら一番成長できる」「このメンバーなら絶対に活躍できる」と確信し、お互いがお互いの活躍と成長にコミットし合う文化が生まれます。そして、それが年々引き継がれていき、「育む文化」が醸成されるようになります。
重要なスタンス③:一貫性を担保する
学生は、出会う社員の言っていることとやっていることの違いに敏感です。
特に、優秀な人材であればあるほど、説明会やインターン中の社員の振る舞いや言動、服装、オフィスの清潔感など実際に目にするものから、転職サイトの口コミやHP、フェイスブック、ツイッター、過去に露出した記事、など目に見えないものまでありとあらゆるところから情報を集めます。
過去のことは変えられないので、大切なのは、説明会、インターン、面接などのイベント(接触)のときには、我々のありたい姿、行動指針を一貫して体現しようとし続ける必要があります。
ただ、人間完璧じゃないので、常に理想を100%体現できるかと言うとそれは簡単ではありませんし、それは現在の本当の私達の姿ではありません。ですので、大切なのは常に理想の姿であろうとし続けているか?そして今私達は理想の姿に対してどこにいるのか?をTRUEに伝えることだと思っています。
■3つのサクセスポイント
サクセスポイント①:Visionに一貫した採用戦略を創る
選考を受けていたときのイメージと入ってからのイメージが違うということが無いように、言っていることとやっていることが一貫した採用フローを構築します。
弊社では以下のフレームワークを活用しています。
■採用フロー構築のフレームワーク
① 理想の候補者を引きるけるVision、Mission、Identity、Value、Conceptは何か?
② Visionや事業戦略を実現するために必要な新卒における人物像は?
③ 採用競合はどこか?採用競合に見られたい企業(理想の採用競合)はどこか?
④ 自社の強み・弱み(課題)を整理する
※観点:Vision / 事業目標・ビジネスモデル / 仕事・成長 / 組織風土・文化 / 給与・福利厚生
⑤ Visionに一貫した採用コンセプトを創る
※採用コンセプト=独自の強みをキャッチーな表現にしたもの、採用活動を通して一貫して流れる軸
⑥ 採用媒体、掲載文章、掲載画像、メール、コンテキストなどを採用コンセプトで一貫させる
⑦ 採用コンセプトを軸とした採用ストーリーを創り、独自性を生み出す
サクセスポイント②:就職活動中のコミュニケーションの想起の起点となる
当然ながら学生は私達以外の会社を沢山受けます。友人と話している時も話題は受けた会社の話でいっぱいだと思います。そのため、就職活動中の学生がコミュニケーションをとるたびに想起の起点になることを徹底的に研究して色々と施策を打っています。
■施策例
「一番カッコイイと感じた会社は?」→ 参加メンバー全員同じスーツで日本代表感を出す
「一番ためになった会社は?」→ 一次選考から参加者全員に面接のフィードバックする
「一番気合い入ってると感じた会社は?」→ 30名の参加者に10名のメンバーで対応する
「一番キツかった会社は?」→ 合宿型インターンで学生と徹底的に向き合う
もちろん全ての施策が功を奏したわけではありませんが、こういった様々な施策を打ち続けることでその後に出会う会社が全て「ENERGIZEと比べてどうか」といったように学生の頭のなかで比較軸が形成され、ENERGIZEが出てくる回数を多くすることができます。
サクセスポイント③:コミットメントを引き出す
弊社では育む採用というコンセプトの元、学生一人ひとりに向き合っています。
学生が成功体験を積み、人にそのストーリーを語れるようにサポートしています。
多くの企業では採用基準に満たなかった場合、所謂お祈りメールを送ってそこで関係が終了すると思います。しかし、弊社では採用に至らなかった理由をお伝えし、その上で学生が成長しようという気持ちがあれば全ての学生に成長のサポートをしています。
ここで重要なのが「コーチング」です。学生が本当に理想としていることは何か?学生が絶対に譲れないものはなにか?理想を実現するための課題はなにか?そのためにはいま何をすることが必要なのか?そして、ファーストキャリアとしてどこに行くのがベストなのか?を質問をとおして引き出すスキルが重要です。
そして、課題を乗り越えられるように徹底的にサポートし、課題を乗り越え「進化」できる学生が実際に入社後も活躍でき、自社にマッチするかが結果的にわかります。課題を乗り越えられなくてもあくまで自社の環境では芽が出なかっただけ。必ず芽がでる環境はあるので、応援しています。
■ポイントまとめ
・重要なスタンス3つ
① 本当に欲しい人材だけ採用すると決める
→「採用弱者」という立場ではあるが「身の丈に合った以上の採用をする」と決める
② 「見極める」のではなく「育む」
→活躍するか?成長するか?が育むことで見えてくる
③ 一貫性を担保する
→学生は敏感、言動一致を心がける。理想の体現と自社の現状をTRUEに
・サクセスポイント3つ
① Visionに一貫した採用戦略を創る
→イメージのズレがないよう、採用フローを構築する
② 就職活動中のコミュニケーションの想起の起点となる
→どこで、いつを意識して、頭の中に残る工夫をする
③ コミットメントを引き出す
→選考が終わったら終わりではなく、学生の成長をサポートする
最後までお読み頂きありがとうございました。
これまでの6年間での学びをまとめさせていただきましたが、私たちENERGIZEもまだまだ道半ばで、より良い採用ができるように努力の最中です。
少しでもご参考になれば幸いです。