NHK朝ドラ「虎に翼」に学ぶ「女性活躍推進のバトンを次世代に繋ぐ」と「キャリアプランを絵に描いた餅にしない研修!」のおススメ
こんな人におすすめ
・企業のキャリア研修担当者
・企業の女性活躍推進担当者
執筆者紹介
「虎に翼」からの学び。残念ながら戦前から女性活躍の課題は変わっていない?
NHK朝ドラ「虎に翼」の連載がとうとう終わってしまいました。観ていなかった方には何のこっちゃ?かもしれませんが、日本初の女性弁護士の一人猪爪寅子(実在モデルは三淵嘉子氏)が主人公のストーリー。このドラマ、「女性のキャリア」について深く描かれたドラマだったと思います。ドラマの舞台となっている戦前戦後と現代を比較して、男女の格差や女性の生きづらさは解消されたのか?あまり変わっていないんじゃないか?と、SNSやネットでも話題になっておりました。
筆者は自動車メーカーで長年「女性活躍推進」の担当をしていました。他の仕事もしながらかれこれ15年ぐらい。私の感覚では近年日本でも、「女性の活躍は進んだ」と言えると思っていました。男女雇用機会均等法が施行されてから約40年。女性は「職場の花」と言われた時代から、女性の仕事の与えられ方も仕事と家庭の両立のあり方も大きく変わってきました・・・と思っていたのに?・・・
「虎に翼」を観ていて「あれ?私の経験と、なんだか似てない?」と思うことがチラホラあるのです7?
特に痛感したのは、寅子の後輩の女性裁判官からの妊娠報告の場面です。
彼女の「女性は男性の3倍努力してやっと同じと認められる。そう思って頑張ってきたのに・・・」という発言。「はて?私が20代の時に先生に言われたのと同じ言葉だ!」とびっくり。
そして、「まさか戦後間もない頃から半世紀経過して、何も変わっていないということはないよねえ???」という疑惑がフツフツ?
しかし・・・
女性活躍推進研修に講師として登壇すると、今でも「虎に翼」でのエピソードとよく似た話が出てくるのです。
ドラマでは、妊娠した寅子が、自分の体調不良で仕事に穴をあけないように、ギリギリ踏ん張っていた時に、その心の糸を、恩師である穂高先生が切ってしまうエピソードがありました。その時の言葉。子供を産み育てながら仕事を続けようとする寅子に対して「無理しなくていいよ。君はこれまで十分に頑張った・・」
「両立して働こう」としている女性の気持ちを、退職を勧める言葉で取り囲む。「無理しなくていいよ」という言葉は、善意、配慮、優しさ・・そんな成分で出来た刃。その刃が心の糸を切ってしまうのです。
全く同じことが、令和の世の中の研修の場でも聞こえてきます。
「子供さんが1歳になる前に復帰するの?そんなに無理しなくていいよ。うちの会社は子供が2歳まで育児休職できるのだから、制度を有効活用すればいい」
実は・・・早期復職しようとしている女性は、休職前に自分が手掛けていたシステムの立ち上げに少しでも貢献したいと願っていました。子供を授かり途中で開発チームからの離脱を余儀なくされたが、自身が心血を注いで企画したシステムの立ち上がりをチームに戻って見届けたいという強い思いが・・。
周囲からの善意でできた言葉の刃は、「子育てを二の次にして仕事への思いを遂げるのは自分のワガママなのか?」と女性を悩ませ、最悪のケースは早期復職の自分のキャリアプランを諦めてしまうことにもなりかねません。
子供が1歳になる前に復職するのが無理なのか、出来るのか決めるのは本人。他人から見たらイバラの道にも地獄にも見える道でも、進むか進まないか決めるのは本人で、上司・同僚など周囲の人が良い悪いを言うものではないのです。
じゃあどうしたらいいの?に対し、女性活躍推進者から一言
「大事なことは『機会(チャンス)を与えること』
「善意・配慮の言葉をかけてはいけないなら、どうしたらいいわけ?」と、上司の皆さんの「やってられないよ」という声が聞こえてきそうです。
面倒くさい部下への声掛けなど、投げ出したくなるかもしれないですね。しかし、それでは部下の折角のモチベーションを下げてしまったり、キャリアを阻害することになりかねません。さて、どうしたらいいのでしょうか?
