【雑記】神様のいない日曜日から十年経った

富士見ファンタジア文庫から発売された『神様のいない日曜日』が、2020年1月で1巻発売から10年経つらしいという事をなんとなく知った。ただそれだけの話。
タイトルで言いたい事を言い終わってしまったのだけど、折角ここに書くのだから140字以上は書いておきたい。一読者として、なにか消えない小さな炎のような気持ちみたいなそんななにかを、どうしても1月が終わるまでに残しておきたかった。10年前に始まって6年前に終わった、死んでも好きでいたいと思う作品への心情吐露。それだけの700文字。

さて、10年。大体義務教育が終わるくらいの時間だ。
中学生や高校生が学業を修了して働いててもおかしくない時間だ。
子供が大人になるくらいの時間だ。
12歳のアイが22歳になるくらいの時間だ。
成長した、大人になったアイを想像しようとするとどうしても物語の結末を思い出して目頭が熱くなる。熱くなるだけで泣いちゃいはしないけど。
万人が喜ぶ物語の終わりだったのかは分からないけど、僕にとって受け入れられるものだったのは確かだ。アイの手にしたものは世界に流された結果じゃなくて、自ら選び取ったものだと思ったから。
悲しいけど。

物語。そう、物語だ。
アイという化け物が人間になる物語。
あるいは、アイという子供が現実を知って大人になる物語。
諦める事を諦めるまで生き続けたアイの、夢のような物語。
傷だらけで、とても綺麗な物語だった。


死んでからが始まりみたいな世界だから、アイの物語は本を読み終わった後に始まったのかもしれないと、頭の片隅でぼんやりと、ずっと思っている。多分もうしばらくは忘れられないんだろうなと、本の縁を撫でながら嬉しく思う。
本当に出会えてよかった。

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