【歌詞読み解き】桜月っていい曲だよね―トュルルル トュル トュルルル トュル ルルル―
もう一年以上も前に櫻坂46の5thシングルの表題曲として発表された『桜月』っていい曲だよねという記事である。聴けば聴くほど涙腺が緩んでくるので歌詞を引用しながらメモしていきたい。
主人公が誰かを今までにないほど好きになった「気がする」っていう回想?気がするってことは、何か確固たる証拠や保証もない純粋な恋なのか。
自分より相手のことを優先したい気持ち。これは恋かもしれないけど、自分が傷ついてもいいから君を傷つけたくないって気持ちはどこか気を遣っているようで、無理をしているようでいたたまれない。むしろこの恋は自分だけの恋で、相手からすると自分の恋なんて迷惑かもしれないから、気持ちを伝えることで相手が傷つくくらいなら、自分の気持ちを押し殺して恋が成就しなくたって良いと思っているのかも。「思い込み」って言っているくらいだから、それこそが正義で、そうしなければならないと自分の気持ちを無理にコントロールしようとしている感じがする。
最終のバスだから夜の11時くらい?そのタイミングがまだ何のことかわからないけど、恋をしていて相手の感情がまだ見えてこないから、告白のタイミングなんだろうか?でも回想して語っているくらいだから、そのタイミングを何度も逃してきたんだろうなあ。
寒さって言っているから冬の夜中のバス停ってことか。向き合ってたというのは物理的に向き合っていたのだろうか。これまでの流れだと精神的に向き合ってたようには思えないような…。でも寒さも感じないくらいってことはそこに熱や燃え上がる恋心があったと読み取るのが自然だよな。ということは、お互いにお互いを想いあっていることを分かっていたのか。二人は結ばれる運命にあったはずなんじゃないかっていう。まあもちろん僕の回想であり妄想かもしれないけれども。そんな気持ちでいたのに、「“もしも”なんて何の意味もない」は切ない。結局一歩踏み出せず上手くいかない恋だったんだろうなあ。
卒業式というワードで世界が開けた気がする。学生の二人が卒業して離れ離れになる歌詞が想像できるなあ。さっきの冬も3月の晩冬になるわけか。というか、世の高校生カップルが進学や就職を機に遠距離になってしまうときに、お互いに好きな気持ちを持っていても別れてしまうモチーフは何十年経っても変わっていないような。今と違ってSNSやインターネットもない昭和の繋がれない時代は本当の意味での遠距離恋愛だったのだろうと思うけど、声は聴けても身体的接触がなく顔もなかなか見られないということは時代が変わっても重大な問題なんだろうなあ。
卒業して大学に行ったり、就職したりして全然違う世界に進むようになると色んな価値観を持った人と出会う。新しく友達になる人も出てくるわな。
大切な何かは好きだった君のこと?好きだった気持ちのこと?大人と呼ばれてしまうことが対置されているということは、君を猛烈に好きになった頃は子供だったということ?社会に揉まれて純粋な恋心が失われていく様を暗示しているのだろうか。
通う場所が変わったり新しい友達が増えるだけで大人と呼ばれるって、なかなか論理が飛躍しているような。ここで言いたいのは、いろいろな世界や人を知るということが大人になるというくらいの意味合いなんだろうかね。
桜が君を想うんじゃなくて、君を想っている自分の気持ちを桜に乗せて歌っているんだろうなあ。でもその桜は風に吹かれて、自分の心の中に舞っているだけで、桜は君のもとへ届かないし届けることができなかったのだろう。
ただ、別の解釈もできて、桜は僕なのかもしれない。僕は君を想っていたのに、風に吹かれながら世間の荒波に揉まれる過程で君を想う気持ちは雲散霧消していくという見方はどう?なんかよりしんどい解釈…。
自分の気持ちがもっと大きく花開くものであったら良かったという感じ。何度もあった「そのタイミング」を逃してきた自分の情けなさに後悔しているのかなと思う。桜は僕自身であり僕の気持ちでもあり、僕自体の存在のちっぽけさや、僕の気持ちや勇気の足らなさを嘆いていると読むかなあ。「せめて満開でいてくれたなら」じゃなくて、「せめて“もう少し”満開でいてくれたなら」だから、完璧じゃなくても少しだけでも立派な存在に、誇れるような自分と未来が待っていたんじゃないかという後悔がある気がする。
そんなこと言わないでよという感じ。桜がどれだけ好きでも、季節が過ぎるとあっという間に散ってしまって葉桜になってしまうという真理が、ここでは、どれだけ好きな相手がいても時間が経つとあっという間にその気持ちがなくなったり、恋愛が上手くいかなくなったりするという内容に読める。
なんじゃそりゃという感じだけど、「桜月」は旧暦の3月という意味があるらしい。旧暦の3月って今だと4月くらいだから卒業式関係ないじゃんと思わなくもないが。そりゃ不粋か。でも、あの日がいつかは言ってないから、卒業式のあの日なのか、何度も気持ちを伝えそびれたあの日なのか、後になって後悔したあの日なのか。そんなあの日に見た桜の花と目に映る月。どんな形の月だったのだろうね。
