子どもの日本語教育とJSLバンドスケール [セルフ・ラーニング研修]
はじめに
このプログラムは、子どもの日本語教育に関心のある人、これから子どもたちに日本語を教えたいと思う人、また今、子どもたちに日本語を教えている指導者のみなさんに、「子どもの日本語教育実践」とは何かをわかりやすく解説するものです。
「セルフ・ラーニングで研修って、どういう意味?」と思われる人もいると思います。
このプログラムは、各回に提示された解説文を読み、最後の「課題」を自分で考えて学ぶ<セルフ・ラーニング>方式をとっています。同時に、同じ関心のある方とともに学び、意見交流したり、対面の「指導者研修」で活用したりすれば、なお一層実践力を向上させることができると思います。このような2つの利用方法をあわせ持っているため、<セルフ・ラーニング研修>(以下、SL研修)と名付けました。
「子どもの日本語教育指導者の実践力向上プログラム」として、ご活用ください。はじめに、この「SL研修」の概要を述べます。
1 日本語を学ぶ子どもたちとは
このSL研修で考えたい子どもたちは、以下の子どもたちです。
・外国から日本にやってきた外国籍の子ども。
・家庭で日本語以外の言語を使用している子ども。
・海外から帰国し、日本語を学ぶ機会が少なかった日本人の子ども、などを含みます。
これらの子どもは、日本語を含む複数の言語に触れながら成長しています。なので、これらの子どもを、ここでは「日本語を学ぶ子ども」と呼びます。
2 SL研修の概要
このSL研修は、コース1、コース2の2本立てで、以下の内容で展開します。
コース1 子どもの日本語教育
❶子どもを理解する3つの視点。
❷子どもの「ことばの力」を育成するとは。
❸子どもへの日本語指導の基本。
コース2 JSLバンドスケールを使った日本語指導
❹なぜJSLバンドスケールが実践に必要なのか。
❺JSLバンドスケールによる「ことばの力」の見立て。
❻JSLバンドスケールを使った日本語指導
コース1とコース2は、どちらから始めても結構ですが、2つのコースは相互に繋がっていますので、両コースを受講することでより一層子どもの日本語教育実践の理解が深まるでしょう。
3 テキスト
このSL研修では、以下の書籍をテキストとして使用します。
・川上郁雄『JSLバンドスケール【小学校編】ー子どもの日本語の発達段階を把握し、ことばの実践を考えるために』(2020、明石書店)
・川上郁雄『JSLバンドスケール【中学・高校編】子どもの日本語の発達段階を把握し、ことばの実践を考えるために』(2020、明石書店)
JSLバンドスケールは、日本国内で日本語を第二言語(Japanese as a Second Language: JSL)として学ぶ子ども、つまり、このSL研修で考えたい子どものために開発されました。SL研修の内容を学ぶ時に、また復習する時に、この書籍をご利用ください。
なお、本研修では、これらの子どもに日本語を教える人を「教師」あるいは「指導者」と呼びますが、どちらも実践者という意味で、同じと考えます。日本国内で子どもの日本語教育に関わるすべての指導者の実践力向上を目指すプログラムとなることを願っています。
では、始めましょう。