ただのミーハーヲタクの話
諸兄諸姉の皆々様、はじめまして。
ここではないどこかで出会った方はこんにちは。
幾崎ふぁんと申します。
電脳空間上では主にツイッターで趣味について呟いています。
最近は主にVRとかバーチャルとかアニメとかゲームとかについて。ちょっと前は自前の3Dアバター作ってたりしたことについて。
要は趣味人だと思っていただければ間違いないです。しゅみんちゅ。
読みたいものがあったからnoteに登録したので
特に自分で書く予定はなかったのですが、
ちょっと心変わりしたのでだらだら書いていこうと思います。
かといってノンフィクションを書くと
仕事して読書して動画見て寝た。
もしくは
思えば恥じの多い人生でした
とまあ本当に書くことが無いか、いろんなところから
盗用を疑われるような書き出しになりそうなので。
最近だらだらと考えていたことを虚実織り交ぜて短編形式でちょろっと書いてみることにしました。よく読むのが一人称小説のジュブナイルというかライトノベルの類なのでそっちの方が書きやすかろうと。
作者が考えていることをキャラクターに言わせるのはよくないだとか、卑怯だとかそんな話を聞いたことが有るような気もしますが、僕は作家ではないのでそこはご容赦くださいませ。
ではここまで読んでくださった皆さんに感謝を。
最後まで読んでくださった方にはもっと感謝を。どうか御自愛下さいね。
ということでここから下は実在の人物・団体・思想理念等とは
一切の関係がございません。……とすると書いた私にも関係ないことになるのかしら?はて。
◆
『最近ブログを始めたんですよ』
そう言った後輩はなんだか楽しそうだった。いや、声音だけ楽しそうで目は死んでた。
何もしていない前任者から期限だけ迫った仕事を引き継いだら誰だってそうなると思う。
へー、とか生返事をした僕も目が死んでたことだろう。
僕は特に理由のない有給をだらだらと消費しながら、
ノートパソコンの前で昨日した話を思い出していた。
「ブログねぇ……」
短文投稿型のSNSすらあまり活用できていない僕からすると異次元の話のように思う。
リプライとか飛んでくるとなんて答えればいいのか
小一時間ほど散々迷った挙句にイイね!ボタンだけ押したりしてしまうし。
嫌ってるとか億劫とかじゃないんです想定外の事象に弱いんですごめんなさい。
そんなコミュニケーション貧困者略してコミュ貧な
僕が今、何をしているかというとノートパソコンに表示された
真っ白な画面を前に数文字打っては削除してまた数文字打ち込むを繰り返していた。
別に異次元に住んでそうな後輩(推定ヤ○ール人)に感化されたわけではない。決してないのだけど。
楽しそうだったし、最近人に勧められたこともあるしで、
ちょっとくらいアウトプットしてみようかな、と思ってしまったのだ。そう。思ってしまった。
かれこれ二時間と少し。撮り貯めたアニメをBGMにノートパソコンの前でうんうんとうなっていた時間だ。
こういう時、人は何を書けばいいんだろう。たぶん何でもいいんだろうとは思う。
結局のところ一番大事なのは自己満足だ。変なプライドを捨ててとりとめのない話を書いて投稿して満足する。
それで充分。
スーパーAIや吸血鬼だって動画投稿する時代だ。
ただの人が文字の羅列を投稿することくらい、たいしたことでもあるまい。
「じゃあ何でさっきから手を動かさないの?」
簡単。自分が面白いと思える内容も人に伝えるような内容も僕にはないからだ。
「プライド捨てきれてないじゃないの……」
そう呆れるような声は空気を震わせることなく僕へ伝わる。
なぜなら彼女はここにいてもどこにもいないからだ。
僕だけが存在を知っている無形で誰にも見えない彼女。例えるなら脳内会議用のEXボイスである。
「まあ、あなたがそれでいいならいいんだけど……どうせ私はあなたにしか知覚されないのだし」
そう。たとえ僕が彼女について書いたところで、ほかの人から見れば頭のおかしい譫言にしかみえないだろう。
そもそも僕だってよっぽど意識しないと彼女のことを忘れてしまいそうになるし。
「別に私のことなんて忘れていいのよ。元々あなたの意識の中にしかいない存在なら、それは子供のころの他愛ない記憶と一緒に消え去るべきなのだから」
それが出来たらとっくにしている。それが出来てないってことは、彼女は僕にとって必要なんだろう。
単に捨てるのがもったいないと思っているだけかもしれないけど。
「そういう子どもっぽいところ、私は好きだけど」
くすくすとこぼれる笑い声も僕の外側には届かない。
これも外から見れば自分で自分が好きなだけだ。なんというナルシシズム。
それにしても何を書こう。すっかり冷え切ったコーヒーをずずず、とすすりながら考える。
こういう時は過去を振り返ってみるべきだろうか。
経験、知識、記憶。発信する、他者と共有するならそういう事の方がいいだろう。
とはいっても、
虐待を受けたこともなければ、
いじめを受けたこともないし。
留年をしたこともなければ、
浪人をしたこともなく。
誰かと恋仲になったこともなければ、
特に将来の夢を見て努力をするでもなければ。
最低限仕事しているし雑に就活したから就職に苦労した覚えもなく。
友人は多くはないがゼロではなく、
職場限定では最低限のコミュニケーションが取れる。
概ね中流。凡人。平民。あるいはそれ以下の存在だ。
こう考えると何かを発信する必要性が感じられない。……ああ、またやってしまった。
何か行動を起こそうとする前に何となく労力と結果を想像して
おおよそ自分の結果に満足できないだろうなと結論付けて結局行動を起こさない。