トゥルルルじゃないの?(笑)とも思うけど、そうじゃないみたい。「トュルルル」にもちゃんと意味があって、発音したときの印象が「トゥルルル」と「トュルルル」では違う。トゥルルルはちょっと洒落てる感じ。口をすぼめて優しく口ずさむような感じでもっとさわやかな曲だと似合うかなあと思う。「トュルルル」は表記からして珍しいし、どうやって発音したら良いのかちょっと困る。「トュルルル」は「トゥルルル」に比べると口の奥の空間を開けたうえで口先をすぼめるので、すごく窮屈な感じで発音しなきゃいけない。だから、必死な感じとか悲痛な感じが出てくるんだと私は思うし、よく考えられている表記だと思いまする。
やすすって僕に夢を語らせがち。好きな人に夢を語るっていいね。なかなかできることじゃない気がする。ただ、ここで夢を語ってるのは夢を語りたいから語ってるというよりは、他の言葉を口に出すのを止めるために語っているようだ。
自分の気持ちを相手に伝えれば楽になるのは確かにそうだけど、楽になっちゃいけないから伝えないというのは何とも人ができているような、独りよがりのような…。そもそもなぜ気持ちを伝えることができないのだろう。
卒業して君が東京に旅立つことを聞いたということか。君は東京で何か夢を追うということなのだろう。その夢の内容は分からないけれど、好意を伝えてしまうことで彼女の夢の障害になるのは嫌だと僕は思ったわけだね。素敵なことだと思う。
笑顔で君の語る夢を応援する偽りの自分。そういうことってあるんだろうね。悪いことじゃないけど、それを肯定できるかどうかは未来の自分に掛かっているよね。まあ、この手のやすすの歌詞は日向坂46の『やさしさが邪魔をする』と大体一緒だね。私好きです。キリマンジャロのコーヒー。
俯瞰してみたときにひどく落ち込むことってあるよね。
過去の恋愛を美化することって自分何様?って感じだけど、美化しなきゃ進めないこともあるからね。過去好きだったし今も引きずっている場合に「美しい恋」だったと述懐することはできないの。
結局後悔はするのだけど、ちゃんと前を向こうとしているのは偉いよね。ずっと未練たらたらの歌詞もよくあるけど、叶わなかった恋を過去の思い出として語り、未来に向けて歩んでいく感じ。素敵。
指示語…。説明しないのか。要は恋は成就しなかったし、今後もすることはないだろうという諦念もあるし、ずっと思い続けることもできないと言っているように思えるね。
どうやったら失恋して君のことをキレイさっぱり忘れられるかを考えたっていうことかな?まあそんなことを考えてもなかなか答えは出ないだろうけど。
僕が急に空を飛ぶようになった?(笑)まあ、桜の花びらなんでしょう。で、この桜は僕で、ひらひらとゆっくりと、なんども君のことを思い出しながら、いや思い出しても良いし、未練たらたらで後悔しても良いし、ゆっくりで良いから恋を終わらせていこうと言っているのだろうか。しかし、命令形というのはいきなりどうしたという感じだけど、自分自身に言い聞かせているのかね。あるいは、無理に忘れようとしなくていいから、ゆっくり自分から恋が離れて沈んでいくこと(時の経過とともに自然と忘れていくこと)を願っているという解釈もできるのかもしれないね。
この主人公の凄いなと思うのは、君との記憶を忘れてしまうのではなくて、むしろ良い思い出として残そうとしていることだな。失恋は辛いことで忘れてしまいたいほどショックを受けるものだと思うのだけど、過去の自分を肯定してあげる今の自分はなんと強いのか。
暗い夜空はもちろん瞼を閉じているからだけど、その瞼の裏で“満開”の桜が見えるというのは、1番の歌詞との対比構造になっている気がするね。
桜の花は僕だったはずなのに君に反転している???これは夢の中だから?それとも妄想の中だから?ともあれ、この歌詞は良いなあ。1番との対比で言うと、君に何度も気持ちを伝えようとしてできなかった頃の僕は、好きだという気持ちを伝える勇気や強さや度量の大きさを持ち合わせていなかった。それがこの夢のような回想では、満開=大好きな気持ちを表現できているなあ。
急にアドバイスモードになるやすす。大人になると夢や理想が思うようにならなくなることはある。そもそも夢や理想について考えている余裕すらなくなってしまうかもしれない。
満開の桜が散る美しさ。大好きな人への恋を全うして終わる美しさ。それを美しいと思うように、描いた夢も語った理想も、絵に描いた餅と嘲ることなく、まっすぐに真剣に向き合うことができたら、それが失敗して叶わぬものとなったとしても、美しいものになるだろうという想いが溢れているねえ。
桜月は僕だった???ここまで聴いているうちにもう涙出てます( ノД`)シクシク…
切ないけど強いなあ
以上が『桜月』の歌詞に対するメモだ。イメージを深めて聴いてみると曲がまた違って聞こえるかも。もっといろんな妄想ができて涙もあふれ出すかもしれないね。
以上。