実は答えはシンプルなんですよ・・・
答えは「普通にやる」ことです。普通に『仕事の機会(チャンス)を与え続けること』なのです。
あなたの職場の男性の部下にお子さんが生まれたことを理由に、仕事の内容を変えますか?
おそらく特に本人から申し出がないかぎり、仕事の内容や期待を変えることはないのではないでしょうか?それと同じことです。
しかし、その普通に『仕事の機会(チャンス)を与え続けること』を実際にやろうとすると、多くの管理職の方には『はて?』という疑問がムクムクと湧き上がってくるものです。
また、女性自身が『子育ては女性が主体でやるべきもの』呪縛にがんじがらめになっている人も少なくなく、女性活躍の阻害要因になっていることもあります。
『子育ては女性が主体でやるべきもの』のような考え方のことを、『性別に対する役割分担意識』と言いますが、日本社会にまだまだ色濃く残っている『性別に対する役割分担意識』に基づく私たちの行動は、先に書いたような正論「普通にやる」だけでは、簡単には変え難いものではないかと思っています。
寅子の時代100年前から何も変わっていないとは思わない。でも根っこの問題『性別に対する役割分担意識』は残ってはいて、100年前と現代、それぞれの段階で『進化させよう』とし続ける。自分たちがやれるだけのことをやって、次の世代にバトンを繋いでいく必要があるのではないでしょうか。
『性別に対する役割分担意識』に基づく私たちの行動を変えていくために』
→『キャリアプランを絵に描いた餅にしない研修』のおススメ
『性別に対する役割分担意識』に基づく私たちの行動を実際に変えていくために』
私がお勧めしているのは、以下の3点セットの取り組みです。
1.(上司向け)女性活躍(ダイバーシティ※)理解研修
2.(女性向け)キャリア研修
3.(上司&女性)キャリアのすり合わせ研修(別名?キャリアプランを絵に描いた餅にしない研修)
※女性活躍に重点を置くか、ダイバーシティに重点を置くかは、該当組織の課題感によって調整
私が職場改革に取り組む際、「たまごが先かニワトリが先か?」と優先順位を考えると、ニワトリ=上司の意識改革が先だと考えています。女性活躍推進を進めるためには、もちろん、上司の意識改革だけでは成り立ちません。上司が女性部下を男性と同様に期待をして、成長を期待しストレッチ目標を与えようとしても、女性部下が挑戦を拒んでしまったら成果は出ないから。
しかし、女性活躍だからと女性だけをモチベートして挑戦するマインドにしても、上司が成長を期待できる仕事をアサインしない、また、ストレッチ目標を与えただけで上司が何も支援をせず、結局仕事がやり切れなければ、やはり女性の成長は望めません。上司の意識と女性部下の意識、両方揃ったときに、成長へ向けた加速が期待できますが、仕事上での成長は、知識習得などより仕事をやり切ったときに得られるものだと思うので、「仕事を付与する役割の上司」を重要視しています。
そのため、「1.(上司向け)女性活躍(ダイバーシティ)※理解研修」を最初に行うことをおススメします。この研修では、上司の皆さんに、ご自身の中にある「固定概念意識」に気付いていただくことが、まず1つめの目的です。
固定概念は、誰もが持っているもので、無くすことは難しいですが、自身で意識し、「自分の判断に固定概念による偏りはなかったか」自省できるようになるだけで、変化を期待できます。また、「部下の価値観を知る」ことによって、部下のやる気スイッチがどこで入るかわかるようになると、部下の力を引き出しやすくなります。女性にスポットを当てた内容としては、『女性の傾向』を解説し対処方法をアドバイスすることで、多くの男性上司の方が、明日から職場で役立つノウハウ集的に役に立っているようです。
「1.(上司向け)女性活躍(ダイバーシティ)※理解研修」の数週間後に「2.(女性向け)キャリア形成研修」を実施します。
