何も変わらない
私はあなたのことが好きだった
でも何も言わない、なぜなら言ったところで何も始まらないから
21の夏、作品が思うようにうまくいかなかった
講評の途中から涙が溢れないようにずっと我慢していた
自分のせいである、でも本当に悔しかった
だから自分の番が終わってすぐ静かに教室を出た
トイレで泣いた、嗚咽が出るほど
40分くらい泣いて自分の鼓動も落ち着いてきて
廊下に出た、次は教室のドアノブを握った時
手が震えていた、ドアを開けることができなかった
そのまま廊下でしゃがみ込んで泣いた
そして教室の中から誰かの講評が終わった声がした
そこから何事もなかったかのように
教室に入り、後ろの椅子に座って他の人の講評を聞いていた
誰も私がいなくなったことに気づいていない
私自身ばれたくなかったから赤くなった目を必死に前髪で隠した
私が泣いていた間に講評は残り2人になっていた
合評が終わった
私はそのまま椅子から立てずにいた
ぼーとみんなが
あれひどかったよね、だとか
あの言い方はないわ、だとか
めちゃくちゃ好評だったじゃん!だとか
話をしていた
そんな中後ろから肩をたかれた
あなたがいた
大丈夫?あの…………と言葉を詰まらせていた
私は目も合わせず、あ、はい大丈夫ですと早口で返す
でも……泣いてたよね、本当に大丈夫?長いこといなかったから……
私は恥ずかしい気持ちを隠したくて笑顔で
はい!たくさん泣いたのでスッキリしました!と言った
すると やっぱり泣いてたよね
大丈夫そうには見えない、無理はしないで と
そのままその場を去っていった
でも正直すごく嬉しかった、自分を気にかけてくれたことが
友人は誰も私が泣いていたことに気づいていなかった
その時からずっとあなたが好きだった
その時のこと私一生忘れない
あなたは忘れているかもしれないけれど
私は辛い時もこの時こと思いだして
私を気にかけてくれる人はいるという事実だけで
救われることもたくさんあった
本当にありがとう、そしてさようなら
あなたはあなたのままで
どうぞお元気で
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