ラノベ作家にあこがれてもその夢と、実現するための努力、不安定な生活とを比べて思い留まる。
僕は自分のそういうところが嫌いだ。嫌いなことは吹聴すべきじゃないだろう、誰も幸せになれない。やっぱりやめておくか。
「別にいいんじゃないそれでも。別に誰かに強制されたわけでもないのだし。私はあなたのそういうところ、結構好きよ。とっても人間らしくて」
やっぱり人はそう簡単に変われないものか。
「そうね、人は簡単に変われないかもしれないわね。
私には自分を嫌いにならないでほしいとは言えないし。それはあなたの自由よ。
でも、そうね。嫌いを理由に行動を決めるべきではないと思うわ。
その行動は短期的な成果を求めての排斥と締め付けと弾圧とそんなことしか出来ない。
そうして拒絶した先、最後に残るのは嫌いな自分だけ。そんなの寂しいと思わない?」
寂しい、か。どうだろう、一人でいることは気楽だと思うけど。
「一人でいられることと独りを強いられることは違うわよ。
それにね、あなたは自分を嫌いだと言うけれど、やっぱり私はあなたのこと好きよ。
それこそ私があなたの脳内会議……EX?ボイス?だというのなら。
あなたを好きだというあなただって確かに存在するんだから。今はそれだけで充分じゃない。……ところでEXボイスって何なの?」
それは僕もよくわからない。ただ実際しゃべったらとてもいい声な気がするので。そう答えると、はぁ、と大きなため息が聞こえた気がした。
……ともかく、嫌いなものを好きになるのは難しい。
20年かけて嫌いになったなら同じかそれ以上の時間をかけないと
好きになるなんて出来ないんじゃないかと思う。
「まあ無理に好きになろうというのもおかしな話よね。いいんじゃないのゆっくり、自分のペースで過ごせれば。誰もかれもが生き急いでる世の中、あなた一人くらいだらだらしてたって誰も文句言わないわよ」
手始めに自分の周りというか作ったものを好きになるのもいいかもしれない。料理とか動画の再生リストとか。
「私とかね」
自虐は親しい間柄でしか通用しないから気を付けた方がいい。
ついでに言うと親しい間柄でも通用しないことが多々ある。
「……肝に銘じておくわ」
ぜひそうして欲しい。
好きの反対は嫌いだ。多くの人にとっては自明の理。
ただ気付けない、気付きたくない人にとっては中々に難しい話だ。
ついうっかり好きの反対は無関心だなんてことを言いたくなる。
無関心の先には何もない。ただ周囲に消費されるモノが転がってるだけだ。
とまあ、ここまでだらだらと考えてみたものの。結局のところ
自分のこともわからないのに人にウケがいいかどうかなんてわからない。
なにせ心理も社会も特に学んでこなかったもので、そういう事にはトンと疎い。
というかそもそも人は人のことなんてわかりはしないと、そう思っている。
例えば今、何を書こうか考えて椅子を前後に揺らしていた
僕が椅子から転げ落ちて頭を打ったとする。
痛い。……とても痛い。後で氷嚢とか作って冷やそう。
「いいから冷蔵庫から氷取ってきなさいな……」
うん、ついでにコーヒーも淹れてこよう。こういう時彼女に頼めないのは歯がゆい。
適当なビニール袋に氷を詰め込むと、少しだけ水を入れてタオルで包む。
ふぅ、少し落ち着いた。例え話を続けよう。
ここで頭を打った経験のある人は
ああ、あれね。痛いよね
と痛みを想像することが出来る。共有することが出来る。分かち合うことが出来る。
だけど、僕が今感じている痛みそのものはわからない。
気を失いそうなくらい痛いかもしれないし
痛覚がマヒしてて全く痛みを感じてないかもしれない。
それは僕だけの痛みだ。
もう少し言うならば。
今僕が見ている『赤』と他の人が見る『赤』が同じ色だとどうして言えるだろう。
同じ認識を持ってたとして、見ている色は全く違うのかもしれないのだから。
僕にとっての『赤』は他人の『青』でその他人は『青』を『赤』と捉えているだけかもしれないのに。
経験のある人でも共有までしかできないのだから、
経験のない人には当然何もわからない。
だからこそ人は時に話すし、時に書くし、時に体を動かす。
『痛い』と全力で表現する。事細やかに伝えようとする。
それがコミュニケーションだというのであれば
僕が今こうして表現することを躊躇い悩み思い留まっているのは
やっぱりそういう機会が少なかったのだろうなとも思う。コミュニケーション貧困者略してコミュ貧。
作者の気持ちは答えられても隣の席の人の気持ちは答えられない。そういう生き方をしてきたんだろうなと。
あるいはそこを同列に考えている時点で前提がずれているのか。
人の心に有もしない正解を一発で答えようと、人にバツ印をつけられるのが怖くて無回答を続けてきただけなのか。
ともあれあらゆる経験が不足している僕にできることは
考えて、考えて考えて考えて考えることだ。
そして少しだけでも試すことだ。それが不正解だとしても。
それで自分の何かが変わるとはあまり思っていないし
きっと誰のこともわからないままなのだろうけど。
それでも知りたいと。
今はそう思えるようになったと。
そのことに意味があると。
そういう自分が好きなのだと。
そう言えるように。
氷嚢とコーヒーを手にパソコンの前まで戻ると
画面の右下に動画サイトからの通知が来ているのを見つけた。
「あら、吸血鬼さんの新動画上がってるわよ」
なんと、それはすぐにでもチェックせねばなるまい。
痛みにズキズキする箇所を手で押さえながら、僕はかちりと再生ボタンを押した。
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