この研修は、内容的には一般的なキャリア研修の内容で、自身のこれまでのキャリアを振り返る→自身の興味・価値観、強み・弱み等を見つめなおす→ロールモデルのキャリアを参考にする→この先のキャリアプラン作成という流れで進めますが、冒頭に「なんで女性活躍?」という女性側の女性活躍推進アレルギーを極力なくし、前向きに研修に参加できるようにすること、女性のキャリア形成に大きな影響を与える「ライフイベントによる影響を乗り越えること」を付加して、ねらいの達成に寄与できるように構成しています。
この研修を行うと、時々、研修の最後に涙する方がいらっしゃいます。
職場では同じような立場の女性がおらず、誰にも言えず一人踏ん張ってきた人が『同志』に出会い励まされたり、自身のこれまでの振り返りを丁寧にしたことにより、自分の先が少し見えてきたことで自身のこれまでの頑張りを自認できたり・・と色々ですが、キャリア研修の機会で、何か心の琴線に触れる場面があり流れる涙、共感によりホッとしたり、褒められて嬉しかったりそんな人の心が動いた場面に出会うと、講師冥利につきます。
企業で実施する場合は、研修で作成する「キャリアプラン」の上司への提出を義務付けます。研修当日、受講生の何割かは「自分のキャリアプラン」を上司に見せることを嫌がる人がいます。キャリア研修は仕事面だけでなくライフ面も含めて自身の今後を考える機会なので、キャリアプランの内容によっては上司との共有が不要な場合もありますが、仕事上の今後を考える場合は、上司の理解が不可欠です。
そのため、「3.(上司&女性)キャリアのすり合わせ研修(別名?キャリアプランを絵に描いた餅にしない研修)」を設定しています。
この研修は、(上司&女性)同時に参加していただき、研修中お2人で対象女性のキャリア面談を実施します。ポイントは、キャリア面談の前に「お互いを知るためのワーク」をやっていただくところ。上司部下の歴史はペアによってそれぞれ。一か月のペアも、10年来の付き合いのペアもありますが、歴史は長くても仕事の話しかしたことがないペアも多々。上司部下は仕事上のお付き合いですから、プライベートのことを知ってもらう必要はないという考え方もありますが、興味関心や将来の夢、プライベートの仕事への影響など、少し知っておいてもらったほうが、仕事がスムーズになるような場合もあるのでは?「お互いを知るためのワーク」では、簡単な設問でお互いについての知っていることを増やしていただくことで、上司・部下の意外な一面を垣間見ることで、そのあとの面談の話がスムーズになっているようです。
そしてこの「キャリア面談」こそが、『キャリアプランを絵に描いた餅にしない』秘策です。
「2.(女性向け)キャリア形成研修」でキャリアプランを描いても、上司に共有せず、キャリアプランシートを心の中に持っていても、翌日からの仕事は何も変わらないので、まさに『絵に描いた餅』。それを現実の仕事にするのが、「キャリア面談」です。
実は何も難しくないことです。部下のこれからのキャリアに対する思いを上司に伝え、話し合いで、今後の仕事内容や役割など具体的に決めることができれば、明日からの仕事内容が変わり、その人の今後の新しいキャリアプランが見えてくるのではないでしょうか。
「キャリア面談」をされている時、参加者の方々は上司部下共に、とてもいい表情をされている方が多いなあと思います。いつも教室中が熱い会話と笑い声で大盛り上がりになります。
そして、「上司にキャリアプランを話すの嫌だ」と言っていた女性のほとんどが「いい機会をいただいてありがとうございました」と笑顔で帰っていかれます。
『キャリアプランを絵に描いた餅にしない研修』3点セットは男女関係なく活用できます』
いかがでしょうか。『キャリアプランを絵に描いた餅にしない研修』3点セットに興味を持っていただけましたでしょうか?もしご興味をお持ちいただけましたら、是非弊社までご連絡ください。
本研修は当初、女性活躍推進のために開発しましたが、考え方は男女関係なく、また、高齢者の活躍・若手社員の活躍など様様なダイバーシティ推進に応用できると考えています。
お問合せ
https://www.sunstaff.co.jp/inquiry/human-develop